損益通算とは|節税できる理由と必要な手続き

公開日:2019年12月26日
最終更新日:2019年12月26日

目次

  1. 損益通算とは
    • すべての所得で損益通算できるわけではない
    • 損益通算の順序
    • 損益通算の特例
    • 建物の借入金利子は損益通算の対象
  2. 損失を繰り越すために必要な手続き
    • 土地やマイホームを売却して損失が出た場合
    • 株取引・FX等で損失が出た場合
    • 起業して赤字が出た場合
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 損益通算とは、赤字の所得を他の所得から差し引くこと。
  • 赤字が解消できずマイナスになった場合に損失を繰り越して控除することをを繰越控除という。
  • 損益通算も繰越控除も、確定申告をする必要がある。

 

赤字の所得を他の所得から差し引くことを「損益通算」といいます。
たとえば、起業した直後に赤字が出てしまった場合には、給与所得からその赤字分差し引くことで、所得を抑えることができるので節税になります。

損益通算は、すべての所得でできるわけではありませんが、損益通算できれば納税額を軽減することができますので、必要な手続きを忘れないようにしましょう。

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損益通算とは

損益通算とは、赤字と黒字を相殺することをいいます。つまり、赤字の所得を他の黒字の所得から差し引くことです。
たとえば、同じ年に株式を売却し、Aでは利益が出てBでは損失が出た場合には、それぞれの利益と損失を相殺して、相殺後の金額が、その年の譲渡所得の金額となり、その金額をもとに納税額を計算します。

それでも赤字が解消できずマイナスになった場合、最長3年間損失を繰り越して控除することも可能で、これを繰越控除といいます。
損益通算する場合も繰越控除をする場合も、確定申告が必要です。

すべての所得で損益通算できるわけではない

損益通算はすべての所得でできるわけではなく、損益通算できる所得は以下の所得に限られます。

損益通算できる所得
①不動産所得の赤字
②事業所得の赤字
③譲渡所得の赤字
④山林所得の赤字

下記所得については、所得の性質上損益通算になじまないことから、損益通算することはできません。

損益通算できない所得
①配当所得
②一時所得
③雑所得
④給与所得
⑤個人に対する資産の定額譲渡によって生じた損失
⑥競走馬(事業用を除く)・別荘・書画・骨董品・貴金属等の生活に通常必要ない資産についての所得の計算上生じた損失
⑦非課税所得の金額の計算上生じた損失
⑧土地建物等の譲渡による分離課税の譲渡所得の金額の計算上生じた損失
⑨株式等に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失
(※ただし、上場株式等の譲渡損失について、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得とだけ損益通算可能)
⑩先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失

損益通算の順序

損益通算は、所得の性質の似通った種類の所得グループにおいてまず損益通算して、次にその他の種類の所得に損益通算していくという税法上のルールがあります。

「不動産所得・事業所得・利子所得・配当所得・給与所得・雑所得」と「譲渡所得・一時所得」の2つのグループに分けます。

①「不動産所得・事業所得・利子所得・配当所得・給与所得・雑所得」のグループ内で損益通算します。

②「総合譲渡所得・一時所得」のグループ内で損益通算します。

③それぞれのグループのいずれかに損失の金額が残っている時には、さらに2つのグループ間で損益の通算を行います。
「譲渡所得・一時所得」グループの金額を「不動産所得・事業所得・利子所得・配当所得・給与所得・雑所得」グループの所得金額から差し引く時には、まず譲渡所得の損失を差し引き、次に一時所得の損失を差し引きます。
④上記①~③を行い、まだ損失がある場合には、山林所得の金額から差し引きます。
⑤上記①~④を行い、まだ損失がある場合には、退職所得の金額から差し引きます。

損益通算の特例

土地等の譲渡損失の場合は、損益通算の対象にはなりませんが、自分が住んでいた土地や建物を売却して損失が出た場合には、特例があります。

①居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

建物の借入金利子は損益通算の対象

不動産所得は、原則は損益通算の対象となりますが、土地を購入するために借入レを行い、その借入金の利子のために赤字になった場合には、利子に対応する赤字の金額は損益通算できません。一方、建物の借入金利子は損益通算の対象となります。
土地と建物を同時に購入した場合の借入金の利子は、土地に対応する利子を優先的に黒字に充当します。そして、充当しきれなかった赤字については建物の利子に対応させます。

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損失を繰り越すために必要な手続き

損益通算してさらに損失がある場合には、損失を翌年に繰越す(繰越控除)ことができます。
ただし、損益通算・繰越控除をするためにも確定申告が必要になります。

土地やマイホームを売却して損失が出た場合

マイホームを譲渡して損失が出てしまったら、その損失をほかの所得から差し引くことができます。
この買換えで損失が出た場合の特例を「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。
また、住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が出た場合の特例を「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。

これらの特例を使うと、損失額をその年の給与所得等から控除できて、源泉徴収されている所得税があれば、税金が戻ってきます。
さらにその年に控除しきれなかった損失がある場合には、最大3年間繰り越して控除することができます。

なお、この特例を使うためには、その年の合計所得が3,000万円以下である、10年以上の住宅ローンを組む、家屋の床面積が50㎡以上である、などの要件を満たす必要があります。また、必ず確定申告をする必要があります。

株取引・FX等で損失が出た場合

株取引やFX取引で損失が出た場合にも、損益通算・繰越控除を使うことができます。
損失額を翌年以降に3年間持越して、株の損失額を翌年以降へ持越して、売却益や配当所得と相殺することができます。
株取引やFX取引で損失が出た場合に繰越控除するためには、一般口座、特定口座にかかわらず確定申告が必要になります。確定申告する際には、分離課税を行う必要があるため、第三表を使いさらに所得税及び復興特別所得税確定申告書付表という書類を添付する必要があります。なお、過去に損失を出していたにも関わらず確定申告をしていなかった場合でも、サラリーマンなど確定申告の義務がない人の場合には、5年前までの損失であれば遡って申告することもできます。

「FX取引の確定申告の方法」を読む

「株取引で損失が出た場合は確定申告でトクをする」を読む

起業して赤字が出た場合

起業してすぐは、赤字になってしまうこともあります。
このような赤字はほかの所得と損益通算することができます。

たとえば、年の途中で起業した場合には、事業所得(起業して得た所得など)と給与所得(サラリーマン時代の所得など)があることになりますが、この時事業所得が赤字なら、給与所得からその赤字分を差し引くことができます。
なお、事業所得以外にもアフィリエイトやアパート経営をしている場合にも、その損失を相殺できます。

本業以外に所得がない人や損益通算しても赤字が残る人は通常の確定申告書に加えて第四表(損失申告用)を使うことで、「損失申告」ができます。

また、赤字が出た年の前年が黒字で青色申告をしている場合には、その赤字を前年分の黒字と合わせて計算し、すでに納めた所得税の全部または一部の還付を受ける方法もあります(純損失の繰戻)。

「赤字が出た時の確定申告|損失申告で節税する方法」を読む

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まとめ

以上、損益通算の意味や損益通算できる所得などについてご紹介しました。
損益通算をして繰越控除すると節税になりますが、そのためには、確定申告をする必要があります。また、損益通算をするためには、順序があり計算も煩雑になりがちです。
確定申告を含め不明点がある場合には、税理士に相談することをおすすめします。

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