給与明細の見方|支給項目と控除項目

公開日:2019年07月07日
最終更新日:2022年05月02日

この記事のポイント

  • 給与明細とは、給与の支払額や控除額、勤怠情報などが記載された通知書のこと。
  • 給与支払明細書の交付は、所得税法で義務づけられている。
  • 保険料を控除したときは、保険料の控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

給与は、支給された額がそのまま「手取り額」となるわけではありません。
健康保険料や厚生年金保険料、源泉所得税、住民税などが差し引かれ、そのほか労働組合費や生命保険料、親睦会費などが差し引かれた額が実際に手にする「手取り額」となります。

給与計算の担当者は、給与明細の控除項目としてはどのようなものがあり、どのように計算されるのか理解しておく必要があります。
そこでここでは、給与支払明細書をもとに、それぞれの項目についてご紹介します。

給与支払明細書(給与明細)とは

給与明細とは、給与の支払額や控除額、勤怠情報などが記載された通知書のことです。
給与のいわゆる「手取り額」は、会社から従業員に総支給額が支給され、そこから保険料、税金、労使協定による控除(会社で加入する生命保険や親睦会費など)が差し引かれたものになります。

(1)給与明細の支給項目

まずは給与明細の支給項目を確認してみましょう。


【月給】
支給項目の月給には基本給、役職手当、職務手当などの固定的給与があり、項目名は会社によって異なります。

【残業手当】
法定労働時間を超えて労働させる場合には、割増賃金を支払わなければなりません。
割増賃金を支払わなければならないケースとは、時間外労働手当、深夜労働手当、休日労働手当です。

①時間外労働
法定労働時間を超えて労働させた場合には、その超えた時間に対して通常の給与の25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

②休日労働
法定休日に労働させた場合には、休日労働手当として、通常の給与の35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

③深夜労働手当
労働基準法では、午後10時から午前5時までの時間帯を「深夜」と定めています。
会社は、従業員を深夜に労働させた場合には、深夜労働手当として通常の給与の25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
なお、時間外労働や深夜の時間帯に及んだ場合には、50%以上(時間外+深夜)、休日労働が深夜におよんだ場合には60%以上(休日+深夜)の割増賃金を支払わなければなりません。

(2)給与明細の控除項目

労働基準法では、給与の支払について「全額で支払う」ことを義務づけていますが、例外として「法令に別段の定めがある場合」や「労使協定に定めがある場合」が、給与の一部を控除して支払うことができるとされています。

法定控除には、健康保険料や厚生年金保険料、源泉所得税、住民税などが該当します。
一方、労使協定に定めがある場合を「協定控除」といい、社宅費や会社で加入する生命保険や親睦会費などがこれに該当します。

【健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料】

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、標準報酬月額および保険料額表によって、標準報酬等級に応じた保険料を控除します。
介護保険の被保険者となるのは、40歳からです。
40歳に達すると介護保険料を控除しなければなりません。この40歳に達する人は、40歳の誕生日の前日となります。

【雇用保険】

雇用保険については、雇用保険料の被保険者負担率を掛けて計算した保険料を控除します。

被保険者負担率
一般の事業 3/1000
農林水産業・清酒製造業・建設業 4/1000

 
雇用保険料は、高年齢被保険者については令和元年まで免除されていましたが、令和2年度より徴収することとなりました。

【所得税】

所得税とは、個人の所得に課せられる税金です。
給与所得については、会社が所得税額を計算し、その所得税を従業員に代わって国に納める方式がとられています。これを「源泉徴収制度」といいます。

所得税は、社会保険料控除後の金額に対して課税されます。
また、非課税通勤費などの非課税分を控除した課税合計から社会保険料を引いた額が対象となる点についても注意が必要です。
税額表は、給与の支払いを受ける人の扶養親族等の数に応じて異なります。

【住民税】

住民税とは、都道府県民税と市区町村民税を総称したものです。
住民税については、市区町村が計算して通知してくるので会社では計算されません。
住民税は、毎年5月末までに各市町村から特別徴収の税額通知書が送られてきます。ここで、個人のマスター台帳に転記した金額を控除します。
所得税と異なり、税額そのものの計算は必要ありません。

【その他の控除】
法定控除の他、労使協定によって控除される「協定控除」があれば、それも差し引かれます。
協定控除とは、社宅費、財形貯蓄費、労働組合費などが該当しますが、これらは会社と従業員代表が協定を結ぶことで、はじめて控除されます。

給与計算ソフトを活用しよう!

給与計算は、それぞれの従業員の給与や報酬の額によって控除する額が変わりますし、所得税を計算する際には、従業員の扶養家族の数も確認しなければなりません。
さらに健康保険や厚生年金、雇用保険等の保険料率や所得税額表を見ながら計算していては効率が悪いですし、ミスが起こることもあります。
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まとめ

以上、給与明細の支給項目や控除項目の意味について、ご紹介しました。
給与計算は、従業員とその家族の生活を支える糧となるもので、絶対にミスは許されません。
「freee人事労務」を活用すれば、迅速かつ正確に計算することができ、さらに集計作業から明細書の発行まで行うことができます。
なお、給与計算を行う前に知っておくべき労働基準法の知識、就業規則の作成、などについては、社会保険労務士にアドバイスを受けることをおすすめします。

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