源泉所得税とは?源泉徴収の流れと計算方法

公開日:2019年08月02日
最終更新日:2019年12月02日

目次

  1. 源泉所得税とは
    • 申告納税と源泉徴収制度
    • 給与所得以外の源泉徴収
    • 源泉徴収と年末調整・確定申告との関係
  2. 毎月行う源泉徴収事務
    • (1)扶養親族等の数の確認
    • (2)社会保険料等を差し引いて所得税額を算出
    • (3)給与から所得税を控除
    • (4)所得税を税務署に納付
  3. 年に1度行う年末調整の源泉徴収事務
    • 源泉所得税の合計額と年税額が一致しない理由
    • 年末調整の対象とはならない人
    • 年末調整で還付金が発生するのは
  4. まとめ
    • 給与計算をカンタンに行う方法
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会社は、従業員の毎月の給与から税金を天引きして(源泉徴収して)納税する義務を負っています。所得を支払う源(みなもと)で税金を徴収することから、このようなしくみを「源泉徴収制度」といいます。

そして、会社は源泉徴収した税金を原則として翌月10日までに税務署に納付する義務があります。また、年末調整を行い源泉徴収した税金の過不足を清算する義務もあります。

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源泉所得税とは

源泉所得税は、会社が所得税額を計算して、従業員個人に代わって国に治める所得税のことをいいます。
また、この源泉所得税を差し引くことを「源泉徴収」と呼びます。

所得税の額は、その従業員の配偶者の有無や扶養親族の数によって異なります。
したがって、従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入してもらい、扶養親族の人数を確認して、源泉徴収税額表から税額を算出します。

「扶養控除等申告書【年末調整】の記入事例と確認ポイントで解説!」を読む

申告納税と源泉徴収制度

本来、所得税は、納税者自身が1年間の所得金額とそれに対する税額を計算し、これらを申告して納税する「申告納税」が建前です。
しかし、これと並行して特定の所得については、その所得の支払者(会社など)が、支払を行う際に源泉所得税を徴収してこれを納付する源泉徴収制度が採用されています。
つまり、会社は、勝手に従業員の納税代行をしているわけではなく、源泉徴収を行う義務を負っているのです。

給与所得以外の源泉徴収

源泉徴収制度は、給与以外にも配当、報酬、利子などを支払う者が支払いを行う際にも義務とされています。

利子所得:支払額の15%の所得税+5%の住民税
配当所得:原則として支払額の20%の所得税
退職所得:原則として退職所得控除額を控除後2分の1相当額に税率を掛けた額の所得税
報酬・料金:実質的に報酬であると判断されるもの

源泉徴収と年末調整・確定申告との関係

源泉徴収制度によって徴収された税額は、源泉分離課税(ほかの所得とは合算しない)とされる利子所得などを除き、最終的に年末調整や確定申告で清算されます。

源泉徴収事務は、毎月行われるものと年末に行われるものがあり、以下のように事務作業の内容が異なります。

「確定申告してから還付金を受け取るまでのスケジュール」を読む

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毎月行う源泉徴収事務

毎月行う給与計算では、所得税のほか、社会保険料などの控除も行います。
総支給額から手取り額が算出されるまでの流れは、以下のとおりです。

①総支給額=基本給+各種手当-欠勤控除
②給与から毎月天引きする雇用保険=毎月の賃金総額×雇用保険料率の被保険者負担分
③課税対象額=総支給額-非課税手当(通勤手当など)-控除する雇用保険料・社会保険料
④労使協定による控除項目=財形貯蓄、会社で加入する生命保険料
⑤支払額(手取り)=①総支給額-(②保険料控除+③税金控除額+④労使協定による控除額)

つまり、所得税を算出するためには、給与の総支給額から通勤手当など課税対象とならないもの、および社会保険料などを差し引く必要があります。
そして、源泉徴収税額表に社会保険料控除後の給与等の金額、扶養親族等の額を当てはめて所得税を計算します。

(1)扶養親族等の数の確認

所得税の額は、その従業員の配偶者の有無や扶養親族の数によって異なります。したがって、まず各従業員に配偶者がいるか、扶養親族は何人いるかを把握する必要があります。そのため、会社は各従業員からそれらの情報を確認するために「給与所得者の扶養甲続投(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。

参照:国税庁「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

(2)社会保険料等を差し引いて所得税額を算出

「給与所得者の扶養控除(異動)申告書」を確認することで扶養親族の人数や源泉徴収税額表での区分が決定します。

源泉徴収税額表には、甲欄と乙欄がありますが、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらった場合には甲欄を使い、「給与所得者の扶養甲続投(異動)申告書」を提出してもらっていない場合には、乙欄を使います。

源泉所得税を計算するためには、これらのほかに給与額から社会保険料を控除(差し引く)した額が必要になります。
社会保険料控除額の給与を計算するためには、扶養親族の人数と、甲欄か乙欄の区分、「社会保険料控除後の給与等の金額」を源泉徴収税額表に当てはめて控除する源泉徴収税額を計算します。

たとえば、社会保険料控除後の給与等の金額が30万円で扶養親族等の数が3人(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書提出済)の従業員Aさんの場合には、源泉所得税額は3,510円となります。

(3)給与から所得税を控除

源泉徴収税額表で、所得税額を算出したら、給与から所得税を差し引きます。
したがって、給与の支払額は総支給額から(保険料控除+税金控除額+労使協定による控除額)を差し引いたものということになります。

(4)所得税を税務署に納付

従業員の給与から控除した所得税は、翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。実務上は、金融機関で所得税を支払うのが一般的です。
なお、一定の条件を満たした場合には税務署に申請することで半年に一度、半年分をまとめて納付することもできます。

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年に1度行う年末調整の源泉徴収事務

これまで月に一度給与計算を行う際の所得税の源泉徴収事務についてご紹介してきましたが、毎月の給与から天引きされた源泉所得税の1年間の合計と年収に対する税金は必ずしも一致するとは限りません。
そこで、その過不足を清算する必要があります。これが「年末調整」です。

源泉所得税の合計額と年税額が一致しない理由

1年間の源泉所得税の合計額と、その人の年間の所得税額はほとんどのケースで一致しません。それでは、なぜ源泉所得税の合計額と年税額が一致しないのでしょうか。
それは、源泉所得税額表が年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして簡略化して作成されているからです。

しかし、1年間を通して毎月の給与の額に全く変動がないというケースはあまりありません。実際には年の途中で昇給することもありますし、月ごとに残業時間が異なる場合もあり、月ごとに見てみれば、たいていのケースで給与に変動があるものです。
また、結婚したり子どもが生まれたりして扶養親族等に異動があり所得控除が生じたりすることもあります。
つまり、月々の源泉徴収の段階ではこれらが処理されておらず、それが源泉所得税の合計額と年税額が生じる理由なのです。

したがって、源泉所得税額の合計額が実際の所得税額より多ければ、税金が還付(帰ってくる)されますし、源泉所得税額の合計額が実際の所得税額より少なければ、さらに税金を支払う必要があるということになりますので、不足分を徴収し納付しなければなりません。

「年末調整の還付金をもらうための条件とは?」を読む

年末調整の対象とはならない人

年末調整は、すべての従業員に行われるわけではなく、以下のいずれかに該当する人は年末調整の対象とはなりません。したがって、これらの人は確定申告をする必要があります。

※年末調整の対象とならない人
① その年の主な給与収入が2,000万円を超える人

② 2カ所以上から給与の支払いを受けている人で、他の給与支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人

③ 年の途中で退職した人で、以下に該当しない人
 ア) 死亡により退職した人(退職時に年末調整を行います)
 イ) 著しい心身障害のために退職した人で、その退職の時期から見て本年中に再就職できないと見込まれる人(退職時に年末調整を行います)
 ウ) 12月中に支給期の到来する給与の支払いをうけた後に退職した人
 エ) いわゆるパートタイマーが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人

④ 災害減免法の規定によって、その年の給与に対する源泉所得税の徴収猶予または還付を受けた人

⑤ 継続して同一の雇用主に雇用されない日雇労働者など「源泉徴収税額表の日額表」の丙欄の適用者

⑥ 非居住者

年末調整で還付金が発生するのは

年末調整で還付金が発生する(税金が戻ってくる)理由は、従業員の事情によってさまざまですが、以下のような事情がある場合には、還付金が発生する可能性があります。

①年の途中で結婚した場合
年の途中で結婚して配偶者控除を受けられるようになっても、会社はわざわざさかのぼってすでに天引きされた源泉所得税額の修正をすることはないからです。

②年の途中で親を養うことになった場合
扶養親族の数に異動があった場合、控除額などは税額表に織り込まれていないので、年末調整で清算することになります。

③ボーナスによる支給があった場合
ボーナスの時には、多めに源泉徴収税額が徴収されていますので、年末調整で還付されます。

④生命保険料、地震保険料を支払っている場合
生命保険料控除、地震保険料控除などは毎月の給与から控除しないで年末調整で一括控除することになっています。

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まとめ

以上、源泉所得税の意味や計算方法、毎月の給与計算の際の源泉徴収事務、年に1度の源泉徴収事務(年末調整)についてご紹介しました。
給与計算は、所得税の源泉徴収以外にも労働日数や労働時間数の集計、給与支給明細書の作成など、数多くの事務作業があります。
給与は、従業員の生活の源となるものですから、正確にかつ期日までに必ず行わなければなりません。
このような給与計算を早くかつ正確に行うために活用したいのが、給与計算ソフトです。

給与計算をカンタンに行う方法

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