合同会社の設立のメリット・デメリットと手続きの方法

公開日:2018年10月31日
最終更新日:2019年09月06日

目次

  1. 合同会社とは
    • 社員自身が出資者(株主)
    • 出資者の責任範囲が「有限責任」
  2. 合同会社のメリット
    • 設立費用が安い
    • 決算の公告義務がない
    • 役員の変更登記が必要ない
    • 「有限責任」なのでリスク小
  3. 合同会社のデメリット
    • 知名度が低い
    • 上場できない
  4. 合同会社設立の流れ
    • 1. 商号・本店を決める
    • 2. 会社の代表印をつくる
    • 3. 個人の印鑑証明書をとる
    • 4. 定款の作成・認証
    • 5. 資本金の準備
    • 6. 登記の申請
    • 7. 登記事項証明書の取得
  5. 会社設立に強い税理士お探しの方

合同会社は、株式会社のように株式総会などの機関を設置する必要がなく、また設立費用を抑えることができるなどのメリットがあることから、最近は株式会社ではなく合同会社を選択する起業家も増えています。

合同会社とは

合同会社は、日本版LLC(Limited Liability Company)と呼ばれる、比較的新しい形態の会社です。
株式会社のように株主総会や取締役会などの機関を設置する必要がなく、設立費用が安く手続きも比較的簡単であるなどのメリットがあることから、合同会社の設立件数は増加傾向にあります。

引用:法務省「合同会社の登記の件数(平成20年~29年)」

社員自身が出資者(株主)

合同会社は、株式会社のような株主総会、取締役会を設置しなければならないなどの法規制がほとんどないという特徴があります。

株式会社の場合は、出資者は株主であり経営者ではありません。つまり、原則として所有と経営が分離しています。
したがって、少なくとも株主総会、取締役会の設置が必要となります。

一方、合同会社は、株式会社のような取締役会や監査役のような監視機関の設置が必要ありません。
株式会社の最高意思決定機関が株主総会であるのに対して、合同会社の最高意思決定機関は総社員です。
したがって、総社員の過半数の同意あれば意思決定を行うことができるので、株式会社よりスムーズな意思決定が可能となります。

出資者の責任範囲が「有限責任」

合同会社の出資者の責任範囲は株式会社と同様、有限責任です。
出資者が出資額までしか責任を負わないので、会社が万が一倒産しても、会社の債務を個人財産で返済する義務はありません。
※ただし、代表者個人が会社の保証人となっているケースでは、会社の債務であっても、返済する義務が生じることになります。

一方、合名会社の場合は、全員が無限責任社員であり、合資会社の一部にも無限責任社員が存在します。
無限責任とは、会社が倒産してしまった場合、会社の債務(借金)であっても、出資者の個人財産などから全額を返済しなければならないという考え方です。
つまり、出資者は出資金以上の責任を負うリスクがあるということになります。

会社の種類 合同会社(LLC) 株式会社 合名会社 合資会社
出資者の責任範囲 有限責任 有限責任 無限責任 有限責任または無限責任
最高意思決定機関 総社員の同意等 総社員の同意等 総社員の同意等 総社員の同意等

合同会社のメリット

合同会社には、株式会社より少額・短期間で設立することができるというメリットの他、柔軟な機関設計が可能であるなど、多くのメリットがあります。

設立費用が安い

株式会社では、設立時登録免許税15万円~、定款費用で9万円~かかりますが、合同会社では、登録免許税6万円~、定款費用4万円程度で設立することができます。

会社の種類 合同会社(LLC) 株式会社 合名会社 合資会社
定款費用 4万 9万 4万 4万
登録免許料 6万~ 15万~ 6万 6万

定款費用
合同会社を設立する場合も定款を作成する必要はありますが、公証人の認証が必要ないので、認証手数料と謄本代はかかりません。

登録免許料
合同会社の設立登記に関する登録免許税の金額は、資本金の1000分の7もしくは6万円のいずれか高い金額が必要です。
株式会社の場合には、登録免許税として資本金の1000分の7もしくは15万円のいずれか高い金額が必要です。

設立期間
株式会社より合同会社の方が、比較的短時間で済ませることができます。
株式会社の手続きには、発起設立と募集設立の2つの方法があります。
「発起設立」とは、家族や友人などがお金を出し合って会社の株式全部を引き受け、かつ全員が発起人になる方法で、募集設立は、広く一般の人々から株主となる人を募集する設立方法です。
発起設立の方が短期間で会社を設立することができますが、それでも、会社設立登記までは10日は必要です。
一方、合同会社の設立手続きは、「社員の決定」「定款作成」「出資金の払込」書式の作成」「設立登記の申請」で済みますので、4~5日程度で行うことができます。

決算の公告義務がない

株式会社には決算公告の義務があり、官報によって決算公告する場合には、一般的な場合でも6万円ほどの費用がかかります。
(※ただし、現状は決算公告していない株式会社も多くあります)

役員の変更登記が必要ない

株式会社の役員の任期は、原則として取締役2年、監査役4年です。
そして同一人物が引き続き取締役、監査役に就くときにも役員変更登記が必要になり、その都度登記費用がかかります。
一方、合同会社では、任期はありません。

