確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット

公開日:2019年10月31日
最終更新日:2022年04月04日

この記事のポイント

  • 確定申告を税理士に依頼すれば、ミスなく申告できる。
  • 確定申告を税理士に依頼すれば、本業に専念することができる。
  • 有効な節税対策についても、アドバイスをもらうことができる。

 
個人事業主が確定申告をする場合には、税理士に依頼すべきか迷うことも多いのではないでしょうか。
所得がそれほど多くない場合であれば自分で行うこともできますが、所得が増えてくると自分で確定申告をするのはかなり大変になります。

知識がないまま確定申告を行い、税額を軽減できる「配偶者控除」「生命保険料控除」「医療費控除」等の申請が漏れてしまえば、税金を納め過ぎてしまうこともあります。

さらに確定申告を青色申告で行う場合には、赤字を翌年以降に持ち越して翌年の黒字と相殺し前年に支払った所得税の一部を還付してもらえたり、家族への給与を経費にできたりといった多くのメリットがありますが、これらに必要な手続きがもれてしまうこともあります。

そこで、この記事では確定申告を税理士に依頼するメリットとデメリットについてご紹介します。

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確定申告とは

確定申告とは、個人の1月1日から12月31日までの1年間の利益を確定させて税務署に申告する申告納税制度です。
原則として、翌年の2月16日から3月15日までの間に所轄の税務署に確定申告書を提出して納税をしなければなりません。

サラリーマンであれは、会社が代わりに所得税と住民税、社会保険料を税務署や市区町村に納めてくれるので、原則として自分で確定申告をする必要がありませんが、個人事業主になると自分で1年間の収入を計算して必要経費を差し引いた所得にかかる税額を算出し、申告をしなければならなくなります。

具体的には、1年間で手にしたお金の総額から必要経費を差し引き、所得控除を差し引き、課税される所得額に定められた税率を掛けて納税額を計算します。さらにこの納税額から直接差し引くことができる税額控除(住宅ローン控除や配当控除など)を差し引いて最終的に申告納税額を求めます。

① 収入-必要経費=所得

② 所得-所得控除=課税所得金額

③ 課税所得金額×税率-控除額=基準所得税額
  (※税率、控除額は、所得金額によって異なります)

④ 基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額

⑤ ③+④=所得税・復興特別所得税額

(1)青色申告と白色申告の違い

確定申告には、白色申告と青色申告があり、どちらかを選択することができます。
白色申告は特に届出などが必要なく収支内訳書と確定申告書を提出すればOKですが、青色申告は事前に届出が必要で、複式簿記という難解な簿記形式で申告を行う必要があります。
しかし、青色申告の方が節税につながる特例が多くメリットが大きいので、節税して利益を多く手元に確保したいなら、ぜひ青色申告を選択してください。

なお、青色申告をするためには事前に「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する手続きが必要なので、開業時に忘れずに手続きを行いましょう。

「所得税の青色申告承認申請書|提出先・記入例など」を読む

(2)確定申告はどのような手続きが必要か

確定申告とは、所得に応じて決まる所得税・住民税などの納税額を確定させるために行う制度です。年末に確定した売上や経費を集計して決算書にまとめ、それをもとに確定申告書を作成して税務署に提出します。

・決算とは
確定申告をするためには、1年間事業を行ってどれだけの利益を得られたのかを知る必要があるので、そのために決算を行います。決算とは、売上と必要経費を集計し、事業の利益や赤字を明確にして決算書を作成する作業をいいます。

・決算書とは
決算書とは、1年間に得た利益が分かる「損益計算書」や財政状態がわかる「貸借対照表」などがあります。これらの決算書は、所得税や事業税、住民税などの税金を計算するもとになるほか、事業の実績を把握し分析するための指標にもなります。

・決算整理とは
決算を行う際には、帳簿の勘定科目が正しく振り分けられているのか、1年間の証憑書類(請求書や領収書など)を見返しながら、確認する決算整理を行います。

・棚卸とは
また、仕入れた商品や材料は、そのすべてを経費として計上することができず、年末までに売れた分の仕入れ額だけ経費に計上することができるため、年末に売れ残った在庫を数える棚卸という作業も必要です。

なお、所得税は確定申告期限内に納付しますが、住民税や事業税は自治体から通知書と納付書が送付されてくるので、その通知書に従って納付します。

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確定申告を税理士に依頼するメリット

確定申告は、日々会計ソフトで管理をすれば比較的スムーズに作業を行うことができますが、簿記の知識が全くない場合には、「勘定科目」「仕訳」などの用語だけでも難しく感じてしまうものです。
また、所得が増えたり取引が増えてきたりすると「この経費はどの勘定科目に振り分ければよいのか」「適切な節税対策は行えているか」などが気になってくるものです。
このような時に税理士に依頼すれば、スムーズに手続きを進めることができます。

(1)本業に専念できる

確定申告を税理士に依頼する最も大きなメリットが、確定申告作業に手を煩わせることなく、本業に専念できるという点でしょう。
税理士事務所のなかには、記帳代行や経理代行、決算申告の作成等の業務をすべて代行してくれることもあります。なかには、「1年間、領収書をため込んでしまった」という場合でも、引き受けてくれることもあります。

