経営コンサルタントとは
経営コンサルタントとは、会社の会計や税務・財務、営業、人事などの問題点を探し出して問題があればその原因を分析し、専門的にアドバイスを行う業務等を行う人のことをいいます。
税務や日常の経理・会計業務の際にサポートしてくれる税理士、企業が契約書を締結する際にチェックする弁護士、特許戦略を立てる際に相談できる弁理士、中小企業の経営診断の業務に従事する中小企業診断士などが、経営コンサルとしてサポートを行ってくれるケースもあります。
信頼できて経営者と円滑なコミュニケーションがとれる経営コンサルタントの存在は、事業をスムーズに拡大するうえで欠かせないといえます。
とくに年商5,000万円以上になってくると、資金調達、人材の確保などさまざまな悩みが増えてきます。これらのすべての悩みを経営コンサルタントに丸投げするわけにはいきませんが、円滑な会社経営のために活用できるものはどんどん活用していくという姿勢は、経営者にとって必要不可欠といえるでしょう。
経営を支えるさまざまな専門家
会社を経営していくうえでは、さまざまなデータから、会社の状況を早期に把握し、経営力を分析することが必要です。法人登記をすれば会社は簡単に設立することができますが、その後も維持し発展させていくのは、並大抵のことではありません。
起業しても、10年後には約3割の企業が、20年後には約5割の企業が廃業を余儀なくされているというデータもあります。起業後の淘汰は大変厳しいものがあるのです。
中小企業庁のデータによれば、1999年を基準として規模別に増減率を見るといずれの規模においても企業数が減少しており、特に小規模企業の減少率が最も高くなっています。
中小企業庁「令和元年度(2019年度)の中小企業の動向」
会社を存続・発展させていくためには、経営の判断が求められるさまざまなシーンで、必要に応じて専門家にアドバイスを求めることが非常に有益です。
中小企業の経営者が経営について相談できる専門家はさまざまですが、主な士業としては以下のとおりです。
-----
税理士
日々の会計、税務に関するサポート
事業承継や事業計画書、資金調達などを含む経営全般のサポートを行う。
社会保険労務士
就業規則の策定、各種届出
法令違反やハラスメント対応、問題社員の対応、生産性向上のための人事・労務設計の改善サポートを行う。
中小企業診断士
中小企業に対し、その経営資源に関する経営の診断および経営に関する助言を行う。
司法書士
会社設立手続き、登記手続き、各種手続きなどを行う。
弁護士
契約書のリーガルチェックなどの予防法務のほか、法律上のトラブル、行政に関わるトラブルなどに対応する。
-----
税理士に依頼するメリット
税理士は、税務・会計に関する専門家です。
そして、個人事業主や中小企業が相談できる、もっとも身近な専門家ともいえるでしょう。
税理士のことを「決算や確定申告の前に相談する専門家」「税金のアドバイスをしてくれる専門家」と考えている人がいますが、税理士には、資金調達が必要になった際や、株式公開、事業承継の検討が必要になった際などにも相談することができます。まさに頼もしい経営パートナーといえます。
税理士によるサポート
経営者が会社を運営していくためにかならず必要なもののひとつに、会計の知識と会計ノウハウがあります。どんなに突出したアイディアや技術があっても、キャッシュ・フローが悪化すれば、会社は倒産してしまいます。
立ち上げた会社の経営実態を把握し、使えるキャッシュを常に把握している状態を作ることは、黒字倒産を防ぎ経営を安定させるためにも不可欠です。
税理士というと日々の経理処理や税務申告を依頼する専門家というイメージを持つ人もいますが、税理士には税務や会計に関するコンサルティングを受けるだけでなく、それに付随するさまざまなマネジメントサービスの提供を受け、安定した経営をサポートしてもらえるケースがあります。
-----
決算処理・確定申告業務
税理士に依頼すれば、確定申告の際に最も有利な税務処理方法を選択し、適確な税務申告書を作成することができます。
あわせて、年末調整、法定調書の作成・提出、償却資産税申告書の作成・申告等についても、トータルでサポートを受けることができます。
さらに節税対策や納税資金対策はもちろん、決算予測や納税額の試算、利益確保のための戦略的な決算対策のためのアドバイスをもらえば、企業の自己資本率を効率よく高めていくことができます。
freee税理士検索「個人確定申告について相談できる税理士一覧」
freee税理士検索「法人決算について相談できる税理士一覧」
事業再生
諸般の事情で借入金が膨らんでしまい返済能力を超えていても、借入金さえ適正水準であれば事業を続けられるケースは多いものです。このような会社を再生させるためには借入金を削減することが必要となりますが、そのほかにも事業再生の方法は多々あります。
税理士がいれば、決算書の内容から遊休資産を処分して債務を圧縮したり、原価管理を徹底して経費を削減したりするなど、まずは財務上の課題を解決することで確実な事業再生を実現し、資金繰りを安定させることができます。
freee税理士検索「事業再生について相談できる税理士一覧」
株式上場(IPO)支援
株式上場(IPO)の際には、上場企業の会計基準への対応が必要となるため、一般的な税務知識のみならず株式上場のための高い専門知識が要求されます。
株式上場(IPO)支援に精通している税理士に依頼すれば、金融機関、証券会社、監査法人などと連携し、株式上場(IPO)の際に必要となる会計上・財務上の体制整備から上場後に必要な体制の構築までサポートしてもらうことができます。
freee税理士検索「株式上場(IPO)支援について相談できる税理士一覧」
資金繰りの改善
資金繰りが悪化し始めると、一気に事業を縮小せざるを得なくなるケースは多々あります。
税理士がいれば、資金繰りや資金ショートのリスクを抑え、会社にお金を残すための施策をサポートしてもらうことができます。
税理士に作成された経営計画によって、収益性を明確にすることができますし、新たなコスト削減余地を見つけることができます。さらに、売掛金・買掛金の発生のズレを明確にして、的確に損益を把握できる体制を構築すれば、慢性的な資金繰り悪化を解消することができて、経営戦略、営業戦略を見直すことにつながります。
また、設備資金・運転資金の調達についても、税理士によるサポートは有効です。銀行から融資を受ける際には、決算書や資金繰り表、説得力のある事業計画書だけでなく、効果的にプレゼンテーションを行うスキルも必要になりますが、資金調達に精通している税理士であれば、「どのような事業計画書が必要となるのか」「銀行は決算書のどこをチェックしているのか」を熟知していますので、融資を受ける際に有利になります。
freee税理士検索「融資・資金調達について相談できる税理士一覧」
税務調査対策
何年かに1度の税務調査に対して、準備段階から当日の立ち会いまで対応してもらうことができます。
税務調査の連絡が来た際でも、税理士に相談すれば、必要な準備を整え資料等についてきちんと説明できるよう準備することができます。
税務調査に精通している税理士は、過去の判例もよく調べ研究しています。「過去のこの判例があるから、この処理は大丈夫」など具体的なアドバイスをしてもらうことができます。
なお、税理士が作成した申告書について必要なことを具体的に記載してある書面が添付されている場合には(書面添付制度)、税理士に意見を述べる機会を与えられますが、この意見聴取によって結果的に調査の短縮や省略になる可能性もあります。
国税庁「書面添付制度について」
freee税理士検索「税務調査について相談できる税理士一覧」