消費税課税事業者の節税対策

公開日:2018年11月09日
最終更新日:2018年11月09日

目次

  1. 消費税とは
    • 消費税の納税義務がある事業者とは
    • 2期前の課税売上高が1,000万円を超える法人・個人事業主
    • 1,000万円を超えていなくても消費税の納税義務がある事業者
    • 免税事業者は有利か
  2. 消費税の計算方法
    • 原則課税方式とは
    • 簡易課税方式とは
  3. 消費税の会計処理-税抜処理と税込処理
    • 税抜処理とは
    • 税込処理とは
    • 簡易課税方式を適用した場合の会計処理
  4. 消費税の節税対策
    • 個人の課税事業者は法人化も視野に
  5. 消費税の課税事業者の各種届出
    • 消費税の各種届出書類の様式
  6. 税理士検索freee

課税期間の前々年度(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると、課税事業者となります。しかし、消費税の計算方式や会計処理の方法などを上手に選択すれば、消費税は節税することができます。
反面、制度選択を間違えると、払わなくてよい税金を払うことになってしまうこともあります。
ここでは、「消費税の課税対象になった場合の手続き」「節税につなげるためには、どのような制度を選択すればよいのか」などについてご紹介します。

消費税とは

消費税は、負担する人と納税する人が異なる「間接税」の一つです。
事業者は、商品やサービスの売上で消費者から預かった消費税を納税しなければなりませんが、他方で、事業者は仕入や経費で消費税を負担する立場でもあります。
そして、事業者が納税する消費税を計算する時は、消費者から預かった消費税と仕入や経費などで支払った消費税をそれぞれ集計し、その差額を計算して、納付することになります。

消費税の納税義務がある事業者とは

消費税とは、物やサービスを消費した人が負担する税金で、商品などが販売されるたびに、販売価格に上乗せされていますので、最終的に税を負担するのは消費者ということになります。そして、事業者は「預かった消費税」と「自社が支払った消費税」の差額を税務署へ納付しなければなりせん。

原則として消費税の課税事業者になったら、法人であるか個人であるかにかかわらず消費税の納税義務があります。ただし、実務の負担を考慮して、実際に納税する義務が発生するのは、一定以上の規模の事業者に限られています。

2期前の課税売上高が1,000万円を超える法人・個人事業主

消費税の納税義務の有無は、課税売上高(消費税の課税対象になる売上高)で判断されます。
税法上は「課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えた事業者」を課税事業者としています。
この基準期間とは、課税期間の前々年度のことです。例えば、平成30年の申告をする事業者であれば、基準期間は平成28年になります。そして、その間の課税売上高が1,000万円を超えていると、その2年後に課税事業者となります。
つまり、2期前の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の納税義務がある課税事業者となります。

なお、新たに開業した年度とその次の年度は「2期前の課税売上高」がないため、納税は免除されます。ただし、次項でご紹介するように資本金が1,000万円以上の法人の場合には、新規開業した年から課税事業者となります。

1,000万円を超えていなくても消費税の納税義務がある事業者

2期前の課税売上高が1,000万円を超えていなくても課税事業者となるケースがあります。以下の4つの場合です。

○資本金が1,000万円以上の法人
○前期の上半期の課税売上高または給与が1,000万円を超えた場合
○自ら課税事業者を選択した場合
○大企業(課税売上高5億円超)から過半数の出資を受けている法人

2期前の課税売上高が1,000万円を超えていなくても、その後事業が活発になり売上が急激に伸びて、事業年度の前事業年度開始の日以後6カ月の期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者になります。
つまり、個人事業主も会社も、1年目の納税が免除されますが、2年目には消費税を納めなくてはならないケースがあることになりますので、注意が必要です。

また、自ら選択することで、課税事業者になることができます。次の項目でご紹介するように、課税事業者になる方が得をするケースもあるからです。

免税事業者は有利か

ほとんどの場合、免税事業者は消費税を納めなくてよい分、有利になります。
ただし、免税事業者でも、売上高にかかる消費税より仕入れなどにかかる消費税額の方が大きい時には、課税業者を選択する方が有利になることもあります。

