定款とは|記載方法・注意点(サンプル付)

公開日:2019年07月10日
最終更新日:2022年04月05日

この記事のポイント

  • 定款とは、会社のルール。会社を設立する際には必ず必要。
  • 定款に記載事項は、大きく「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つ。
  • 定款は作成するだけでなく、公証人の認証を受けることが必要となる。

 

定款とは、会社のルールであり、会社を設立する際に必ず作成しなければなりません。この定款は、最初に作成したものを適宜変更しながらずっと使い続けることになります。
定款に記載することは、法律で決められている「絶対的記載事項」の他に、定めないと効力が生じない「相対的記載事項」、任意の内容である「任意的記載事項」の3つに分けることができます。

定款は会社のルール

定款とは、会社のルールを定めたもので、よく「会社の憲法」と言われます。
事業を行っていくうえでの運営方針や基本的なルールを定めたもので、会社を設立する際には必ず作成しなければなりません。

定款に記載すべき事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられています。

①絶対的記載事項
必ず記載しなければならない事項で、記載漏れがあったり記載内容が法律に違反していたりすると、その定款は無効となってしまいます。

②相対的記載事項
書いていなくてもその定款は法的には有効ですが、定款に記載してはじめて法的な効力を持つ事項です。

③任意的記載事項
定款には、法律に違反しない内容であれば、会社が任意に決めた事項を記載することができます。ただし会社設立後に定款に定めた事項を変更する時には、株主総会の決議が必要となるので、記載する際には注意が必要です。

絶対的記載事項:記載しないと無効になる
相対的記載事項:決めたら記載しなければならない
任意的記載事項:記載するかどうかは自由である

(2)定款を紙で作成する場合

定款を紙で作成する場合、これといったフォーマットはありませんが、通常はA4サイズで横書き、文字の大きさは10.5~12ポイントで作成し、片面印刷します。
定款の一般的なフォーマットは決まっているので、以下のサンプル(※ダウンロードできます)を参考にして自社の内容に沿って作成するのもよいでしょう。

以下は、一般的な定款サンプルです。
小規模な会社を設立する際の一つの事例であり網羅的な内容とはなっていません。
定款の一般的な内容を理解したうえで、行政書士などに相談して作成するようにしてください。

※クリックすると、拡大表示&ダウンロードすることができます。

定款の案ができたら、公証役場に行けば事前チェックしてもらうことができるので安心です。公証役場のチェックが終わったら、同様のものを3部作成します。
1つは「法務局へ提出用」し、もう1つは「公証役場での保管用」そして最後の1つは「会社の保管用」です。

定款は数ページになりますので、ホッチキスか製本テープでまとめます。
製本ができたら、発起人全員が実印を押します。製本テープではなくホッチキスで留めただけの場合には、すべての見開きページに発起人全員が契印を押す必要があります。
製本テープで製本した場合には、表紙と製本テープの境目だけ契印すればOKです。

(3)電子定款で作成する場合

電子定款の認証とは、署名押印する代わりに、法務省の登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトを使用して、PDF化した定款を送信することです。
電子定款の認証をすると、紙で定款認証する際に必要な収入印紙4万円が不要となりますが、揃えなければならない機器やソフトウェアがあるので、場合によっては通常の紙で行う定款認証より高くつくことがあります。
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定款に記載すべき事項

定款は、一般的には6~7章程度に分かれていて、記載する内容を分類しています。
定款に記載すべき事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられていて、各章に表題をつけて作成します。

表題 記載事項 内容
第1章 総則 ・商号
・本店所在地
・目的
・公告方法 など
会社の基本情報
第2章 株式 ・発行可能株式総数
・株式の譲渡制限の規定
・株主名簿の記載 など
株式に関する取り決め
第3章 株主総会 ・開催時期
・招集の方法
・決議要件
・議事録 など
会社の意思決定機関についての取り決め
第4章 取締役および
代表取締役
・役員の人数
・役員の任期
・役員の報酬 など
役員について
第5章 計算 ・事業年度
・剰余金の配当 など
会社の決算など
第6章 附則 ・設立時の資本金の額
・初年度の事業年度
・設立時の役員
・発起人の氏名・住所・出資・株式 など
第5章までの記載事項以外

(1)絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、記載漏れがあったり記載内容が違法であったりすると、その定款が無効になってしまうもので、具体的には以下の6つの項目があります。
絶対的記載事項は、会社の柱となる重要な事項ですから、それぞれの会社の実情や方向性に沿った内容になるよう十分検討する必要があります。

絶対的記載事項 内容
商号 会社の名前
株式会社の商号には必ず「株式会社」を入れる
目的 どのような事業を行うかについて
将来予定している事業についても入れておくと良い。法律違反となるような目的や、語句が明確でなかったり具体的でなかったりするものは認められない。
本店の所在地 町名地番は記載せず「○○県○○区」まで記載すればよい。
本店移転する際に定款変更手続きが必要となるので、最小行政区画までの記載がおすすめ。
設立に際して出資される財産の価額または最低額 会社の資本金となる出資額を決める。
「○○円以上」と最低額を記載してもよいが、出資額を「○○円」と決定しておく方が、書類作成が楽に進む。
発起人の氏名または名称および住所 お金を出す出資者を「発起人」と表現し、氏名、住所まで記載する。
発行可能な株式総数 将来増資する可能性のある株式総数を記載する。

(2)相対的記載事項

相対的記載事項とは、書いていなくてもその定款は法的には有効ですが、定款に記載するとはじめて法的な効力を持つ事項のことをいいます。
絶対的記載事項にように必ず記載しなければ定款が無効となる、というわけではありませんが、記載しないと効力は生じません。
たとえば、以下のような項目があります。

相対的記載事項 内容
取締役会、監査役などの機関設計 取締役会は、設置しないことも可能です。
現物出資 金銭以外にも、不動産屋有価証券、車、パソコンなど出資して株式を得ることもできます。このように金銭以外の財産の出資がある場合にはその内容を記載します。
財産引受 会社の設立を条件として会社は発起人から事業用の財産を譲り受けることができます。このように会社成立後に財産を譲受することが決められている場合にはその内容を記載します。
株式譲渡制限 株式譲渡制限とは、株式を譲渡する場合、会社の承認を必要とする規定です。会社が知らない間に株式の譲渡があり、会社の経営と関係のない第三者が株主となることを防ぐことができます。

(3)任意的記載事項

任意的記載事項とは、法律に違反していなければ会社が自由に決めることができる項目です。定款に書いておけば、会社のルールとして株主や取締役などの会社の機関を拘束することもできるようになります。
たとえば、以下のような項目があります。

任意的記載事項 内容
事業年度 最初の年は設立の日から事業年度がスタートします。最終日は決算日です。
株主総会の議長 通常は社長が議長です。定めのない時には株主総会で選任します。
定時株主総会の招集 収集の時期や収集通知について決める場合に記載します。
定時株主総会は、決算を迎えたあとの一定の時期に招集しなければならないので、その時期を記載します。

定款の認証

定款は作成するだけでなく、公証人の認証を経なければ、当期を申請することができません。定款の作成から認証までの主な流れは、以下の通りです。予め流れを理解し、効率よく手続きを進めましょう。

①定款作成に必要な事項を決定
  ↓
②発起人の印鑑証明書および実印の用意
  ↓
③定款の作成
  ↓
④公証役場で事前に定款の確認を受ける
  ↓
⑤公証役場に行って、正式に定款の認証を受ける
  ↓
⑥定款の謄本を取得

(1)認証手続きの流れ

定款を作成したら、公証人役場で定款の認証を受ける必要があります。
公証人役場とは、公証人が執務する事務所のことで、定款の認証は本店所在地を管轄する法務局または地方法務局所属の公証人が取り扱うことになっています。
認証とは、発起人が作成した定款に間違いがないかを公証人が確認し証明することをいいます。定款は、公証役場で認証を受けて初めて法的な効力を持ちます。

なお、ここでいう「発起人」とは、簡単にいうと「会社をつくろう」と言い出した人です。発起人は1人でも構いません。なお、発起人は必ず株主となります。

(2)定款認証の必要書類

定款認証を受ける時に必ず必要な書類は、以下のとおりです。

①押印済みの定款:3通
②発起人全員の印鑑証明書:1通ずつ
③発起人全員の実印(定款に捨印があれば不要)
④収入印紙:4万円分
⑤公証人の手数料と謄本の交付手数料:約52000円

定款認証を受ける時に、ケースによっては、以下の書類も持参しなければならないこともあります。

①委任状:公証役場に行けない発起人がいる時
②代理人の印鑑証明書:代理人が行く時
③登記事項証明書:会社が発起人の時

まとめ

以上、定款の意味や記載事項、作成方法や認証までの流れについてご紹介しました。
会社を設立する際には、定款以外にもさまざまな事項について検討する必要があります。知識や経験がまったくない人の場合には、税理士や行政書士などの専門家に依頼する方がスムーズに起業手続きを進めることができるでしょう。

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