海外資産を相続する時(国際相続)の税金&手続き

公開日:2019年04月13日
最終更新日:2019年04月18日

目次

  1. 海外資産を相続した時の手続き
    • 課税対象者
    • 課税対象資産
    • 生命保険金、退職金の非課税財産
  2. 海外資産の節税対策
    • 相続財産の評価法
    • 小規模宅地等の評価減は海外不動産でもOK
    • 外国税額控除
  3. 海外の資産を相続した時は手続きが大変!
    • 経費がかかる
    • 相続の計算が大変
  4. まとめ
    • 国際税務に強い税理士をお探しの方

この記事のポイント

  • 海外資産を相続した時には、計算方法や手続きが大変煩雑になる。
  • 相続税法上の納税義務者は、大きく4つに区分される。
  • 節税対策を行うためには、日本の税法の知識と現地国の税法を絡めた手続きが必要。

 

相続が開始した際には「相続税の申告手続きはどうするか」「誰が相続するのか」などの煩雑な相続手続きが必要になります。また、相続財産の価額の評価によって相続税額が決まるので「どのように評価するか」などについても慎重に検討する必要があります
ましてや海外資産を相続した時には、さらに計算方法や手続きが複雑になるので、国内の相続以上に煩雑な手続きが必要となりますので、早めに必要な手続きを理解し対策をすることが大切です。

海外資産を相続した時の手続き

亡くなった人が海外に資産を持っていてそれを相続する場合には、国同士の相続や税務に関する法律を調査する必要があります。
海外資産に関しては、課税漏れや租税回避行為が多数発覚したことから、日本の税務当局が諸外国の税務当局と連携を強化していますので、早めに税理士に相談したり、手続きや対策を知っておくことが重要になっています。

課税対象者

個人が相続または遺贈によって財産を取得した場合には、その取得した財産の価額をもとにして、相続税が課税されます。
被相続人か相続人のどちらかが日本在住なら、課税対象者(税金を納めなければならない人)となります。相続税法上の納税義務者の区分は、以下の4つに区分されています。

(1)居住無制限納税義務者
相続などで財産を得た個人で、その財産取得時に国内に住所があった人は、相続税の納税義務者になります。

(2)非居住無制限納税義務者
相続等によって財産を得た日本国籍がある個人で、その財産取得時からさかのぼって10年以内に、相続人か被相続人かのいずれかが国内に住所があった場合には、相続税の納税義務者になります。

(3)制限納税義務者
相続または遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、その財産を取得時点で、日本国内に住所がない人(非居住無制限納税義務者を除く)は、日本国内に所在しる相続財産に日本の相続税が課税されます。

(4)特定納税義務者
相続時精算課税の適用を受けた受領者は、相続等によって財産を取得しなかった場合も、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産について相続によって取得したものとみなされます。

参照:国税庁「相続人が外国に居住しているとき」

なお、日本国籍を持っている人や入管法などで定める永住者については、相続で財産を取得した時点に日本国内にいなくても、留学中だったり出張などで一時的に日本を離れているだけだったりといった場合には、「日本に住所を有している」とみなされます。

課税対象資産

相続財産には、被相続人(亡くなった方)が所有していた動産や不動産、預貯金や有価証券などのほか、鉱業権や採石権、漁業権、特許権なども課税対象財産となります。また、相続財産には負債(借金など)も含まれます。
財産の所在については、日米相続税条約など日本と外国との間で相続税に関する条約が存在することがあり、その場合にはその規定に準拠することになります。

生命保険金、退職金の非課税財産

相続税においては、墓や祭具等など一定のものについては非課税となります。
生命保険金、退職金については、「民法上の法定相続人の数の数×500万円」までは非課税とされています。したがって、この非課税限度額を超えた部分について相続税が課税されます。

生命保険金の非課税枠:500万円×法定相続人の数
退職手当金の非課税枠:500万円×法定相続人の数

海外資産の節税対策

相続は、資産に不動産の財産が含まれる場合や、相続税が発生するかどうか等によって、取るべき対策が異なりますが、特に海外の金融商品や不動産に分散投資している場合には、日本の税法知識のみならず現地国の税法を絡めた手続きが必要となるため、国内の相続手続き以上の煩雑な手続きが必要となります。

相続財産の評価法

海外資産の税金対策では、煩雑な計算や手続きが必要になりますが、もっとも大切なのは「相続財産の額はいくらか」です。特に土地や建物といった不動産や有価証券など一定の評価が必要な場合には、どの評価方法を採用するかが納税額を左右します。

海外資産の評価については、原則として財産評価基本通達(国税庁が定めた相続税・贈与税を計算する際に対象財産の価額評価基準)に定められた評価方法によって評価しますが、それができない場合には、売買実例価額や精通者の意見価格等を参考にして評価されることもあります。

参照:国税庁「財産評価」

小規模宅地等の評価減は海外不動産でもOK

小規模宅地等の評価減の特例は、国内ではよく用いられる節税方法ですが、この特例は海外に所在する居住用住宅についても適用できます。
なぜなら、この特例では財産の所在地については要件となっていないからです。ただし、相続人が誰かについての要件があり、その要件を満たしていることが必要となります。例えば、被相続人と同居していない親族が取得した場合には、その親族が日本国籍を有し、かつ日本に住所を持っている場合に限られます。

外国税額控除

相続または遺贈によって海外の財産を取得した場合で、その財産について外国の法律によって日本の相続税に該当する税金が課税された時には、その外国で課税された相続税相当額を日本での相続税額から差し引く(控除)ことができます。
この外国税額控除によって、外国と日本で二重に課税されることを回避することができます。

海外の資産を相続した時は手続きが大変!

海外資産を相続した場合の手続きは、法律の調査や評価方法について検討する他、商慣習や宗教的、倫理観といった文化的要素についても考慮する必要があります。
事前の対策なく国外の財産に相続が発生した場合には、言語が異なるだけでなく、このような制度の違いや国独自の背景まで考慮する必要があるので、ますます相続人の手続きは煩雑になります。

経費がかかる

海外の資産を相続した時は、国内の相続より経費がかかります。
というのも、現地の専門家による調査や手続きが必要となり、一般的に海外の専門家の手数料は高額になる傾向があるからです。例えばアメリカの会計士などは、調査や手続きが時給計算されるので、時間がかかればかかるほど報酬が高くなります。
また、イギリスやアメリまでは、「プロベート(probate)」と呼ばれる相続手続きにより、遺産はいったん遺産管理人(または遺言執行人)に帰属し、裁判所で債権・債務を清算した後、残余財産があれば相続人に分配されます。
このプロベートの手続きは、2年以上かかることも多く、現地の様式に沿った遺言書がないと、相続人の確定に時間がかかることもあります。
そして、さらに現地の弁護士費用もかさむということになるわけです。

相続の計算が大変

海外資産の価額の算定は、日本と外国との間の法律など正確な判断が必要となり、非常に複雑です。
また、特に不動産の相続手続きの場合、相続人の本国法(国籍を有している国の法律)や不動産の所在地国の法律など、どの国の法律を適用するかについて、非常に複雑な計算が必要となります。
例えば、日本人が所有する米国所在の不動産について相続が発生した場合には、日本法によれば被相続人の本国法である日本法が適用されますし、米国法によれば不動産の所在地国法である米国法が適用されることになりますので、この二国間で適用する法律が抵触することから、その調整手続きが必要となります。
結果的に余分に税金を払ったり、あるいは少なく税金を払ったためにペナルティが課せられてしまったり、ということもあるので、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

以上、海外資産を相続する時の手続きや必要な対策についてご紹介しました。
国外に相続財産がある場合には、その相続が国内の相続より困難となる可能性が高まります。相続財産が相続人にとって重荷になることもあるのです。
海外に資産がある場合には、可能な限り早期に税理士に相談士、生前贈与などを上手に活用して相続開始後の負担をなるべくすくなくなるよう、必要な対策を行うことが大切です。

国際税務に強い税理士をお探しの方

税理士検索freeeでは2000以上の事務所の中から融資・資金調達に強いかどうか、ITに強いか、女性が担当等の様々な条件で希望に合う税理士・会計士・社労士の認定アドバイザーに出会うことができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

国際税務・海外税務に強い税理士を探す

国際税務にノウハウを持つ税理士を探す

地域から国際税務に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop