税理士との顧問契約や契約解除における注意点

顧問契約を結ぶ際の注意点

税理士と顧問契約を締結すると、その税理士は「顧問税理士」となり、税務に関する書類を作成してもらったり、税務全般の相談に乗ってもらったりすることができます。
契約内容によりますが、月に1度面談し、節税対策や資金繰り・業務の合理化などについて相談したり、アドバイスを受けたりするケースが多いようです。

ただし、顧問契約を締結する際に、依頼できる業務の内容や顧問報酬の額について認識の相違があると、後々不満の種やトラブルの原因になったりしてしまうことがあるので注意が必要です。

ここでは、顧問契約を結ぶ際に注意すべき3つの点について説明します。

依頼内容の整理

顧問税理士と契約する際には、まず税理士に何をしてほしいのか、求めるものをはっきりさせておくことが必要です。
ひとくちに顧問税理士といっても、記帳は自社で行い決算のみ依頼するケースや、経理のすべてを依頼するケースもあります。また、さらに進んで財務に関するアドバイザー、コンサルタント業務を依頼するケースもあります。

新たな税理士と顧問契約を結ぶ時には、依頼する仕事の内容を吟味して納得してから契約をすることが大切です。(一般的な顧問業務の内容についてはこちら

契約書内容の確認

契約書については、委託業務の範囲や契約期間、報酬について内容をよく確認しましょう。

委任業務の範囲

委任業務の範囲は、月次で面談を行うケースや、決算作業のみ依頼するケースなど、個々によって異なります。

契約期間

契約期間の自動更新については、「契約期間完了日の1カ月前までに双方より意思表示がない限りは、自動更新する」と記載するケースもあります。

報酬の額

報酬額については、旧税理士報酬の算定方法を参考にしたり、同じ業務内容の他事務所の報酬を参考にしたりして、相場感を持っておくとよいでしょう。

なお、日本税理士会では、業務契約書のひな型を紹介していますので、参考にしてください。

日本税理士会連合会「業務契約書(記帳代行を含む適格請求書発行事業者用モデル)」より引用

顧問報酬の確認
値上がり条件について

会社の規模や業績は年々変化していきます。特に創業間もない会社であれば2~3年後に売上が数倍以上になることも珍しくありません。
一般に顧問料の金額は会社の売上規模や従業員数等によって変動することが多く、その水準は税理士によってまちまちですので、今現在の条件だけでなく、どのような場合にどのくらい報酬が値上がりするのかを、最初に明確にしておくとよいでしょう。

別料金となる業務について

例えば、税務調査の対象となった際に税理士が対応する場合の報酬は、あらかじめ顧問料に含まれている場合もあれば、基本料金とは別に支払う場合もあります。税務調査が入ることが分かってからだと、なかなか言い出しにくいものになりますので、顧問契約の範囲外になるサービスについてもあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

顧問契約を解除する際の注意点

「誰にとっても最適な税理士」というのは難しく、人と人との問題なのでどうしても相性が合わなかったり、またご自身のニーズと税理士の得意分野が合致していなかったり、ということが起きることは避けようがありません。ここでは、顧問契約を解除したいと思った場合に注意すべき点を説明します。

契約書内容の確認

契約締結の時には、税理士と顧問契約を締結していますが、その際に契約内容をきちんと確認していないケースも多いようです。しかし、契約書の条項の中には、「契約期間完了日の3カ月前までに双方より意思表示がない限りは、自動更新する」といった内容が書いてあるケースもあります。
そのような条項がある時には、急に1カ月前になって「契約解除したい」と申し出ても、認められません。
まずは現在の契約書の内容を確認し、契約を終了させることができるのはどのタイミングなのかを正確に把握しましょう。

契約解除後の業務対応

税理士との顧問契約の終了を考える際に大事な要素は、廃業や休業をきっかけとした場合を除いて「今の税理士との契約が終了した後も今の業務は無くならない」ということです。必ず誰かがその税理士が行っていた業務を引き継ぐ必要があり、誰がいつからその業務を行っていくのか、そのタイムスケジュールは常に意識しましょう。
なお、会計業務が1年で区切られていることを踏まえると、一般的には会計期間の途中で契約を解除することは得策ではなく、その年度の決算作業の完了のタイミングで契約を終了することが望ましいと言えます。

契約解除の申し入れ

契約解除の申し入れを行う時には、仮に今までの顧問税理士に不満があったとしても、「今までありがとうございました」という感謝の気持ちは、しっかり伝えるようにしましょう。「顧問契約を解除すれば、もう関係ない」という態度は、しこりを残してしまいます。また、顧問税理士を変更した後に「今考えると、前の税理士は良かった」と思うケースもありえます。
契約を解除する場合にも、社会人としての礼儀やマナーは、忘れないようにしたいものです。

書類・データ等の確保

会計書類の保管義務は、税法や会社法、インボイス制度などによってさまざまな定めが存在します。
過去の会計帳簿はもちろんのこと、提出した請求書や領収書、また従業員情報等が記載された重要書類は、契約を解除したら確実に返却してもらうようにしましょう。また、以下2点は見落としがちなポイントなので忘れないように確認しましょう。

直近の決算年度末の会計ソフトデータ

多くの場合、会計データは元の税理士の会計ソフト内に格納されています。今後の入力を自分で行う場合も別の税理士に任せる場合も、いずれにしろ会計ソフトが変更になる場合は会計データの移行は必須となります。なお、ここで重要な点は「最低限必要なデータのみを入手する」という点です。具体的には、会計年度の始まりから体制が変更になったのであれば、直近の貸借対照表の残高および勘定科目毎の内訳のみで大丈夫です。
会計年度の途中であれば、その貸借対照表の情報に加え、期の途中までの仕訳情報が必要になります。ただ、会計ソフトはそれぞれデータの持ち方に特徴があるので、体制変更に伴い会計ソフトも変更となる場合は、データ移行作業で余計な工数がかかってしまう可能性があります。そういった事情もあり、契約の終了は年度決算作業完了時が一番好ましいとされています。

e-Taxのパスワード

パスワードを顧問税理士しか知らないという場合、新たにパスワードを設定することになり、過去のメールボックスが見られなくなることがあります。通常の契約では、自身のパスワードを他人が管理するというケースはめったにありませんが、だからこそ顧問税理士のみに預けているパスワードなどの情報が存在しないか、よく確認する必要があります。

最後に、新しい顧問税理士と契約を締結する場合は、税理士にどのような業務を依頼するのか、そしてその仕事に対する報酬がいくらなのかを明確にしてそれをきちんと伝え、税理士から説明を受けることが大切です。
冒頭に説明した通り顧問契約の内容は千差万別なので、「前の税理士が行っていた経理業務や税務関連の業務はすべて引き受けてくれると思った」というわけにはいかないのです。税務調査の対象となったり銀行融資について相談したりすれば、別途報酬が発生することがあります。
この点については、契約締結の際にきちんと確認をしておかないと、後々トラブルにつながることもありますので、注意が必要です。

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