試算表とは|試算表の確認ポイントと活用方法

公開日:2019年04月04日
最終更新日:2022年07月06日

この記事のポイント

  • 試算表とは、決算書類を作成する前段階のデータのことである。
  • 試算表を上手に活用することで、経営の指標とすることができる。
  • クラウド会計ソフトfreee会計には「収益レポート」費用レポートなど、さまざまなレポート機能がある。

 

試算表には、「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があります。

「合計試算表」とは、総勘定元帳の勘定ごとに、借方の合計、貸方の合計をまとめた試算表で、正しく転記が行われていれば、「仕訳帳の借方合計・貸方合計」と「合計試算表の借方合計・貸方合計」が一致するような構成となっています。写し漏れや仕訳のミスを発見するのに役立ちます。

「残高試算表」とは、各勘定科目の残高の一覧にした集計表で、各勘定科目の貸借の差額を集計した表です。
そして、「合計残高試算表」とは、合計試算表と残高試算表が一緒になった表です。

この記事では、試算表を「勘定科目ごとの合計金額を一覧とした表」として、ご紹介します。

試算表とは

試算表とは、決算書類を作成する前段階のデータのことで、複式簿記による仕訳から転記された「総勘定元帳」から転記され、勘定科目ごとに分類して集計された一覧表の構成になっています。
試算表を作成する目的のひとつは、仕訳や転記のミスを発見することです。もし、仕訳帳か総勘定元帳のどちらかに誤りがあった場合、試算表の集計数値が合わなくなるからです。

なお、試算表は決算書(貸借対照表や損益計算書)の元となる資料なので、月次で試算表を作成すれば、早期に経営状態を把握できデータを経営の指標とすることができます。

(1)試算表は「経営の指標」となる

前述したとおり、試算表は勘定科目の集計結果を示す決算書類を作成する前段階のデータなので、試算表のデータを分析すると会社の資産や利益を把握することができ、決算書とほぼ同様の効果を期待できます。

決算書は1年に1度のペースで作成されるのに対し、試算表は月次で作成されます。そこで、試算表をチェックすることで、現在の経営状態をタイムリーに把握することができるようになり、数値の悪い勘定科目について確認することで、次の月以降の経営戦略を練り直すことができます。

したがって、試算表の作成は毎月できるだけ早く行い、確認することが重要です。経理担当者は請求書を月末の2~3日前には取引先から送ってもらえるよう依頼したり売上の締め日を月末より早めてもらったりするなどの工夫をすることも大切です。

(2)試算表は「資金調達」の際にも必要となる

試算表は、銀行から融資を受ける際の情報としても、活用されます。
試算表は月次で作成されるデータなので、決算書よりも直近の会社の経営状態を把握できる資料だからです。
つまり、資金を貸し付ける銀行の立場としても、審査の対象となる貸付先の会社の現状を知るためには、前期の決算書よりも直近の試算表が最も便利な資料になるわけです。

また融資を受ける側としても、直近数カ月分の試算表を時系列で参照することにより、変化の大きい勘定科目を事前に見つけて確認することができますので、経営に課題があればその原因を分析し、融資を受ける際に説明することもできるようになります。

試算表で見るべきポイント

「freee会計」の試算表は、日々の記帳内容の累計金額を「損益計算書」と「貸借対照表」の2つの形式で表示できる仕様となっています。
会社によっては設定される勘定科目が多岐にわたるケースもありますが、「勘定科目」「取引先」「部門」「品目」などの項目で絞り込みをして確認することができますので、ポイントとなる項目に絞ってさまざまな視点からチェックすると効率的です。
「売上を部門別に確認したい」「メモタグで絞り込み、プロジェクトの損益を把握したい」などの機能を使用しながら、経営指標として活用することができます。

(1)貸借対照表で見るポイント

試算表における貸借対照表項目としてチェックすべきなのは、出入りの多い勘定科目です。個々の会社によって金額ボリュームの多い勘定科目は違いますが、出入りの多い勘定科目は会社の資産全体に対する影響度が高いということになりますので、月次で変動をチェックすることが重要です。

一般的に出入りの多い勘定科目としては、現金預金、売掛金、受取手形、買掛金、支払手形、繰越商品などが挙げられます。これらは主要取引の一環となる勘定科目となるため、毎月試算表で、しっかり変動をチェックしておきたいところです。
また資金の借り入れが多い場合は、短期・長期借入金をチェックし、固定資産(備品・車両など)の出入りが多い場合は、固定資産の各科目の金額をチェックすることも忘れないようにしましょう。
なお、その際にはあわせて月中の推移(借方・貸方それぞれの合計額)に誤りがないかを確認し、月末残高が適正なものかを検証することも重要です。

(2)損益計算書で見るポイント

試算表における損益計算書のチェックポイントとして重要なのは、各種利益(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)が目標値に達しているかという点です。

一般的には、売上高と売上原価のボリュームを確認することで、売上総利益が目標達成しているか、原価率は適正かを検証することができます。
また、販売費及び一般管理費の勘定科目(人件費:給与・賞与、設備費:減価償却費・賃借料、販売諸経費:販売促進費・広告宣伝費・販売手数料、流通諸経費:運賃・保管料など)を確認すると、経費の増減や営業利益を把握することができます。

損益計算書の場合にも、出入りの多い科目については利益に与える影響が大きくなることから、前月と比較しながらチェックしておくことが重要です。
またこの際には、貸借対照表と同様、月中の推移(借方・貸方それぞれの合計額)に誤りがないかを確認し、月末残高が適正なものかを検証するようにしましょう。

