財務諸表とは|財務三表を図入りで分かりやすく

公開日:2019年11月26日
最終更新日:2020年02月12日

目次

  1. 財務諸表とは
    • 会社法の「計算書類」との違い
    • 貸借対照表
    • 損益計算書
    • キャッシュフロー計算書
  2. 財務諸表の目的
    • (1)株主が経営状態を知る
    • (2)税務当局が適正に計算されているか知るため
    • (3)一般投資家が投資先の会社を知るため
    • (4)債権者が経営状態が安定しているか知るため
    • (5)従業員・取引先が会社の安全性や収益性、成長性を確認するため
  3. 財務三表から分かること
    • (1)収益性分析
    • (2)生産性分析
    • (3)安全性分析
    • (4)成長性分析
  4. まとめ
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一般的に「決算書」と呼ばれている書類は、実は正確な名称ではありません。
正確な名称は提出する目的によって異なり、会社法では計算書類と呼ばれ、金融商品取引法では、財務諸表と呼ばれています。
財務諸表のなかでも、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は特に「財務三表」と呼ばれます。

この記事では、財務三表を中心に、財務諸表の意味や目的、財務諸表から分かる会社の安全性や収益性などの経営分析の指標についてご紹介します。

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財務諸表とは

財務諸表とは、企業の一定期間の経営成績、財政状態、キャッシュフローの状況を利害関係者に報告するための書類をいいます。一般的には決算書とも呼ばれていますが、金融商品取引法では財務諸表と呼ばれています。

財務諸表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されなければならず、会社法上の大企業や上場会社などは、財務諸表について公認会計士または監査法人の監査を受けなければならないとされています。

単一の会社について作成されたものを個別財務諸表(または財務諸表)、子会社などを含む企業集団について作成されたものを連結財務諸表と言います。

また、財務諸表のうち「貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書」については「有価証券報告書」と呼び、特に重要な書類であることから「財務三表」と呼ばれることもあります。

貸借対照表は、会社の持っているお金やモノの他、どのくらい借金があるのかなどが分かります。損益計算書は、会社が儲かっているか(黒字)、損しているか(赤字)が分かります。キャッシュフロー計算書は、会社にどのようにお金が入ってきて、何にお金を使っているのかが分かります。

会社法の「計算書類」との違い

実は決算書は一般的な呼び方で、正確な名称は、提出する目的によって異なります。
会社法では「計算書類」と呼ばれ、金融商品取引法では「財務諸表」と呼ばれています。有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)が作成するのが「財務諸表」、それ以外の会社が作るのが「計算書類」です。
会社法は、一般投資家より株主と債権者の権利保護という側面が強い法律で、一方金融商品取引法は、広く一般投資家保護の側面が強い法律です。

計算書類財務諸表は、表示上で多少の違いがありますが、内容は同じものです。

金融商品取引法の財務諸表は、以下の書類で構成され、さらに決算書のことを「有価証券報告書」と呼んでいます。
なお、キャッシュ・フロー計算書を作成する義務があるのは、有価証券報告書の提出義務がある会社(上場企業など)のみということになります。

貸借対照表
損益計算書
キャッシュフロー計算書
株主資本等変動計算書
附属明細表

なお、会社法の計算書類は、以下の書類で構成されています。

貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
個別注記表

貸借対照表

貸借対照表とは、会社の財政状態を表している書類です。

財政状態は、月末時点、決算日時点などの状態であらわされます。
貸借対照表は、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つに区分されます。

「資産の部」は、会社の調達した資金の使い途を表しています。「負債の部」・「純資産の部」は、資金をどこから調達したのかを表しています。これは、会社が運営する資金を金融機関など他人から調達した資金(負債)と、株式の発行によって調達した資金や獲得した利益(純資産)とに分けて表示しています。

「資産の部」の合計は、「負債の部」・「純資産の部」の合計と常に等しくなることから、「Balance sheet」を略して「B/S(ビーエス)」と呼ばれます。

損益計算書

損益計算書とは、会社が儲かっているかが分かる書類で、「Profit and loss statement」を略して「P/L(ピーエル)」と呼ばれます。

損益計算書は、身近な例で例えると家計簿やお小遣い帳のようなものです。
家計簿やお小遣い帳が毎月の給料から家賃や食費などを差し引き自由に使えるお金がいくらかを計算するのと同じように、会社も商品を仕入れて販売し、販売代金から会社の家賃や従業員の給与を支払い、残りを貯蓄や設備の購入に回します。
損益計算書は、このような内容が明らかにされる書類なのです。

売上のようにお金が入ってくる取引を「収益」といい、家賃や従業員の給料などお金を払う取引を費用といいます。

収益から費用を差し引いたものが儲けになりますが、この儲けを損益計算書では「当期純利益」といいます。
損益計算書では、当期純利益を計算するために、どのような収益がありどのような費用がどれだけかかり、結果としてどれだけ儲かったのかを一覧にすることで、会社の経営状態を把握できるようにています。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、上場企業のみ作成提出が義務づけられている書類です。
「キャッシュ・フロー」とは、お金の流れのことで、キャッシュフロー計算書とは、会社の現金の増減を分析する書類のことです。「Cash flow statement」を略して「C/F(シーエフ)」と呼ばれます。

貸借対照表・損益計算書があれば、財産や借金、儲けた利益が分かるのに、なぜキャッシュフロー計算書が必要なのでしょうか。
それは、貸借対照表では現預金の残高は分かりますが、本業で現金を稼ぎ出したどうかまでは把握できないからです。また、商品の販売から代金回収まで時間がかかる会社などでは、損益計算書に表示される利益が実際の現金の増減とは比例しない場合があります。

そこで、キャッシュフロー計算書で、その年度中のお金の動きとその増減理由を表示する必要があるのです。

キャッシュフロー計算書に表されるお金の増減理由は、大きく①営業活動、②投資活動、③財務活動の3つに分類されます。項目ごとにお金が増えた場合にはプラス、減った場合には、マイナス(▲)で表示されます。

①営業活動によるキャッシュフロー
本業である商売によって、実際に稼ぎ出したお金の増減です。

②投資活動によるキャッシュフロー
機械の購入・売却、株式などの有価証券への投資・売却などによるお金の増減です。

③財務活動によるキャッシュフロー
借金や、借金の返済、増資、配当金の支払いなどによるお金の増減です。

非上場の中小企業には、キャッシュフロー計算書の作成は義務づけられていませんが、手元資金の増減を知り自社の資金繰りを管理するためには、キャッシュフロー計算書は非常に有効です。

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財務諸表の目的

財務諸表を読むと、「資金をどこから調達して何に使っているのか」という財政状態や、「売上高や儲けがどの程度出ているのか」という経営成績をあらわす書類です。

財政状態や経営成績を誰に何のために明らかにすべきなのかは、ケースによってさまざまです。
融資を受けたい時には金融機関、取引を開始する時には取引先に会社の経営内容を開示する目的などにも使用されます。
また、上場会社などは、インターネットで決算書を公表して、一般投資家に安心して株式を購入してもらうために情報を開示する手段としても使用されます。

つまり、財務諸表は、金融機関や取引先、株主などの会社の利害関係者に対して、会社の財政状態や経営成績を開示するという役割を持つ書類ということになります。

(1)株主が経営状態を知る

株主とは、株式会社に資金を出した人で会社の所有者です。
会社の所有者である株主には、さまざまな権利があります。持っている株数に応じて買い医者の利益を配当としてもらう権利、会社が解散した時に残った財産を分配してもらう権利などです。

つまり、株主は出資だけして経営を任せっきりにしているわけではなく、自分の出した資金が利益を上げるのか、配当金はどのくらいもらえるのかについて、当然関心を持ちます。そして、このために財務諸表を開示し経営状態を報告してもらう必要があるのです。

(2)税務当局が適正に計算されているか知るため

税務当局は、納税額について知る必要があります。
税金は、会社の財務諸表に記載されている利益をもとに計算しますので、その利益が適正に計算されているかを確認したいのです。具体的には、財務諸表の数値を前年度の数値と比較して異常値がないかなどをチェックします。

(3)一般投資家が投資先の会社を知るため

一般投資家も、自分の資金を使って株式を購入するのですから、投資先の会社の経営状態を表す財務諸表には強い関心を持ち、詳しい情報の開示を望んでいます。そして、その数値から投資先として有望な会社を選んでいます。

(4)債権者が経営状態が安定しているか知るため

債権者とは、会社に融資をしている銀行などの金融機関です。
金融機関は、その貸したお金が無事に利息がついて回収することができるのかを気にします。なぜなら、会社が倒産してしまえば、貸したお金を回収できなくなってしまうからです。
したがって、常に会社の経営状態が安定いているのかを確認するために財務諸表の提出を求めてきます。

(5)従業員・取引先が会社の安全性や収益性、成長性を確認するため

会社の従業員や取引先も、会社の経営がうまくいっているかどうか気になるものです。業績が芳しくなければ、従業員は給与やボーナスのカットを心配しなければならなくなりますし、取引先は商品の売上代金を回収できなくなってしまいます。
そのために、財務諸表から財政状態や経営成績を知り、会社の安全性や収益性、成長性を確認したいのです。

