労働保険とは|適用事業者・必要な手続き

公開日:2019年07月07日
最終更新日:2020年03月16日

目次

  1. 労働保険とは
    • 公的保険の種類
    • 従業員を雇う時の労働保険の手続き
  2. 労災保険
    • 強制適用事業所とは
    • 被保険者となるのは
    • 労災と認定される基準
    • 労災と認定された時の手続き
  3. 雇用保険
    • 強制適用事業所とは
    • 被保険者となるのは
    • 雇用保険の保険給付
    • 従業員の入退社時の手続き
  4. まとめ

労働保険の手続きは、従業員を初めて雇用する時に必ず行わなければなりません。
労働保険には、労災保険と雇用保険があり、それぞれ必要な手続きや手続きの窓口が異なります。
この記事では、労働保険(労災保険と雇用保険)に加入しなければならない事業所の要件や、加入手続きなどについてご紹介します。

労働保険とは

労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称で、原則として従業員を雇用する時に必ず加入手続きを行わなければなりません。
労災保険は、仕事中や通勤途中のケガや病気をして働けなくなった時の補償を行う保険です。雇用保険は、いわゆる失業手当や休業給付などを支給する保険です。

公的保険の種類

労働保険と社会保険をあわせて「公的保険」といい、原則として法律で加入が義務づけられています。国が保険者として保険料を徴収し、運営管理を行います。また、保険料は所得に応じて所得の高い人の負担が高くなり、給付は原則として必要に応じて行われます。
一方、損害保険や生命保険などは「私的保険」といい、加入や脱退が本人の自由意思に任されていて、個々の会社が保険料を徴収し、運営管理を行います。

従業員を雇う時の労働保険の手続き

労働保険(労災保険と雇用保険)は、従業員を1人でも雇用したら、原則として必ず加入しなければなりません。
労災保険手続きは加入時に1度届出をすれば、次に従業員を雇用する時の手続きは原則として不要となります。一方、雇用保険は、加入用件を満たす従業員を雇用するたびに届出が必要となります。

労災保険

労災保険とは、労働者が仕事中や通勤途中に災害に遭った時に、そのケガや病気について補償してくれる保険制度です。
補償の内容は、負傷、疾病、障害、死亡などによって、それぞれ保険給付の内容が異なります。また、労災保険では二次健康診断等給付や社会復帰促進事業も行っています。

強制適用事業所とは

労災保険は、労働者を1人でも使用している事業所は、以下の「任意適用事業所」以外は、事業主や従業員の意思に関係なく必ず加入しなければならない「強制適用事業所」となります。

任意適用事業所:
①林業で、常時労働者を使用するもの、または1年以内の期間において使用労働者延人員300人以上のもの
②総トン数5t以上の漁船による水産動植物の採捕の事業(ただし、河川、湖沼または特定水面(東京湾など)において操業する事業は任意適用)
③特定の危険または有害な作業を主として行う事業で、常時労働者を使用するもの

強制適用事業所である事業所は、強制適用事業所に該当した日に自動的に保険関係が成立します。事業主には保険料を納付する義務が生じて、従業員は業務上または通勤途中に災害に遭った場合には、保険給付を受けられるようになります。

被保険者となるのは

労災保険の適用を受ける被保険者(保険の対象となっている人)は、労働基準法第9条に規定される「労働者」です。したがって、正社員やパート、アルバイトなども労災保険の適用を受けることになります。

労働基準法第9条:
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

したがって、会社、法人その他の団体の代表者、役員などは、労災保険でいう「労働者」ではありません。労働者であるか否かは使用従属関係があるか、かつ賃金の支払いを受けているかなどによって判断されます。
なお、労災保険の適用を受けない人たちのための制度としては、労災保険に特別加入することで、労災保険から補償される制度があります。

「労災保険とは|加入手続きと労災の認定基準」を読む

労災と認定される基準

労災保険の保険給付は、「業務上の災害」と「通勤途上の災害」に区分され、業務上なのか通勤途中なのかで請求用紙が違います。
なお、「休業(補償)給付」については、業務上災害の場合にも通勤途上災害の場合でも、休業4日目から給付されます。ただし、業務上災害の場合、労災保険から支給されない1日~3日目の給付については、事業主に補償義務が生じます。この補償義務があるか否かが、業務上災害と通勤途上災害の違いになります。

