電子定款とは?作成・認証までの流れを解説

公開日:2023年11月07日
最終更新日:2023年11月07日

この記事のポイント

  • 電子定款とは、電子データで作成された定款のこと。
  • 電子定款は、収入印紙代4万円を節約できるというメリットがある。
  • 電子定款も、認証を受けるためには公証役場に出向く必要がある。

 

電子定款とは、PDFで作成された定款のことです。
電子定款の最大のメリットは、紙の定款でかかる4万円の収入印紙の貼付が不要となるという点です。
freee会社設立を利用する場合には、電子定款の利用は手数料が5,000円かかりますが、紙定款では印紙代(約4万円)が生じるため、トータルで考えると電子定款の方が費用の負担が安く済みます。

 

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電子定款とは

電子定款とは、その名前のとおり「電子データで作成された定款」です。
これまでの紙の定款に代えて、PDFで作成した電子定款についても、電子署名をしてその電子定款について公証人の認証を受けることができるようになりました。
電子定款といっても、オンライン上ですべての手続きが終わるわけではなく、認証を受けるためには、紙の定款と同じように公証役場に出向くのが原則ですが、テレビ電話方式による認証も可能となりました。

(1)そもそも「定款」とは

定款とは、会社の憲法とも言われるもので、会社の運営方針や基本的なルールを定めたルールブックのようなものです。
株式会社の定款に記載すべき事項は、以下の3つです。

絶対的記載事項 ・商号
・事業の目的
・本店所在地
・設立に関して出資される財産の最低額
・発起人の氏名または名称(会社の場合)と住所
・発行可能株式総数
記載がなかったり記載内容が法律に違反していたりすると、その定款自体が無効となる。
発行可能株式総数は、絶対的記載事項ではないが別途定めた書類を作成する手間を省くため、あわせて記載しておく。
相対的記載事項 ・株式の譲渡制限をつけるか
・株券を発行するか否か
・取締役会など機関設計に関する事項
・取締役会の任期を伸ばすか
・監査役の任期を伸ばすか
・現物出資をするか否か
・配当優先株式など種類株式を発行するか
・公告の方法
記載がなくてもその定款は法的に有効だが、定款に記載があると法的な効力を持つ事項。
特に、株式譲渡制限に関する規程、取締役の人気に関する規程は、1人起業や仲間で起業する場合には定めることが多いため、これらの規定を定める場合は、定款に記載するようにする。
任意的記載事項 ・会社の事業年度
・設立時の取締役の住所氏名
・設立時の監査役の住所氏名
・株主総会の運営方法
法律に違反していなければ、会社が自由に決めることができるもの。
定款に記載することで、会社のルールとして株主や取締役など会社の機関を拘束することが可能。
任意といえども、一旦定款に記載すれば、変更する際にはその他の項目と同様の手続きが必要となる。

(2)株式会社の定款

取締役・監査役のない株式会社の場合に定款の構成例は、以下のとおりです。
取締役1名・株主2名の最もシンプルな会社の定款となりますので、これをもとに皿に追加して明文化しておきたい項目があれば、盛り込むようにします。

第1章 総則 商号、事業目的、本店所在地、公告の方法など
第2章 株式 発行可能株式総数、株式発行の有無、株式譲渡制限、配当の基準日など
第3章 株主総会 招集手続き、株主総会の議長、株主総会の決議方法や要件の変更、議決権の代理公使方法、株主総会議事録の作成方法など
第4章 取締役および代表取締役 選任できる取締役数の上限・下限、取締役の任期、選任・解任の方法など
第5章 計算 事業年度、剰余金の配当など
第6章 附則 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称・住所、最初の事業年度、発起人が引き受けた株式数など

(3)合同会社の定款

合同会社は、株式会社と比較すると組織が簡素なので、定款の内容も半分程度です。また、株式会社と違って、公証人の認証を受ける必要もありません。
これは、株主など投資家の権利を規定していないため、それほど厳正な手続きが求められておらず、誤字脱字や絶対的記載事項の記載漏れについて、公証人のチェックを受けることがありません
ただし紙の定款の場合には、株式会社と同様に印紙代4万円が必要ですが、電子定款を作成すれば、印紙代を節約することができます。

定款の配列は特に決まっていませんが、総則・社員および出資・業務の執行及び会社の代表・計算・附則の順に章立てするのが一般的です。

第1章 総則 商号、事業目的、本店所在地、公告の方法など
第2章 社員及び出資 社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任など
第3章 業務の執行及び会社の代表 業務執行社員、代表社員について記載
第4章 計算 事業年度
第5章 附則 会社設立時の一過性の事項

(4)電子定款は4万円おトク!

電子定款を利用する最大のメリットは、紙の定款の場合にかかる収入印紙代4万円を節約できるという点です。これは、電子定款が電子データであることから、印紙税の対象となる「文書」に該当しないためです。
しかし、電子定款を自分で作成しようとすると、必要な器具を揃え、AcrobatでPDF形式に変換するなど事前準備が非常に大変です。
そこで、おすすめしたいのが、「freee会社設立」による電子定款の作成です。
電子定款の作成に必要な情報(社名や会社の住所など)を入力するだけで、と電子定款の元になる定款が自動で作成でき、定款の認証に必要な書類なども準備することができます。

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電子定款の認証の流れ

電子定款の認証を受ける主な流れは、以下のとおりです。

①wordなどの文書作成ソフトで文書を作成する。
②AcrobatでPDF形式に変換する
③公証人に連絡をする
④電子署名をする
⑤法務省オンライン申請システムにログインし嘱託情報を送信する
⑥公証人役場で電子署名を付した電子データの交付を受ける

(1)wordなどの文書作成ソフトで文書を作成する

定款をwordなどの文書作成ソフトで作成します。
紙のサイズに決まりはありませんが、A4が主流です。
文字の大きさは、明朝体かゴシック体の11~12ポイントがおすすめです。
一般的には、第1条の「商号」から始まり、第2条「目的」…と書いていきます。
第2項以下の項があるときは、算用数字で「2,3」と項番号と呼ばれる番号をつけます。ただし、第1項には「1」をつけないのが慣例となっています。

(株式の譲渡制限)
第○条 当会社の発行する株式は、すべて譲渡制限株式とし、当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を受けなければならない。
2 前項の承認機関は、株式総会とする。

(2)定款をPDF化する

PDF文書を作成するには,ソフトウェアAdobeAcrobat(アドビシステムズ社)が必要になります。他のソフトウェアでもPDF化まですることはできますが、電子署名はできないからです。
したがって、Acrobatで定款をPDF化し、電子署名できる環境を用意しておきます。

(3)公証人に連絡をする

平成31年3月29日から、電子定款の場合には公証役場に行かなくても、テレビ電話で公証人が本人確認を行って認証を受けることができるようになりました。
公証人には、前もってテレビ電話用のURLを受けとる必要がありますので、あらかじめ連絡して予約をしておきます。

(4)電子署名をする

マイナンバーカードとICカードリーダーを使用して、電子署名を行います。
発起人が複数いる場合には、代表者が電子署名をして、他の発起人は委任状を作成します。

PDF文書を作成すると、作成されたPDFが表示されます。
「ツール」→「証明書」をクリックすると、証明書バーが表示され、ここで「電子署名」をクリックして電子署名を行います。
ICカードにアクセスしようとするので、ICカードのセットを確認して「はい
をクリックします。

(5)法務省オンライン申請システムにログインする

公証役場に電子定款のデータを送信します。
データの送信を行う際は、申請用総合ソフトを使用して送信しなければなりません。また、送信する際のファイル名は、半角英数字でなければなりません。
申請用総合ソフトをインストールして、申請者情報事前登録を行います。
申請用総合ソフトを起動し、申請書を作成して電磁的記録を添付し、嘱託情報を送信します。

(6)公証人による認証を受ける

嘱託された電磁的記録の内容等については、嘱託を受けた公証人が面前で審査して、嘱託人が電子署名を行ったことを認証するのが原則ですが、テレビ電話方式で認証を受ける場合には、事前に連絡を受けているテレビ電話用のURLにパソコンやスマホを利用してつなげ、音声と映像で確認等を行います。
公証人が認証した定款(原本)は、公証人役場で20年間保管されます。万が一保存用定款を紛失した場合には、保存期間内であれば謄本を取得できます。

まとめ

以上、電子定款の作成方法や必要書類についてご紹介しました。
電子定款を作成するためには、AdobeAcrobatや申請用総合ソフトなどのインストール、カードリーダーが必要ですが、これらの必要なソフトや機器を一から揃えるのが面倒な方や、簡単に作成したい方は電子定款にも対応している「freee会社設立」がおすすめです。

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