会社の役員とは?取締役の違いは?役員になれない人とは?

公開日:2019年12月13日
最終更新日:2023年10月29日

この記事のポイント

  • 役員とは、代表取締役、取締役、監査役などの会社の機関のこと。
  • 発起人は「会社を設立しようと言い出し、お金を出す人」。役員は「会社を運営する人」。
  • 発起人がそのまま役員となり、発起人を1人・役員を1人とすることもできる。

 

会社を設立する際には、さまざまな手続きが必要ですが、そのなかのもっとも大切なことの1つが取締役や監査役などの「会社の役員」について決めることです。

取締役が1人でも会社を設立することができますが、取締役会を設置する場合には、取締役は3名必要となりますし、あわせて監査役なども必要になります。

この記事では、会社の役員の意味や役割、決め方、会社の役員と発起人との違いなどについてご紹介します。
 

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会社の役員とは

会社の役員とは、代表取締役、取締役、監査役などの会社の機関のことをいいます。
会社を設立する際には、取締役を決める必要がありますが、取締役を何人にするか、監査役を置くか、取締役会を設置するかなどの会社の機関設計は、会社が自由に決めることができます。

(1)会社の役員と発起人との違い

会社の役員と発起人の違いについてですが、発起人は「会社を設立しようと言い出し、お金を出す人」で、役員は「会社を運営する人」です。
発起人がそのまま役員となり、発起人を1人・役員を1人とすることもできます。

発起人は、会社を設立するために出資し、会社の設立後には株主となりますが、設立する際には、①会社の概要を決め、②定款を作成し、③資本金の振込(出資)などを行い、④会社設立に必要な開業準備(設立手続き、賃貸借契約など)を行ない、⑤取締役などの役員を選任します。

したがって誰が発起人になるか決まったら、早めに役員を決めるようにしましょう。中小企業は「発起人=役員」ということが多いものですが、この場合にはお金を出す人が経営も行っていくことになります。

(2)会社の役員の役割

株式会社は、取締役が1名以上必要です。ただし、取締役会を設置する場合には、取締役は3名必要になります。

役員は、設立時に現物出資財産について定款に記載または記録された金額が妥当か否か、出資が終わっているか、弁護士や税理士などによる現物出資財産に関する証明が妥当かなどについて調査を行います。

取締役会を設置しない場合には、取締役全員に代表権があります。特定の取締役に代表権を持たせたい場合には、代表取締役を決めることができますが、取締役が1名であればその人が自動的に代表取締役となります。
また、取締役会を設置しない場合には監査役は不要です。

また、取締役会を置く場合はもちろん、置かない場合でも取締役の中から代表取締役を1人決める必要があります。代表取締役は取締役の中から選び、その人が会社を代表することになります。取締役が1人の場合には、その人が代表取締役になります。

取締役会とは、取締役3名以上から成る会社の業務執行の意思決定機関です。取締役会を設置すると、会社の業務について取締役会という会議で意思決定をし、それを代表取締役や取締役が実行していくことになります。

取締役会を設置した方がよいのは、大手企業と取引する場合などです。取締役会を設置していれば、コンプライアンスのしっかりした会社だと見せることができるからです。
ただし取締役会を設置する場合には、役員報酬の支払いなどコストがかかりますし、株主の権限が取締役会を置いていない会社に比べると弱いなどのデメリットもあります。

後々のトラブルを避けるためにも、司法書士などの専門家に相談して、しっかりとした定款を作成してもらうようにしましょう。

(3)会社の役員の任期

役員は、一度選ばれればその職務に永遠に就くというわけではありません。
取締役にも監査役にも、それぞれ任期(職務に就いている機関)があります。
任期が終わり、引き続き同じ人が取締役などになる場合には、「重任」の登記をしなければなりません。また、任期の途中で取締役などを辞める場合には「辞任」の登記が必要となります。

取締役は2年
取締役の任期は2年です。
正確には、取締役に選任されてから2年以内に終了する最後の事業年度に関して、決算承認の決議がなされた定時株主総会が終わる時までが任期となります。
取締役の任期は長いほどよいと思いがちですが、任期途中で解任したいと思った時には、正当な理由がないと損害賠償を請求される可能性がありますので、注意が必要です。

監査役は4年
監査役の任期は4年です。
選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最後の事業年度に関して、決算承認の決議がなされた定時株主総会が終わる時までが任期となります。