労災給付一覧
※業務上災害の場合には、給付名に「補償」がつきます。

※クリックすると拡大表示されます。

参照:厚生労働省「労災給付一覧」

「労災の手続き|業務災害・通勤災害の認定基準と給付内容」を読む

労災と認定された時の手続き

労災と認定を受け保険給付を受けるためには、被災労働者かその家族が所定の保険給付請求書に必要事項を記載して、所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。
労災の認定・給付は労働基準監督署が行いますが、事業主は請求の申請書類の欄に、事故などの事実を証明する必要があります。
※なお、二次健康診断等給付は、所轄労働局長宛てに提出します。

参照:厚生労働省「保険給付の手続き」

雇用保険

雇用保険とは、失業手当や、育児・介護休業給付などを支給して、労働者の生活の安定を図ることを目的とした保険制度です。
雇用期間見込みが31日以上あり、1週間の所定労働時間が20時間以上である従業員は雇用保険の被保険者となりますので、事業所は加入手続きが必要となります。

強制適用事業所とは

雇用保険も労災保険と同様に、労働者を1人でも雇い入れた事業所は、事業主や労働者の意思に関係なく、加入が義務づけられます。
労災保険は1度届出をすれば次に従業員を雇用する時の手続きは不要ですが、雇用保険は、加入要件を満たす従業員を雇用するたびに手続きが必要となります。

被保険者となるのは

雇用保険の被保険者は、雇用保険の適用事業所に雇用される労働者です。
ただし、雇用保険は労災保険と違って、強制適用事業所に雇用されていても、従業員の雇用形態によって適用が除外されて雇用保険に加入できない労働者がいますので、注意が必要です。
適用が除外されて雇用保険に加入できない労働者とは、65歳に達した日以降に雇用される人や、1週間の労働時間が30時間未満で、正社員の1週間の所定労働時間と比較して短い人などです。
被保険者となる労働者や、適用除外となる労働者については、詳しくは以下の記事をご覧ください。

雇用保険の保険給付

雇用保険の保険給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付に区分されています。

①求職者給付
求職活動中の失業者の生活安定を図ることを目的とした給付です。
基本手当(いわゆる失業手当)や、技能習得手当などが支給されます。

②就職促進給付
失業者が再就職することを援助・促進することを目的とした給付です。
就業促進手当・移転費・求職活動支援費などがあります。

③教育訓練給付
労働者の能力開発の取組みまたは中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした給付です。厚生労働大臣の指定する一般教育訓練を受講し終了した時に、受講料の一部が支給されます。

④雇用継続給付
雇用継続を図るために減額した一部を保障する給付で、「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」があります。

従業員の入退社時の手続き

前述したとおり、雇用保険は加入条件を満たす従業員を雇い入れるごとに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出する必要があります。
また、退職時には、退職者の被保険者の資格を喪失させる手続きが必要ですし、従業員が失業給付を希望する時には、必要な離職証明の手続きも行わなければなりません。

なお、従業員が退職した時の手続きとしては、雇用保険の手続きのほかにも、社会保険や所得税・住民税の手続きも必要となります。

「従業員が入社した時の労災・雇用・社会保険の手続きと必要書類」を読む

まとめ

  • 労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称のこと
  • 原則として従業員を雇用する時に必ず加入手続きを行わなければならない
  • 労災保険手続きは加入時に1度届出をすれば、その後は原則として届出は不要だが、雇用保険は、加入用件を満たす従業員を雇用するたびに届出が必要

以上、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入要件や必要となる手続き、主な給付の内容などについてご紹介しました。
労働保険は、原則として1人でも従業員を雇用した時には、必ず加入しなければならず、加入手続きを怠った場合には、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定を受け、遡って労働保険料を徴収されたり追徴金を徴収されたりすることになります。
不明点や疑問点等については、社会保険労務士に相談して、早めに手続きを済ませるようにしましょう。
給与計算・年末調整・人事労務に強い税理士・社労士を探す

人事労務手続き代行(入退社/保険など)にノウハウを持つ税理士を探す

地域から人事労務手続き代行(入退社/保険など)に実績がある税理士・社労士を探す

より細かいカテゴリから税理士・社労士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop