公開日:2019年12月15日
最終更新日:2022年04月21日
「広告宣伝費」とは、不特定多数の人に事業を宣伝するために支出した費用を計上する時に使う勘定科目です。
一方「販売促進費」は、販売を促進し、売上を増やすために支出する費用を計上するために使う勘定科目です。
そして「交際費」は、取引先や従業員の親族など事業関係者に対して接待、慰安、贈答などの行為を行うために支出した費用を計上するために使う勘定科目です。
この3つの勘定科目は混同しやすいので、仕訳を行う場合には注意しましょう。
広告宣伝費とは、不特定多数の人に事業や商品を宣伝するために支出した費用を計上するための勘定科目です。
広告宣伝費には、以下のような費用が当てはまります。
・パンフレット製作費 ・チラシ制作費 ・カタログ制作費 ・ダイレクトメール ・社名入りポケットティッシュ ・新聞広告掲載料 ・雑誌広告掲載料 ・ホームページ制作費 ・会社案内 ・PR費用 ・電車の中吊り広告 ・インターネット広告費用(アフィリエイトなど) ・ラジオ広告放送 ・テレビ広告放送料 ・シール(社名入り) ・うちわ・カレンダー(社名入り) ・Tシャツ(社名入り) ・求人広告費用 ・年賀状印刷代 ・ポスター制作費 ・見本品・試供品 ・賞金・商品(広告宣伝のためのクイズや懸賞) ・講演会開催費用 ・展示会出品料 ・福引券印刷 ・SEO対策 ・ネオン・看板(取得価額が10万円以上は構築物や工具器具備品) ※10万円以上の構築物には、税法上の特例が適用される場合あり(※後述) |
「広告宣伝費」が不特定や数の人を対象として、一般消費者を相手にする経費です。
一方、「交際費」は、取引先の担当者などに対して行う招待旅行や観劇、飲食費などです。
広告宣伝用のネオンサインや看板などを設置した場合には、その取得価額が10万円未満のものは「広告宣伝費」になります。しかし、それ以上のものは原則として工具器具備品など「固定資産」として計上します。
ただし、10万円以上30万円未満のものについては、以下の条件を満たせば、全額経費として計上することができます。
ホームページを制作して毎年更新していく場合は「広告宣伝費」となります。
しかし、オンラインショッピング機能やインターネット予約機能、自社商品検索機能などの機能が組み込まれているホームページの場合には、「ソフトウェア」として資産に計上します。
なお、広告宣伝用看板の賃借料は、原則として当期に対応する部分だけを「広告宣伝費」として計上します。
しかし、利用期間が支払日から1年以内のものについては、継続適用することを条件として、支払い時に全額を経費とすることができます。
「ホームページを制作し、制作代金を普通預金から80万円支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
広告宣伝費 | 800,000 | 普通預金 | 800,000 |
ホームページの制作費用は、原則として「広告宣伝費」となります。
これは、ホームページは頻繁に内容を更新しなければならず、製作物の効果としては1年未満であるという理由からです。
ただし、ホームページ上にオンラインショッピングカートや商品検索機能などのプログラムの要素が含まれる時には、「無形固定資産」の「ソフトウェア」として資産計上します。
「3月決算の会社が、1月に1年分の立て看板の費用12万円を、普通預金から支払った。」
借方 | 貸方 | ||
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前払費用 | 120,000 | 広告宣伝費 | 120,000 |
原則として、支払った広告宣伝費のうち未経過分(4月から12月分)は、「前払費用」に振替をします。
販売促進費とは、販売を促進して売上を増やすために支出する費用を処理する時に使う勘定科目です。
広告宣伝費が企業や商品の名称を広めるための広告費用であるのに対して、販売促進費は、市場が未開拓の地域や販売する商品やサービスが他社と競合している地域などで販売を促進する目的で支出する費用を処理します。
ただし、会社によっては販売促進費と広告宣伝費を同じ意味で処理することもあります。
販売促進費には、以下のような費用が当てはまります。
①キャンペーン費用 ②商品サンプルの配布費用 ③販売促進用の景品の配布費用 ④展示会への出展費用 ⑤ノベルティの製作・配布費用 |
「実演販売用の景品を製作したが、決算日に30万円分の景品が余った」
借方 | 貸方 | ||
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貯蔵品 | 300,000 | 販売促進費 | 300,000 |
期末時点で残っている景品は、「貯蔵品」として計上します。
「取引先を旅行に招待し、現地で販売促進を目的としたセミナーを実施し40万円を普通預金から支払ったが、うち30万円は交際費に該当する。」
借方 | 貸方 | ||
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販売促進費 | 100,000 | 普通預金 | 400,000 |
交際費 | 300,000 |
「販売促進費」に該当する分と「交際費」に該当する分とは、分けて仕訳を行います。
交際費は、得意先や仕入先などの取引先や従業員の親族など、事業の関係者に対して接待や供応、慰安、贈答などを行うために支出する費用のことをいいます。
なお、一定の飲食費を除いて交際費は会社の経費(損金)とは認められませんが、中小企業(資本金1億円以下)の会社に対しては、1年間のうち一定金額の交際費が認められています。
これまで、この定額控除の限度内で会社が支出した交際費の10%相当額は経費にはなりませんでしたが、中小企業の場合には、1年間で800万円までは控除されることになります。
交際費には、以下のような費用が当てはまります。
①接待のための飲食代 ②接待交通費 ③ゴルフプレー第 ④手土産 ⑤香典 ⑥選別代 ⑦謝礼金 ⑧ご祝儀 ⑨レジャークラブ会費 ⑩移転祝い ⑪見舞金 ⑫旅行への招待(取引先) |
「取引先の接待をレストランで行い、飲食代10万円と送迎時のタクシー代1万円を、現金で支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 110,000 | 現金 | 110,00 |
接待の際に取引先を送迎するためにタクシー代などを支出した時には「旅費交通費」ではなく「交際費」として処理します。
「従業員全員が参加する旅行に取引先も招き、その費用も負担することとして、普通預金から支払った。従業員分は50万円、取引先分は30万円だった。」
従業員の分は「福利厚生費」、取引先の分は「交際費」で処理します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
福利厚生費 | 500,000 | 普通預金 | 800,000 |
交際費 | 300,000 |
以上、広告宣伝費、交通費、販売促進費の意味や違いについてご紹介しました。
広告宣伝費、交通費、販売促進費は、それぞれ混同しやすい勘定科目ですが、支出の目的や相手先などの内容をよく確認して処理をするようにしましょう。
また、交際費は税務調査で事業関連性の観点から否認されるケースも多いので、事業関連性と事業遂行上の必要性は明確にしておく必要があります。
不明点や疑問点がある場合には、あらかじめ税理士に確認して適切な処理を行なうようにしましょう。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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