利益の計算方法は?計算式から解説

公開日:2023年04月03日
最終更新日:2023年04月03日

この記事のポイント

  • 利益は、「収益 - 費用」で計算する。
  • 利益は、性質が異なる5つの利益がある。
  • それぞれの利益率は、業種によって異なるので同業他社との比較が大切。

 

1年間にどのような活動を行い、その結果としてどれくらい儲かったのか(あるいは損をしたのか)をあらわしたものが損益計算書です。
そして、損益計算書の利益は5つに区分されます。
この5つの利益はそれぞれ異なる性質を持っており、経営活動のどの段階で利益(あるいは損失)を計上しているかによって、会社の評価は異なりますし、必要な対策も異なってきます。

この記事では、5つの利益の計算方法や利益率の計算方法、業種別の利益率などについてご紹介します。

利益の計算方法

利益とは、収益から費用を差し引いた後の儲けです。
これを給料に例えると、収益が税金などを差し引かれる前の支給額に該当し、利益はいわゆる「手取り」に該当します。

収益 - 費用 = 利益

収益から費用を差し引いてプラスになれば、利益になりますし、収益から費用を差し引いてマイナスになれば、損失になります。

(1)利益は5つに区分される

収益、費用、利益を段階的にあらわしたものが損益計算書です。
損益計算書では、上から順に「収益 - 費用 = 利益」を繰り返し、最終的な利益(または損失)を計算する構成になっています。
しかし、単純にすべての収益からすべての費用を差し引いて、最終的な利益や損失を計算するわけではありません。

まず、最初に売上高から売上原価(費用)を差し引いて、売上総利益を計算し、そこから販売費及び一般管理費(費用)を差し引いて営業利益を計算する…というように、段階的に「収益-費用=利益」という計算をしながら、さまざまな観点から会社の成績を判断することができるようになっています。

売上総利益 売上高-売上原価
営業利益 売上総利益-販売費及び一般管理費
経常利益 営業利益+営業外収益-営業費用
税引前当期純利益 経常利益+特別利益-特別損失
当期純利益 税引前当期純利益-法人税等

売上原価とは、仕入原価や製造原価であり、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」は、商品力の強さをあらわします。
そして、この「売上総利益」から、会社が営業活動をするために発生した費用を差し引いた儲けが「営業利益」です。「営業利益」は、本来の営業活動から生み出された儲けです。
さらに、この「営業利益」に受取利息などの営業外収益を加え、支払利息などの営業外費用を差し引いた儲けが「経常利益」です。
次にこの「経常利益」に、土地の売却などの臨時的に発生した特別利益を加え、災害などの臨時的に発生した特別損失を差し引いて計算した利益が「税引前当期純利益」です。
最後にこの「税引前当期純利益」から、法人税等を差し引いたものが「当期純利益」で、1事業年度の最終的な儲けです。

売上高 商品やサービス等の提供高
売上原価 仕入原価や製造原価、サービス提供のために要した費用
売上総利益 粗利益と呼ばれる
販売費及び一般管理費 商品等を販売するためにかかった費用や会社を管理するためにかかった費用
営業利益 会社本来の営業活動から生み出された利益
営業成績をあらわす利益
営業外収益 受取利息など、本業以外で日常的に発生する収益
営業外費用 支払利息など本業以外で日常的に発生する費用
経常利益 会社の経常的な活動の成果をあらわす利益
特別利益 本業とは関係なく臨時的突発的に発生する利益
特別損失 本業とは関係なく臨時的突発的に発生する損失
税引前当期純利益 利益にかかる税金を差し引く前の事業の成果をあらわす利益
法人税、住民税及び事業税 この事業年度に会社が負担する法人税、住民税、事業税
当期純利益 会社の最終的な儲けをあらわす利益

(2)売上総利益(粗利)の計算

売上総利益は、損益計算書の1番最初に出てくる利益で、以下の計算式で計算します。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上高は、会社が稼いだ収益であり、売上原価は、商品や材料などの仕入をあらわす費用です。計算式から分かるように、売上総利益を増やそうと思ったら、売上高を増やすか売上原価を減らせばよいといえます。

そして、売上総利益の売上高に対する割合を見る指標が「売上総利益率」です。

売上総利益率 = 売上総利益 / 売上高×100

売上総利益は、以下のすべての利益の源泉となる利益ですから、これが十分に大きくないと以下の営業利益なども大きくなりませんから、売上総利益率は業種によって異なりますが、できれば20%は欲しいところですが、業種によって大きく異なりますので、同業他社との比較が大切です。

