貸倒引当金って何?|意味・仕訳例・計算方法・節税効果まで

公開日:2019年07月08日
最終更新日:2019年07月08日

目次

  1. 貸倒引当金とは
    • 貸倒損失との違い
    • 貸倒引当金の対象となる債権
    • 貸倒引当金の対象とならない債権
    • 貸倒引当金の計算方法
    • よくある仕訳例
    • なぜ節税効果があるのか
  2. 決算期における貸倒引当金の設定
    • 貸倒引当金の設定
    • 期末残高がある時
    • 前期以前の売掛金等が貸倒れた時
    • 前期以前の貸倒処理した売掛金等を回収した時
  3. まとめ

この記事のポイント

  • 「貸倒引当金」とは、売掛金や受取手形などの金銭債権の貸倒れに備えて計上する勘定科目。
  • 貸倒引当金の対象となる債権は、売掛金、未収入金、貸付金等の金銭債権である。
  • 貸倒引当金は、個別法と一括法によって計算方法が異なる。

 

得意先の倒産などの理由で、その得意先に対する売掛金や受取手形が回収できなることを「貸倒れ(かしだおれ)」といいます。

そして売掛金や受取手形が貸倒れてしまう恐れがある時には、これに備えて一定の金額以下の金額を「貸倒引当金」としてその年分の必要経費とすることができます。

貸倒引当金とは

「貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)」とは、売掛金や受取手形などの金銭債権の貸倒れに備えて計上する金額のことをいいます。
売上と貸倒れが異なる会計期間に発生する場合には、収益と費用の対応に食い違いが生じてしまいます。そこで、あらかじめ将来の貸倒れを見積もって、これを売上の計上と同じ会計期間に費用として見積もるわけです。

貸倒損失との違い

貸倒損失とは、法的に消滅した場合・債務者(取引先など)の資産状況や支払能力などからみてその金額が回収できないことが明らかになった場合に、その債権額を帳簿から償却する損失のことをいいます。一方、貸倒引当金とは、まだ回収不能な状況にはなっていないものの、債務者の資産状況や支払い能力などからみて回収不能のおそれがある債権のことをいいます。

貸倒引当金の対象となる債権

貸倒引当金の対象となる債権は、売掛金、未収入金、貸付金等の金銭債権に限られます。そして、債権を次のように区分し、区分された債権ごとに回収不能の見積額を算出します。

一般債権:
通常の取引通りに入金されている債権

貸倒懸念債権:
入金が遅れている債権

破産更生債権:
すでに裁判上の手続きに入っている等、実質的に経営破たん状態に陥っている債務者に対する債権

貸倒引当金の対象とならない債権

貸倒引当金の対象となる債権は、事業の遂行上生じたものに限られます。したがって、必要経費と認められないような個人的な貸金等はその対象とはなりません。
ただし、保証金、敷金、預け金、前渡金等は、事業の遂行上生じたものであっても貸倒引当金の対象とはなりません。

貸倒引当金の計算方法

貸倒実績率法とは、過去3年間に実際に発生した貸倒損失の金額に基づき、法人税法では以下の算式で貸倒実績率を算定し、貸倒引当金を求めます。

参照:国税庁「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定」

税法上、資本金等の金額が1億円以下の中小企業等では、債権を以下の2つに区分して貸倒引当金の繰入限度額を定めています。

① 個別に取引先の事情に基づいて評価する債権(個別法)
取引先に対する債権について、そのすべての債権が対象となります。

② 一括して過去の貸倒れの実績に基づいて評価する債権(一括法)
青色申告者がその事業について生じた売掛金、貸付金などの貸倒れによる損失の見込額として、一定の金額に達するまでの金額を貸倒引当金とすることができます。
一括評価金銭債権にかかる貸倒引当金の繰入限度額の計算は、下記の法定繰入率を適用することができます。

また、個人事業主の場合には貸倒引当金のうち、一括評価による貸倒引当金の計上をしてその繰入額をその年分の必要経費とすることができます。

よくある仕訳例

前述したとおり、貸倒引当金は、個別法と一括法によって計算方法が異なります。
ここでは、個別法と一括法の仕訳例を見てみましょう。

個別法
「民事再生法手続開始の申立てをした取引先に対する売掛金200万円に対して、50%の引当金を計上した。」

一括法
「小売業の会社が、決算にあたって期末の売掛金1,000万円に対して一括法によって貸倒引当金を設定した。前期末の貸倒引当金は70万円を設定している。当期の貸倒れはなかった。」

1,000万円×10/1,000(小売業の法定繰入率)=100万円
100万円-70万円=30万円…貸倒引当金繰入額

なぜ節税効果があるのか

これまでご紹介したとおり、税法上では、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と一括評価金銭債権に係る貸倒引当金に区別され、貸倒引当金の対象となる債権の範囲および繰入限度額の算定方法が規定されています。
繰入限度額に達するまでの金額は、損金算入が認められ、繰入限度額を超える部分については加算調整が行われます。
なお、一括評価による繰入額は、貸倒れにならない場合もあり、必要経費として損金算入しておくことで節税につながります。

しかし、ここで注意すべきなのがこれは1年目に限るという点です。
貸倒引当金繰入として必要経費に計上した額は、翌年には「貸倒引当金戻入」として収入に計上しなければならないのです。
つまり、1年目は貸倒引当金繰入として経費計上することができるので節税効果がありますが、2年目にはその金額を収入として計上することになるので、節税の効果があるのは1年目に限られるということになります。

決算期における貸倒引当金の設定

貸倒引当金は、決算手続きの際に、決算日の売掛金や受取手形の残高のうち、次期以降に貸倒れが生じると予想される金額を見積もって設定します。
ここでは、いくつかのケースごとに設定方法を見てみましょう。

貸倒引当金の設定

決算時に貸倒引当金を設定する時には、設定額を計算して貸倒引当金に計上します。
貸倒引当金は売掛金や受取手形のマイナスを意味する勘定科目なので、貸方に記入し借方は「貸倒引当金繰入」で処理します。

「決算において、売掛金の期末残高10,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。」

10,000円×2%=200円

期末残高がある時

貸倒引当金の期末残高がある時には、以下のように設定します。

「決算において、売掛金の期末15,000円に対して2%の貸倒引当金を設定する。貸倒引当金の期末残高は200円である。」

15,000円×2%=300円
300円-200円(期末残高)=100円(貸倒引当金繰入額)

前期以前の売掛金等が貸倒れた時

前期以前に発生した売掛金が貸倒れた時には、以下のように設定します。

「取引先が倒産して、前期に発生した売掛金1,000円が貸倒れた。残高は300円である。」

前期以前の貸倒処理した売掛金等を回収した時

期以前の貸倒処理した売掛金等を回収した時には、以下のように設定します。

「前期に貸倒れ処理した売掛金1,000円を当期に現金で回収した。」

まとめ

以上、貸倒引当金の意味や計算方法についてご紹介しました。
ここでご紹介したように貸倒引当金の処理は大企業、中小企業、個人事業主などによって計算方法が異なりますし、会計処理は大変複雑です。

しかし、貸倒引当金を計上することは、正確な期間損益を計算するために不可欠なものであり、1年目は節税効果も期待できます。
早めに税理士に相談して、正しい処理についてアドバイスを求めるようにしましょう。

経理・記帳に強い税理士を探す

経理代行(個人/小規模法人)にノウハウを持つ税理士を探す

地域から経理代行(個人/小規模法人)に実績がある税理士を探す

より細かいカテゴリから税理士を探す

人気記事

タグ一覧

業種

その他

PageTop