経済のグローバル化が発展し、日本企業の海外進出はますます増えています。
特に、サプライチェーン構築上で有利な国・地域を中心に海外事業所を設置するケースは増加の一途をたどっています。
海外進出については、大企業だけでなく中小企業の動きも活発で、輸出を行っている中小企業、海外に子会社を持つ中小企業者数は、増加傾向にあります。
しかし、それでも欧米の海外進出の動きと比較すると、日本の中小企業の国際化の割合はまだまだ低いと言われます。
これは、社内に海外事業に関するノウハウや人材が不足していて、海外展開に足踏みしているケースが多いことが一因と推測されます。
-----
海外進出の準備
海外進出をするということは、自社の貴重な資源を使い事業を推進していくということです。
ですから、自社の長期的な経営戦略を踏まえて、矛盾のないように慎重に準備を進めていく必要があります。
海外進出の合理的な計画を作成しても、自社の長期的経営戦略と方向性が一致していなければ、単に会社の貴重な資源を無駄遣いしてしまうことにもなりかねません。
海外進出について検討する際には、税理士や会計士、弁護士などの専門家に相談しながら、自社の人材、資金、技術、組織力などの現状分析を行い、長期的経営戦略を明確にし、進出国の税務やカントリーリスクなどについて調査を行い、それらと合致する内容の進出計画を慎重に準備することが必要です。
日本の支援体制
中小企業の海外進出展開支援のニーズを受け、中小企業庁では毎年「中小企業海外展開支援施策集」を作成しています。
海外展開を進める際の課題解決や企業の進出事例、国別の各種情報が紹介されているほか、中小企業の海外展開に有益な講演会や研修が、多数行われています。
また、豊富な支援経験と実績を有する海外ビジネスの専門家のアドバイスを受けることができる体制や、国内準備、海外市場開拓、トラブル対応などについて国内、海外で支援を行う体制も整いつつあります。
-----
宗教・民族・労働問題
海外進出をする際には、進出国の宗教、民族、労働問題などの情報収集が欠かせません。これらの事情は、日本人が考える以上に毎日の操業や営業に密接に関わってきます。
とくに各国の宗教観は、日本人の宗教観とかなり隔たりがあるので注意が必要です。
宗教についていえば、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、仏教など多岐にわたるなかで、国民の価値観、社会道徳、倫理観などに大きな影響を及ぼしている例が多々あります。
また、労働問題についても、労働者の権利意識が強くて労働争議が発生する可能性が多い傾向の国があります。経営者と労働者が健全なコミュニケーションをとるためには、社内組合の設立についても入念に検討する必要があります。
規制・認可
進出国で事業を行う際には、その業務内容や業種について、「外資規制上問題がないか」「認可が必要か」などについても確認しておく必要があります。
新規の外資投資の場合には、すべての申請・登録が必要となる国もあれば、税法上の恩恵を受けたい時にだけ申請が必要となる国もあります。
海外進出国を決定する際や、海外活動の比重を検討する際には、国際税務問題の検討が欠かせません。
-----
内国法人が支店形態で外国に進出する場合
内国法人が外国に支店形態で進出する場合には、基本的には進出先国の税法にしたがって課税されます。ただし、そこで生じた損益については内国法人の所在地である日本で内国法人の所得と損益通算されます。
この場合には、支店所在地国での損益の額は現地通貨で行うのが通例ですから、それを本邦通貨に換算することが必要となってきます。
なお、支店の所得についてその支店の所在地国で法人税に該当する税が課された場合には、納付した外国法人税等について内国法人の所得金額を計算し、損金に算入するか、または日本の法人税から控除することができるとされます。
内国法人が子会社を設立して外国に進出する場合
内国法人が外国に子会社形態で進出する場合には、その子会社は内国法人とは独立した存在となります。
したがって、子会社で生じた損益は親会社である内国法人の損益と通算することは原則として不可となっています。
ただし、国際的な租税回避を防止する観点から移転価格税制の適用対象となった場合には、子会社への利益移転分が内国法人の所得に加算されます。
-----
このように、海外進出する際には日本国内の税制に相手国の税制が加わり、どちらの国にどこまで課税権があるかといった点についても検討する必要があるなど、問題は極めて複雑です。進出国を検討する段階から、国際税務に詳しい税理士にアドバイスを受けることが大切です。
税理士による海外進出サポートを受けることで、会計・税務についての問題が解決することができます。
海外進出支援に力を入れている税理士に相談すれば、日本企業が海外へ進出する際に、個々の事業内容やリスクを検討したうえで進出先の選定からサポートしてもらうことができます。また、新規の会社を設立するのか、既存の現地企業と提携するのかなどといった進出形態についてもアドバイスを受けながら、海外進出後の日常会計業務や決算に関するサポートを受けることができます。
また、海外進出に関しては、経営革新等支援機関による助成金が設けられており、この助成金の申請についてもサポートを受けることができます。
なかには、現地との密なネットワークによるコンサルティングを行っている事務所もあり、そのネットワークを生かしたトータルでのサポートを提供している事務所もあります。
freee税理士検索では2,800以上の事務所の中から、海外進出について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるのであわせてご利用ください。
海外進出について相談できる税理士をさがす
海外進出について支援を受けたいと思ったら、海外進出について積極的な支援を行っている税理士事務所に早めに相談しましょう。
また、税理士事務所や会計事務所の主催する海外進出セミナー情報も多数行われているので、積極的に参加してみることをおすすめします。
下記から探すことができるので、検索してお問い合わせしてみてはいかがでしょうか?