会計参与とは?会計参与がいるメリットは?監査役との違いは?

公開日:2024年02月09日
最終更新日:2024年02月09日

この記事のポイント

  • 監査役とは、取締役の職務執行を監査する人。
  • 監査の対象には、業務監査と会計監査がある。
  • 業務監査権のある監査役を設置している会社を「監査役設置会社」という。

 

会計参与とは、会社の役員として取締役と共同して計算書類を作成し、利害関係者に開示する職務を担う機関です。会計参与になれる人は、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)のみです。

一方監査役とは、取締役の職務執行を監査することを職務・権限とする人です。
監査の対象は、業務監査と会計監査の双方が含まれ、取締役が行う業務の適法性だけでなく、会社の金銭・会計の不正面もチェックします。
 

会計参与の豆知識

会計参与とは、税理士または公認会計士の資格を有する役員が取締役と共同して計算書類を作成し、その質の向上を図ることを目的として創設された制度です。
会計参与は中小企業のための制度で、取締役会が置かれている会社では、監査役または会計参与が置かれます。大会社でない限り、会計参与を置けば監査役はいなくても構いません。
このように、取締役会があり、さらに会計参与や監査役のようにチェックする機関が存在するということは、信用のできる体制の会社だというイメージを与えやすくなり、結果として金融機関や投資家の信頼を高めることができ、資金調達が円滑になることが期待できます。
会計参与になれるのは、公認会計士または税理士だけです。

会計参与とは

会計参与とは、株式会社の計算書類を作成する機関で、社内の役員です。
会計参与は、取締役などと共同で貸借対照表や損益計算書などを作成します。そして、この作成された計算書類を監査する社内の役員が、監査役です。

(1)会計参与になれる人とは

会計参与になれるのは、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)だけです。
ただし、これらの資格を持つ場合でも、会計参与をする会社やその子会社の取締役、執行役、監査役、使用人である場合には、会計参与になることはできません。
顧問税理士は、会計参与になることができます。

会計参与は、株主総会の決議によって選任することになっており、任期は取締役と同じで原則2年となっています。ただし定款で定めれば、最大10年に延長することができます。

会計参与は、他の役員と同様、会社に対する損害賠償責任を負い、株主代表訴訟の対象となりますし、第三者に対する損害賠償責任を負います。

(2)会計参与と監査役の違いは?

監査役とは、株式会社を構成する機関のひとつで、取締役や会計参与の職務の執行をチェックする機関です。
会計参与と同じく、会社法上の役員です。
監査役の権利と義務は厳格化されており、役員等として取締役と同じ責任を負います。
ただ、監査役は取締役を監査する立場であることから、独立性が保障されていなければならず、取締役と比べると任期など多くの点が異なります。

監査役の仕事は、一般的に業務監査と会計監査に分けられます。
業務監査:取締役の職務の適法性をチェックし、違法行為があれば指摘して場合によっては行為を差し止めます。
会計監査:企業の会計に関する事項について監査を行います。

(3)会計参与/監査役が必要な会社とは

株式会社には、このほか株主総会や取締役会といったさまざまな機関が存在し、それぞれの会社は事業目的や事業規模に応じて、どのような機関をどのように設置するか決めることができます。これを「機関設計」といいます。

そしてこの「機関設計」にはいくつかのルールがあり、たとえば取締役会を設置している会社は、取締役は最低3名かつ監査役または会計参与が最低1名必要となります(ただし、非公開会社では会計参与でも可)。
また、会計監査人を設置する場合にも、監査役の設置が必要となり、公開会社かつ大会社では、監査役会の設置が必要となります。

(4)会計参与と顧問税理士の違いは?

会計参与になれるのは、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)だけであり、顧問税理士に会計参与を依頼するケースも多いようです。
顧問税理士であれば、事業の内容や状況をよく理解しているため、会計参与になってから、とくに説明する手間がかからないというメリットがありますが、第三者的な視点に立ちにくいというデメリットがあります。

(5)会計参与を置くメリットは?

会計参与が、取締役などと計算書類等を共同して作成するのは、取締役などによる計算書類等の虚偽記載や改ざんを防止するためです。
したがって、会計参与を置くメリットとしては、中小企業の計算書類等の適正化、信頼性の確保ができる点が挙げられます。
監査役や会計参与などが置かれていると、信用のできる体制の会社と見られるため、結果として、金融機関の融資や投資家の出資などが受けやすくなる、つまり中小企業の資金調達が円滑になる可能性が高くなります。

会計参与・監査役よくあるQ&A

会計参与・監査役について、中小企業で設置を検討している場合、会計参与を置くメリットやデメリット、選任や解任について気になるケースが多いようです。
ここでは、会計参与・監査役のよくあるご質問をご紹介します。

(1)会計参与を置く際の注意点は?

会計参与は、取締役と共同して計算書類等を作成することになりますが、会計参与自身が日々の現金出納帳の作成や決算書作成まで行うわけではありません。会計参与には、月次や決算時に会計処理のチェックをしてもらうというルールづくりが必要です。
また、会計参与は、会社に対する損害賠償責任を負い、第三者に対する損害賠償責任を負いますから、その損害賠償の範囲を明確にしておかないと、後々のトラブルにつながります。
一般的には「○年間の報酬額を限度とする」というように、損害賠償額の上限を設けています。

(2)中小企業で監査役を置くメリットは?

監査役は、取締役会を設置した会社で委員会を設置しない場合には、一部をのぞき必須の機関です。
ただ、取締役会を設置しない会社でも、定款で定めれば設置することができます。監査役は、取締役(会計参与がいる場合には会計参与)の職務執行を監査し、監査報告を作成するのが職務ですから、法令遵守や企業倫理が確保されます。そこで、会計参与と同様に、金融機関や投資家の信頼を高めることができ、資金調達が円滑になる可能性が高くなるというメリットがあります。

(3)会計参与は法人でもなれるの?

会計参与は、監査法人や税理士法人がなることができます。
会計参与が法人である場合は、その職務を行うべき社員が定められます。そして取締役会に出席し、必要な場合には意見を述べなければなりません。
ちなみに、法人は取締役となることはできません。

まとめ

会計参与は、株主総会で選任され、取締役等と共同して貸借対照表や損益計算書等の計算書類を作成する職務を負います。
会計参与は、監査役と同じように経営陣からの独立性が求められますが、取締役のように経営そのものについて責任を負うわけではありません。
取締役会が置かれ、監査役や会計参与などが置かれている会社は、信用できる体制の会社であると考えられ、金融機関の融資や投資家の出資などが受けやすくというメリットがあることから、中小企業でも導入する会社が増えています。

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「私の経営する法人の非常勤役員として妻を監査役にしております。

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