公開日:2019年07月06日
最終更新日:2022年06月13日
領収書は、仕入や売上などの大事な商取引で発行されるものであり、後で「支払った」「支払われていない」などのトラブルを防ぐという意味でも、大変重要です。
発行する際には、必要な事項がきちんと記載されているか、しっかり確認するようにしましょう。
領収書とは、支払ったこと(支払われたこと)を証明するために、代金を受け取った人が発行する文書です。
買い手側からすれば、「代金を支払ったこと」の証拠となるものです。法律的な用語を用いていうと「債務者は債務の弁済を履行したことを、債権者が証明するための書類」となります。
買い手は代金を支払ったことを、売り手は代金をもらったことを確認し合うことで、二重に支払うことを防止できる効果があります。
たとえば、売買の時に領収書を受け取っていれば、買った側は「すでに支払いは済んでいる」ということを主張することができます。
しかし、領収書がないと「支払が済んでいるのかどうか」などのトラブルが起こった時や悪意のある売り手あるいは管理がずさんな売り手から、代金を再度請求されるリスクがあります。この時証拠となる領収書がないと、二重に支払わなければならなくなることもありますし、
つまり、支払う側からみれば、自分が支払ったことについて証明することができ、受け取る側からみれば、自分が受け取ったことを証明することができるため、後々のトラブルを防ぐ効果があるということになります。
領収書は、原則としてお金の決済をした時に同時に発行します。
たとえば、ものを現金で売った場合には現金をもらった時に買い手から求められたら領収書を発行します。
領収書は、必ず発行しなければならないというものではありません。たとえば、現金口座に振り込んで代金を支払ってもらった場合には、領収書の発行を依頼されないケースがほとんどです。振込の場合には、銀行が振込金受領書という振り込んだことを証明する書類を発行してくれるからです。
しかし、民法486条には「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」と規定されています。
つまり、支払った側が領収書を求めた時には、支払を受けた側が領収書を発行をしなければならない義務があります。
領収書は、期日通りに支払いをしたという証拠になるものですから、「領収書と引き換えでなければ、支払をしない」と主張することもできます。
領収書をもらうのを忘れて、レシートしかないというケースもあるでしょう。
領収書は、宛名を記載してもらうことが基本ですが、レシートを経費の証明として使うこともできます。その場合には、その費用が事業に関連するかどうかが判断できるようにしておくことが大切です。そのため、宛名がなくても店名・発行日・商品内容・金額が書いてあれば、領収書の代わりとして使用することができます。
領収書は、金銭だけでなく書類や商品の受け渡しなどの時にも発行され、この時には「受領書」という名前になります。
つまり、領収書は、取引明細書、受領書など、「債務の弁済を受けたこと」が明確に記載されていれば、領収書と同じ法的な意味を持つことになります。
領収書は、金額に応じて収入印紙が必要です。
収入印紙とは、国が発行する証票で、手数料や税金、罰金の納付のために利用されます。ただし領収書の場合、5万円未満は印紙税がかからないので、収入印紙は不要です。
金額が5万円以上の場合には、印紙を貼る必要があるわけですが、この時消費税の取扱については注意が必要です。たとえば、税抜で5万円以下の場合で税込みにすると5万円以上になるケースです。この場合には、5万円を超える金額を受領金額として記載する場合には、印紙を貼る必要があります。
しかし、消費税額が明らかになる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないでよいことになります。つまり48,000円の受領金額を「52,800円(但、うち消費税4.800円)と記載すれば、印紙を貼る必要はなくなります。
なお、「不動産の譲渡に関する契約書」および「建設工事の請負に関する契約書」のうち一定の要件に該当する場合には、印紙税について2022年(令和4年)3月31日まで軽減措置が設けられています。
また、自然災害等によって被害を受けられた方や新型コロナウイルス感染症等によって、その経営に影響を受けた事業者が作成する契約書については、印紙税の非課税措置が設けられています。
領収書に「但し、商品代金として」など、但し書をすることがあります。
この但し書には、「何に対して支払ったのか」ということを明確にする意味があります。
たとえば、経費として処理した時には但し書に商品名やサービス名が書かれていれば、何を購入したのかが分かりますので、経理作業の効率化にもつながります。
また、税務調査の時にも、しっかり説明することができるので安心です。
領収書を紛失したとして、領収書の再発行を依頼されることがあります。
しかし再発行すると、相手方に領収書を不正使用されるリスクがあるため注意が必要です。
したがって、再発行をする際には、領収書に「再発行」という表示を入れ、日付は再発行をする日を記入します。こうすることで、領収書を二重に発行したわけではないということを証明することができるからです。
「再発行」と表示しないと、お金を二重に受け取ったとして経費の水増しなどの不正利用されることもありますので注意しましょう。
領収書は、用紙や大きさや形状に決まりがある訳ではないため、特別な書き方がある訳ではありません。
しかし、領収書が取引上の重要な証憑であることから考えれば、最低限、「タイトル」「金額」「日付」「発行者の氏名」「押印」「宛名」「但し書」の6つは記載するのがよいでしょう。
これらの事項を記載しておくことで、「いつ、誰が、誰に対して、いくら支払った」という事実を明確にすることができます。
まず、この証憑が「領収書」であることを表記します。
原則として、誰宛てか特定できない「上様」という書き方は避けましょう。また、社名を(株)と省略することもNGです。必ず正式な名称を記入します。
発行日を記入します。
金額を記入する時には、改ざんを防ぐために以下のルールを守ります。
①冒頭に「¥」をつける。
②3桁ごとに「,」をつける。
③末尾に「-」をつける。
但し書は必ず必要というわけではありませんが、何の代金なのかを明確にするためにも記載しておいた方がよいでしょう。
記入する際には「品代」ではなく「書籍代」「PC代」など、具体的に記入します。
発行社名とその住所、連絡先を記入します。
5万円以上の場合には、収入印紙を貼ります。
貼付するのは、領収書を発行する側です。
印紙税額については、下記の国税庁の一覧表を参考にしてください。
クラウド会計ソフトfreee会計では、日々の仕訳作業を簡単に行うことができるだけでなく、お金を受け取った際に領収書を作成することができます。
領収書を作成する根拠となる取引(一般的には売上となる取引)を作成する場合と、支払者に対する領収書のみ発行する場合を選択することもでき、効率よく領収書を作成することができます。
作成した見積書、納品書、請求書、領収書などは、一覧でその送信状況や入金状況を確認できます。
クラウド会計ソフトfreee会計「作成した見積書、納品書、請求書、領収書を管理・編集する」
以上、領収書の書き方や記載のルール、印紙が必要なケースなどについてご紹介しました。領収書やレシートは、仕入や売上などの大切な取引で発行されるものであり、後々のトラブルを回避するためにも大変重要な証憑です。
効率的に作成し管理するためにも、「クラウド会計ソフトfreee会計」を上手に利用してください。
クラウド会計ソフト freee会計
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、領収書の管理について相談することができます。