配当控除|節税できる理由とは?

公開日:2019年12月18日
最終更新日:2019年12月19日

目次

  1. 配当控除とは
    • 配当控除が認められているもの
    • 配当控除が認められないもの
    • 株の配当金の場合は原則確定申告不要
  2. 配当控除の注意点
    • 総合課税の場合
    • 損益通算するなら分離課税
    • 国民健康保険料が高くなることも
    • 専業主婦は申告しない方がよいことも
    • 配当控除を受ける場合の確定申告書の書き方
  3. まとめ
    • 税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 配当控除は、このような二重課税を調整する意味で設けられた税額控除である。
  • 配当控除は、配当金に一定率を掛けた金額が所得税・住民税から控除される。
  • 配当控除は、認められるものと認められないものがある。

 

株の配当金や投資信託の分配金などを受け取った時には、配当控除という配当所得の10%を税額控除する制度があります。
配当控除を受けるには、確定申告が不要な配当でも申告が必要です。

ただし、申告したことで余計な税金がとられてしまうこともありますので、確定申告をすべきか否かは十分検討する必要があります。

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配当控除とは

配当控除とは、国内株式の配当金について総合課税を選択して確定申告をした場合に、配当金に一定率を掛けた金額が所得税・住民税から控除されることをいいます。国内株式の配当金は、法人の段階で所得に対して法人税が課税された後に株主の分配されるもので、この配当金に対してさらに所得税や住民税が課税されてしまうと、法人税、所得税、住民税が二重課税となってしまいます。
配当控除は、このような二重課税を調整する意味で設けられた税額控除です。

株式にかかる配当控除の額は、以下のとおりです。
(課税総所得金額1,000万円以下の場合)

・所得税額から控除する金額

配当所得の金額×10%

・住民税額から控除する金額

配当所得の金額×2.8%

たとえば、配当所得が10万円のケースでは、1万円を所得税額から、2,800円を住民税額から控除することができます。

配当控除が認められているもの

配当控除は、内国法人から受ける株式の配当金で、剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、証券投資信託または特定投資信託の収益の分配金などについて認められています。

①剰余金の配当
②利益の配当
③剰余金の分配
④証券投資信託または特定投資信託の収益の分配金

配当控除が認められないもの

資本剰余金の配当のうち、みなし配当に該当しない部分や株式投資信託の特別分配金については、配当所得ではないので配当控除の適用はありません。
また、上場株式等で配当等について申告分離課税を選択した場合、確定申告時に申告分離課税歯科選択できない特定公社債などの利子についても、配当控除の適用はありません。
この他、以下の配当についても配当控除の適用はありません。

①外国株式の配当金
②私募公社債等運用投資信託等の収益分配金
③国外私募公社債等運用投資信託等の配当均等
④外国株価指数連動型特定株式投資信託の配当金
⑤特定外貨建等証券投資信託の配当等
⑥投資信託のうち法人課税信託に該当するもの
⑦特定目的信託の配当等
⑧投資法人から支払いを受けるべき配当等

参照:国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」

株の配当金の場合は原則確定申告不要

株の配当金、株式投資信託、不動産投資信託の分配金は「配当所得」で、配当所得も所得税と住民税が源泉徴収され、1銘柄あたり年間10万円を超える配当がある時には、確定申告で清算しなければなりません。
上場株式であれば、「大口株主(発行済株式の総数の3%以上を所有」、未上場株式であれば、10万円×(配当計算期間の月数÷12超)などの場合には、確定申告が必要となります。

一方、株式、公社債などの売却益は譲渡所得として「申告分離課税」が原則です。申告分離課税というのは、ほかの所得と合算しないで確定申告で納税する方法です。
ただし、上場株式等は特定口座を開いて源泉徴収ありを選択すれば、「確定申告不要制度」を利用したことになり、これで納税を済ませることができます。
したがって、この場合には一定のケースを除いては、確定申告は不要です。
上場株の配当金や投資信託の分配金は、「配当所得」として、上場株で通常税率15.315%(別途住民税が5%)、未上場株で20.42%が源泉徴収されています。

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配当控除の注意点

配当所得の確定申告の方法は、総合課税と分離課税の2種類があります。
総合課税とは、個人が1年間に得た所得のすべてを合計して、その合計額に対して超過累進税率によって課税する方法をいいます。一方、分離課税とはほかの所得とは合算せずに所得毎に決められた税率で課税する方法です。

配当控除を受けると、売却損と配当を相殺することができません。申告する配当については、全額を総合課税として配当控除を受けるか、または申告分離課税で株の売却損と損益通算するかどちらかを選択する必要があります。

総合課税と分離課税は、それぞれにメリット・デメリットがありますので、自身の場合にはどちらがよいのか検討するようにしましょう。

総合課税の場合

まず、総合課税の場合には、配当控除を受けるためには、確定申告が不要な場合でも申告が必要です。
総合課税で申告する場合には、配当所得を含めた課税総所得金額が1000万円以下だと、配当控除として住民税を含め12.8%の税額控除ができます(剰余金の配当等の場合)。つまり
確定申告が不要でも、申告すると源泉徴収された税金が戻ってくることがあります。しかし、一方で申告したことでかえって余計に税金が取られてしまうこともあります。

申告した方が得をするのか損をしてしまうのかは、課税総所得金額で判断します。
結論からいえば、課税総所得金額が900万円以下の人は、確定申告をした方が有利になります。

なぜなら、課税総所得金額に対する税金の割合は、330万円までは10%未満で、所得が上がるにつれて税率が上昇し、4,000万円を超えると税率は45%まで上がってしまいます。上場株の配当所得から天引きされる税率は15.315%(別途地方税5%)ですから、税率との関係で見れば、課税所得金額が900万円以下の場合には、申告して配当控除を受けることで、税金が戻ってくることになります。

逆に課税総所得金額が900万円を超える場合には、確定申告をすることでかえって余計な税金を支払ってしまうことになりますので、注意しましょう。

損益通算するなら分離課税

分離課税では、総合課税のように配当控除は受けられません。分離課税の最大のメリットは、株を売買して損失が出た場合に可能となる損益通算ができるという点です。つまり配当金で損益通算するなら、必ず分離課税の申告が必要となります。

なお、平成28年(2016年)分からは特定公社債の利子や分配金についても、申告をしないか、申告分離課税とするのかを選ぶことができるようになりました。配当金で損益通算するなら、分離課税の申告が必要となります。

国民健康保険料が高くなることも

総合課税+配当控除を選択した場合には、配当の分だけ所得が増えることになります。国民健康保険に加入している人が配当控除を受けると、節税できた額以上に国民健康保険料が上がってしまうケースがあります。所得税や住民税を節税できたからといって、国民健康保険料が上がってしまえば、かえって損をしてしまいます。
また、配当所得を申告した場合には、扶養親族の判定に配当所得も含むことになりますので、所得制限のある各種控除や公的制度(扶養控除など)を受けている人は、それらの控除が受けられなくなることもあります。

専業主婦は申告しない方がよいことも

専業主婦でも、配当所得以外に収入がなければ総合課税で申告すると、源泉徴収されていた税金が還付されることになります。
ただし、ここで注意すべきなのが専業主婦が配当金などで38万円以上の所得があった場合です。この場合、夫が配偶者控除を受けることができなくなります。したがって、確定申告をする場合には、配偶者控除が受けられなくなった場合に、夫の課税所得が実質的に増えて税率が上がってしまうようなことがないか確認しましょう。確定申告をすることで還付を受ける金額より、夫の所得税額の増額分が多くなってしまうようなら、申告しない方が世帯当たりで見れば、結果的にお得になります。

配当控除を受ける場合の確定申告書の書き方

配当控除を受けたい時には、確定申告が必要です。
申告書第一表「税金の計算」の配当欄を記入し、配当欄の額をもとに配当控除額を計算して記入します。
(配当所得×10%)。
※合計課税所得金額1,000万円以下の場合

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まとめ

配当控除を受ける場合には、確定申告が不要な配当でも申告することが必要ですが、申告すると源泉徴収された税金が戻ってくる可能性があります。ただし、それで所得税や住民税を節税できても国民健康保険料が上がったり、扶養控除が受けられなくなったりする可能性もあります。確定申告すべきか否かは、トータルで有利不利の確認を行う必要があります。確定申告をするべきなのか、申告する場合には総合課税を選択するのか分離課税を選択するのかについて不明点がある場合には、個人の確定申告をサポートしてくれる税理士に早めに確認しておくことをおすすめします。

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