起業する前に決めておきたい5つのこと

公開日:2019年07月10日
最終更新日:2019年07月10日

目次

  1. 事業計画を立てる
    • 情報収集する
    • 計数感覚を磨く
    • 事業計画書を作成する
  2. 個人事業主か法人か決める
    • 個人事業主のメリット
    • 法人のメリット
  3. 自己資金と借入のバランスを考える
    • 起業資金の50%は自己資金
  4. 必要な手続きを知る
    • 個人事業主の開業手続き
    • 会社の設立手続き
  5. 会計・経理を知る
    • 必要な会計・経理作業とは
  6. まとめ
    • 税理士に相談したい人
    • 個人事業主を起業する人
    • 会社を設立する人

この記事のポイント

  • 起業する場絵には、必要な情報を収集し事前準備が必要となる。
  • 起業する方法は大きく「個人事業主」と「法人」がある。
  • 経理作業は必ず必要となる。効率的に行うためには会計ソフトの活用がおすすめ。

 

「起業したい!」と思った時には、あわてて行動を起こさず、しっかりとした事前準備が必要です。行動力、営業力、資金力などを高めることはもちろん、必要な知識や情報を幅広く集めることも必要となります。

ここでは、起業する前に最低限決めておきたい5つのポイントをご紹介します。

起業する前に決めておきたい5つのこと

自分で考え、自分で利益を生み出す「起業」は、大きなやりがいと成果をもたらしてくれるとても素晴らしいことです。
しかし、せっかく起業してもその多くが1年以内に廃業しているというデータがあります。


中小企業白書のデータによれば、個人事業主の場合には1年以内に4割が廃業し、会社の場合には1年で2割が廃業しています。
廃業の原因はさまざまですが、起業直後は、企業経営を行う上で必要な、資金管理、技術・製品、市場へのアプローチなど種々の知識やノウハウが乏しいことも原因のひとつと指摘されています。なお上記データでは、3~4年はかけて事業が安定させると、その後の生存率は96%と高いということも指摘されています。
引用:中小企業白書「事業の存続・倒産と再生」

起業し事業を継続していくためには起業してから1年目が勝負であるということ、そして1年目を乗り切るためには、起業前に十分な検討が必要であるということがいえるでしょう。

事業計画を立てる

起業への情熱が先行してしまい、情報収集を行うことや事業計画を立てることがおろそかになってしまっているケースがあります。
しかし、経営者は常に問題意識を持って物事を見ることが大切です。
そこで起業前には自身のビジネスについて、客観的な事実を裏づけにして仮説を立て、事業計画を立てることが重要です。

情報収集する

情報収集の方法はさまざまですが、経済誌や業界紙、テレビ、ネットなど複数のメディアを使い分けてコアな情報を得るよう、心がけましょう。
専門的な事業でない限り、顧客は一般的な人々であることがほとんどですが、「一般的な人々のニーズ」は新聞、雑誌、ネットなどを見渡すことで具体的なイメージが浮かび上がるものです。ニーズを正確に把握することは、求める事業を行ううえでも「誰に、何を、どうやって売るか」といった指針にもなります。

飲食店などを開業するのであれば、候補地の立地や人の流れ、料理の質や価格帯なども重要な情報収集ポイントです。

計数感覚を磨く

事業を行ううえでは、経営全般に関わる知識、計数感覚(企業活動と計数の動きを関連付けて考えることができる能力)が必須です。
特に決算書を読めるようになると、「利益を増やすためには何をすればよいのか」が具体的に分かるようになります。
体系的に知識を身につけるためには、簿記などを学ぶのも有効ですが、会計ソフトを活用すれば、収益レポート、費用レポートなどで経営状況を確認することができます。
ただし、これらのレポートを見る上で必要な最低限の計数感覚は必要となります。

起業に精通している税理士に相談すれば、起業に関する心構えから税務に関する知識、事業計画書の作成ポイントなどについてサポートを受けることができます。
また、独立・開業支援を行う商工会議所やハローワークのセミナーなどを利用するのもよいでしょう。

事業計画書を作成する

自分自身の事業の方向性、販路、社会的意義などがイメージしたら、それを事業計画として具体的にアウトプットしていきます。
起業したあと販路を開拓し事業を成長させるためには、事業に共感し共にリスクを負って進んでくれる補佐役(出資者や共同経営者)が必要となることがあります。
補佐役には、計画的に事業を推進するという説明を行わなければなりません。
資本構成はどうするか、将来の増資計画はあるか、役員構成はどうするかなど、明確な事業計画を作成し情報共有することが必要になります。

事業計画は、最終的には一件の「最善計画」といえるようになるまで検討します。
「これが最善の計画だ」と自分自身納得できるよう、十分に情報収集し再検討した計画を立てることで、誰に対しても自身をもって説明することができるようになります。

個人事業主か法人か決める

起業するということは、さまざまなリスクが伴います。
サラリーマンであるなら、起業後は安定した収入が保証されないということになります。また、大きな病気やケガをして仕事ができなくなることもあるでしょう。そういう時に備えて貯金をすることも必要となりますし、老後の生活資金の確保も、自分で何とかしなかえればならなくなります。
これらのリスクを十分理解したうえで「やはり起業したい!」と思ったら、次に考えるのは、どのような形態で起業をするかということです。

個人事業主のメリット

個人事業主は設立費用などがほとんどかからないので、小規模で始めて事業を軌道に乗せてから法人化を考えたい、という人は個人事業主で起業するのがおすすめです。
個人事業主のメリット・デメリットは、主に以下のようなものがあります。

① 起業・設立費が安い
会社の資本金は1円からOKですが、設立費用は25万円ほどかかります。
これに対して個人事業主は、ほとんど費用がかかりません。

②均等割がない
会社は、赤字でも法人住民税の「均等割」を支払う必要があります。
個人事業主には、このような「均等割」はありません。

③確定申告が楽
独立したら、必ず確定申告をしなければなりません。
しかし、会社で行う開業作業の方が面倒で、煩雑な作業が必要となります。

④消費税の免税制度を有利に使える
消費税とは、一定の消費に対して所定の税金を徴収するものです。
独立後2事業年度分は免税事業者となるので、個人事業主でスタートし、2年間納付免除を受け、その後法人化すると、さらにそこから2年間納付免除されることになります。
したがって、消費税の納付は最大4年間免除されることになります。

⑤ 毎日の経理作業がラク
会社にすると、個人事業主より厳しい経理上のルールが発生します。
ただし会計ソフトを使えば、会社の経理作業もそれほど難しくありませんし、簿記の知識がなくても経理作業を行うことができます。

法人のメリット

法人化するメリットは、節税できる、社会的な信用を得ることができるなどさまざまです。売り上げが上がってきたら、個人事業主でいるより法人化した方がメリットは多くなります。

① 税金を安くすることができる
個人と会社では、税金のかかり方が違います。
個人では、売上から必要経費を差し引いた残りが所得となり、これに対して所得税や住民税が課せられます。
一方法人化すると、事業で得られた利益はすべて会社の売上となり、社長個人の所得は会社から支払われる報酬のみとなります。そしてこれに対して社長個人の所得税や住民税が課せられるのです。

個人事業主か法人化するかを検討する際には、社長個人で支払う所得税や住民税、会社で支払う法人税・住民税を合算し、個人事業主の所得税や住民税と比較してみることが大切です。

② 赤字を繰越すことができる
個人事業主は確定申告をする必要がありますが、この確定申告を青色申告で行うと、赤字となった場合にその赤字を翌年度以降に持越して黒字だった決算期に相殺できるという「青色欠損金の繰越控除」という制度が適用されます。
個人事業主の場合、繰越損失は3年間持越せますが、会社の場合には繰越控除できる期間が9年間に延びます。

たとえば、9年間毎年赤字を出し、本年度1,000万円の黒字を出したケースで比較すると、
会社の場合
9年間繰り越すことができるので、
1,000万円-900万円=100万円となり、100万円に税金がかかることになります。

個人事業主
3年間しか繰越できないので、
1,000万円-300万円=700万円となり、700万円に税金がかかることになります。

③ 資金調達が有利
金融機関は、融資する際に相手の事業がどんな状況かを精査します。そして、そのために決算書の提出を求めてきます。
会社はこの決算書を毎期作成しているので、提出を求められた時にもスムーズに対応することができます。

④ 社会的な信用を得られる
会社は登記をするので誰でも事業の内容を知ることができるので、信用を得ることができます。これに対して個人事業主は登記などが必要ないため、会社と比較すると信用を得るのが難しくなります。
なかには「個人事業主とは仕事をしない」という企業もあります。

⑤事業承継がスムーズ
個人事業主が亡くなると、遺産相続が決まるまで銀行口座が凍結され、1円も引き出すことができなくなります。これに対して、会社が所有する財産や会社に所有権があるので、会社名義の口座は凍結されずいつでもお金を引き出すことができるので、業務遂行に支障が少なくて済みます。