「有限責任」なのでリスク小

前述したとおり、合同会社の出資者の責任範囲は株式会社と同様、有限責任です。
したがって、会社が倒産しても自分の出資金が返ってこないだけで済むので、さまざまな事業へのチャレンジがしやすいといえます。

例えば、介護サービス業・(介護保険適用)介護タクシー業や建設業は、許認可要件で法人格が必要なため、株式会社よりもローコストで設立ができる合同会社が選択するケースが増えています。
また、ITサービス業やコンサルタント業、保険代理店業などでも、合同会社の運営の自由さから合同会社を選択するケースが増えています。

合同会社のデメリット

合同会社は、メリットの多い会社形態ではありますが、株式会社と比較すると「知名度が低い」「上場できない」などのデメリットがあります。
最終的には、メリット・デメリットを比較検討して、自社の事業内容に沿って会社形態を決定することが必要です。

知名度が低い

合同会社は、株式会社と比較すると知名度が低く、信用の面で有利とはいえません。
株式会社はポピュラーな会社形態であり、取引先に対して安心感を与えることができます。
ただし、合同会社の設立件数の増加に伴い、今後は、合同会社の知名度は上昇していくものと思われるのであまり気にする必要はないかもしれません。

上場できない

合同会社は、株式会社のように証券市場で上場することができません。
したがって、大規模な資金調達は難しいといえます。

ただ、合同会社を設立した後に、株式会社に変更したくなった場合には、いつでも株式会社に変更することが可能です。
したがって、最初は合同会社として設立し、事業が軌道に乗ってきて資金調達が必要になれば、その時には株式会社に変更することを検討するというのでもよいでしょう。

合同会社設立の流れ

合同会社の設立は、相互に人的信頼関係を有している少人数の者が出資して、共同で事業を営むことを予定した会社です。
まず、合同会社における「社員」とは、世間一般でいう従業員のことではありません。
合同会社における「社員」は、出資者であり経営者です。出資をしない社員は存在しませんし、出資者が業務執行社員として、出資者全員で会社の業務を執行していくことになります。
なお、業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その他の人に業務執行する権利を持たせないとすることも可能です。

定款の作成から資本金の払込など、出資者全員が納得いくように、代表者が意見をうまくまとめて手続きを進めるようにしましょう。

1. 商号・本店を決める

「商号」とは、営業上使用する会社の名称のことです。
商号は、基本的に自由に決めることができますが、「名称には必ず「合同会社」を入れなければならない」「ほかの法令によって仕様が禁止されている文字(銀行や信託など)を使用することができない」などのルールに則して決定する必要があります。
また、同一場所に同一商号の登記をすることはできませんので、その点は調査する必要があります。

「本店」とは、営業上の主軸となる事業所のことで、その所在場所を「本店の所在地」といいます。
本店の所在地といっても、専用のオフィスを用意する必要はなく、代表者の自宅を本店の所在場所とすることも可能です。
なお、定款では、本店所在地は最小行政区画である市町村まで記載すればよいことになっています。
ただし、会社設立登記申請書には本店所在地の全部を記載することが必要なので、定款に市区町村まで記載した場合には、別途本店所在地を決定した議事録(決定書)が添付する必要があります。

2. 会社の代表印をつくる

会社の代表印は、登記の申請書に押印すべき代表社員が、本店を管轄する登記所に届出する必要があります。
したがって、代表印は登記所に登記申請をする前に作っておく必要があります。
代表印の届出をする時期ですが、会社設立登記の申請と同時に行うのが一般的です。

3. 個人の印鑑証明書をとる

代表社員の印鑑登録証明書(個人の実印)を準備します。
個人実印の印鑑登録証明書は、印鑑登録した役所で申請すれば入手できます。
この印鑑登録証明書は、登記申請書類に添付するために必要です。

4. 定款の作成・認証

定款とは、会社の組織や運営方法などのルールを定めたもので、国でいうと憲法のようなものです。
定款は、会社を設立するときには必ず作成しなければなりません。
定款に記載すべき事項としては、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類があります。

「絶対的記載事項」は、定款に必ず記載しなければならない事項で、事業目的、商号、本店所在地などの事項が該当します。これらが記載されていない場合には、定款自体が無効となります。

「相対的記載事項」とは、定款に記載しなければ効力を持たないとされている事項で、持ち分の譲渡、業務の執行、利益相反取引の制限や社員の損益分配の割合などの規定が該当します。
合同会社では、定款自治の範囲が広いので、相対的記載事項(定款で記載がないと効力が生じない事項)については、注意して作成することが必要です。

「任意的記載事項」は、法律の規定に違反しなければ任意に記載することができる事項で、事業年度、社員総会を開催する際の規定などが該当します。
定款に記載しなくても定款自体の効力に影響がなく、定款以外で定めることもできます

