経営計画とは、会社を経営する計画のことで、この計画を示した説明文書のことを経営計画書(事業計画書)といいます。
ビジネスシーンでは、ビジネスアイデアや経営計画を伝えなければならないケースが多々あります。
たとえば、新規事業の立ち上げ計画です。
取引先や融資をしてほしい相手などに対してビジネスアイデアや経営計画を明確に伝え「何(なに)で稼いでいくのか」「今後に稼ぐ見込みがどれくらいか」など、事業を理解し評価してもらうことができるような計画が必要になります。
また、企業単位で策定する中期経営計画を策定する場合もあります。
この場合には今後3年、5年後を見据え、企業単位でどのような戦略でどのような事業を伸ばしていくのかを効果的に伝える内容である必要があります。
このように、経営計画書(事業計画書)は、さまざまな目的に沿った説明を効果的に行ったうえでサポートを得るために必要なツールであり、事業に絡む顧客、取引先、メンバービジネスに絡む人々との間に欠かせないコミュニケーション・ツールであるといえます。
経営計画を策定する際には、まず事業の意義を明確にしたうえで、徹底した現状分析・事業予測を行うことが必要です。
現状を把握し分析した結果と、あるべき姿のギャップを正しく理解し、シナリオを設計し直し、それに対応した戦略を策定していきます。
さらにそれぞれのシナリオと戦略ごとに収支予想を作成し、収益性や事業価値を算出し「事業を推進するためにどのくらいの資金を調達するべきか」「他社と連携すべきか」などといった事項についても検討していきます。
さらに将来的には「残すべき事業」と「撤退すべき事業」の線引きをする必要も出てくることもありますから、その際の想定もあわせて行います。
現在は市場価値のある事業であったとしても、10年後まで考えた際にその技術が使えそうもなければ、早期にその事業は撤退し他の事業にシフトチェンジすることも検討すべきだからです。
なお、経営計画策定の際に大切なのは、現状から発想した事業予測ばかりに目を向けないことです。
現状から発想した計画をたてると、目先の利益に惑わされて有効な打ち手が立てられないことも多いからです。
現状だけを見るのではなく、10年後、20年後を「着地点」として逆算し、そこから「今何をすべきか」を見極めることが、経営計画策定の第一歩となります。
そして、現状分析・事業予測を行った後は、業務の役割分担、期限、どのようにその事業を実現するかといった行動指針を含んだ経営計画書を策定していくことになります。
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【事業計画を考えるフロー】
①事業の意義を明確にする
なぜこの事業を行うべきなのかを明確にします。
②ビジネスモデルを検討する
どのような方法(仕組み)で、その事業を行うのか検討します。
③得られる成果を検証する
その事業を行った時に得られる成果(売上、利益など)を検証します。
④具体的なアクションを検討する
その事業を実現するために必要なアクションを検討します。
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事業計画を考える際には、上記①~④を行ったり来たりしながら何度も検証し、そのうえで経営計画書に落とし込みます。
経営計画書に記載すべき事項は、個々の事情によって異なりますが、大まかには以下のような内容が記載されていることが必要です。
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【事業計画書に記載すべき事項】
①事業を進める熱意、目的、ビジョン
「なぜこの事業を進めようとしているのか」といった意思や「どのような価値を生むことができるか」といったビジョンは、経営計画の必須項目です。
②財務諸表
事業の価値やリスク分析を、客観的に示した財務諸表は、経営計画書の妥当性、有効性を表現し、事業の将来性や資金繰りの状況を検証する資料となります。
③他会社との差別化
知的財産権などの権利を持っている場合には、それが事業を推進するうえでの自社の強みになります。
④ロードマップ、想定顧客など
イメージを伝えにくいサービスや商品の場合には、ロードマップ、想定顧客などのデータは必須です。
説得力のある数値を提示できれば、事業の成功確率を示すことができます。
⑤マーケティング戦略
イベントやPRなどの手段を実行する計画や、期待できる効果なども示しておきます。
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経営計画を策定する際に活用したいのが、経営革新等支援機関です。
経営革新等支援機関とは、中小企業経営力強化支援法に基づく支援機関で、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の専門家が、中小企業者の経営力の強化を図るためにさまざまな支援を行ないます。
また、経営革新等支援機関の支援を受けることで、「ものづくり補助金」をはじめとする各種助成金の受給や、日本政策金融公庫を利用した借入利率や信用保証料が引き下げが期待できたり、資産の特別償却等の税制優遇等を受けたりすることが可能となります。
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【認定経営革新等支援機関が提供する主な支援内容】
①経営の「見える化」支援
財務状況、事業を分析し、経営の状況に関する調査・分析
②事業計画の策定支援
経営改善計画、資金計画、マーケティング戦略計画等の策定サポート
③事業計画の実行支援
事業の計画を円滑に実施するためのサポート
④モニタリング支援
経営革新等支援を実施した案件の継続的なモニタリングを行います。
⑤中小企業・小規模事業者への会計の定着支援
計算書類等の作成及び活用を推奨、補助金、融資制度等を活用する中小企業・小規模事業者の事業計画等策定支援やフォローアップ
中小企業庁「認定経営革新等支援機関による支援のご案内」
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経営計画を策定するためには、まずは現状の正しい理解をするために事業にまつわる財務数字の全体像をつかむことが重要です。財務に関する数字は、主に貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つの資料で表現されています。
なかでも、経営計画策定に必要なのが損益計算書です。
損益計算書とは、ある一定期間にどれだけの儲けを出せたのかを示す資料で、売上、原価、売上総利益(粗利益)、販売費及び一般管理費、営業利益などから構成されています。
損益計算のうち事業の実力を示す数字である営業利益は、事業として本当に儲かるのかを表す数字であり、経営計画を策定する際には、この数字を正確に把握し分析して評価していくことが重要です。
税理士に相談すれば、これらの資料の分析や、その結果を経営計画に反映させることができます。
経営計画を策定するために現状を正確に把握したら、最終的には明確な数値計画に落とし込んで行く必要があります。経営者はどうしても売上の成長に目が行きがちですが、より重要なことは利益成長です。つまり、健全な利益率の維持・向上が計画されているかどうかのチェックが必要です。
さらに、この経営計画を「絵に描いた餅」で終わらせないためには、客観的に実効性、整合性などについてチェックすることが大切です。
たとえば、工場でリストラする計画を立てているにもかかわらず生産量を拡大する計画を立てているのであれば、それは整合性がとれていないことになります。工場でリストラすれば、通常は生産能力が低下します。それなのに、リストラと同時に生産量の拡大を図るという計画を策定しても、それは理屈に合わない計画になりかねません。つまり、計画の段階で全体像が整合していないと、実行の段階でゆがみを生んでしまうリスクが高くなるということです。
税理士というと、「会計・税務について相談できるエキスパート」「記帳指導、決算書の作成や税務申告についてサポートしてくれる専門家」というイメージを持つ人も多いと思いますが、税理士には、経営分析資料をもとに、客観的な視点で計画の全体像を分析し、そのうえで中長期的な経営判断のサポートを受けることができます。
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経営計画書で目標設定を明確にすることで、事業を遂行するために資金がどの程度必要なのか、そして、どのようにして事業を発展させるべきなのかを明確にすることができます。そして、これらが明確になれば、事業に絡む顧客、取引先、自社のプロジェクトメンバーなどに、事業を理解し評価してもらいやすくなりますし、結果として会社を成長させることにつながります。
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