譲渡制限会社は10年とすることもできる
取締役と監査役の任期は、それぞれ2年と4年ですが、譲渡制限会社の場合には、いずれも任期を10年まで延ばすことができます。

※譲渡制限会社とは、会社が許可した人のみに株式の譲渡を認める規定を設けている会社で、中小企業の多くが設定しています。知らない間に会社と関係ない第三者が株式を取得して、経営に支障が出るような事態を回避するための規定です。

全部の種類の株式が、譲渡制限株式である会社については、取締役も監査役もともに選任後10年以内に終了する事業年度のうち最後の事業年度にかかる定時株主総会の終結の時まで任期を延ばすことができます。
任期が終了したら、新たに取締役、監査役を選任し、登記をする必要があります。手続きは面倒であるうえに、登記をするたびに印紙代がかかりますので、取締役が1人という場合には、1番長い10年にしておきましょう。
ただし、身内以外の人を役員にする場合には人間関係も変化しますので、2年や4年に設定しておく方が無難でしょう。

会社の役員になれる人・なれない人

取締役は会社の経営を担い、会社を実際に動かしていく役割を担います。
会社の業績が上がるのも下がるのも、この取締役の手腕にかかっていますので、慎重に人選をしましょう。
取締役は、必ずしも発起人がなる必要はなく、外部の人を選ぶこともできます。経営に関して豊富な知識や経験を持つ人が取締役に就任してくれれば、設立後の経営のパートナーとなってもらうことができますから、会社にとって大きなメリットとなるでしょう。

また、取締役などの役員は、発起人と違っていくつかの制限があります。
ここでは、取締役になれる人の制限についてご紹介します。

(1)会社の役員になれない人がいる

取締役には自己破産した人でもなることはできますが、会社法などの法律に違反した人などは、取締役になることはできません。
取締役になれない人は、以下のとおりです。

①法人(株式会社など)
発起人になることはできます。

②法律に違反した人
会社法などの法律に違反したり、金融商品取引法などの法律に定められた特定の罪を犯したりして、刑の執行を負えるかもしくはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない人

③刑に処せられ、その執行を終えていない人
上記以外の規定に違反し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終えていない人、またはその執行を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中の人はのぞく)

(2)外国人も取締役になることができる

外国人も、もちろん取締役になることができます。取締役全員が外国人でもOKです。
ただし、日本での商取引を考えると、外国人といっても日本国内に住所がある人が取締役になった方がよいでしょう。発起人、取締役、代表取締役の役員は、個人の実印を書類に押すことになるので、実印を用意する必要がありますが、日本国内に住所がある外国人であれば、市区町村で実印登録を行い、印鑑証明書を取得することができるからです。

印鑑登録は、市区町村に届け出る必要があります。
この印鑑の大きさについては、市区町村によって決まりごとがある場合もあるので、事前に市区町村に問合せましょう。たとえば、東京都中央区の場合には、一辺の長さ8ミリ以上25ミリ以下の大きさが必要とされています。各自治体のホームページで確認するか、問い合わせを行ってみましょう。

なお、日本国内に住所がないと、印鑑証明書の代わりにその国の官庁や役所で、サインについて証明書を出してもらったりする必要があり、手続きは煩雑になります。

▶ 会社の印鑑|会社設立時に必要になる印鑑と印鑑の押し方ルール

(3)未成年者は法定代理人の同意が必要

未成年者は、法定代理人の同意があれば、取締役になることができます。なお、これは発起人も同様です。
ただし、意思能力(自分の行為の結果を認識・判断できる能力)は必要となります。

まとめ

以上、取締役などの会社の役員の意味、役割、決め方、取締役になれる人・なれない人などについてご紹介しました。
取締役や監査などの役員に就任するということは、その立場に応じた法的責任が生じるということです。取締役としての主な責任は、会社の利益に忠実な立場に立って職務を行うこと、善良な管理者として注意を払い管理する必要があります。
さらには、株主、従業員、取引先などの第三者に対する関係でも責任が問われ、会社の行った行為について取締役が責任を問われ、損害賠償請求されるリスクもあります。
したがって、取締役などの役員については、慎重に判断し、機関設計については税理士や弁護士など、会社設立に精通している専門家に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

なお、会社を設立する際には、役員以外にも事業年度や資本金の額を決めなければなりませんし、定款を作成して認証を受け、登記をしなければなりません。
そして、この事業年度や資本金の額によっては、設立後の税負担に大きな影響を及ぼすこともあります。
早めに税理士や司法書士、弁護士などの専門家に相談して、事業の内容に応じて適切な会社設立を行うようにしましょう。

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