絶対的記載事項 相対的記載事項 任意的記載事項
定款に絶対に記載しなければならない事項 法律の規定によって、定款に規定がなければその効力を生じない 法律に違反しないもので、任意で記載できる事項
・目的
・商号
・本店の所在地
・社員の氏名(名称)と住所
・社員が有限責任社員であることを示す記載
・社員の出資の目的と出資の価額または評価の標準
・業務執行社員の定め
・代表社員の定め
・出資の払戻しの方法についての定め
・解散事由についての定め
・公告方法についての定め
・事業年度
・役員報酬 等

5. 資本金の準備

資本金を準備し、払込みをします。
具体的には、出資者個人の銀行口座に自分の出資金分を振込むことになります。
この払込みされた範囲で、自由に資本金の額を決定することができますが、資本金の額は1円以上である必要があります。
株式会社の場合には、払込または給付にかかわる額の2分の1以上の額を資本金としなければならないという規定がありますが、合同会社の場合には、そのような規定はありません。
ただし、出資された全額を資本金の額とするのが一般的です。

なお、節税という観点からすると、資本金は1,000万円未満の方が法人住民税の均等割を安くすることができます。
法人住民税の均等割とは、会社が黒字でも赤字でも関係なく毎期支払わなければならない税金のことで、資本金と従業員の数によって、納税額が変わります。

法人住民税の均等割は、一般的には7万円(道府県民税分2万円と市町村民税5万円)と言われています。この7万円は、最低水準(資本金等が1,000万円以下、従業員数50人以下)であり、資本金等の額や従業員の数によって、均等割の税額は変化します。
1,000万円を超えると、均等割額は18万円となります。なお、1億円を超えると均等割額は年額29万円となります。

また、資本金が1億円以下の会社の場合には、税務上は「中小企業」と位置付けられ、多くの優遇措置を受けることができます。
※ただし、親会社の資本金が5億円以上で、その親会社が株式を100%保有する完全子会社を設立した場合は、その子会社は実質的には中小企業ではないとみなされて、一定の優遇措置の適用が制限されます。

【資本金1億円以下の中小企業の主な税制上のメリット】

①少額資産の減価償却制度
通常、減価償却資産は、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数に従って減価償却します。
しかし、資本金1億円未満の会社の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産についは、すぐに損金算入することができます。

②法人税の中小企業軽減税率の適用
中小企業者等の年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(本則税率:19%)の適用期限が2年間延長され、「平成31年3月31日までに開始する事業年度」までとなりました。

参照:中小企業庁 「中小企業税制(平成29年度版)」

③中小企業等投資促進税制
機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(※税額控除は、個人事業主、資本金3,000万円以下法人が対象)が選択適用できる制度。)

参照:中小企業庁「中小企業投資促進税制」

④中小企業技術基盤強化税制
中小企業者等(中小企業者又は農業協同組合等)がその事業年度において損金の額に算入する試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認める制度

参照:国税庁「中小企業技術基盤強化税制」

6. 登記の申請

会社が法的に成立するためには本店の所在地を管轄する法務局において登記の申請をする必要があります。
具体的には、決定書、資本金証明書、設立登記申請書、印鑑届出書などを作成し、提出します。

決定書
定款で、代表社員や具体的な本店所在地、資本金額を定めていない場合には、「代表社員決定書」「本店所在地決定書」「資本金決定書」を作成する必要があります。

資本金証明書
設立登記申請の申請書には、資本金証明書を添付しなければならないとされています。
資本金証明書とは、資本金の額の計上に関する証明書のことです。
ただし、出資に係る財産が金銭のみである場合には、書面の添付は当分の間必要ないとされています。

設立登記申請書
設立登記申請書には、次の①~⑬すべての事項を記載する必要があります。

①商号
②本店所在地
③登記の事由
④登記すべき事項
⑤課税標準金額
⑥登記免許税
⑦添付書類
⑧申請の年月日
⑨申請人である合同会社の商号と本店
⑩代表者の氏名または名称・住所
⑪代理人によって申請する場合には、その氏名及び住所
⑫連絡先の電話番号
⑬登記所の表示

7. 登記事項証明書の取得

登記申請が済んだら、印鑑カードの交付を申請します。

この印鑑カードでは、「法人の印鑑証明書」の交付を受けることができます。銀行口座の開設の際に必要となりますので交付を受けておきましょう。

また、登記完了後は、登記事項申請書を取得できます。
登記事項申請書も、銀行口座の開設や法人税の設立届や社会保険の新規適用届の添付書類として必要になりますので、3~4通取得しておくとよいでしょう。

会社設立に強い税理士お探しの方

以上、合同会社(LLC)のメリット・デメリット・設立手続きについて説明しました。
顧問税理士がまだいない方は、無料で使える税理士検索freeeで2000以上の事務所の中から経歴、エリア別、ITや女性等の様々な条件で希望に合う税理士・会計士・社労士の認定アドバイザーに出会うことができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

会社設立・起業に強い税理士や融資・資金調達に強い税理士を探して相談してみるのもおすすめです。

会社設立・起業に強い税理士を探す

普通法人設立(株式/合同/合資など)にノウハウを持つ税理士を探す

地域から普通法人設立(株式/合同/合資など)に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop