新株予約権とは|意味や手続き、仕訳をわかりやすく

公開日:2019年12月24日
最終更新日:2022年04月25日

この記事のポイント

  • 新株予約権とは、あらかじめ定められた条件で株式を取得する権利。
  • 新株予約権者が権利行使すると、新株の発行または自己株式を移転する義務を負う。
  • 新株予約権は、貸借対照表の「純資産の部」に計上される。

 

新株予約権とは、新株予約権者が会社に対して権利行使をすることで、当該会社の株式の交付を受けることができる権利をいいます。
発行される株式の数や権利に関する条件などはあらかじめ決められていて、取得者が権利を行使するかしないかは自由に選択することができます。

なお、「新株」という名前がついているからといって、株式が新規発行されるケースばかりとは限りません。会社が保有する自社株式が交付されることもあります。

新株予約権とは

新株予約権とは、新株予約権者があらかじめ定められた条件で株式を取得する権利のことをいいます。
「あらかじめ決められた条件」とは、たとえば会社Aの株式を1株1000円で買えるといった条件のことです。また、「権利」であることから、行使するかしないかは自由に選択することができます。

新株予約権の行使によって発行される株式数や、新株予約権を行使できる機関などによる権利などの条件は、あらかじめ発行前に取り決められ、取得する人との間で合意がなされています。
会社は、権利行使を受けた時には、新株予約権者に対して新株を発行、または保有する自己株式を負います。

(1)新株予約権は「純資産の部」に表示される

新株予約権は、将来権利行使されたら払込資本となる可能性がありますが、一方で失効して発行資本とならない可能性もあり、従来は仮勘定として負債の部に計上されていました。
しかし、新株予約権は返済義務のある負債ではないことから、資本の部が見直され「純資産の部」に計上されることとなりました。
なお、新株予約権は潜在的な株式の発行ではありますが、株主と異なり新株予約権者の取引によるものであることから、株主資本には含まれません。
また、新株予約権が行使されずに権利行使期間が満了し、結果的に権利失効した場合には、利益として処理をします。

(2)新株予約権とストックオプションの違い

新株予約権が、新株予約権者が会社に対して権利行使することで当該会社の株式の交付を受けることができる権利であるのに対して、ストックオプションとは、役員・従業員に対して業務執行や労働の対価として自社の新株予約権を付与する制度である点で異なります。
取締役や従業員は、将来株価が上昇した時点で権利行使を行い、会社の株式を取得して売却することで、株価上昇分の報酬を得ることができます。
新株予約権は、新株予約権付社債としてセットで発行することもできますし、ストックオプションを目的として単独で発行することもできます。

ストックオプションを付与した場合には、役員報酬または給与を費用として計上し、権利行使または失効が確定するまで新株予約権として貸借対照表の純資産の部に計上します。

(3)新株予約権の関連用語

新株予約権の発行手続きについてご紹介する前に、新株予約権の基本的な用語について理解しておきましょう。
まず、「発行」「割当」「付与」「取得」のそれぞれの意味です。新株予約権の「発行」「割当」「付与」「取得」は、実は同じ事象をあらわす用語です。誰から見たかという視点から用語が変わります。

「発行」
会社側からみた用語です。

「割当・付与」
会社側から見た場合に、ある者に対し新株予約権を与えることを意味する用語です。割当・付与は同義で使用されます。割当は会社法で、付与は会計で使われます。

「取得」
新株予約権者(受け取る側)から見た用語です。タイミングは割当と同じです。

「発行価額」
新株予約権自体の対価のことです。取得者が従業員である場合には、金銭の支払いはなく、発行価額が0円ということもあります。

「取得価額」
発行価額が発行する会社から見た時に使用する用語であるのに対し、取得価額は取得者から見た時に使用する用語です。基本的には同じ意味ですが、取得価額に付随費用が含まれる点だけ異なります。

「行使価格」
新株予約権を行使して、株式を取得する場合の1株当たりの価額のことです。行使価格は発行時に決められているので、株価の影響は受けません。

新株予約権の手続きの流れ

新株予約権の発行手続きは、主に以下の流れで行います。
新株予約権は、①から③までの段階で発行され、④は、新株予約権の管理のための準備行為に当たります。また、⑤の登記とは、将来発行される可能性のある株式の情報を開示する行為をいいます。

①取締役会会議による発行要領の決定
②発行のパターンごとの手続き
③引受け(申込み・割当)
④新株予約権発行後の管理
⑤登記

(1)新株予約権発行要領の策定

取締役会設置会社の場合には取締役会の決議、取締役会非設置会社の場合は、株主総会の特別決議を経て発行します。
なお、定款で定めることにより上記とは異なる決議機関とすることも認められます。

