FX取引の確定申告の方法

公開日:2019年04月08日
最終更新日:2022年07月27日

この記事のポイント

  • FX取引による所得の税金は、20.315%。
  • FX取引での利益は「先物取引に係る雑所得等」で申告分離課税。
  • FX取引での損失は、「先物取引に係る雑所得等」内で通算できる。

 

FX「Foreign Exchange・外国為替証拠金取引」とは、FX業者に預けた証拠金を担保として主に差金決済による通貨の売買を行なう取引をいいます。簡単に言えば日本円を外国の通貨に換える取引のことで、「ドル買い」あるいは「円売り」といった呼ばれ方をすることもあります。

FX取引は、株取引と異なり特定口座の制度がないので、FX取引で利益が出た場合には、原則として確定申告が必要となります。

FXとは

FXを取り扱う会社に一定のお金(証拠金)を預け、その何倍もの外貨を取引できる金融商品で、簡単にいうと「通貨に投資をする」ことをいいます。
テレビのニュースなどで「今日の東京相場は、1ドルあたり120円20銭で取引されています」などとアナウンスされるのを聞いた人も多いと思いますが、これは通貨の価値を指しています。

この通貨の価値(レート)は常に変動していて、FXはその変動によって生じる差額で利益を得るしくみとなっています。

株式取引は、朝の9時半から11時半、12時半から15時までしか取引ができませんが、FXは株式取引のような時間の制限がなく24時間好きな時に取引を行うことができるという点から、サラリーマンの副業としても人気です。少額資金から始めることができ、成功した時の儲けが大きいことも、人気の理由のひとつといえるでしょう。

(1)FX所得の税率は20.315%

FX取引には、東京金融取引所を通して取引する「くりっく365」と、直接FX業者と取引を行う「店頭取引」があり、以前はこの2つの課税方法が異なっていたため税金の計算が複雑で難解でした。
しかし、現在は所得(利益)に対して20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で統一されています。
FX取引での利益は「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、申告分離課税の対象となります。

※分離課税とは、ほかの所得と合算せずに、特定の所得に対して別々の計算式で課税されることをいいます。
総合課税では、利益が増えると税率が高くなりますが(累進課税)、FX取引は分離課税なので、どれほど利益が大きくなっても税率は変わりません。

(2)FX取引で利益が出た場合

FX取引で利益が出た場合には「先物取引に係る雑所得等」として、他の所得とは分離して20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率で課税されます。

ただし、サラリーマンなどの給与所得者・年金生活者は、FXの利益が20万円以下の場合には確定申告の必要はありません。

株取引では、特定口座で「源泉徴収あり」を選択していれば、利益から源泉徴収が行われるので、確定申告は不要です。
しかし、FX取引ではこのような特定口座の制度がないので、原則として確定申告が必要となります。

(3)FX取引で損失が出た場合

FXで損失が出た場合には、確定申告することで、ほかの先物取引の所得(利益)との間で損益通算ができ、3年間の繰越控除ができます。
ただし、繰越控除の適用を受けている間は、毎年確定申告を行う必要があります。
ただし、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。

年収2,000万円以下のサラリーマンで、給与所得と退職所得以外の所得(必要経費を差し引いたFX取引の利益など)が20万円以下の場合には、申告は不要です。
また、専業主婦の場合は48万円の基礎控除があるので、FX取引の他に収入がなく経費を差し引いた利益が48万円以下なら、確定申告は必要ありません。

(4)経費を計上して節税できる

FX取引を行うためにかかった経費は、利益から差し引くことができます。

たとえば、FX取引を行うための電話代やプロバイダ料金はもちろん、金融専門誌なども書籍代として経費にすることができます。

また、FX取引の知識を得るためにセミナーに参加した場合には、その参加費用の他、セミナー会場までの交通費や宿泊代も経費とすることができます。
FX取引のために注文をシステム任せにする「システムトレード」を行う場合には、このシステムトレードにかかった費用も経費にすることができます。

何を経費にすることができるかについては、税理士に相談したり税務署に事前に相談したりするとよいでしょう。

(5)FX取引の確定申告

FX取引の確定申告では、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の提出が必要です。また、損失を繰り越す場合には「先物取引に係る繰越損失用」の申告書が必要です。
FX取引での差益の確定申告は、国税庁の確定申告書作成コーナーで簡単に行うことができます。
事前にFX会社から送られてくる「年間損益報告書」と「給与所得の源泉徴収票(会社員の場合)」を用意しておきましょう。

①「収入金額・所得金額」の入力
該当する収入を入力します。複数の収入がある場合には、すべて入力します。
自営業の人は「事業所得」、不動産経営の人は「不動産所得」です。
FX取引による損益は「先物取引に係る雑所得等」に入力します。

②「先物取引に係る雑所得等」の入力

・種類
FXの場合は「外国為替証拠金取引」と入力します。

・決済年月日
何度も取引を繰り越している人は空欄でもOKです。

・数量
FX会社から送られてきた「年間損益報告書」を見ながら入力します。

・決済の方法
決済の方法を入力します。

・収入
利益が出た人は、その額を記入します。
1取引ごとではなくFX会社ごとに入力します。
損失が出た人は、数字の頭に「-」を付けて記入します。
「その他の収入」には、スワップ金利を入力します。

・必要経費
委託手数料には、手数料を入力します。
セミナー代、インターネット接続料などの必要経費も忘れずに入力します。

③所得控除の入力
該当する所得控除を入力します。
適用される所得控除は多ければ多いほど、節税効果が大きくなりますので、該当するものはすべて入力しましょう。

▶ 所得控除(15種類)と控除額の計算方法を分かりやすく

まとめ

以上、FX取引の確定申告や必要となる書類ついてご紹介してきました。
初めて確定申告を行なう人など、確定申告書の記入方法については分かりづらい点も多々あるでしょう。不明点や質問事項があれば、税理士に相談するのがおすすめです。

FX取引の確定申告について相談する

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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