融資の際に求められる試算表とは

融資の際には、試算表の提出が求められることがあります。
銀行は、会社に対して融資(資金の貸し付け)を行う場合に、会社の経歴や現状の業況などさまざまな点をチェックしたうえで、「この会社は、将来貸し付けた資金を、きちんと返済できる能力があるかどうか」を判断し、返済能力OKと判断すれば融資を実行します。この際、現状の状態をチェックする場合に最も参考となる資料が、試算表です。

(1)決算月から3カ月経過していたら要求される

銀行は、融資するか否かの判断材料として、まず過去数年分(通常、3年分)の決算書が求められます。

ただし、決算書は通常1年に1回のみ作成される資料です。
したがって、決算期からある程度時間が経っていて融資を受けようとする場合などは、決算書だけでは現状の業況の判断を誤ってしまう恐れがありますので、試算表の提出が求められます。

試算表であれば、決算書よりもタイムリーに勘定科目の集計が行われているため、銀行としても、判断材料としてより有用となるからです。

実務的には通常、決算期から3カ月経過したら試算表の提出が求められることが多いので、前もって準備しておくのがおすすめです。

(2)融資の際に試算表を作成するポイント

銀行に対して試算表を作成する際には、銀行側が現状を把握するのに適したものを作成することが一番のポイントとなります。試算表には、「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3つがあります。

合計試算表とは、勘定科目ごとに、借方金額の合計と貸方金額の合計を別々に集計した試算表をいいます。合計試算表の場合、すべての勘定科目の「借方の合計金額」と「貸方の合計金額」が一致するようになっています。

残高試算表とは、勘定科目ごとに、借方・貸方の差額から残高を集計した試算表をいいます。残高試算表の場合、すべての勘定科目の「借方の残高金額」と「貸方の残高金額」が一致するようになっています。

合計残高試算表とは、上記の合計試算表と残高試算表を一覧としてまとめた試算表をいいます。合計金額と残高金額が一表でわかることから、銀行としてはこの合計残高試算表を求めるケースが多いですが、どのような資料を提出するべきかについては、顧問税理士と相談してよく検討する必要がありますが、一般的には残高試算表の提出が求められることが多いようです。

freee会計で試算表を作成

試算表の作成を人間の手で行おうとした場合、記入した仕訳の一つ一つを総勘定元帳に転記し、勘定科目ごと集計して作成しなければならないことから、非常に手間と時間がかかってしまいます。そこで、活用したいのが会計ソフトです。

「クラウド会計ソフト freee会計」では、入力の手間がほとんどなくほぼ自動で月次での試算表を作成することができます。ただし、この場合には、銀行やクレジットカードの口座情報の登録など、あらかじめ行う必要がありますので、導入方法などは「クラウド会計ソフト freee会計」の認定アドバイザーに相談するようにしましょう。

(1)freee会計の操作手順

まずは、銀行口座やクレジットカードなど、事業で利用する支払手段をfreeeに登録し、「クラウド会計ソフト freee会計」の利用を開始する時点での口座・債権・債務・固定資産などの残高を「開始残高」として登録します。

次に、取引の証拠となる書類を手元に集めます。銀行口座やクレジットカードの利用明細は、インターネットバンキングやWebサービスから自動で取得できます(これを「口座の同期」といいます)。

レシートや請求書などの書類は、モバイルアプリやスキャナを使ってfreeeに取り込むことができます。そして、取り込んだ利用明細や書類をもとに、日々の取引をfreeeに記録します。収入や支出は「取引」、口座間の資金移動は「口座振替」として登録します。
これらの作業を行うことで、試算表のもととなるデータはすべて取り込むことができます。

(2)レポート機能で事業が見える化

「freee会計」には、試算表作成機能があり、グラフで確認することができます。
メニューバーから、レポートをクリックし、試算表を選びます。試算表に表示したい最終月と月数(何カ月分表示したいか)を指定すると、簡単に試算表を作成することができます。作成した試算表は、CSVやPDFのファイル形式に出力して確認することもできます。

▶ freee会計で確認できるレポート

「freee会計」で、取引内容を登録すると「レポート」と呼ばれるカテゴリにデータが反映され、 様々な形で会計情報を表示でき、 収入や支出の内訳や月次推移をグラフで確認することもできます。

また、freeeのプロフェッショナルプランを利用すると、予算・実績管理を行うことも可能です。
予算・実績管理では損益計算書の勘定科目ごとに予算を設定し、前年との比較や構成比などを確認できます。具体的には、営業利益や売上高などの実績は財務諸表とグラフでリアルタイムに反映されます。

まとめ

以上、試算表の意味や活用方法についてご紹介してきました。
試算表のしくみを理解し、数字を読み取ることで、会社の資産・負債・純資産、収益・費用の現状やボリュームなどを、決算書と同様に活用し、経営の指標とすることができます。
しくみを理解したうえで「freee会計」を利用すれば、仕訳などで入力した数値がどのように集計されて試算表に反映されているのかが分かり、今後の目標設定などをしやすくなるでしょう。
また、「freee会計」であればデータをクラウドで管理するので、税理士とリアルタイムでデータを共有することができます。不明点や疑問点があればすぐに質問することができますし、タイムリーに経営アドバイスをもらうことができます。
また、試算表を確認しながら有効な節税対策について提案してもらうこともできます。

試算表の作成について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、決算書の作成や試算表の作成、融資の際に必要となる書類などについて相談できる税理士を検索することができます。
freee会計については、認定アドバイザーの税理士に、freee会計の登録から導入、活用方法までサポートしてもらうことが可能です。
「経理作業の工数を減らしたい」「試算表を活用して、企業を成長させたい」といったご要望にも対応可能です。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、決算書の作成や試算表の作成、融資の際に必要となる書類などについて相談することができます。

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