そして、新株予約権を行使した場合に、どんな種類の株式を何株もらえるかなどについて決めておきます。
また、割当日の2週間前までには、当該募集事項について株主に対して通知または公告をする必要があります。

発行要領に記載すべき主な内容は以下のとおりです。

①新株予約権の名称
②新株予約権の内容および目的
③新株予約権の割当の対象者およびその人数、割り当てる新株予約権の数
④新株予約権の総数
⑤新株予約権の目的である株式の種類および数
⑥新株予約権の払込金額
⑦新株予約権の払込金額の算定方法
⑧新株予約権の割当日
⑨新株予約権の行使条件
⑩新株予約権を行使することができる期間
⑪譲渡による新株予約権の取得の制限
⑫新株予約権の行使により株式を発行する場合に増加する資本金及び資本準備金の額
⑬新株予約権の取得に関する事項
⑭譲渡による新株予約権の取得の制限
⑮組織再編行為に伴う新株予約権の交付に関する事項
⑯新株予約権を行使した際に生ずる 1 株に満たない端数の取決め
など

参照:会社法第238条

(2)新株予約権の申込み・割当・払込

新株予約権引受申込証による申し込みを受けて、申込者に対して新株予約権を割り当てます。
払込については、ストックオプションの場合には無償なので問題になりませんが、有償発行した場合には、払込期日や払込取扱場所において発行価額を払い込んでもらう必要があります。
新株予約権証券を発行するか否かは、会社の任意ですが、ストックオプションの場合には、権利者の請求があった時に発行します。

(3)新株予約権発行後の管理・登記

新株予約権を発行した後の管理体制について準備を行います。
まずは、新株予約権原簿を作成します。新株予約権原簿とは、新株予約権を発行した最初の状態を記録するもので、新株予約権証券を発行していない新株予約権の譲渡は、その新株予約権を取得した者の氏名(名称)・住所を新株予約権原簿に記載(記録)する必要があります。

また、新株予約権を割り当てると、割当日から2週間以内に管轄法務局へ募集新株予約権の発行に基づく登記申請を行う必要があります。
登記事項は、新株予約権の基本的発行条件で、新株予約権の目的である株式の数または算定法、新株予約権の行使に際して出資される財産の価額または算定法などを記載します。また、以下の添付書類が必要です。

①発行を決議した株主総会や取締役会議事録
②新株予約権の申し込みまたは引受けを証する書面
③新株予約権の発行価額の全額の払い込みがあったことを証する書面

新株予約権の処理

新株予約権の会計処理については、時価発行の場合と、無償または低額発行の場合の大きく2つに分類することができます。ここでは、時価発行の場合の会計処理についてご紹介します。

(1)新株予約権を発行したとき

「新株予約権を発行し、10万円の払込を受けた。」
新株予約権を時価に基づいて有償で発行する時には、新株予約権の発行に伴う払込金額を、純資産の部に「新株予約権」として計上します。

借方 貸方
普通預金 100,000 新株予約権 100,000

(2)新株予約権を行使したとき

「新株予約権が行使され、新株を発行した。新株予約権の行使に伴う払込金額は100万円であり、払込合計価額の1/2を資本金とし、残金は資本準備金とした。」

新株予約権が行使された場合には、新株予約権の発行時の払込金額と、新株予約権の行使に伴う払込金額の合計額を、資本金または資本準備金に振り替えます。

借方 貸方
普通預金 1,000,000 資本金 550,000
新株予約権 100,000 資本準備金 550,000

(3)新株予約権が失効したとき

「新株予約権が行使されず、権利行使期間が完了し失効した。」

新株予約権が行使されずに権利行使期間が満了して、新株予約権が失効した場合には、失効に対応する額を失効が確定した期の利益として処理をします。

借方 貸方
新株予約権 200,000 新株予約権戻入益 200,000

まとめ

以上、新株予約権の発行手続きや必要となる会計処理などについてご紹介しました。
新株予約権は、会社が発行する株を買える権利のことです。したがって、あくまでも潜在的な株式ということがいえます。
そして、新株予約権を発行するためには、株主総会または取締役会の決議、新株予約権の申込み、新株予約権の割当、新株予約権原簿の作成、新株予約権の登記などが必要ですし、適切な会計処理も行わなければなりません。
新株予約権の発行を検討している場合には、新株予約権の発行手続きや必要な会計処理について税理士のサポートを受けることをおすすめします。

新株予約権について相談する

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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