設立時取締役の選任の仕方

公開日:2023年08月10日
最終更新日:2023年10月17日

この記事のポイント

  • 発起人は、設立時取締役を選任する。
  • ただし、取締役だけで起業するケースが、多い。
  • 取締役が1名だけの場合は、そのまま代表取締役になる。

 

設立時取締役とは、会社を設立したあとのいわば舵取り役のことです。
新会社法が施行された後は、取締役だけで起業するケースが増えました。取締役1名だけで起業する場合には、その人がそのまま代表取締役となります。
取締役が複数いる場合には、そのなかの1人が代表取締役となります。
 

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設立時取締役とは

設立時取締役とは、会社を設立した際の取締役です。
設立時役員とは、設立時取締役、設立時監査役がありますが、役員の人数は1人でもOKです。
取締役が1人の場合は、その人がそのまま代表取締役となり、取締役会は設置できず、すべての決議は株主総会で決めることになります。
取締役会を設置するためには、取締役3名以上、監査役1名以上が必要です。

(1)発起人が設立時取締役を選任する

設立時取締役は、発起人が選任します。
発起人とは、会社を設立することを決めた張本人のことであり、設立時の株主です。発起人の人数は1名以上あればよく、上限はありません。
1人で会社を設立する場合には、発起人1名が100%出資し、取締役(代表取締役社長)を務めるケースがほとんどです。

複数の取締役がいる場合には、原則として過半数で代表取締役を選任しなければなりません。取締役会を設置した会社では、取締役は取締役会のメンバーであり、会社を代表する機関は、取締役会で選任された代表取締役だけとなります。

(2)株主総会と取締役は必須機関

会社は「法人」であり人間ではないので、人間が会社に代わって意思決定や取引行為などを行なったり、それをチェックしたりしなければなりません。
そして、このような行為をする人などを「機関」といい、株式会社では10種類の機関があります。

①株主総会
②取締役
③取締役会
④会計参与
⑤監査役
⑥監査役会
⑦会計監査人
⑧監査等委員会
⑨指名委員会等
⑩執行役

上記10の機関は、会社の規模などによって設置が不要なものもありますが、株主総会と取締役は、株式会社であればどの会社でも設置しなければならない機関です。

(3)役員1人なら取締役会なしでOK

取締役1人なら、その人がそのまま代表取締役になります。
取締役会を設置するためには、取締役3名以上、監査役が1名以上必要となりますので、取締役1名の場合は、取締役会は設置しません。そして、すべての決議は株主総会で決めることになります。

設立時から3名以上の取締役を置くことは、あまり多くないため、株主が取締役となっているような小規模な会社の場合には、取締役会を設置するケースは稀といえます。
ただし、取締役が3名以上、監査役が1名以上いて、さらに経営方針をしっかりと協議して決めていきたいという事情がある場合には、取締役会の設置を検討するのもよいでしょう。

(4)機関構成よくあるパターン

非上場会社の機関構成でよくあるパターンは、以下の3つです。

①取締役1名のみ
②代表取締役1名+取締役1名
③取締役会(取締役3名)+監査役(または会計参与)

ちなみに、会社を設立した後に、事業がある程度成長した段階で取締役会を設置することも可能です。
その場合には、株主総会の特別決議によって定款を変更する必要があります。また、取締役会を設置したことについて登記する必要もあります。
さらに、この時あわせて監査役(または会計参与)を選任し、登記することが必要です。

(5)役員の義務・責任を知っておこう

会社設立段階では、取締役のみのケースが多いですが、取締役、監査役、会計参与はそれぞれ任務があります。
取締役の主な任務は、会社の方針や通常業務などの事業経営に関する事項を取り決め、実行することです。
取締役のなかで、会社を代表する人が代表取締役となります。
会社の業務を執行する際に、故意または重大な過失によって第三者に損害を与えた場合には、それを賠償する義務を負います。
また、競業避止義務(※①)や利益相反行為取引(※②)も、全面的に禁止というわけではありませんが、責任を問われることがあります。

※①競業避止義務
兼業を禁止する義務

※②利益相反行為取引
役員が自社と取引する場合に問題となる

(6)取締役選任決議書の記載事例

出資金の払込みのあと、発起人は設立時役員等を選任します。
取締役1人の場合には取締役会は設置できないので、株主総会で決めます。
発起人の過半数をもって設立時役員等を決定した時には、「取締役(及び監査役)選任決議書」もしくは「発起人会議事録」を作成します。
定款に、設立時役員等の氏名を具体的に記載している時には、作成は不要です。

設立時取締役、設立時監査役選任及び本店所在場所決議書

令和○年○月○日、株式会社○○○創立事務所において、発起人全員出席し(又は議決権の過半数を有する発起人が出席し)その全員の一致の決議により次のように設立時取締役、設立時監査役及び本店所在場所を選任、決定した。

 設立時取締役  東京都○○区○○町○丁目○番○号
同       東京都○○区○○町○丁目○番○号
本店      東京都○○区○○町○丁目○番○号

上記決定事項を証するため、発起人の全員(又は出席した発起人)は、次のとおり署名押印する。

 令和○年○月○日
株式会社○○○
  発起人○○○ 印
  発起人○○○ 印

(7)取締役の任期の決め方

取締役の任期は2年が原則ですが、全部の種類の株式が「譲渡制限株式」である会社の場合には、定款に定めれば、最大10年まで延長することができます。発起人1人で設立してそのまま取締役になる場合や、少数で会社設立する場合には、最長任期である10年と定めるのがよいでしょう。なぜなら、取締役を改選する機会を少なくできるうえに、登記費用などの出費を抑えることができるからです。
複数の取締役を置く場合など、解任したいと思った時に正当な理由がないと、損害賠償を請求されるリスクもありますので、そのリスクをよく検討したうえで任期を決めましょう。

まとめ

会社を設立する場合、発起人がそのまま設立時取締役となるケースがほとんどです。発起人が複数人いる場合には、通常はそのなかから代表取締役を1名決定することになります。
ただ、必ずしも発起人が代表取締役に就任しなければならないというものではなく、外部から選ぶこともできます。つまり、誰かに出資してもらって起業するケースです。
取締役の任期は、定款に特に定めがない場合は2年ですが、定款で定めれば最長10年まで延ばすことも可能です。

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「これから2人での法人設立を進めていきます。融資も検討しています。
・職務執行期間について
「取締役の職務執行期間について質問があります。これは事業年度と同一という理解でよろしいでしょうか。
・代表取締役が非常勤(役員給与等の内訳)
「一人で複数の法人の代表取締役となるケースがあると思いますが、

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