仕入高|仕入割引と仕入値引の違い、仕入戻し高の処理

公開日:2021年12月06日
最終更新日:2022年03月30日

仕入高とは、商品の仕入や製品の仕入などにかかった費用を処理する時の勘定科目です。
仕入を認識するタイミングは、入荷基準、検収基準などの基準に従って計上し、この基準は継続して適用することが必要です。

この記事では、仕入高の意味や該当する支出とともに、仕入値引・仕入割引・仕入戻し高・仕入割戻高などの勘定科目についてもあわせてご紹介します。

仕入高とは

仕入高(しいれだか)とは、販売を目的として購入した商品や材料などの費用を計上する時に使用する勘定科目です。
損益計算書では「仕入高(しいれだか)」、仕訳では「仕入(しいれ)」と表記します。

(1)仕入高に該当する費用

仕入の際には、商品の購入代金のほか、運送料や購入手数料などの付随費用が発生しますが、これらも仕入金額に含めて処理をします。

海外から商品を輸入する場合には、商品代金以外に関税、輸入消費税、運送保険料などの付随費用がかかります。この場合、輸入消費税は「仮払消費税(補助科目に輸入消費税を設定)」で処理しますが、商品代金、関税、運送保険料、運送費そのほか仕入にかかる一切の経費は「仕入高」で処理をします。

仕入に該当するもの

・商品の仕入
・製品の仕入
・材料の仕入
・購入手数料
・運送料
・荷役費
・引取運賃
・関税
・運送保険料

(2)仕入を計上する時期とは

どのタイミングで仕入と認識するかについては、入荷基準、検収基準などがあります。

・入荷基準:商品、製品等が入荷した時点
・検収基準:入荷した商品等の検収をした時点

合理的な基準を採用したらその基準にしたがって計上することになりますが、採用した基準は継続して適用する必要があります。

(3)仕入値引・仕入割引・仕入戻し高・仕入割戻高の意味

仕入高の処理については、「不良品があり、返品した」「商品自体を返品した」などさまざまなケースが発生します。
それぞれのケースに応じて、仕入値引、仕入戻し、仕入割戻しといった個別の勘定科目で処理を行ないます。

勘定科目 読み方 内容
仕入値引 しいれねびき 仕入れた商品の数量不足、品質不良、破損などの理由で値引きを受けた場合
仕入戻し しいれもどし 仕入れた商品の品質不良、荷の痛みなどの理由で返品した場合
仕入割戻 しいれわりもどし いわゆるリベートといわれるもので、一定の期間に多額・多量の仕入を行ったことに対して代金の一部が返金されたもの
仕入割引 しいれわりびき 仕入代金を支払期日より前に支払った時や手形決済しているところを特別に現金決済した場合などに、支払い先から受ける仕入代金の割引額のこと。仕入取引から生じたものではなく、代金の支払い取引から生じる収益であり、受取利息に近い性質をもつことから、「仕入高」のマイナスではなく「仕入割引」として新たに設定する。
損益計算書上は「仕入割引」として、営業外収益に区分に表示される。

仕入高のよくある仕訳

仕入高の処理については、予定された決済日より早く決済することで割引を受けられることがあります(仕入割引)。帳簿上は、代金を早く支払うことで割引を受ける分を「仕入割引」(収益)として仕訳します。

また、一度にたくさんの商品を仕入れた場合に、代金の一部を戻してもらうことがあります(仕入割戻(リベート))。

ここでは、仕入に関するよくある仕訳例についてご紹介します。

(1)現金で購入した

「商品20万円を、現金で仕入れた。」

借方 貸方
仕入 200,000 現金 200,000

(2)掛けで購入した

「商品20万円を、掛けで仕入れた。」

借方 貸方
仕入 200,000 買掛金 200,000

「商品20万円を、掛けで仕入れ、送料5,000円は現金で支払った。」

借方 貸方
仕入 55,000 買掛金 50,000
現金 5,000

(3)仕入れた商品に不良品があった(仕入値引)

「購入した商品に不良品が混入していたため、1,000円の値引きを受けた。」
商品の不良品等による代金の値引きは「仕入値引」で処理をします。

借方 貸方
買掛金 1,000 仕入値引 1,000

(4)仕入れた商品を返品した(仕入戻し高)

「仕入れた商品の品質不良が分かり、2万円分を返品し、現金で受け取った。」
商品自体を返品する場合には「仕入戻し高」で処理をします。
商品の不良品等による代金の値引きは「仕入値引」なので、「仕入値引・戻し高」という勘定科目で処理することもあります。

借方 貸方
現金 20,000 仕入戻し高 20,000

(5)リベートを受け取った(仕入割戻高)

「掛けで購入した商品100万円について、事前に決められていた割戻基準に基づいてリベート額5万円を買掛金から控除した。」
一定期間に多額・多量の仕入をしたことに対して代金の一部が返金された、いわゆるリベートは「仕入割戻し」で処理をします。

借方 貸方
買掛金 50,000 仕入割戻し 50,000

(6)前倒しで払うことによる割引を受けた(仕入割引)

「買掛金10万円について、全額を1カ月前倒しで決済する旨申し出たところ5,000円の割引を受け、95,000円を小切手で支払った。」
仕入期日より前に代金を決済した場合などに、支払先から受ける仕入代金の割引額は、「受取利息」に近い性質をもつものであり、仕入割引を設定します。

借方 貸方
買掛金 100,000 当座預金 95,000
仕入割引 5,000

まとめ

仕入は、モノやサービスを買うことであり、さまざまなケースに応じて個別の勘定科目で処理する必要があります。
また、仕入の計上基準にはさまざまな基準があり、会社が合理的な方法を選択することができますが、一度選択したら毎期継続して適用する必要があります。
自社の場合に、どのような計上基準を選択すればよいのか、仕入値引、仕入戻し、仕入割戻などの処理についてどのような処理が適切なのかについては、事前に税理士に説明を受けたうえで、適切に処理を行うようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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