法人の節税対策とは
会社を運営するためには、売上を伸ばし支出を抑えることが重要なのはもちろんですが、あわせて税金の正しい知識を身につけて納税額を抑え、1円でも多く利益を会社に残せないかを検討することも重要です。
このような節税対策を行うか否かで、税負担額には大きな差がつきます。経営者自身が税金に精通し、税制をも視野に入れた経営戦略を立てるためには、事業を継続するために非常に重要です。
節税対策について検討する場合には、まず会社が払う税金について知っておく必要があります。
会社も個人と同じように税金を払っています。土地や建物を所有していれば固定資産がかかりますし、自動車を所有すれば自動車税がかかります。これらの税金は、決算書では「租税公課」に分類されているもので、会社の必要経費になります。
しかし、会社には一般に租税公課として分類されない「法人3税」と呼ばれる税金があります。
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法人税
法人の所得に対して課される税で、個人でいうところの「所得税」に該当する税金です。
しかし、その所得の計算方法や税額を計算する方法は所得税と大きく異なります。
たとえば、会社の事情に応じて考慮される「所得控除」はありません。また、税率は資本金の額によって異なります。
課税所得がマイナスだった場合には法人税は課税されません。
※日本の法人税は、他の先進国と比較するとかなり高いと言われていて、日本政府は法人税率を段階的に引き下げることを検討しています。しかし、減税効果については依然として懐疑的な声も多く聞かれるため、適切な節税対策を実施することは欠かせないといえるでしょう。
法人住民税
自治体が住民サービスを目的として課税する税金で、所得があるかないかにかかわらず原則として課税されます。法人住民税にも、個人と同様「道府県民税」と「市町村民税」があります。また、「均等割」と「法人税割」の部分があり、均等割の税額や税率は、資本金等の金額によって細かく分類されています。
法人事業税
法人事業税は、自治体で法人が事業を営んでいることについて、その自治体からその応分の負担について課される税金です。
法人事業税を課税している地方自治体は都道府県ですから、法人事業税は都道府県に納税することになります。
法人事業税は、「所得」に法人事業税率を乗じて算出されます。
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法人の節税対策の基本
法人の節税対策は、さまざまな方法がありますが、まず節税のためのいろいろな優遇制度を受けるために「青色申告」を行うことが大前提です。
青色申告制度とは、正しい帳簿書類を記録し、その整理保存を通じて適法な法人税額の申告を推進する目的で導入された制度で、青色申告書で申告できる法人のことを「青色申告法人」といいます。
この青色申告法人には、白色申告法人には認められない多くの特典(租税優遇措置)が設けられています。
たとえば法人税法では、欠損金の翌期以降10年間の繰越控除、欠損金の繰戻し還付などが適用されます。
また租税特別措置法では、特別償却または割増償却、特別償却不足額の1年間の繰越、準備金等の損金算入、特定の資産を取得した時の投資税額控除などが認められています。
青色申告は、税務署長の承認を受けなければなりませんが、新設法人は届出期限内に届け出れば承認されます。一定の要件を満たして青色申告を提出できる青色申告法人になれば、減税措置を含むさまざまな租税特典を享受することができますので、忘れずに届出を行うようにしましょう。
税理士に依頼するメリット
適用できる制度があるのに申告しなかったり、使える節税対策があるのに活用しなかったりすると、その分多く税金を払うことになってしまいます。
たとえば、設備投資についてはいろいろな特別償却が認められていますが、税額控除との選択適用が認められている場合があります。特別償却は納税延期の効果を発揮するという意味で節税効果がありますが、税額控除の方が免税という意味では節税効果は高くなります。
しかし事業の状況次第で、特別償却を選択すべきのか税額控除を選択すべきなのか、そもそも購入する方がよいのかリースを活用するのがいいのかは変わってきます。
なぜなら、「節税」という視点だけでなく融資を有利に受けるためには、決算書の見栄えも重要な要素だからです。
税理士に依頼すれば、利益予測してそこから納税予測を行い、来期の経営計画を見据えたうえで、適切なアドバイスをしてもらうことができます。
税理士によるサポート
事業規模が拡大していくと、法人税を中心とした税負担、納税事務の負担も大きくなります。
経営者としては、さらなる事業規模の拡大を目指して節税対策を検討するのは当然といえます。
よく「何でもいいから節税したい」と言ってムダな支出をしてしまう会社がありますが、いくら節税になるといってもムダな支出は、利益を減らしてしまう浪費支出でしかありません。
本当の節税とは、事業の状況に応じて利益の繰延べ節税や永久的節税などの方法を検討することです。
利益の繰延べ節税とは、納税を後にずらす節税です。たとえば減価償却資産の特別償却、圧縮記帳などがこれにあたります。今期は大きく経費化することができますが、来期以降はその分少なく経費化されますので、トータルで考えると同じ結果になります。
永久的節税とは、たとえば、役員報酬を多くしたり、在庫の評価方法を変更したりといった方法です。本当の節税という意味では、この永久的節税の方法を多く検討する必要があります。
適切な節税対策を行えば、かなり税金を抑えることができますが、そのためには会社の経営状況を正確に把握するための経理処理が大前提となりますし、節税のための正確なデータは日々の経理処理の積み重ねによってしか得られません。
税理士の指導を受ければ、付加価値の高い経理システムを構築したうえで、事業の状況に応じたもっとも有効な「永久的節税」の方法を提案してもらうことができます。