事業者は「預かった消費税」と「自社が支払った消費税」の差額を税務署へ納付します。つまり、事業者は消費者から預かった消費税と仕入や経費などで支払った消費税の差額を納付することになります。
ですから、設備投資や輸出が多い場合には、預かった消費税より支払った消費税の方が多くなるので、課税事業者として申告することで消費税の還付を受けることができます。

免税事業者が課税事業者になる届出を提出すると、2年間は元に戻せないため、仕入れや設備投資に時間がかかっていて、課税事業者かを選択しようとする際には、翌年度がどうなるか見きわめて、あらかじめ税理士に相談し、慎重に決めるようにして下さい。
なお、課税事業者を選択する場合には、その事業年度が始まる前までに、所轄の税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。

消費税の計算方法

事業者が納める消費税の税額を計算する方法には、原則課税と簡易課税制度があります。
どちらの計算方法を採用するかは、会社の判断にゆだねられていますが、選択によっては法税額に大きな差が出ることもありますので、注意が必要です。

原則課税方式とは

原則課税では、課税売上高から課税仕入れ高を引いた額に税率をかけて求めます。

そして、消費者から預かった消費税を求め、預かった消費税と支払った消費税の差額が納税額になります。
会社の売上高が、すべて消費税の課税対象であればスムーズに計算することができますが、非課税取引などが含まれていると、課税売上高に対応する仕入高を求める必要があり、事務作業が煩雑になるというデメリットがあります。ただし、課税売上高が95%以上あれば、仕入の全額を課税仕入高として控除することができます。

簡易課税方式とは

簡易課税制度は、消費税の計算を容易にする方法で、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には、簡易課税方式による計算も認められています。
仕入などで支払った消費税は実際には計算せず、課税売上高にみなし仕入率と税率をかけて求める方法で、税額を計算する事務作業を軽減することができます。
この時の「みなし仕入率」は、業種に応じて90%から40%の範囲で指定された数値を使用します。

みなし仕入率

第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(製造業等)農林・漁業、建築業、製造業など 70%
第4種事業(その他)飲食店業など 60%
第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業 50%
第6種事業(不動産業) 40%

簡易課税制度は、税額計算が簡単にすることができますが、みなし仕入率が低い業種では原則課税に比べて納税額が高くなる可能性があります。なお、簡易課税方式を選択する場合には、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に届け出る必要があります。

原則課税方式と簡易課税方式のどちらが有利かは、実際に計算をしてみなければ分かりませんので、安易に簡易課税方式を選択すると、そのあと2年間は継続して適用しなければなりませんので、どちらを選択するかについては、税理士に相談して綿密にシミュレーションをすることをおすすめします。

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消費税の会計処理-税抜処理と税込処理

消費税は、仕入の他にも、会社の経費や固定資産の取得などについても課税されます。これらの消費税に関する会計処理には、税抜処理と税込処理の2つがあります。
会計処理の方法も、どちらを採用するかは会社の判断に委ねられますが、多少面倒な作業が発生することになっても、税抜処理を選択するのがおすすめです。
なお、免税事業者の場合には、税込処理となります。

税抜処理とは

税抜処理とは、消費税額を除いて売上、仕入などを計上する方法です。
売上や仕入、費用を計上する時に本体と消費税を分けて計上します。消費者から預かった消費税は「仮受消費税」として、取引先に支払った消費税は「仮払消費税」として処理します。

通常、仮受消費税から仮払消費税を差し引いた金額が納付税額となります。仮払消費税のほうが多い場合は税額の還付を受けることができます。
この計算方法では、消費税が費用や収入として発生せず、損益に無関係で、消費税は一種の「通貨勘定」とみなされます。

税込処理と比較すると、会計処理作業は煩雑になりますが、交際費などから消費税が除かれることになるので、限度額を目一杯使えるというメリットがあります。

税込処理とは

税込処理とは、売上や仕入、経費などの価格に消費税を乗せて計上する方法です。

本体と消費税を区分せず収益と費用に消費税を含めて計上します。消費税額は会社の経費として損金になり、「租税公課」として費用計上することになります。そして、還付を受けた場合は「雑収入」として収益に計上することになります。

税込処理は、計算方法が簡単であるというメリットはありますが、交際費や少額減価償却資産などで消費税額が加算されるので、その意味でも、税抜処理より不利になります。

簡易課税方式を適用した場合の会計処理

簡易課税制度を適用した場合は、課税売上高にみなし仕入率をかけた値をもとに仕入にかかる税額を求めます。したがって、税抜経理の仮払消費税の金額とは一致しません。

簡易課税制度で計算した消費税の納付額と、税抜経理で仮受消費税から仮払消費税を差し引いた金額との差額は「雑収入」または「雑損失」として計上します。

消費税の節税対策

節税対策といえば法人税や所得税の節税対策が一般的ですが、利益がまだ少ない事業者だと、これらの対策を行っても節税の余地が小さくて、あまり効果が見込めないケースもあります。しかし、消費税は課税事業者であれば利益の大小にかかわらず納める必要がありるので、消費税に関する適切な節税対策を行えば、会社の利益が変わることもあります。

消費税は、上手に制度を選択することで節税することができます。逆に言えば、制度選択を間違えてしまうと、支払わなくてもよい税金を払うことになってしまいます。税理士のアドバイスを受け、自社にとって有利な方法を慎重に決定しましょう。詳細は下記の記事にまとめましたので、併せてご覧ください。

「消費税の申告|消費税課税対象者とは?必要な手続きと計算方法」を読む

個人の課税事業者は法人化も視野に

個人の課税事業者は、法人を設立することで消費税を節税することができます。

先ほど、新たに開業した年度とその次の年度は消費税の納税が免除されるとご紹介しましたが、これは個人事業者が法人を設立した場合でも適用されます(ただし、法人の資本金が1,000万円以上の場合は除きます)。
まず個人事業主でスタートして、その後売上高や給与額に注意しながら、課税事業者になる直前に資本金1000万円未満の会社を設立すると、さらにそこから2年間納税免除の特典を得られることになります。

もちろん、個人事業者が法人成りを検討する際には、消費税以外の税務メリットや対外的な信用も考慮する必要がありますが、消費税の免税事業者であるメリットも検討するとよいでしょう。

消費税の課税事業者の各種届出

消費税の課税事業者は税務署への届出が必要です。
この場合、基準期間が1年に満たなければ、基準期間における課税売上高を1年分に換算して1,000万円以下かどうかが判定されます。
なお届出は、年度が始まってからでは間に合わないケースもあるので十分に確認しましょう。

消費税の各種届出書類の様式

消費税に関する届け出事項にはさまざまな種類があり、届出書類の様式は国税庁ホームページから、ダウンロードすることができます。

引用:国税庁ホームページ「消費税の各種届出書」

ここでは、消費税に関する届け出事項のうち代表的なものをご紹介します。

○消費税課税事業者届出書(基準期間用)
基準期間(2期前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に速やかに提出

○消費税課税事業者届出書(特定期間用)
特定期間(前期の上半期)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に速やかに提出

○消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
基準期間(2期前)の課税売上高が1,000万円以下になった場合に速やかに提出

○消費税簡易課税制度選択届出書
簡易課税制度を適用する場合、事業年度が始まるまでに提出
(開業した年度から適用する場合はその年度が終了するまでに提出)

○消費税簡易課税制度選択不適用届出書
簡易課税制度の適用をやめる場合、事業年度が始まるまでに提出

○消費税課税事業者選択届出書
免税事業者が課税事業者になる場合、事業年度が始まるまでに提出
(開業した年度から適用する場合はその年度が終了するまでに提出)

○消費税課税事業者選択不適用届出書
課税事業者から免税事業者に戻る場合、事業年度が始まるまでに提出

○消費税の新設法人に該当する旨の届出書
資本金1,000万円以上の法人を設立した場合に速やかに提出
(ただし、法人設立届出書で同様の届け出をした場合は不要)

税理士検索freee

以上、「消費税課税事業者の節税対策」についてご紹介しました。消費税還付を受けたい、様々な税金がかかるので節税がしたい、本業に集中したいのに記帳や決算申告に時間を取られる、税務調査などの不安があるのであれば、税法に精通している税理士に相談するのがおすすめです。

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