税務調査とは
税務調査とは、税務署が行う業務のひとつで納税者が正しく税法に従って納税をしているかを確認するための調査です。
税務調査は、大きく「強制調査」と「任意調査」があります。
強制調査は、悪質な脱税犯に対して行われる一種の犯罪調査であり、一般的に税務調査というと任意調査を意味します。
さらに任意調査には準備調査と実地調査があります。
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①準備調査
主に税務署内で行う調査です。
②実地調査
実際に調査先に出向いて帳簿書類そのほかを検査する調査です。
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そもそも納税は「自主申告による納税制度」を基本としています。
つまり原則として、納税の義務のある会社や個人事業主が自分で納税額を計算し「これだけ納めます」と自主申告をしているのです。
そして、この自主申告による納税制度のもとで、納税者が正しく税法に従って納税をしているかを確認するための調査が、税務調査ということになります。
税務調査は、会社(個人)で納税の義務がある以上、避けては通れないものと考えておいた方がよいでしょう。
なお、申告書提出の際に税理士法33条の書面添付をしていれば、顧問税理士が税務署に出向いて説明する、「意見陳述」だけで済むケースもあります。
どんな会社(個人)が対象となるか
税務調査は事業の規模や税額などに関係なく、どのような会社(個人事業主 ※以下省略)でも行われる可能性はあります。
前回調査または設立日から3期以上経過している場合は、調査対象となりやすい傾向がありますが、特に前期に比べて売上が増加しているにもかかわらず、営業利益や申告所得が減少しているというような事情があると、税務調査の候補となる可能性が高くなります。
ただ、「何度も調査対象にされる会社」もあれば、「創立以来10年以上経つが、一度も調査を受けたことがないという会社」があるのも事実です。では、この違いはどのような理由によるものなのでしょうか。
税務調査はすべての会社で行われる可能性がありますが、そうは言っても実際にすべての会社を調査するのは不可能に近いでしょう。そこで税務署では、一定の選定基準を設けて、特にミスや不備、不正が見つかる可能性の高い企業をピックアップしているのです。
好況の業種や、過去脱税の多かった問題業種がターゲットにされることが多いようです。
調査対象になりやすい業種としては、飲食業、酒屋・理髪、理容業など現金取引の業種、パチンコ業、風俗業、貸金業、廃棄物処理業、土木工事業、不動産業など過去に不正が多かった業種、IT関連企業や家電業、自動車販売業など好況の業種が挙げられます。
個人事業主ももちろん、税務調査の対象になります。
KSK(国税総合管理システム)には、確定申告書の内容もインプットされて、あらゆる業種のデータベースが出来上がっています。ですから、同業種と比較してチェックする必要があると判断されれば、税務調査の対象となる可能性はあると心得ておいた方がいいでしょう。
なお、個人の税務調査は所得税や消費税に関する調査だけでなく「相続税の税務調査」などもあります。
相続税の税務調査は、相続税の申告を行った人のうち30%くらいの割合で行われています。
税理士に相談するメリット
税務調査の連絡が入ったら、すぐに税理士に連絡するべきです。
会計の帳簿がきちんとしていれば特に問題はありませんが、税務調査で問題が出てきた場合、税理士がいるかいないか税理士がどう対応するかで調査結果が大きく左右されることもあるからです。
顧問税理士がいるのであれば、顧問税理士にも協力してもらい、過去の申告書や決算書等について改めて確認をしてもらいましょう。
そのうえで明らかに間違った処理が行われていたり帳簿と申告書との間に整合性がない場合には、税務調査前に対策を検討し、説明できるように準備をしておきます。
特に「税務調査が初めてだ」という人は、税務調査の流れや調査対象となる事項について熟知している税理士から、事前にどのような準備が必要となるかアドバイスをもらうことは大変重要です。
税務調査といっても、申告内容に誤りがあったら正しい税金を納めれば済むケースがほとんどですし、かならず追徴課税されるというものでもありませんから、必要以上にナーバスになることはありません。
税理士によるサポート
通常の税務調査では、隠ぺいや偽装工作など調査が妨げられる可能性がある場合を除いて、原則として税務署から調査の日程について事前に連絡があります。
「どんな人が来るのか」「何を聞かれるのか」と不安になることも多いでしょうが、調査の日程が決まったら、調査を受ける側も十分な準備をしてスムーズに調査が終了するよう心がけましょう。
税理士としっかり連携し、リハーサルや事前の準備を行っておけば、特に不安を感じる必要はありません。
税務調査当日は税理士も立ち会ってくれますので、落ち着いて堂々と調査に臨めば問題ありません。
なお、税務調査の結果、「申告是認」となれば、調査の結果「このままでOK」と判断されたケースということなので問題ありませんが、申告是認という結果が出されることはほぼありません。
たいていの場合は税務上の指摘事項があると判断され、「修正申告」をするように勧められますが、安易に判断せず必ず税理士に相談するようにしましょう。
税務署に修正申告を勧められても、納得ができなければ修正申告をする必要はありません。
なぜなら、修正申告を提出すると、その後は税務署に「異議申立」をすることができなくなりますし、国税不服審判所に対して「審査請求」をすることもできなくなるからです。
税務調査後も、税理士のアドバイスを受け、慎重に対処する必要があります。