減価償却累計額とは|直接法・間接法の違い・仕訳

公開日:2021年09月10日
最終更新日:2022年03月28日

この記事のポイント

  • 減価償却累計額は、間接控除法で仕訳をする際に使用する勘定科目。
  • 間接控除法では、「減価償却累計額」という勘定科目を使用して、毎期の減価償却費を累積する。
  • 減価償却累計額は、貸借対照表にマイナス表示する形で減価償却累計額を表示する。

 

減価償却累計額とは、過去の減価償却費の累計額です。
減価償却累計額は、毎期実施される減価償却費の累積金額なので、たとえば決算において、当期分の減価償却費を計上する場合には、貸方に「減価償却累計額」という勘定科目を用いて、仕訳の処理を行います(間接控除法)。

減価償却累計額とは

減価償却累計額とは、過去の減価償却費の累計額をいいます。
減価償却費の仕訳の処理方法には、「直接控除法」と「間接控除法」があります。
直接控除法で処理をした場合には、対象となる簿価から毎期減価償却費を直接減額するため「減価償却累計額」という勘定科目は使用しません。
一方、間接控除法では、対象となる資産の簿価から直接減額するのではなく、「減価償却累計額」という勘定科目を使用して、毎期の減価償却費を累積する処理を行います。
したがって、「減価償却累計額」という勘定科目を使用するのは、減価償却費について間接控除法で処理をした場合ということになります。

未償却残高=取得価額-減価償却累計額
減価償却累計額=取得価額-未償却残高
減価償却費:減価償却をした分の経費となる金額
取得価額:その資産の購入代金
減価償却累計額:減価償却費の今までの累積
未償却残高:その資産でまだ減価償却されていない部分

(1)減価償却の処理方法①「直接控除法」

減価償却費の仕訳の処理方法には、直接控除法と間接控除法があります。
直接控除法では、貸方に「固定資産」の勘定科目を使います。

「決算日に、当期分の車両運搬具の減価償却費100万円を計上した。」

借方 貸方
減価償却費 1,000,000 車両運搬具 1,000,000

資産勘定の減少となり、固定資産の価値が減っていくのが分かるため、簡易で分かりやすい方法です。
なお、直接控除法の場合には、該当する資産の簿価から直接減額するため、貸借対照表には減価償却した後の金額が表示されます。
つまり、減価償却後の固定資産の帳簿価額(未償却残高)をそのまま載せます。

したがって、「購入した固定資産がいくらだったか」「どのくらい減価償却費として計上したのか」を把握することができないというデメリットがあります。

(2)減価償却の処理方法②「間接控除法」

前述した直接控除法のデメリットを解消するために、固定資産の総額からマイナスする勘定科目を作成し、固定資産の総額と決算時点での減価償却費の累計額が分かるようにしたのが、間接控除法です。
間接控除法では、対象となる資産の簿価から直接減額するのではなく、「減価償却累計額」という勘定科目を使用して、毎期の減価償却費を累積させていきます。

借方 貸方
減価償却費 1,000,000 減価償却累計額 1,000,000

これは、固定資産購入時からの減価償却費の合計額であり、資産勘定のマイナスをあらわす特殊な勘定科目です。
したがって、間接控除法で減価償却費を処理した場合には、貸借対照表にはマイナス表示する形で「減価償却累計額」を表示されることになります。

直接控除法 間接控除法
Ⅱ固定資産
有形固定資産
建物      ××
車両運搬費   ××
Ⅱ固定資産
有形固定資産
建物        ××
減価償却累計額  △×××
車両運搬費     ×××
減価償却累計額  △×××

 
※なお、間接控除法は、勘定科目ごとにひとつひとつ控除する場合と一括して控除する場合があります。
一括して控除する場合には、貸借対照表には、一括して計算した減価償却累計額が表示されます。

一括して控除する方法 科目ごとに控除する方法
Ⅱ固定資産
有形固定資産
建物      ××
車両運搬費   ××
減価償却累計額 △××
Ⅱ固定資産
有形固定資産
建物        ××
減価償却累計額  △×××
車両運搬費     ×××
減価償却累計額  △×××

減価償却累計額の仕訳

これまでご紹介したように、「減価償却累計額」とは、減価償却費の仕訳を処理する際に「間接控除法」という方法を用いた時に使用する勘定科目です。
ここでは、減価償却累計額を使用する間接控除法の仕訳についてご紹介します。

(1)「当期分の減価償却費を計上した」

「決算期となり、当期分の車両運搬費の減価償却費200万円を計上した。」

借方 貸方
減価償却費 2,000,000 減価償却費 2,000,000

※直接法では、減価償却累計額を使用せず、直接資産を減額します。

(2)「固定資産を売却した」

「取得価額200万円、減価償却累計額150万円の営業用の車両を80万円で売却した。代金は現金で支払った。」

借方 貸方
減価償却累計額 1,500,000 車両運搬費 2,000,000
現金 800,000 固定資産売却益 300,000

※直接法では、減価償却累計額を使用せず、車両運搬費を直接減額します。

(3)「固定資産を除却した」

「取得価額500万円、減価償却累計額250万円の機械装置を300万円で売却した」

借方 貸方
減価償却累計額 400,000 工具器具備品 500,000
固定資産除却損 150,000 現金 50,000

まとめ

減価償却費の仕訳の処理方法は、直接控除法と間接控除法があり、直接控除法は減価償却費を固定資産から直接減少させる方法であり、間接控除法は減価償却費を累計して記載する方法です。
間接控除法を用いる場合には、減価償却費を累計するために相手科目に「減価償却累計額」を使用します。
この間接控除法には、固定資産の帳簿価額を取得原価とすることができるというメリットがありますが、直接控除法の方が簡便で理解しやすいというメリットがあります。
どちらの処理方法で減価償却費を仕訳するかについては、税理士にアドバイスを求め指導を受けることをおすすめします。

減価償却累計額について相談できる税理士をさがす

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、減価償却累計額の意味や減価償却の仕訳について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

経理指導(個人/小規模法人)に強い税理士を探す

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop