個人型確定拠出年金(iDeCo)|5つのメリットと2つの注意点

公開日:2019年04月13日
最終更新日:2019年04月13日

目次

  1. 確定拠出年金とは
    • 加入できる人は?
    • 掛金はいくらまで
    • つみたてNISAとの違い
  2. 個人確定拠出年金の5つのメリット
    • (1)「積立時」の掛金が所得控除の対象
    • (2) 「運用時」の運用利益は非課税
    • (3)「受取時」にも控除がある
    • (4)運用コストが無料の運営管理機関も
    • (5)掛金の金額は年に1度変更できる
  3. 個人型確定拠出年金の2つの注意点
    • (1)拠出金が60歳になるまで受け取れない
    • (2)受け取る時に注意が必要
  4. 個人確定拠出年金の流れ
    • (1)加入(口座開設)
    • (2)掛金を払う
    • (3)運用する
    • (4)お金を受け取る
  5. まとめ
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この記事のポイント

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、自分で準備をする「私的年金」のこと。
  • 原則として20歳から60歳未満で国民年金・厚生年金加入者なら、誰でも加入可。
  • 個人型確定拠出年金の掛金は、職業や加入している年金によって異なる。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、簡単に言えば、自分で準備をする「私的年金」のことをいいます。
金融機関で口座を開設し、毎月掛け金を払って、預金や投資信託などで運用をしながら、自分の老後のための年金を作っていきます。将来の年金を自分で作ることができるだけでなく、節税効果も絶大であるという大きなメリットがあるということで注目されていましたが、平成29年(2017年)から、原則すべての人(フリーランス、会社員や公務員、専業主婦など)が加入可能になったことから、さらに人気が高まっています。

確定拠出年金とは

個人型確定拠出年金とは、自分が運用して自分で「私的年金」の準備をする年金制度です。
確定拠出年金には、会社が企業年金として実施し社員が加入する「企業型」と、個人で加入する「個人型」があります。
企業型は会社が掛金を負担しますが(個人が掛金を追加できる場合もある)、個人型は個人が掛金を負担します。個人型はiDeCo「イデコ」という愛称で人気が高まっています。

加入できる人は?

個人型確定拠出年金iDeCo「イデコ」は、原則として20歳から60歳未満で国民年金・厚生年金加入者なら、誰でも加入することができます。
以前は、公務員や企業型確定拠出年金に加入している人、専業主婦(夫)は個人型確定拠出年金に加入することができませんでしたが、平成29年(2017年)から加入することができるようになりました。

ただし、サラリーマンで企業型確定拠出年金に加入している人が、別途個人で自由に個人型確定拠出年金に加入できるかどうかについては、注意が必要です。企業型確定拠出年金に加入している社員が個人型確定拠出年金に加入するためには、会社が従来の企業型確定拠出年金の規約を変更する必要があるからです。
現状は、企業型確定拠出年金は、会社の退職金給付制度の一環として設計されているので、規約の変更まで対応してくれる会社は、現時点(2019年1月現在)では、それほど多くはないようです。
したがって、サラリーマンで企業型確定拠出年金に加入している人は、まず個々の会社の規約を確認してみましょう。
また、海外移住者、国民年金保険の免除・納付余裕者(経済的自立が難しい人など)、60歳以上の人は、個人型確定拠出年金に加入することはできません。
ただし、60歳以上の人は新規で加入することはできませんが、運用だけなら70歳まで行うことができます。

掛金はいくらまで

個人型確定拠出年金の掛金は、年間で816,000円(月額68,000円)までで、職業や加入している年金によって異なります。例えば、公務員は年間144,000円、主婦は年間276,000円で、企業型確定拠出年金に加入していないサラリーマンは、年間276,000円、フリーランスなどの自営業者は、816,000円です。
会社からもらえる企業年金などがないフリーランスの人は、サラリーマンや公務員と比較すると掛金の上限額が高く設定されています。

つみたてNISAとの違い

「つみたてながら運用する」というイメージから、個人型確定拠出年金はつみたてNISAとよく比較されます。
どちらの制度も、将来に必要なお金を自分でつくっていくために政府が導入した制度で、収益が非課税になるなど数々の優遇措置を受けることができる制度です。

ただし、つみたてNISAは年間投資可能額が40万円までであるのに対し、個人型確定拠出年金は144,000円~816,000円までと、職業や加入している年金によって幅がある点など、さまざまな点で異なります。

個人型確定拠出年金が、老後のために自分で準備をする「私的年金」であるのに対して、つみたてNISAは、子どもの将来の教育の資金や住宅の購入資金の資金を目的に利用するのがおすすめです。