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財務三表から分かること

財務諸表のうち中心となるのが、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の「財務三表」です。
この財務三表の数値を組み合わせることで、会社の収益性や生産性、安全性、成長性などの分析を行うことができます。

(1)収益性分析

収益性分析とは、会社がどの程度儲ける力をもっているかを分析する方法です。
収益性が高ければ高いほど利益を生み出す力が強いということになりますので、投資家からお金を集めやすいというメリットもあります。

売上高営業利益率
売上高営業利益率は、収益性分析のなかで、もっともよくつかわれる指標で、「粗利率」とも言われています。

売上高営業利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

売上高総利益率が前年より落ちている場合には、仕入原価や製造原価が上がっている、販売単価自体が下落している、などの可能性があります。

売上高営業利益率
売上高営業利益率は、会社本来の営業活動による利益を稼ぎ出す力を示す指標で、
損益計算書の5つの利益のうち、会社の本業からあげた利益である営業利益に着目し、本業である営業活動での「稼ぐ力」を判断する時に使う指標です。

売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

この指標を同業他社と比較することで、効率よく販売活動を行っているかなどをチェックすることができます。

(2)生産性分析

生産性に関する指標はさまざまなものがありますが、代表的なのが従業員1人単位について分析する指標です。

労働生産性
少ない人件費でより多くの利益を計上できる会社は「生産性が高い」つまり「人のエネルギーが効率よくつかわれている」ということになります。

付加価値=売上-外部購入費用
労働生産性=付加価値÷従業員数

付加価値とは、売上高から材料費や外注費を差し引いた金額です。
労働生産性を上げるためには、1人当たりの売上高を上げることがもっとも効果的ですが人による手作業より機械を導入することで効率がアップすることもあります。

(3)安全性分析

安全性分析とは、簡単にいうと支払い能力のことです。
安全性は、貸借対照表の流動資産や流動負債、純資産などの比率から判断します。

流動比率
流動比率は、貸借対照表の流動資産を流動負債で割ったもので、会社の支払い能力を見る指標です。流動比率は、一般的には200%を超えていれば問題ないといわれています。

流動比率=流動資産÷流動負債×100

流動比率は、この「すぐに現金化できる資産(流動資産)」と「すぐに支払わなければならない資産(流動負債)」の割合を見る指標となります。当然「現金とすぐに現金化できる資産」の金額が「すぐに支払わなければならない負債」より多い方がよいということになります。

当座比率
当座比率は、前述した流動比率と同じくその会社の支払い能力を見るための指標ですが、当座比率はさらに現金に近い資産のみで、すぐに支払わなければならない負債を判断します。
ちなみに当座資産とは、貸借対照表のなかの現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券のことを指します。

当座比率=当座資産÷流動負債×100

流動比率より厳しく支払い能力を判断したい時に使う指標です。当座比率は、一般的に100%を超えれば支払い能力として問題ないといわれています。

(4)成長性分析

成長性とは、これまで会社が成長してきているか、そしてこれからの成長していくことができるかどうかを見る分析方法です。

売上高成長率
前期の損益計算書と比較して当期にどれだけ売上高が増加(現象)したのかを判断するための指標です。

売上高成長率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

経常利益成長率
前期の損益計算書の経常利益と比較して、どれだけ増加(現象)したのかを判断するための指標です。

経常利益成長率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

先にご紹介した売上高成長率を超える値の場合には、会社として順調に成長をしていると判断することができます。

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まとめ

  • 決算書は、会社法では計算書類と呼ばれ、金融商品取引法では、財務諸表と呼ばれている。
  • 財務諸表のなかでも、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は特に「財務三表」と呼ばれる。
  • 計算書類と財務諸表は、表示上で多少の違いがありますが、内容は同じものである。

以上、財務諸表の意味や目的、財務諸表のなかでも特に重要な「財務三表」である貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の意味、財務三表のさまざまな数値を使った経営分析の方法などについてご紹介しました。

財務諸表は、一般的に決算書と呼ばれますが、この決算書の知識は、投資家だけでなく、経理や財務担当者、中小企業の経営者にとって、大変重要です。
決算書を分析することで会社の状態を把握することができるようになり、さらに、資産は総額でいくらあるのか、売上高はどうだったか、利益が出ているのかなどを細かく知ることによって会社の状態を把握でき、債務の焦げ付きや倒産などのリスクにも迅速に対応することができるようになるからです。

決算書の読み方、それぞれの数値が意味する課題、さまざまな経営分析の指標について知りたい場合には、税理士などの専門家にレクチャーを受けることもできます。

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