経理作業は本業と同じくらい大切なものですが、本業は経営者しか伸ばすことができません。しかし、経理は経営者以外の人でも対応することができます。経営者が本業に全精力を集中させるためにも、煩雑な経理は税理士に任せてしまうメリットは大きいと言えるのではないでしょうか。

(2)ミスがない

言うまでもありませんが、税理士は経理のプロです。
したがって、ミスなく記帳業務、決算書の作成、確定申告書の作成を行うことができます。
なかには、コストを押さえようと安い業者に記帳だけを依頼するケースもありますが、無資格の記帳代行業者は最終的に何の責任もとってくれません。
また、そのデータをもとにして経営に生かしていくことも難しいといえるでしょう。

税理士であれば、正確に記帳し書類作成をするのはもちろん、それらのデータに基づいて、経営分析についてアドバイスをもらうこともできます。

最終的には、記帳は自社で行なうという目標を持つことはもちろん大変メリットのあることですが、日々の業務に注力しミスなく経理業務を行うためにも、とくに経理の知識が十分でない開業時には、税理士に経理業務のサポートを受けるのがおすすめです。

(3)節税できる

同じ売上でも、税理士が関わって適切な節税対策を行うと支払うべき税額が変わり、その分利益を確保することができます。
節税対策というと、「納税額を減らすためにたくさん経費を使おう」と思う人もいますが、それは全く意味がありません。意味のない経費を使っても単に「ムダ遣い」をしているに過ぎず、かえって資金繰りが悪化してしまうリスクが高いのでNGです。

さらに、節税は決算前に慌てて行うのではなく、日頃から心がけ早めに準備することが大切です。ほとんどの節税対策は中長期で行う方が、効果が出ます。決算前に慌てて節税しようと思っても、あまり効果がないものです。

早めに税理士に相談すれば、適切なタイミングで節税方法・タイミングについて、常にベストの内容を検討してもらい、合法的な方法で最大限の節税を実現することができます。

(4)税務調査の対象になりにくい

決算書に税理士のはんこがあると、それだけで税務調査の対象となりにくくなります。
つまり、税理士が作成した決算書か否かで税務署に与える印象がまったく変わり、税務署員に「税理士がついているなら、信用できる」と安心してもらうことができるのです。

なかには「起業して3年以内は税務調査の対象にはならない」と誤解をしている人もいますが、税務署は、担当地域のすべての決算書に目を通しています。
起業してすぐに税務調査の対象となることもありますし、10年以上税務調査の対象にならないこともあります。
税務調査の対象になると、経費の割合や領収書などすべてがチェックされることになり、本業に支障が出てしまうこともあります。
しかし顧問税理士がいれば、仮に税務調査の対象となったとしても毅然と税務署に対応してもらうことができます。

(5)資金繰りを把握できる

経営者の頭を最も悩ませる問題が「資金繰り」、そして「資金調達」です。
最も一般的なやり方としては、事業計画書を作成し銀行等の金融機関から融資を受ける方法ですが、それだけで運転資金が潤沢になるとは限りません。

その場合には、助成金、補助金を利用する事で、まとまった資金を調達できる場合もあります。特に助成金は受給要件にさえ満たしていれば高い確率で受給することができます。
資金調達に精通している税理士に依頼すれば、税理士が事業計画書を作成し銀行に同行してくれたり、業種によって受給できる助成金や補助金についてアドバイスをもらえたりします。

コロナ禍では、個人事業主が申請できる支援金も数多くあります。
条件を満たし申請すればもらえるはずの支援金も、申請をしなければもらえません。税理士に相談すれば、支援金の情報を提供してもらうことができ、申請までサポートをしてもらうことができます。

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確定申告を税理士に依頼するデメリット

確定申告を税理士に依頼するデメリットは、やはりコストがかかるということでしょう。また、領収書の内容などについて打ち合わせが必要になることもあります。

(1)費用がかかる

税理士に確定申告を依頼すれば、当然報酬を支払う必要があります。
税理士の報酬は税理士によって異なり、領収書や取引先の数、売上などによっても異なりますので一概にはいえませんが、申告書作成のみ依頼する場合には、10万前後のケースが多いようです。これに記帳代行を依頼すると、月1万円~3万円程度の報酬を支払う必要があります。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

(2)打ち合わせが必要

領収書をまとめて渡しても、「この領収書は何に使ったのか」が分からなければ、税理士は適切な勘定科目に振り分けることができません。
したがって、何度か打ち合わせが必要になるでしょう。
ただし最近は、コロナ禍ということもあり、メールや電話、Skypeやzoom、Google Meetなどで打ち合わせを済ませることも多く、対面で打ち合わせをする必要はなくなっています。
したがって「打ち合わせの時間がかかる」ということは、あまり心配しないでもよいでしょう。

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まとめ

以上、確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリットについてご紹介しました。
会計ソフトを活用して銀行やクレジットカードと連携させれば、仕訳などを自動化することもできますが、会計ソフトを導入する手順や最初にどのような勘定科目を設定するのかについては、迷うこともあるでしょう。
また、節税対策を十分に行えないこともあります。
クラウド会計ソフトなら、税理士にリアルタイムでデータを確認してもらうことができるので、自動仕訳されたデータに間違いがあれば修正してもらうことができますし、適切な節税対策、資金繰りについてすぐにアドバイスをもらうことができます。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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