「つみたてNISA(平成30年スタート)とは」って何?」を読む

個人確定拠出年金の5つのメリット

平成29年(2017年)から20歳以上の人であればほぼ全員が加入することができるようになった個人確定拠出年金は、長い人生のなかでどのような職業やライフスタイルを選択しても、安定して長期的かつ継続的に資産形成を行うことができるメリットの多い制度ですが、なかでも特に大きなメリットは「積立時」「運用時」「受取時」の3回の税制優遇です。また、掛金の金額を年に1度変更できるという柔軟性もメリットとして挙げることができます。

(1)「積立時」の掛金が所得控除の対象

個人型確定拠出年金は、掛金を支払うと、その全額が所得控除の対象となり、その年の所得税・翌年の住民税の負担を減らすことができます。
個人型確定拠出年金は、「積立時」「運用時」「受取時」の3回ですが、積立時は特に節税効果が大きく、毎月の掛け金全額がそのまままるごと所得控除の対象となり、毎年所得税と住民税が軽減されます。
所得控除とは、一定の条件を満たした時に一定の額を差し引ける控除で、社会保険料控除や扶養控除など14種類の所得控除があり、個人型確定拠出年金はそのなかの「小規模企業共済等掛金控除」に該当します。
そして、年末調整や確定申告によって納付した税金は所得と掛金に応じて還付されるのです。

「損をしない!14種類ある所得控除の受けられる人と控除額」を読む

例えば、年収500万円の人が掛金を毎月1万円(年間12万円)積み立てた場合には、年間36,000円も税負担が軽減されます。また、年収1,000万円の人が掛金を毎月1万円(年間12万円)積み立てた場合には、年間51,600円も税負担が軽減されます(つまり収入が多い人ほど節税効果は高くなります)。

(2) 「運用時」の運用利益は非課税

個人型確定拠出年金は、「運用時」の運用益が全額非課税になります。
通常、金融商品の運用で利益が生じた場合には、運用益に対して20.315%の課税されますが、個人型確定拠出年金は、運用益に対して一切課税されないため、利益が出ればそのすべてが自分の利益とすることができます。
NISAも運用益は非課税ですが、非課税期間は5年と決められていて累積投資額の上限はの600万円と決まっています。一方、個人型確定拠出年金は、年単位の上限額は決められていますが、累積投資額の総額については、上限はありません。
そして、本来税金として差し引かれる税金もそのまま再投資することができるので、効率よく資産を増やすことができるのです。
例えば、一般の証券口座であれば10,0000円の利益が出れば2031円の税金がかかりますし、20,000円の利益が出れば税金が4,063円かかりますが、確定拠出年金であれば、税金は0円です。

(3)「受取時」にも控除がある

個人型確定拠出年金は、60歳以降、積立てた資金を受け取る時には一時金か年金かで受け取ることになります。
この「受取時」には、一括して課税されることになりますが、一括で受け取る場合には、退職所得控除、年金で受け取る時には公的年金等控除が適用されるので、一定額までは非課税となります。
例えば、30年積み立てて60歳時までに一括で受け取った場合、1,500万円までは税金は課税されません。また、65歳から年金で受け取った場合、公的年金と合算して年間120万円までは税金が課税されません。

(4)運用コストが無料の運営管理機関も

個人型確定拠出年金を開始する際には、まず自分で金融機関(運営管理機関)を選ぶ必要がありますが、そこで重要となるのが手数料です。
個人型確定拠出年金は、長期間の運用を前提としているので、毎月の手数料の差も将来もらえる額に大きな影響を与えることがあるからです。
個人型確定拠出年金は加入する金融機関だけでなく国民年金基金と事務委託先金融機関にも手数料を払う必要があり、加入時や拠出時(掛金を支払う時)、給付時(受取時)の手数料は、は一律で決まっていますが、「口座管理手数料」は運営管理機関によって異なりますが、運営管理機関に支払う口座管理手数料は毎月0円であったり数百円であったりと差があります。
「たかが数百円」と思われるかもしれませんが、月に300円の手数料を20年支払えば、7,2000円になりますし、30年支払えば108,000円にもなりますので、決して軽視できない額ではないでしょうか。
したがって、口座管理手数料は無料の運営管理機関を選ぶのがおすすめです。

(5)掛金の金額は年に1度変更できる

個人型確定拠出年金の掛金の金額は、年に1度変更することができます。
「子どもの教育費がかかる時はどうすればいいのか」など、一定額を払い続ける自信がない人も多いようですが、掛金はずっと同じ金額である必要はありません。
個人型確定拠出年金は、4月から翌年の3月までの1年間に1度、掛金の金額を変更することができるのです。
状況が厳しくなれば、一時的に掛金を減らすこともできますし、掛金の支払を停止することもできます。

個人型確定拠出年金の2つの注意点

多くのメリットがある確定拠出年金ですが、2つの注意点があります。

(1)拠出金が60歳になるまで受け取れない

まず、個人型確定拠出年金は60歳まで引き出すことができません。
しかし、そもそもお金は、使う時期や目的に合わせて管理するものです。これは、資産形成の大前提です。
5年以上使う予定がないお金なら定期預金に、子どもの教育資金ならつみたてNISA、老後のために使うお金なら、個人型確定拠出年金というように、資産を分けて管理するべきなのです。
こう考えると、「60歳まで受け取ることができない」というのは、むしろ確実に老後の年金を貯めることができるというメリットとも考えることができます。

(2)受け取る時に注意が必要

個人型確定拠出年金の受け取り方法は、「一時金」「年金」「一部を一時金、残りを年金」の3つの方法があります。
「一時金」で受け取る場合には、「退職所得控除」、「年金」で受け取る場合には「公的年金等控除」が適用され、「一部を一時金、残りを年金」で受け取る場合には、この2つを組み合わせて両方の控除を受けることができます。
ただし、それぞれ非課税枠がありそれを超えると課税されることになりますので、その点については注意が必要です。
「一時金」で受け取る場合、例えば30年間で積み立てた場合、1,500万円までは非課税ですが、受け取ったお金が退職所得控除額の枠を超えると課税されます。
例えば、30年間積み立てて1,500万円を一時金として受け取った場合、1,500万円は非課税なので税金はかかりません。
しかし、1,900万円を一時金で受け取る場合には、1,900万円から退職所得控除1,500万円を差し引いた400万円の半分である200万円が退職控除となり、この200万円に所得税がかかることになります。
所得税は、課税退職所得金額によって税率は異なりますが、200万円の場合には税率は「10%-97,500円」なので、「200万円×10%-97,500円」で計算し、これに復興特別所得税2.1%がかかりますので、104,652円が課税されます。さらにこれに住民税を足すと、支払う税額は30万を超えることになります。

また、受取時にちょうど高額な退職金を受け取るタイミングになってしまうと、退職所得控除という税制優遇の上限枠を超えてしまうこともあります。このような時には、個人型確定拠出年金を年金形式で受け取ることで、税額控除が適用されることになります。

このように、受け取る時には3つの方法があり、非課税枠を最大限活用するためには、さまざまな点に注意する必要があります。したがって、自身の場合にどのように受け取るのが最もメリットがあるのかについては、事前に税理士などに相談することをおすすめします。

個人確定拠出年金の流れ

個人型確定拠出年金は、自分で金融機関(運営管理機関)を選んで加入手続きを行います。そして、これまでご紹介してきたように、毎月一定の掛金を支払い、保険商品や預金の中から自分で商品を決めて運用し、60歳以降に一時金か年金方式で受け取ることになります。

(1)加入(口座開設)

個人型確定拠出年金は、自分で金融機関(運営管理機関)を選んで、申込用紙を取り寄せ、加入審査を経て初期設定を行います。
必要書類は、運営管理機関や加入者の状況によって異なりますが、加入申出書、預金口座振替依頼書兼自動払込利用申込書、確認書、身分証明書のコピーと第二号被保険者であれば事業主の証明書などです。
申し込み後は、加入審査が行われますので、口座開設までは、およそ1~2カ月かかります。審査が完了すると国民年金基金連合会から「個人型年金加入確認通知書」が届きますので、ホームページなどで初期設定を行います。

(2)掛金を払う

確定拠出年金に加入すると、毎月一定の掛金を給与天引きか口座振替で支払っていくことになります。前述したとおり、掛金は、職業、加入している年金によって上限が異なりますが、5,000円以上、1,000円単位で設定することができます。

(3)運用する

運営管理機関が取り扱う金融商品(預金、保険商品、投資信託)の中から、自分で商品と配分割合を決めて、運用します。
「投資は抵抗がある」「元本割れはいやだ」という人は、まずは定期預金を1年間実践してみるものよいでしょう。
運用は始まると、運営管理機関から定期的に運用報告書が送られてきますので、運用状況を確認することができます。なお、運用状況は、加入者専用のWebページにログインして確認することもできます。

(4)お金を受け取る

運用してきたお金は、原則として60歳以降に一時金か年金方式で受け取ります。
受取金額は運用成果に応じて変わります。なお、60歳過ぎても引き続き70歳になるまで運用し続けることも可能です。
確定拠出年金の口座開設の方法や運営管理機関の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

まとめ

以上、個人型確定拠出年金(iDeCo)の5つのメリットと2つの注意点についてご紹介してきました。以前は国からもらえる公的年金や企業からもらえる退職金などが手厚く、老後の生活をさほど心配する必要はありませんでした。ところが、少子高齢化の進展などが原因で、これからは自分で私的年金をしっかり準備することが大切になってくるのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、老後の不安を払しょくし貯蓄や投資を継続していくことができる大変メリットのある制度ですが、有利な制度を賢く活用するためにも、疑問点や不安な点については、早めに税理士に相談することをおすすめします。

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