個人事業主の経理と税金|知っておくべき経理の基礎と帳簿づけ

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2021年06月16日

目次

  1. 個人事業主が納める税金
    • 所得税
    • 住民税
    • 個人事業税
    • 消費税
    • その他
  2. 個人事業主の経理
    • 確定申告は「青色申告」がおすすめ
    • 青色申告のメリット
    • 青色申告の事前手続き
    • 帳簿づけは会計ソフトで簡単!
  3. 個人事業主の節税テクニック
    • 小規模企業共済への加入
    • 生命保険への加入
    • 医療費が10万円を超えた人
    • 社会保険料控除
    • 夫や妻を養っている人
    • 寄付をする(ふるさと納税など)
  4. まとめ

この記事のポイント

  • 個人事業主になると、自分で確定申告をして所得税を納めなければならない。
  • 個人事業主が納める税金は、所得税の他にも住民税、固定資産税などがある。
  • 確定申告をするなら青色申告がおすすめ。青色申告をすることで節税できる。

 

サラリーマンの場合には、毎月の給料やボーナスからあらかじめ税金が天引きされています。そして、年末には会社が年末調整を行い、税金の払い過ぎや不足分を計算してくれます。つまり会社が納税手続きをしてくれているので、自分で確定申告を行なう必要はありません。

しかし起業して個人事業主になると、今まで会社がしてくれていた納税手続きをすべて自分で行わなければならなくなります。
つまり、自分で確定申告をして所得税を納めなければなりません。確定申告とは、1月1日から12月31日までの期間内の収支を計算して申告書を作成し、納付すべき所得税額を確定することをいいます。

ここでは、個人事業主が納めなければならない税金や、確定申告を行なうために必要となる経理業務などについて、ご紹介します。

個人事業主が納める税金

起業して個人事業主になると、自分で確定申告をして所得税を納めなければなりません。
確定申告とは、1月1日から12月31日までの期間内の収入を計算し、かかった経費、医療費、扶養家族の状況などから所得税を計算して申告書を税務署に提出し、所得税額を確定する手続きのことをいいます。

しかし個人事業主が納付すべき税金は、所得税以外にも住民税や健康保険料、個人事業税、消費税などがあります。
これらの税金はどのような内容なのか、どのような手続きが必要なのかについては、あらかじめきちんと理解しておく必要があります。

所得税

所得税とは、1年間に得た個人の所得に対してかかる税金です。
所得税は、基本的には確定申告をして納めるべき税金ですが、サラリーマンの場合には、会社が納税手続きをしてくれているので、原則として自分で確定申告を行なう必要はありませんが、個人事業主は、自分で所得税を計算して納めなければなりません。

個人事業主が所得税を計算するためには、1年間のすべての所得の合計から医療費控除、寄付金控除などの所得控除を差し引いて、残りの課税所得に税率を適用して計算します。

所得税の計算式
収入−必要経費−各種控除=課税所得金額
課税所得金額×税率−課税控除額=所得税額


課税所得金額にかける所得税の税率は「超過累進税率」といい、所得が高くなるに従って税率が高くなる仕組みになっていて、5%から45%の7段階(平成19年分から平成26年分までは5%から40%の6段階)に区分されています。

所得税の税率については、以下の所得税の速算表を参考にして下さい。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 300万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 427,500円
695万円超 900万円以下 23% 636,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

たとえば、課税総所得金額が650万円の時には、以下のように計算します。

①:課税総所得金額650万円×所得税率20%-控除額427,500円=基準所得税額872,500円
②:基準所得税額872,500円×2.1%=18,322円(復興特別所得税額)
③:①+②=890,822円(所得税額)

住民税

住民税とは、所得に課せられる「市町村民税」と「都道府県民税」のことをいいます。
住民税についての納税手続きについてですが、確定申告を済ませればその情報をもとに自治体が計算して納付書を送ってくれるので、自分で行う手続きはありません。納付書は、6月頃に送付されてくるので、その納付書を使って手続きを行います。

個人事業税

個人事業税とは、個人事業主が事業を営む際に受ける公共サービスに対して納める税金です。法律で定められた事業に課税され、税率は業種によって異なります。
個人事業税も、住民税と同様に確定申告を出していれば、自治体側で納税額を計算してくれるので、手続きを行う必要はありません。毎年8月頃に都道府県税事務所から納税通知書が送付されてきます。