売上高総利益率

建設業 23.5%
製造業 21.1%
情報通信業 46.8%
運輸業、郵便業 24.7%
卸売業 16.1%
小売業 30.4%
不動産業、物品賃貸業 44.0%
学術研究、専門・技術サービス業 60.2%
宿泊業、飲食サービス業 62.7%
生活関連サービス業、娯楽業 40.2%
サービス業(他に分類されないもの) 42.8%

参照:e-Stat「中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)」

(3)営業利益の計算

営業利益は、売上総利益から販管費(販売費及び一般管理費)を差し引いて計算します。

営業利益 = 売上総利益 - 販管費

営業利益は、1事業年度の営業活動の成果をあらわす利益で、計算式からも分かるように、ムダな販管費を使っている会社は、十分な営業利益を残せないということになります。
したがって負担率の高い販管費があれば、縮小することはできないか、本当に売上獲得に貢献しているのかなど、中身を確認して管理することが大切です。

営業利益についても、売上高に対する割合を見る指標である「売上高営業利益率」について同業他社と比較し、販管費の負担について検討することが大切です。

売上営業利益率 = 営業利益 / 売上高×100
売上高営業利益率

建設業 4.0%
製造業 2.7%
情報通信業 4.7%
運輸業、郵便業 -0.2%
卸売業 1.7%
小売業 1.6%
不動産業、物品賃貸業 9.3%
学術研究、専門・技術サービス業 10.0%
宿泊業、飲食サービス業 -1.8%
生活関連サービス業、娯楽業 -0.3%
サービス業(他に分類されないもの) 3.8%

参照:e-Stat「中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)」

(4)経常利益の計算

経常利益は、売上総利益から販管費(販売費及び一般管理費)を差し引いた営業利益に、受取利息などの営業外収益を加え、支払利息などの営業外費用を差し引いて計算します。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

経常利益は、会社は資金繰りに余裕があればそれを運用して収益を生み出そうとします。また、資金が不足していれば、銀行から借入を行うなどして資金調達を行います。
経常利益は、このような資金管理も含めて会社の経営全体がうまく運営できているかを示す利益です。

経常利益の売上高に対する割合を見る指標である「売上高経常利益率」は、高い方が安心できるといえますが、これも業種によってバラつきが多いので、業界平均と比較することが大切です。

売上経常利益率 = 経常利益 / 売上高×100
売上高経常利益率

建設業 5.1%
製造業 4.1%
情報通信業 6.0%
運輸業、郵便業 1.3%
卸売業 1.9%
小売業 2.7%
不動産業、物品賃貸業 9.6%
学術研究、専門・技術サービス業 12.1%
宿泊業、飲食サービス業 2.2%
生活関連サービス業、娯楽業 2.1%
サービス業(他に分類されないもの) 5.5%

参照:e-Stat「中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)」

(5)税引前当期純利益の計算

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を足し、特別損失を差し引いて計算します。

税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

特別利益、特別損失とは、非日常的に出た収益と費用です。
たとえば、土地や建物を売却したことによる儲けや損失、災害による損失など、毎年発生する収益や費用ではなく、数年に1度程度しか生じない臨時的、突発的な収益や費用です。

この税引前当期純利益は、会社に課される税金である法人税等を計算するもとになる利益になります。

(6)当期純利益の計算

当期純利益は、税引前当期純利益から法人税を差し引いて計算される最後の利益です。「法人税等」には、法人税だけでなく、住民税と事業税も含まれます。法人税、住民税、事業税は、いずれも会社の利益に対して課せられる税金です。

当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等

当期純利益はプラスであることが良いことであることは当然ですが、プラスであれば手放しでほめられるかというと、そうでもありません。
事業の状況は、当期純利益だけではなく、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つの利益のバランスも大切です

たとえば、工場火災による特別損失を多く計上して当期純利益が大きく減少したケースで、5つの利益の関係性を見ると以下のようになります。
売上総利益は1,000万円あり営業利益も500万円出しましたが、特別損失で大きく利益を減らし、当期純利益は70万円となっています。


売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」は1,000万円でしたが、販管費が500万円かかったため、「営業利益」は500万円となりました。そして営業外収益が60万円を足し、営業外費用を差し引いて、「経常利益」は470万円となりました。
臨時的な利益である特別利益150万円を足し、620万円となりましたが、臨時的な損失である特別損失が500万円あったため、「税引前当期純利益」は大幅に下がり、120万円となりました。その後法人税等が50万円課せられ、「当期純利益」は70万円となりました。

