少額減価償却資産で一括償却して節税する

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2018年11月22日

目次

  1. 減価償却と減価償却資産
    • 減価償却の意味
    • 減価償却資産の償却方法
  2. 少額資産の一括償却
    • 少額資産とは
    •  取得費用が10万円未満
    •  使用可能期間が1年未満
    • 20万円以下なら3年で償却も可
    • 取得価額30万円未満も費用にできる
    • 経費計上するか固定資産計上するか
  3. 「少額減価償却資産の特例」を活用した節税方法
    • 「耐用年数」が短くなるケース
    • 中小企業の特例を活用
    • 税抜か税込で判定が変わる
  4. 会計ソフトの活用

記事のポイント

・減価償却士資産の償却には「定額法」「低率法」の2種類がある

・少額減価償却資産の特例を上手に使うと節税効果が?

「中小企業の節税対策|知っておくと得をする対策まとめ」はこちら

 

土地や建物などの不動産や、パソコンなど事業用の資産となる「固定資産」を購入した際、会計処理をする場合には、減価償却という方法で会計処理を行います。
減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用の全額を、その年の費用としないで、定められた耐用年数に応じて配分し、その期に相当する金額を費用に計上するものです。

しかし、青色申告では、取得価額が30万円に満たない場合には、使用開始年に一括で費用に計上できるという特典があります。
なお、この「取得価額」はその固定資産1セットの購入にかかった費用の合計です。パソコンを買った場合であれば、本体とディスプレイ、マウス、キーボードのほか、配送料、各種手数料などの費用も、この「取得価額」に合算することができます。

減価償却と減価償却資産

建物、機械、パソコン、プリンターなどは、取得した年度だけでなく、使っていくうちに価値が減少していきますが、取得した以降も何年かは働いてくれることが予想されます。
このような資産を取得年度で一括に費用に計上すると、その年度の利益に大きな影響を与えてしまい、会社の財務内容を正しく把握することができなくなってしまいます。
そこで、これらの資産については「実際に稼働すると予想される期間」で、建物、機械、パソコン、プリンターなどの費用を負担すべきとされています。
このような考え方を「減価償却」といいます。

減価償却の意味

建物、機械、パソコン、プリンターなど、使っていくうちに価値が減少していく資産を「減価償却資産」といいますが、このような減価償却資産を取得した場合には、その期に現金を支出していても、その期にはその支出の一部しか費用にすることができず、費用の計上を先送りすることになります。
したがって、減価償却をする場合には、いかに一括で償却する方法や、費用となる部分を大きくできないかといった観点で検討することが大切です。

減価償却資産の償却方法

減価償却の方法としては、「定額法」と「定率法」などの方法を用います(個人事業主の場合には、原則として定額法)。

定額法:減価償却の額が原則として毎年同額となる方法。
「取得価額×定額法の償却率」で計算。


定率法:初年度が多額で、歳とともに逓減(段々減る)していく方法。
「未償却残高×定率法の償却率」で計算。

定額法か定率法かの選択は、それぞれの資産に応じた評価方法に従います。
償却方法の選択は、納付税額に大きな影響を及ぼしますので、償却資産を取得した場合には、「減価償却資産の償却方法の届出書」を、確定申告の提出期限までに税務署に届け出ることが義務づけられていて、この届出をしなかった場合には、定率法で償却する方法を選択したとみなされます。

少額資産の一括償却

事業活動において、パソコンなどの減価償却資産を取得した場合には、その取得価額によって、費用の計上方法が異なります。
例えば、「プリンター用紙など1回限り使用する物」や「インク代など短期間で使用する物」などは消耗品に該当し、基本的に購入したタイミングで取得費用を費用に一括計上します。

しかし、車やパソコンなどの固定資産については、これまで述べてきたように長期間で使用するため、取得費用を税法上の使用可能期間である耐用年数にわたって、費用を分割計上することになっています。

例えば、耐用年数4年のパソコンを20万円で購入したとします。この場合、年平均の費用は「20万円÷4年=5万円」です。
しかし、固定資産のなかには購入金額と同額を一括で費用計上できる方法があります。それが「少額減価償却資産の一括償却」です。
この少額減価償却資産の特例は、上手に活用すると、固定資産を消耗品と同じように取得費用を購入したタイミングで費用に一括計上することができるので、節税効果が期待出来ます。

少額資産とは

少額資産とは、「取得価額が10万円に満たないもの」で、「使用できる期間が1年に満たないもの」です。

これらの少額資産は、取得した年度で一括して費用に計上することができます。

 取得費用が10万円未満

所得価額が10万円未満のものは、減価償却資産ではなく「消耗品費」として費用になります。
例えば、会計ソフトを8万円で購入したとします。ソフトウエアの耐用年数は5年ですが、取得費用の全額が費用に計上することができます。

この場合の取得価額は、通常「1セット」で判定します。
カーテンであれば、1つの部屋で数枚が組み合わされて機能すると考え、その合計額が10万円以下かどうかで判断しますし、応接セットであれば、テーブルとイスのセットで判断することになります。
応接セットを椅子7万円、テーブル8万円で購入した場合、椅子やテーブルごとで取得費用が10万円未満かどうかの判定をせず、それぞれの合計額15万円が基準となり、一括で費用計上することは認められません。

 使用可能期間が1年未満

その会社の業務内容において、一般的に消耗性があるものと認識され、かつ、その会社の平均的な使用状況、補充状況からみて、その使用可能期間が1年未満と判断されるものは、少額資産としてその金額を損金の額に算入することができます。

20万円以下なら3年で償却も可

法人税法では、減価償却資産の償却方法で特例が設けられています。
これは、取得価額が10万円以上20万円未満の少額資産であれば、耐用年数にかかわらず、3年で均等償却できるという特例です。
償却できる額を大きくすることができるので、その分税負担を軽くすることができます。

取得価額30万円未満も費用にできる

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成30年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。
中小企業といえるためには、以下の要件が必要となります。

(1)青色申告で確定申告をすること
青色申告で、確定申告することが必要です。

(2)大企業でないこと
大企業のグループ会社を除いた資本金1億円以下の法人であること
個人事業主または民間非営利団体(NPO)など資本金のない法人は従業員数1,000人以下であること

(3)経理処理で費用計上すること
仮に固定資産に計上した場合は、過去にさかのぼって費用計上することは認められません。

(4)年300万円以内であること
たとえば、25万円のパソコンは13台購入したとします。この場合、一括で費用計上が認められるのは「25万円×12台=300万円」までとなります。残り1台の25万円は固定資産に計上しなければなりません。

経費計上するか固定資産計上するか

上記の「使用可能期間が1年未満」や「取得費用が10万円未満」の固定資産を一括で費用計上するためには、経理処理で経費計上することが求められています。

仮に前述の会計ソフト8万円を固定資産に計上し、税務署へ確定申告をした場合、過去にさかのぼって「やっぱり損金にしたい」と思っても、経費計上に訂正することができなくなります。経理処理の条件を満たしていないからです。
決算前には、これらが資産として計上されていないか、しっかりチェックするようにしましょう。

「3カ月前に始めたい決算対策の方法|利益予測と納税予測・節税対策」を読む

「少額減価償却資産の特例」を活用した節税方法

これまで述べてきたように、「少額減価償却資産の特例」は、通常なら耐用年数で分割して減価償却すべき固定資産を、一括で経費として処理できるという制度です。
この少額減価償却資産の特例は、上手に活用すると、節税効果が期待できることがあります。

「耐用年数」が短くなるケース

前述したように、その会社の業務内容において、その会社の平均的な使用状況、補充状況からみて、その使用可能期間が1年未満と判断されるものは、少額資産としてその金額を損金の額に算入することができます。
したがって、例えばテレビ放映用のコマーシャルフィルムは耐用年数が2年ですが、テレビの放映期間が1年未満の場合には、その取得費用を一括で費用計上することができます。
明らかに使用可能期間が1年未満である物は、実質的に消耗品と同じと考えることができるからです。

中小企業の特例を活用

先程、中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を取得した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる特例をご紹介しました。
この特例を活用し、25万円のパソコンを10台購入して250万円支払ったとします。それが全額費用に計上できれば、利益は圧縮されることになるので、大きな節税効果が期待できます。

税抜か税込で判定が変わる

上記の取得費用や取得価額の判定基準は消費税の経理処理に委ねられています。具体的には、税抜経理または税込経理によって異なります。それでは、税抜価格29万円の備品を例にしましょう。

○税抜経理の場合
決算書の金額を税抜で表示する経理処理のことを指します。
税抜価格29万円の場合、貸借対照表には「備品29万円」と記載します。費用を一括計上するかどうかの取得費用や取得価額の判定は税抜価格29万円で行います。そのため、この備品は30万円未満となるため、費用に一括計上をすることができます。
しかし税抜経理は、消費税の課税事業者(納税義務者)に限定され、免税事業者(消費税を納める必要のない会社)は利用できません。

○税込経理の場合
決算書の金額を税込で表示する経理処理のことを指します。税抜価格29万円の備品の場合、貸借対照表には税込価格の「備品31万円3,200円」と記載します。この場合、30万円以上のため、費用を一括計上することはできません。

参照:国税庁「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」

少額資産でない資産の減価償却、する方法については下記の記事でまとめています。併せてご覧ください。

「節税効果大!減価償却する資産、償却する方法とは」を読む

会計ソフトの活用

減価償却による費用計上は、ひとつの減価償却資産に対して毎年計算します。しかし、それを手計算で行うのは大変であり、計算ミスを犯すリスクがあります。
ですが、会計ソフトを導入すれば自動で計算してくれるので簡単にミスなく解決することができます。

会計ソフトのメリットは減価償却による費用計上の金額を計算するのが簡単であり、計算ミスの防止につながる点です。具体的には、減価償却資産の購入年度に購入金額、購入日、耐用年数を入力するだけで、毎年の費用計上は自動計算してくれます。
また、毎年経費に計上する償却額の計算は、メインメニューから「固定資産台帳」を選択し、固定資産の登録を行っておけば、あとは、会計ソフトが減価償却費の計算を自動で行ってくれます。

会計ソフトって何?「クラウド会計ソフト」って何?を読む

また、中小企業の節税対策について説明している下記の記事を併せてご覧ください。

中小企業の節税対策|知っておくと得をする対策まとめ」を読む

なお、耐用年数は登録時の資産分類に従って、国税庁のホームページなどで調べて入力します。
参照:国税庁「耐用年数表」

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