消費税

消費税とは、原則として前々年の売上が1,000万円を超えた個人事業主が支払う税金です。消費税の課税対象者になったら、消費税課税事業者届出手続を行う必要があります。

参照:国税庁「消費税課税事業者届出手続」

「消費税の計算・仕訳・申告」を読む

その他

個人事業主が固定資産を保有している際には「固定資産税」がかかりますし、車を取得したら自動車税がかかります。
また、契約書を作成したり領収書を発行したりしたら、印紙税がかかってきます。

以下に個人事業主が納付する主な税金についてまとめましたので、参考にして下さい。

種類 内容 区分 勘定科目での仕訳
個人事業税 事業を行っている事業者が負担する税金。課税所得×税率で求める 「租税公課」として経費にできる
固定資産税 固定資産を保有していることで課税される 市区町村 「租税公課」として経費にできる
自動車税種別割(自動車税から名称変更) 軽自動車や特殊車両を除く自動車に課税される 「租税公課」として経費にできる
軽自動車税種別割(軽自動車税から名称変更) 軽自動車や特殊車両を除く自動車に課税される 市区町村 「租税公課」として経費にできる
不動産取得税 不動産を取得すると課税される税金 「租税公課」として経費にできる
印紙税 契約書や領収書などの一定の文書を作成する場合に課税される 「租税公課」として経費にできる
所得税 1年の所得に課税される 「事業主貸」として処理する
住民税 自治体が住民サービスを目的として課税する 市区町村 「事業主貸」として処理する
延滞税、加算税など 罰則的な意味合いの税金 個々による 「事業主貸」として処理する

個人事業主の経理

これまでご紹介してきたように、個人事業主が納税手続きを行うためには確定申告が必要ですが、その確定申告を行なうためには、事前に手続きが必要です。
個人事業主として事業をスタートさせる人はまず、以下の手続きを済ませておくようにしましょう。

(1) 個人事業の開業・廃業等届出書
税務署に提出します。提出先は、自宅を事務所としている場合はその住所を管轄している税務署です。

(2) 所得税の納税地の変更に関する届出書
所得税の納税地の変更に関する届出書とは、自宅と事務所(店舗)が異なり、事務所(店舗)を納税地とする場合に提出する書類です。

(3) 事業開始等申告書
事業開始等申告書とは、都道府県税事務所などに提出する書類です。都道府県税事務所だけでなく、区市役所にも提出しなければならない地域もあります。

(4) 減価償却資産の償却方法の届出
パソコンなどの固定資産を購入する時には、基本的に減価償却をします。その時の計算方法としては「定額法」と「定率法」があり、どちらかの計算方法を採用することになります。
定率法を採用した方が早く費用に換えることができるので、一般的には納税者に有利になりますが、定率法を採用するためには、事前に「減価償却資産の償却方法の届出」を税務署に届け出る必要があります。

「個人事業主・フリーランスの確定申告に必要な書類、手続き」を読む

確定申告は「青色申告」がおすすめ

確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
個人事業主で確定申告をする場合には、どちらかを選択することができますが、ぜひ青色申告で行うことをおすすめします。
青色申告の承認を受ければ、以下でご紹介するような有利な取り扱いを受けることができて税負担を軽くすることができるからです。

青色申告のメリット

青色申告で確定申告を行なうためには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要がありますが(※後述)、以下のようなさまざまなメリットがあります。

(1) 最高65万円の控除を受けることができる
青色申告するだけで「青色申告特別控除」を受けることができ、最高65万円の控除(収入から差し引くこと)ができるので、その分税負担を軽くすることができます。


※なお、青色申告特別控除については、令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変更されました。

青色申告特別控除:(65万円→改正後 55万円)
基礎控除額:(38万円→改正後 48万円)

e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行う場合には、引き続き65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

参照:国税庁「令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります!」

(2) 家族従業員(専従者)への給与を経費にできる
家族従業員(専従者)への給与が必要経費として認められます。

(3) 30万円未満の固定資産は、減価償却せず全額経費にできる
通常は、パソコンや応接セットなどの固定資産は、購入したすべての額を経費とすることはできず、数年にわたって経費とすることになっています(減価償却)。
青色申告であれば、取得価額が30万未満であれば、全額を購入した年の経費とすることができます。

(4) 赤字を繰り越すことができる
事業が赤字となってしまっても、青色申告であればその赤字分を翌期以降に持越すことができます。翌期が黒字でも前年の赤字と相殺することができるので、所得税をその分節税することができます。

なお、個人事業主は青色申告で確定申告をすることで、大きな節税メリットがありますが、青色申告の節税メリットは細かく数えると50以上あると言われています。
これらの節税対策をもれなく行うためには、個人の確定申告に精通している税理士に相談するのがおすすめです。

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青色申告の事前手続き

青色申告を行なうためには、以下の手続きが必要となります。

(1) 所得税の青色申告承認申請書
提出先は納税地を管轄している税務署、つまり確定申告の書類を提出する税務署です。

(2) 青色事業専従者給与に関する届出書
前述したとおり、家族従業員(専従者)への給与が必要経費として認められますが、家族に給料を支払う場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。また、従業員を雇う場合は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。

帳簿づけは会計ソフトで簡単!

青色申告を行なうためには、簿記で帳簿づけを行う必要があります。
65万円の控除を受けるためには、複式簿記で帳簿づけを行わなければならず、簡易帳簿という簡単な帳簿づけであれば10万円の特別控除しか受けることができません。

複式簿記とは、取引を振り分ける際に、勘定科目を割り当てる簿記の方法です。
例えば、電話代や郵便代を支払ったら「通信費」という勘定科目に割り当て、販売する商品を仕入れたら「仕入」という勘定科目に割り当てて記録していきます。

複式簿記と聞くと、難しそうなイメージを持つ人がほとんどだと思いますが、会計ソフトを使えば簡単です。
日々の取引をきちんと仕訳しておけば、確定申告に必要な書類はすべて自動で作成することができます。
特にクラウドの「会計ソフトfreee」なら、簿記の知識がなくても感覚で仕訳作業ができるよう工夫されています。ネットバンキングやクレジットカードと連携させれば、仕訳作業自体をほぼ自動で行うことができるようになります。

個人事業主の節税テクニック

これまで述べたように、個人事業主が確定申告を青色申告で行えば、多くのメリットを享受できて税負担を軽くすることができます。
節税テクニックは個々の状況によって異なりますし、中長期的な計画で行う方が効果が大きいものです。したがって「どのような節税方法があるか」については、税理士に相談してアドバイスをもらうのがおすすめです。
ここでは、一般的な節税テクニックについてご紹介します。

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小規模企業共済への加入

小規模企業共済とは、個人事業主などを対象とした共済制度です。
商簿企業共済に対して1年に支払った掛金はその全額を控除することができるので、控除額にかかる税額分、税負担を軽くすることができます。
ひと月の最高掛金は7万円なので、7×12カ月で最高84万円の控除を受けることができます。

生命保険への加入

生命保険料控除とは、申告者本人やその配偶者、扶養家族が生命保険料や個人年金保険料などを支払っている場合に受けられる所得控除です。
生命保険料控除を受けるためには、生命保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」が必要です。

医療費が10万円を超えた人

1年間の医療費が10万円を超えた人は、医療費控除を受けられる可能性があります。
医療費控除の対象となる支出には、家族の医療費や風邪薬代も含まれます。
医療費控除を受けるためには、申告書Bに記載するほか、医療費の明細書を作成して提出する必要があります。

「医療費控除の確定申告に必要な計算方法と還付を受けるための手続きとは」を読む

社会保険料控除

国民健康保などの社会保険料を支払っていたり、国民年金保険料、介護保険料などの保険料を支払ったりした場合には、支払った額すべてを所得から差し引くことができます。

「人事担当者が知っておくべき労働保険・社会保険の基礎知識」を読む

夫や妻を養っている人

総所得が48万円(給与所得控除額55万円を含む年収では103万円以下)の配偶者(平成30年より納税者本人の合計所得金額が、1,000万円を超えると適用がなくなりました)を養っている人は、配偶者控除を受けることができます。また、配偶者控除が適用されなくなる103万円を超える収入の配偶者については、201万円以下の収入まで段階的に所得から控除されます。
また、総所得が48万円以下の16歳以上の子どもや両親を養っている人は、扶養控除を受けることができます。

寄付をする(ふるさと納税など)

国から認定された団体へ寄付した場合には、「寄付金控除」を受けることができます。
ふるさと納税もこの寄付金控除のひとつです。
寄付金控除として控除できる金額は、寄付した金額によって異なります。

「ふるさと納税とは|控除上限額はいくらか」を読む

まとめ

以上、個人事業主が支払わなければならない税金や、必要となる届出、経理の基礎知識や節税方法についてご紹介しました。
なお、これから開業手続きを行う人は、「開業freee」がおすすめです。
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