利益を上げる方法

会社の最終的な利益は、当期純利益ですが、会社の状況を判断する際には、当期純利益だけでなく5つの利益のバランスから判断する必要があります。

(1)理想的な利益バランスとは

下記は、理想的な利益バランスのケースです。

売上総利益と比較して営業利益が大きく減るのは、大きな金額である販管費が差し引かれるためですから問題はありません。
しかし、下記のように営業利益から経常利益が大きく減っているのは問題です。これは、支払利息などの営業外費用が多額に計上されているからであり、借入金が多すぎることが原因と考えられます。

(2)致命的な利益バランスとは

致命的な利益バランスは、営業利益の段階からすでに損失が出ている、下記のようなケースです。

営業利益の段階から損失が出てしまっているということは、儲けを生み出すしくみができてないということです。
起業間もないのであれば仕方ないかもしれませんが、そうでないなら、末期ともいえる状態です。
資金繰りも苦しく借金の返済も難しくなっていることが考えられ、このままの状態では、経常利益や当期純利益をプラスに転換するのはかなり難しいでしょう。

(3)売上総利益を増やす方法

前述したような理想的な利益バランスを作り出すためには、十分な売上総利益が必要です。
売上総利益を高めるには、「売上高-売上原価」の計算式で示すように①売上高を増やす、②売上原価を引き下げる努力が必要です。
売上高は、「価格×数量」ですから、価格と数量をアップさせる努力が必要です。新規の販路開拓、販路の維持などを行うとともに、1個あたりの仕入価格や材料費の引き下げ、工場レイアウトや作業工程を見直して、ムダな動きをなくす、在庫ロスの削減などについても検討します。

(4)営業利益を増やす方法

営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて計算しますから、営業利益を増やすためには、販管費の削減が大切です。
売上総利益より販管費が多ければ、営業利益はマイナスになってしまいます。
販管費を勘定科目ごとに計算し、売上に貢献しているか確認します。また、前期と比較して増えている販管費があれば、その原因を探り改善できないか検討します。
なお下記は、業種別の販管費の売上高に占める割合です。
同業他社と比較して販管費の割合が大きければ、早急に販管費の中身を確認し改善策について検討することをおすすめします。

販管費率

建設業 19.5%
製造業 18.4%
情報通信業 42.1%
運輸業、郵便業 24.9%
卸売業 14.4%
小売業 28.8%
不動産業、物品賃貸業 34.7%
学術研究、専門・技術サービス業 50.2%
宿泊業、飲食サービス業 64.5%
生活関連サービス業、娯楽業 40.5%
サービス業(他に分類されないもの) 39.0%

参照:e-Stat「中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)」

(5)経常利益を増やす方法

経常利益は、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を差し引いて計算します。
営業外収益とは受取利息や受取配当金など金融上の収益であり、営業外費用とは支払利息などの財務的な費用です。
したがって、経常利益を増やすためには、①営業外収益を増やす、②営業外費用を減らす努力が必要です。
余剰資金があれば、それを元手として有利な運用を検討したり、繰上返済を行って支払利息を減らしたりするなど、財務力の強化を行う努力が求められます。

まとめ

売上金額がいかに大きくても、利益が出るかどうかは別問題です。たとえ売上金額が100億円あっても赤字になることはありますし、売上金額が1,000万円でも利益が出ることがあります。

損益計算書には、5つの利益が表示されますが、この5つの利益のバランスから経営改善の糸口を見つけることができ、どの段階で利益が計上され、あるいは損失となったのかを判断することができれば、利益率について同業他社と比較することで、儲かる体質に変えるためにはどのような企業努力が必要となるかが見えてきます。

ただし、利益がいくら出ていても倒産することもあります。これを黒字倒産といい、利益が出ていてもキャッシュがなくなれば倒産してしまいます。
つまり、利益の計算はもちろん大切ですが、それ以上にキャッシュは非常に重要と言うことです。
したがって、利益にだけ目を向けるのではなく、現預金は月商の何カ月分あるか、在庫は多すぎないか、固定資産は多いかなど、可能な限り自社の状況を正確に把握することも大切です。
そのうえで利益を確保し、キャッシュ・フローを把握し、さらに利益を生み出す経営を意識することで、事業は大きく成長します。

そこで必要となるのが、アドバイスを求めたり相談したりできる相手です。とくに税理士が自社のブレーンになってくれれば、これほど心強いことはないといえるのではないでしょうか。

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・今期立ち上げ2年目で、免税事業者です。
「11月決算を控えて、営業利益がかなりありましたので機械購入を考えています。しかし。税理士の方に来季にした方が良いと提案がありました。具体的にお話がよく見えなくて、迷っています
・損益計算書の売上高の不動産販売収入を抜きたいです。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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