法人税は何パーセントか・どのように計算するのか(初心者向け)

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2024年03月22日

この記事のポイント

  • 法人税は、法人の所得に対して課される国税。
  • 法人税は、所得の大きさに関わらず、一定の比例税率。
  • 中小企業の税負担を軽減するため、資本金1億円以下の法人などは、税率が低い。

 

会社が支払わなければならない税金のなかでもメインの税金が、法人税です。
法人税は、基本的に会社が生み出した所得に対して課税される税金です。

法人税は、所得の大きさに関わらず、一定の比例税率ですが、中小企業の税負担を軽減するため、資本金1億円以下の法人などは、税率が低く設定されています。

この記事では、法人税が何パーセントなのか、そして法人税額の計算のしくみなどについてご紹介します。
 

法人税の豆知識

法人税は、原則として各事業年度の所得(課税所得)に対して課税されます。具体的な税率は、その法人の種類や資本金の規模、所得金額によって異なります。
普通法人の場合は、原則として23.2%ですが、期末資本金が1億円以下で、資本金5億円以上の大法人に完全支配されていないような中小法人の場合は、特例として一部に軽減税率が適用されます。
法人税は、さまざまな制度を活用することで、節税することが可能です。
令和4年4月1日以降に開始する事業年度から適用されているグループ通算制度は、100%の子会社を含めた会社グループでの法人税計算の調整を行うことができるので、赤字の子会社があった場合に、親会社や他の子会社の黒字と相殺して、グループ全体の法人税を減らすことができます。
また、納付すべき法人税を計算する際に法人税額から直接控除できる「税額控除」という制度もあります。直接納めるべき法人税額から一定額を差し引くことができるので、非常に有利な規定です。
特別措置法で臨時的に税額控除が設けられるものも多いので、毎年行われる税制改正の際には、改正項目のなかに税額控除の内容があるか、ぜひ確認したいところです。
節税につながる制度をフル活用するためにも、積極的に税理士に質問してみましょう。

法人税とは

法人税とは、法人の所得に対して課される国税です。
法人税は、国内企業の競争力の向上や外国企業の対日進出の促進等を目的として、徐々に引き下げられています。
法人税は、法人の所得に対して課せられるという意味で、個人の所得税のようなものといえますが、その所得の計算方法や、税額を計算する方法は、所得税とは大きな違いがあります。

(1)法人税の税率

法人税の税率は、事業年度の所得に対して原則として23.20%ですが、中小企業の負担を軽減するために、資本金1億円以下の法人などは、所得金額のうち年800万円以下の部分について19%とする措置がとられています。

区分 税率
普通法人 資本金1億円以下の法人など(※①) 年800万円以下の部分 下記以外の法人 15%
適用除外事業者(※②) 19%
年800万円超の部分 23.20%
上記以外の普通法人 23.20%
※①:大法人の100%子会社、グループ内の複数の大法人に株式を100%保有されている法人などは除きます。
※②:前3年以内に終了した事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人は、「適用除外事業者」として、19%の税率が適用されます。
たとえば、資本金8,000万円の会社で、所得金額が1,600万円だった場合には、以下のように計算します。

①800万円以下の部分
800万円×15%=120万円

②800万円超の部分
(1,600万円-800万円)×23.2%=185万6,000円

③法人税額
120万円+185万6,000円=305万6,000円

(2)法人税の所得の計算は?

法人税は、法人の事業年度の所得に対して課される税金です。
税法では、売上など会社の収益にあたるものを「益金」、費用にあたるものを「損金」と呼び、益金から損金を引いたものが所得となります。
しかし、費用と言っても、損金になるもの、ならないものが法令で決められています。
たとえば、交際費は原則として損金不算入ですし、一定の限度を超える寄付金も、公益性の高いものを除いてほとんどが損金不算入となります。
また、従業員の賞与は損金になりますが、事前に届け出ていない役員賞与は、損金不算入ですし、過大とみなされる役員報酬なども、損金不算入となります。

したがって、「収益-費用=利益」はそのまま「益金-損金=所得」となるわけではありません。
以下のように益金に入れるものと損金に入れないものはプラスし、益金に入れないものと損金に入れるものはマイナスする税務調整を行って、法人税の所得を計算します。

