元入金(もといれきん)|意味は?計算方法は?(仕訳例付き)

公開日:2019年11月15日
最終更新日:2022年06月05日

この記事のポイント

  • 元入金(もといれきん)とは、法人でいうところの「資本金」。
  • 事業に投入した資金と事業で得た資金の合計で毎年変動するもの。
  • 翌期首の元入金は「前期末の元入金+当座の損益(青色申告特別控除前)+事業主借-事業主貸」で計算する。

 

元入金(もといれきん)とは、個人事業の元手となる資金です。
元入金は、他の科目との差引によって計算されるので、期中に使用することがないことから「計算方法や仕訳方法について、分からない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、元入金の意味や計算方法、仕訳方法についてご紹介します。

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元入金(もといれきん)とは

元入金とは、個人事業の元手となる資金で、法人でいうところの「資本金」にあたるものです。個人事業では、事業主の元入によって、事業が開始されます。

新たに開業するときは、事業に必要な現金や各種預金を「元入金」とすることがよくあります。
しかし、すでに今まで帳簿をつけずに事業を行っていた場合や今まで副業として行っていたものを、いよいよ事業として行うという時に新たに帳簿づけを始めることがあります。その時には、すでに使用しているパソコンや商品などは「商品」などとし、相手科目として「元入金」を計上します。

つまり、経理上「元入金」勘定で処理をするのは、事業主が用意した事業資金とこれまで獲得した利益の合計ということになります。

元入金と資本金の違い

元入金は、法人でいうところの「資本金」にあたるものですが、事業に投入した資金と事業で得た資金の合計で毎年変動するなど、資本金とはいくつかの違いがあります。

元入金 資本金
当年損益の処理 当年損益は翌年に元入金に算入される。 当年損益は翌年に資本金に参入されない。利益剰余金として資本金と区別される。
金額の変動 事業に投入した資金と事業で得た資金の合計で、毎年変動する。 金額は基本固定である。
増資、減資で変動することはある。
会計の仕組み マイナスになる可能性あり。
(決算時に事業主貸の方が事業主借より多ければ、振替の結果差額の元入金が減る)
1円以上。マイナスは存在しない。

つまり、元入金と資本金の最も大きな違いは、元入金は毎年変動しますが、資本金は原則として変動しないという点です。

たとえば、開業資金を拠出したり、事業主借と相殺したりすれば、元入金は増加しますし、事業主貸と相殺したり翌期首振替をしたりすれば、元入金は減少することになります。

元入金の計算方法

翌期首(翌年分の貸借対照表の1月1日)の元入金は、次の計算式で計算します。

翌期首の元入金=前期末の元入金+当座の損益(青色申告特別控除前)+「事業主借」-「事業主貸」

事業主借
個人事業主の事業以外からの入金です。家計から事業資金を補充した時や、事業以外の所得となる入金があった場合に使用する勘定科目です。

事業主貸
個人事業主が事業用の現金や預金口座から、生活費等、事業経費以外の支出をした時に使用する勘定科目です。

決算前には、事業主借と事業主貸は相殺し差額を「元入金」に振り替えます。
決算時に「事業主貸」の方が、「事業主借」より多ければ、振替の結果、差額分の元入金が減ることになります。

 

 
決算前に「事業主借」の方が「事業主貸」より多ければ、振替の結果、差額分の元入金が増えることになります。
 

 
※なお、翌期首の元入金は、翌年分の貸借対照表の期首の資産総額から、期首の負債総額を引くことで求めることもできます。

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元入金の仕訳方法

元入金は、個人事業の元手となる資金で、期中は使用することはありません。決算時に他の科目との差引によって計算し、仕訳を行う時にも他の科目と差引して処理をします。

なお事業を開始した際の元入金の計算は、会計ソフトを活用すれば、事業を始める際に準備した現金や預金などを最初に入力すれば、あとは自動計算されます。
期中の仕訳においても、「事業主貸」と「事業主借」を使用するので、元入金を使用することはありません。

個人事業の開業時

個人事業主の開業時に、元手となる資金を入金した場合には、元入金を使用して処理をします。

「個人事業の開業時、元手となる資金を30万円入金した。」

借方 貸方
普通預金 300,000 元入金 300,000

「期末に、『事業主貸』300万円を元入金と相殺した。」

借方 貸方
元入金 300,000 事業主貸 300,000

事業主貸が事業主借より多い場合

決算前に「事業主貸」の方が「事業主借」より多ければ、振替の結果、差額分の元入金が減ることになります。

「決算時に、『事業主貸』の残高が150万円、『事業主借』の残高が80万円あったので、相殺した。」

借方 貸方
事業主借 800,000 事業主貸 1,500,000
元入金 700,000

事業主借が事業主貸より多い場合

決算前に「事業主借」の方が「事業主貸」より多ければ、振替の結果、差額分の元入金が減ることになります。

「決算時に、『事業主借』の残高が300万円、『事業主貸』の残高が230万円あったので相殺した。」

借方 貸方
事業主借 3,000,000 事業主貸 2,200,000
元入金 800,000

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まとめ

以上、元入金の意味や計算方法、よくある仕訳例についてご紹介しました。
元入金は、個人事業の開業時や決算時に使用する勘定科目で、期中には使用しないことから、計算方法について分からない人も多いようです。
しかし、会計ソフトを利用すれば、元入金の計算はいちいち計算する必要はなく、自動で計算され、仕訳処理を行うことができます。

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遠藤 光寛えんどう みつひろ

遠藤光寛税理士事務所 代表
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