自己資金と借入のバランスを考える

起業する際には、「起業資金」「運転資金」「当面の生活費」の3つの資金を把握して、自己資金でどこまでまかなえるかを検討します。
いくら用意すべきかについては、個々の状況によりますが、3~6カ月程度の生活費(家賃、光熱費、通信費、交通費、給与)は見ておくと安心でしょう。

起業資金の50%は自己資金

起業資金の50%は自己資金で用意するのが理想です。
足りない資金については借入を検討しますが、起業前の個人に融資をしてくれる金融機関はまずないと思っていた方がよいでしょう。
そんな時に活用したいのが、日本政策金融公庫の創業融資制度です。
日本政策金融公庫とは、株式の100%を国が常時保有する特殊な会社で、起業前または起業間もない会社でも、融資を受けられる可能性があります。

「日本政策金融公庫から融資を受けるための手続きと必要書類」を読む

「中小企業庁調査データ「開業時のタイプ別資金調達法BEST5」を読む

土地や家屋を売却して現金化することを検討する人もいますが、資金繰りが悪化した時の備えという点から、これは最終手段と考えておきたいものです。

必要な手続きを知る

起業に必要な手続きは、個人事業主か会社か大きく異なりますが、会社を設立する方が多くの手続きが必要となります。

個人事業主の開業手続き

個人事業主として開業する場合には、会社を設立する際に必要となる定款の認証や陶器の申請は必要ありませんが、税務署や都道府県に提出しなければならない書類があります。

①個人事業の開廃業届出書
個人事業主が開業する際には、まず「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を納税地の税務署に提出しなければなりません。

②所得税の青色申告承認申請書
確定申告を青色申告で行う時に必要となる書類です。
青色申告は、前述した「純損失の3年繰越」の他にも節税につながる特例があります。
なお、家族を従業員として給与を支払う場合には「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要になります。

③事業開始等申告書
自治体に対して、個人事業を開業したことを証明するために、都道府県と市区町村に提出する必要があります。

「個人事業主の開業|必要な届出・起業資金・確定申告」を読む

会社の設立手続き

会社を設立するためには、商号や定款を作成しなければなりません。
また、定款を作成したら公証役場に認証を受けに行く必要がありますし、法務局に登記の申請をする必要があります。
また、税務署に法人設立届出書や法人の設立届出書(地方税)などを提出する必要があります。

「会社設立・開業時に税務署に申請する届出一覧」を読む

会計・経理を知る

起業したら、サラリーマンのように毎月の給与をもらうことができなくなります。
そこで、起業した後どのような税金がかかるのかという知識や、資金繰りを把握するための会計・経理業務について知っておく必要があります。

必要な会計・経理作業とは

会計・経理作業とは、出納業務と会計業務、給与の支払や税金の納付など、お金に関する作業全般をいいます。
基本的には、日々の取引を正確に記録することです。
現金を支払ったり商品の購入・引渡をしたり、納税をしたりといったお金が動く場面を記録していくことが必要です。
会社でも個人事業主でも、これらの作業を正確に行うことが必要ですが、会計ソフトを活用して管理することで、作業を効率化することができます。青色申告をする際には、現金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳などを作成する必要がありますが、会計ソフトならこれらの帳簿もほぼ自動で作成することができます。

まとめ

以上、起業前に知っておきたい5つのポイントについてご紹介しました。
起業をするということは、多くのメリットを享受できるとともに、さまざまなリスクも伴います。一攫千金の夢があると同時に、収入が不安定になるというリスクも抱えることになりますし、節税対策などについても検討する必要があります。
起業で失敗しないためには、ここでご紹介したポイントを踏まえ、成功するための準備や計画を用意周到に行うことが大切なのです。

税理士に相談したい人

起業に関する悩みは、税理士に相談するのがおすすめです。
税理士検索freeeでは、2,000以上の事務所の中から起業に精通した税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

個人事業主を起業する人

個人事業主として起業する際にも、確定申告は必要ですし適切な節税対策を行って利益を上げていかなければなりません。
顧問税理士がいれば、経営状態を常に把握できるため、状況に応じた効果的な節税対策についてアドバイスがもらえるのはもちろん、確定申告もスムーズに行うことができます。

▶ 確定申告に強い税理士を探す

会社を設立する人

会社を設立する際には、設立前から税理士に相談するのがおすすめです。
設立時期によって節税できるケースもありますし、前述したとおり個人事業主としてスタートして、その後法人成りした方がメリットがあることもあります。

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