利益+益金算入-益金不算入
  -損金算入+損金不算入=所得

(3)法人税の税額控除とは

法人税には、所得税と同じように税額控除があります。
たとえば、日本の内国法人が外国支店で得た利益については、その国の法人税が課税されますが、日本でも同様に法人税を課税すると二重課税になってしまうので、「外国税額控除」」が行われます。
このような税額控除は、ほかにも「源泉徴収所得税の税額控除」「租税特別措置による税額控除」があります。
税額控除は、計算した法人税額から直接控除することができるので、大きな節税効果が期待できます。

(4)法人税の租税特別措置とは

法人税では、「研究開発税制」「中小企業投資促進税制」など、さまざまな租税特別措置が設けられています。これは、国がとくに促進したい政策について、税制措置で優遇する措置です。
たとえば中小企業投資促進税制を活用すれば、中小企業が機械等を取得した場合に、特別償却または税額控除をすることができます。

これらの租税特別措置を活用すれば、税額控除で納税額が減ったり、所得が減って納税額が減ったりする効果があります。
該当する場合には、必要な手続きをとり、必ず適用を受けるようにしたいものです。

(5)法人税以外に会社が納める税金とは

会社が払う税金としては、今までご紹介してきた法人税を挙げることができますが、会社が納める税金には、法人税の他にも地方法人税、住民税、事業税、地方法人特別税など、多くの税金がかかってきます。
課税売上が1,000万円を超えたら消費税の課税対象者になり、翌々年度から納付をすることになります(※ただし資本金の額が1,000万円以上の会社は、消費税の課税事業者になり納税義務は免除されません)。
また、車を取得したら自動車税が、契約書を作成したら印紙税が課されることになります。
法人が支払う税金には、会社の事業と密接に関わってくる税金が多々ありますので、それぞれの税金について理解しておきましょう。

種類 内容
法人税 法人の所得に対して課税される税。個人の所得税に該当する税金。
法人
住民税
市区町村民税 自治体が住民サービスを目的として課税する税。所得があるか否かに関わらず課税される均等割り部分と、法人税額に一定率を掛けて課税される法人税割部分がある。
道府県民税
事業税 すべての事業者が負担する税。
課税所得×税率で求める。
地方法人特別税 法人事業税の一部を分離して国税とし、地方財源に充当する。
消費税 課税売上高が1000万円以下は免税事業者となる。
印紙税 契約書や領収書など一定の文書を作成する場合に課税される。
登録免許税 いろいろな権利の登記や資格の登録などの際にかかる税金。
固定資産税 固定資産税を保有していることに係る税金。
自動車税 軽自動車や特殊車両を除く自動車に課税される税金。
自動車重量税 車検の交付などを受ける際に課税される。
自動車取得税 自動車を取得した時に課税される。
軽自動車税 軽自動車を保有している者に対して課税される。

なお、法人税は、会社が生み出した所得に対して課税される税金ですが、法人住民税はこの法人税のおおよそ12.9%+7万円で計算します。この7万円は「均等割」といって、必ずかかってくる税金で、会社利益がマイナスでも払う必要のある税金です。

個人事業であれば、赤字の時にはほとんど課税されませんが、法人の場合は赤字であっても、この均等割という税金がかかりますし、申告書も必ず提出しなければならないという点は、個人事業主と法人の大きな差といえるでしょう。

また、法人の利益が黒字になると法人住民税の均等割のほかに、法人税や法人住民税の法人税割、法人事業税が課税されることになります。

事業税とは、事業を行っているすべての法人や個人が負担する税金で、都道府県が課税する税金です。事業税は、法人の種類や規模によって課税の方法が異なります。
なお、法人事業税の一部は、地方法人特別税として国税となり、地方財源に充当されます。
法人事業税の税率は、地方公共団体によって、一定の範囲で変わります。

まとめ

以上、法人税は何パーセントなのか、法人税の所得の計算のしくみはどのようになっているのかについてご紹介しました。
法人税は、税額控除をうまく活用したり、事業に関係する費用をもれなく計上したりすることで、節税効果が期待できます。
顧問税理士がいれば、節税対策はもちろん、記帳代行、税務調査立ち合いなどさまざまな業務についてアドバイスしてもらえたりサポートを受けたりすることができます。

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