ゴルフ会員権の会計処理

公開日:2022年04月06日
最終更新日:2022年06月04日

この記事のポイント

  • ゴルフクラブの入会金は「ゴルフ会員権」または「出資金」で処理をする。
  • ゴルフ会員権の有効期限がある場合には「長期前払費用」で処理をして有効期間で償却する。
  • 業務に関係なく利用している場合には「役員報酬」や「給与」として扱われる。

 

ゴルフクラブの入会金は、名義書換料や仲介手数料などを含めて「ゴルフ会員権」や「出資金」といった勘定科目で処理をします。
ゴルフクラブのプレー代は、「交際費」として処理をします。
なお、業務に関係なく利用している場合には「役員報酬」や「給与」として扱われるので注意が必要です。

ゴルフ会員権とは

ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場で一般客より優先的に利用する権利などさまざまな優遇サービスを受けられたり、メンバー料金でのゴルフクラブを利用できたりするゴルフクラブの会員の権利をいいます。

(1)ゴルフ会員権の種類

ゴルフ会員権は、大きく「株主会員制・預託金制・社団法人制・任意団体」の4種類があります。

株主会員制 ゴルフ会員権の所有者は、プレーをする権利に加えて株主として経営参加し、残余財産分配請求権等の権利も有する。
預託金制 預託保証金と入会金を払い込むことで、プレーをする権利を取得する。
社団法人制 ゴルフ会員権の所有者は、社団法人の構成員としての地位を有する。
任意団体 上記3つ以外の同好の士が集まりつくった会員制の団体。(日本では極めて数が少ない。)

(2)ゴルフ会員権に該当するもの

ゴルフ会員権は、入会のために支出した入会金等(物件代金、入会金、名義書換料、仲介手数料など)、預託保証金などが該当します。
これらはすべて「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をします。
なお、プレー費用は「交際費」として計上します。

(3)特定の役員や従業員が利用する場合

特定の役員や従業員名義の個人会員として入会した場合や、法人会員として入会しても特定の役員や従業員が業務に関係なく利用している場合には、「ゴルフ会員権」や「出資金」ではなく、「役員報酬」や「給料手当」として扱われます。

(4)ゴルフ会員権の評価が下落したら「減損処理」

ゴルフ会員権は、入会のために支出したもの(入会金、名義書換料、業者への仲介手数料など)を、取得価額で評価します。
ただし、①ゴルフ会員権で時価がある場合でその時価が著しく下落したとき、②ゴルフ会員権で時価のない場合で、その発行会社の財政状態が著しく悪化したときは、減損処理を行う必要があります。

株主会員制のゴルフ会員権
通常の有価証券と同じように、直接簿価を減少させます。

預託金制のゴルフ会員権
帳簿価額のうち、預託金を上回る額についてまず直接評価損を計上します。
そして、さらに時価が預託金の額を下回る場合には、その部分を債権の評価勘定として貸倒引当金を設定します。
また、預託保証金の回収可能性に疑義が生じたときには、債券の評価勘定として貸倒引当金を設定します。
ただし、預託保証金の回収が困難であるときには、貸倒引当金を設定しないで、ゴルフ会員権から直接差し引くこともできます。

(4)ゴルフ会員権の有効期限がある場合の処理

ゴルフ会員権には有効期限があったり脱退時に入会金が返還されなかったりするものがあります。このような場合には税務上の繰延資産(会計上は「長期前払費用」)で処理をして、有効期間にわたって償却していきます。

ゴルフ会員権の仕訳例

ゴルフ会員権は、「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をします。「出資金」は、合名会社への出資、信用金庫への出資、レジャークラブ入会金などの支出についても使用する勘定科目なので、出資金が多い場合には、他の支出と区別して管理するために「ゴルフ会員権」で計上する方がよいでしょう。

(1)ゴルフクラブに入会した

「ゴルフクラブに入会した。預託保証金700万円、入会金250万円、名義書換料55万円を支払った。振込手数料は660円であった。」
預託保証金や入会金は、資産の譲渡等の対価ではないので、消費税の課税対象とはなりません。
名義書換料や仲介手数料は、役務の提供となるので消費税の課税対象となります。

借方 貸方
ゴルフ会員権 10,000,000 普通預金 1,0050,660
雑費 600
仮払消費税等 50,060

(2)ゴルフクラブの年会費を支払った

「ゴルフクラブの年会費20万円(税抜)を支払った。振込手数料は600円であった。」

借方 貸方
交際費 200,000 普通預金 220,660
雑費 600
仮払消費税等 20,060

(3)ゴルフ会員権の名義書換をした

「社長交代のためゴルフ会員権の名義変更を行った。名義書換料として50万円(税抜)を支払った。振込手数料は600円であった。」
従来から所有しているゴルフ会員権の名義書換料は「交際費」で処理をします。名義書換料は、消費税の課税対象となります。

借方 貸方
交際費 500,000 普通預金 550,660
雑費 600
仮払消費税等 50,060

(4)ゴルフクラブでプレーした

「ゴルフクラブでプレーし、現金で2万円(税抜)を支払った。」
プレー代は「交際費」で処理をします。

借方 貸方
交際費 20,000 現金 22,000
仮払消費税等 2,000

(5)ゴルフクラブを脱退した

「従業員の福利厚生目的で入会したゴルフクラブを脱退した。
出資金50万円のうち20万円は償却され、残額が普通預金口座に振り込まれた。入会から3年以内の脱退は20%、5年以内の脱退は10%が償却される契約となっている。」

借方 貸方
普通預金 400,000 出資金 500,000
福利厚生費 100,000

まとめ

以上、ゴルフ会員権の会計処理についてご紹介しました。
ゴルフ会員権は、「ゴルフ会員権」または「出資金」という勘定科目で処理をしますが、プレー代や「名義書換料」は「交際費」で処理をします。
また、業務に関係なく利用する場合には、個人会員はもちろん法人会員であっても、税務上は利用者個人への給与として取り扱われます。

ゴルフ会員権の会計処理について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中からゴルフ会員権の会計処理について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

ゴルフ会員権の会計処理について相談できる税理士をさがす

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、ゴルフ会員権の処理について相談することができます。

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop