社外取締役とは?なれる人の要件や役割

公開日:2023年08月25日
最終更新日:2023年10月17日

この記事のポイント

  • 社外取締役の目的は、社内に利害関係のない立場から経営の意思決定・監督を行うこと。
  • 2021年3月の改正会社法で、一定の会社に社外取締役の設置が義務づけられた。
  • 社外取締役は、過去・現在にわたって、その会社で業務経験の内取締役であることが求められる。

 

社外取締役とは、社内に利害関係のない立場から経営の意思決定や監督を行う取締役のことで、一定の会社には、社外取締役の設置が義務づけられています。
社外取締役となるためには、その会社または子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人でないことなどが要件となります。
 

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社外取締役とは

社外取締役とは、社内にしがらみのない立場(利害関係のない立場)から、取締役会の決定・監督に参画する取締役です。
社外取締役は、これまでは任意とされていましたが、2021年3月の改正会社法で、一定の会社に設置が義務づけられることとなりました。
また、社外取締役になる人の要件としては、過去・現在にわたってその会社で業務の経験がないことなどがあります。たとえば、10年以内に業務執行取締役だったり親会社の取締役だったりした場合は、社外取締役となることはできません。

(1)社外取締役が義務づけられている会社

社外取締役を1名以上置かなければならないと義務づけられている会社は、監査役会設置会社で、公開会社、かつ資本金5億円以上などの大会社のうち、有価証券報告書の提出義務のある上場会社です。

(2)社外取締役になれる人の要件

社外取締役を設置する目的は、社内に利害関係のない立場から経営の意思決定・監督を行うことです。
したがって、過去・現在にわたって、その会社で業務の経験がある人は、社外取締役となることはできません。

社会取締役になれる人の要件

・その会社または子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人でないこと。また、就任前の10年間に、上記であったことがないこと。

・就任前の10年以内に、その会社または子会社の取締役・会計参与・監査役であったことがある者は、その就任前の10年間に、その会社または子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人であったことがないこと。

・その会社の経営を支配する個人または親会社等の、取締役・執行役・支配人その他の使用人でないこと。

・その会社の親会社等の、その会社以外の子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人でないこと。

・その会社の取締役・支配人その他の重要な使用人・その会社の経営を支配する個人の、配偶者・2親等内の親族でないこと。

・10年以内に、業務執行取締役等だった人→NG
・子会社も含め、業務執行取締役・執行役等だった人→NG
・親会社の取締役・執行役・支配人だった人→NG
・兄弟会社の取締役・執行役・支配人だった人→NG
・取締役・支配人等の近親者、配偶者だった人→NG

(3)社外取締役の職務と責任

社外取締役は、取締役会に出席して、議案の審議に参加します。
また、社外取締役は、独立した客観的な立場で、経営陣、取締役に対する監督を行います。

社外取締役は、代表取締役や業務執行取締役として選任されることはありませんから、取締役会の構成員として活動することが職務となります。そのうち主なものは、以下のとおりです。

・経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し、企業価値の工場を図るための助言を行うこと。

・経営陣幹部の選解任や取締役の重要な意思決定を通じて、経営の監督を行うこと。

・会社と経営陣・支配株主等との間に利益相反行為がないよう、監督をすること。

・経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主等の意見を取締役会に適切に反映すること。

また、会社と社外取締役の関係は、一般的に委任に関する規定に従うものとされ、その職務を執行するにあたっては。善管注意義務を負うものとされます。
さらに、自己または第三者のために競業をしようとする時には、その取引について重要な事実を開示したうえで、取締役会の承認を受けなければならないとされています。

(4)社外取締役を選ぶときのポイント

社外取締役は、一般的にその会社の業務に精通していないことから、まずは自身が社外取締役として就任する会社を知ることが重要となってきます。
したがって、社外取締役を選ぶときには、新たな知識や情報を吸収しようとする意欲、時間がある人であるか、がポイントとなります。

また、昨今の価値観の多様性を理解し、さまざまな社会のニーズに応えるための柔軟な思考・価値判断ができるかどうかも、大切なポイントです。
同じような思考や価値観を持った人では、「会社の常識は、世間の非常識」といった事態を生み出しかねません。これまでの役員とは違ったフレッシュな発想と価値観で取り組んでもらえる人こそが、社外取締役に求められる核心ともいえるからです。

全くの異業種でも問題ありませんが、自ら経営を実践し、業績を上げている人や、経営学・マーケティングの大学教授、経営コンサルタントの経験がある人などは、実践的な視点でアドバイスをしてくれることが多く、社外取締役に適していると判断されることが多いようです。

(5)社外取締役との確認事項

社外取締役を打診する場合には、社外取締役として活動するうえで、どの程度の時間を確保できるかを確認しておく必要があります。
上場会社の場合には、月1回以上の取締役の出席する必要がありますが、資料を事前に読み込んだり、質問事項をまとめたりなど、事前準備には相当な時間を使うことになります。
場合によっては、工場や店舗への視察、倉庫の立ち会いなど行わなければならないこともあります。

また、すでに他社の社外取締役に就任している場合には、取締役会の重要日程が重ならないよう配慮することも必要です。
その他にも、社外取締役の自社株保有ルール、自社株売買ルール、インサイダー取引規制などの法的規制については、しっかりと内容を確認しておくことも大切です。

ちなみに、コーポレートガバナンス白書では、社外取締役等の兼任状況について、4社以上の社外取締役を兼任するケースは1%未満となっています。

まとめ

昨今は、コーポレートガバナンスの強化という視点から、社外取締役の存在意義が格段に高まっており、上場会社に限らず社外取締役・社外監査役を設置するケースが増えています。
社外取締役は、会社法で要件が決まっており、また選任するうえでは適格性や就任後の役割等を確認しておく必要があります。
社外取締役の設置を検討している場合には、思わぬトラブルを招くことがないよう、早めに専門家に相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

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