不動産取得税とは?税率や活用したい軽減措置

公開日:2019年04月17日
最終更新日:2022年07月07日

この記事のポイント

  • 不動産取得税とは、不動産を取得した時にかかる税金のこと。
  • 不動産取得税は地方税で、都道府県が不動産を取得した人に対して課すもの。
  • 不動産取得税は、一定の住宅や敷地の取得について、特例措置が設けられている。

 

不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地または家屋の所有権を取得した場合に生じる税金で、家を建築したり、土地や家屋を購入したり贈与・交換で取得したりした時に、1度限りで課税される税金です。
売買や、交換、贈与、寄付などが原因で取得した場合でも、不動産取得税は課税されます。ただし、相続による不動産の取得については、不動産取得税は非課税とされています。

(1)不動産取得税の計算方法

不動産取得税の税額は、その不動産の固定資産税評価額に一定の税率を掛けて計算します。
固定資産税評価額は、市区町村の固定資産評価証明書で確認することができます。
税率は、原則として4%ですが、住宅と土地は3%に軽減されています。また、宅地の場合には、固定資産税評価額の2分の1で計算されます(令和6年3月まで、一定の住宅用不動産には、さらに軽減措置があります)。

不動産取得税=固定資産税評価額×税率

(2)不動産取得税の「不動産」の価格とは

「不動産の価格」とは、実際の購入費用や建築にかかった費用のことではありません。固定資産課税台帳に登録された不動産については、その「固定資産税評価額」が「不動産の価格」となります。
また、不動産取得税は不動産の所有権を現実に取得した場合に、有償無償に関わらず課税されるものなので、贈与や交換などのように実際にはお金のやり取りが発生しない場合でも、不動産取得税が課されます。また、建築(新築・増築・改築)の場合にも課されます。

ただし、相続や会社の合併によって不動産を取得した場合には、形式的に所有権が移転したものとみなされるため、不動産取得税は課されません。

なお、新築の家屋の場合には固定資産課税台帳に価格が登録されていないことがあります。この時には総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて、都道府県知事が価格を決定することになります。

(3)不動産取得税の税率とは

不動産取得税の税率は、原則として4%となっていますが、取得の時期によって特例もあります。また、一定の要件を満たす宅地や住宅については、評価額の減額や控除などの軽減措置が適用されます。

不動産取得税=固定資産税評価額×3%(住宅、土地)
不動産取得税=固定資産税評価額×4%(住宅以外の事務所、店舗など)

不動産取得税の特例

不動産取得税は、新築の住宅を取得し一定の要件を満たす場合や、一定の特定認定長期優良住宅については、特例制度が設けられています。

(1)新築の特例適用住宅

特例が適用される新築住宅(新築特例用住宅)とは、新築未使用の住宅で、床面積が50㎡~240㎡以下の住宅をいいます。
マンションの場合には、住宅の床面積の計算について、専有部分の面積に共用部分の持ち分面積を加算した面積で判定します。

新築特例用住宅は、まず「住宅特例控除」として、住宅の固定資産税評価額から1,200万円(もし住宅が1,200万円未満なら、その価額)が控除されます。
マンションなどの共同住宅の場合には、一住戸ごとに1,200万円が控除されます。

新築住宅の不動産取得税
(固定資産税評価額-1,200万円)×3%

特例が適用される新築住宅を取得した場合の不動産取得税の税額は、新築された日によって異なりますが、最大で1,200万円の控除を受けることができます。

(2)住宅の長寿命化推進税制の創設

住宅の長寿命化(200年住宅)促進税制が創設されたことで、一定の特定認定長期優良住宅については、不動産取得税について課税標準からの控除額が一般住宅特例より拡大され、控除額が1,300万円となりました。

新築住宅の不動産取得税
(固定資産税評価額-1,300万円)×3%

なお、この住宅の長寿命化推進税制においては、不動産取得税だけでなく、登録免許税や固定資産税の軽減措置も設けられています。
引用:国土交通省「住宅の寿命を延ばす「200年住宅」への取組」

(3)宅地評価土地の特例の延長(令和3年)

上記以外の住宅の敷地については、税額から一定額が控除されます。
主な適用要件として、「土地の取得から3年以内に住宅を新築するか、中古住宅は1年以内に購入すること」、「新築・購入後1年以内にその土地を取得すること」などが

(固定資産税評価額×1/2)×3%-控除額※
※以下の①と②いずれか多い方
①4万5,000円
②1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2×(住宅の床面積×2)※×3%
※200㎡が上限

不動産取得税の申告手続き

不動産を取得した場合には、取得した日から30日以内に、都税事務所や県税事務所で、不動産取得税申告書を提出するのが原則です。

ただし、実際には自治体の方で状況に応じて納税者に必要書類を郵送されてきて、納税者はその書類にしたがって面積要件を満たしていることを示す図面を用意して、書類に必要事項を記入したうえで、返送または持参するといったケースや、都道府県税事務所から送られてくる納税通知書に従って、金融機関で納めることが多くなっています。

自治体によっては、申告が必要となる場合もありますので注意が必要です。

(1)特例を受けたい時の手続き

不動産を取得して60日以内(東京23区の場合)に、「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」「不動産取得税減額適用申告書」を提出します。
売買契約書や最終代金の領収書、登記事項証明書や住民票の写しなどが必要になりますので、早めに準備をしておきましょう。

参照:東京都主税局「不動産取得税申告のご案内」

(2)不動産取得税の徴収の猶予を受けたい時の手続き

土地を取得した者が、その土地を取得してから3年(やむを得ない事情がある場合には4年)以内に、住宅を新築する予定がある場合には、「不動産取得税減額予定の申告書」を提出することで、不動産取得税の徴収を猶予してもらうことができます。

まとめ

以上、不動産を取得した時に課税される「不動産取得税」について、ご紹介しました。
不動産取得税は、取得する住宅の築年数などに応じて軽減措置が設けられています。
軽減措置を知らないと思わぬ損をしてしまうこともありますので、早めに税務のプロである税理士などに確認して必要な手続きを行うようにしましょう。

不動産取得税について相談できる税理士をさがす

不動産を取得すると不動産取得税の他にもさまざまな税金がかかりますし、必要な手続きを行うことで節税することができます。
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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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