請求書の書き方|請求書作成のテンプレートやマナーなど

公開日:2019年04月05日
最終更新日:2022年12月20日

この記事のポイント

  • 請求書は、取引先にお金を払ってもらうための書類。
  • 送付する際には、請求書だけでなく添え状を同封するのがマナーとされている。
  • 令和5年(2023年)10月から、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入される。

 
請求書とは、商品やサービスの料金の支払いを請求するための文書です。販売した商品やサービスの内容のほか、単価や数量、合計金額、振込先口座、支払期限などが記載されます。

請求書を作成する場合には、さまざまなルールがあります。
取引先との信頼関係のためにも、正しい金額を記載することはもちろんですが、その他にも注意すべき点が多々あります。
また、令和5年(2023年)10月から、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。
ここでは、請求書に関する基礎知識やマナー、適格請求書についてご紹介します。

請求書とは

請求書とは、取引先にお金を払ってもらうための書類です。
取引相手に商品やサービス代金支払ってもらうために請求書発行日付・請求合計金額・入金振込先などを記載します。
請求書を作成する場合には、取引先との信頼関係のためにも、また税務署に疑いをかけられないためにも、請求書を発行する際の注意点や経理の基本についてしっかり理解してから作成するようにしましょう。

正しい請求書を発行・管理するために、まず抑えておきたいポイントは「正しい金額を記載すること」「控えを適切な方法で残すこと」「請求書を管理するための連番を入れる」の3つです。
まずは、請求書の書き方や作成する際のルールについて、ご紹介します。

(1)請求書の基本の書き方

請求書を作成する際には、以下の項目を記載する必要があります(後述する適格請求書の場合をのぞく)。

①文書のタイトル
まず、文書の上部中央に「御請求書」とタイトルを記載します。
継続して取引している相手については、「○月分御請求書」と記載する場合もあります。

②請求書を送付する相手先の社名
続いて、請求書を送付する相手方の社名、屋号、氏名を記載します。
会社宛て、屋号宛てに請求書を送付する際には、取引先の社名のあとに「御中」、担当者宛てに送付する場合には「様」と記載します。
なかには、親会社が子会社の請求を立て替えて支払うなどのケースでは、請求書の相手方と請求書の送付先が異なることがあります。
したがって、必要に応じて部署名や担当者名を記載して、請求書が確実に担当者の元に届くように配慮します。

③請求書の発行日
請求書の発行日を記載します。発行日は、締め日(※後述)で記載するケースが多いようです。
また、発行日は業種によってタイミングが違うこともありますので、取引先にも確認するようにしましょう。

④請求書発行の管理番号
請求書は、通常は請求書の管理のための通番号を記載してあります。
同一の顧客に対して複数枚の請求書を発行する場合もありますので、分かりやすいように管理番号を記載します。請求に関する問い合わせがあった際に、どの請求書に対する問い合わせなのかすぐに特定できるようにします。

⑤請求書を発行した側の氏名、住所、電話番号など
請求書を発行した側の氏名、住所、電話番号などの情報を記載し、代表者の印鑑を押します。担当者の印や上司の印を押す場合もあります。
個人事業主で屋号を使用している場合には、その屋号の印鑑を押印します。

⑥税抜の請求金額
今月請求する金額の税抜金額を記載します。
そして、別途記載した請求明細の合計額と一致するようにします。
エクセルで作成する場合には、最初から数式を入力しておくとミスがなくなるのでおすすめです。

⑦本体金額に対する消費税額
本体金額に対する消費税額を記載します。
なかには消費税がかからないものもありますので注意します。たとえば、社会政策上の配慮から、住宅の賃料や墓地・埋葬などの役務提供については、消費税はかかりません。
消費税が課されない商品であるなどの特別の事情がないかぎりは、必ず記載します。

⑧請求額
請求する額を記載します。
継続して取引のある相手方に対して請求書を発行する場合には、前月以前の未入金額があることを知らせるために、未入金となっている額を繰り越して、別途記載する場合もあります。

⑨値引額の記載
値引などがある場合には、その旨を記載します。
値引きがない場合には、空欄で構いません。

⑩請求する合計金額
取引先に請求する「合計金額」を記載します。請求金額合計は、下段の請求明細の合計額と一致します。

⑪商品やサービスの詳細
依頼された商品やサービスの詳細を記載します。日付、数量、単価なども間違いがないように作成しましょう。

⑫振込期限
振込の期限を記載します。
契約書で入金条件が決まっている場合もありますので、契約書を確認してから請求書を送付するようにしましょう。振込期限を過ぎた場合には、延滞利息などを課すケースもあります。

⑬振込口座
振り込んでもらう口座を記載します。
入金口座については、ひとつの口座のみ記載するケースと、複数の銀行口座を記載して相手先に都合のよい口座を選択してもらうケースがあります。
このとき一緒に銀行コードや支店コードも記載しておくと振込む側にとって便利です。

⑭振込手数料
振込手数料をどちらが負担するかは、事前に取り決めておきましょう。
先方負担としてもらう場合には「恐縮でございますが、振込手数料は貴社にてご負担ください。」などの文言を添えるようにしましょう。

(2)請求書の添え状の書き方

請求書を取引先に郵送で送る際には、請求書だけ送るのではなく添え状を同封するのがマナーとされています。
請求書の添え状には、特に決まった形式があるわけではありませんが、時候の挨拶や日頃の感謝を伝えて前文、主文、末文を入れるのが一般的です。

(3)請求書送付の際の封筒の書き方

最近は、PDFで送付するケースが増えていますが、請求書を送付する際には、請求書を入れる封筒にも注意しましょう。

①住所
住所は端から1~1.5cm程度あけて、できれば1行で書くようにします。
2行目は1字分下げて書き出すようにします。住所は漢数字が原則です。

②社名・部署名
株式会社を(株)などと略さず、必ず「株式会社」と書くようにします。
書き出しは、中央よりやや右に住所より1字分を下げるようにします。

③役職名・氏名
役職名・氏名は、封筒の中央に、住所から1字分下げたあたりから書きます。
文字の大きさは、住所よりひと回り大きな文字で書きます。

④脇付
「請求書在中」など文書の内容を書きます。
「請求書在中」のスタンプも市販されていますが、最初から印刷することで工数を省略することができます。

⑤日付
発信年月日を封筒の裏面の左上に書きます。

⑥差出人の住所・氏名
封筒裏面の左中央寄りに住所、その左に1~2字下げて屋号や自分の氏名を記載します。

(4)請求書発行のタイミング

請求書を発行する場合には、取引の形態が継続取引型か受注請負型かで発行のタイミングが違ってきます。

継続取引型の場合
webサイトの運用や事務の代行、清掃、家事の代行など、商品やサービスの発注を継続的に受けて引渡しや提供をする継続取引型の取引の場合には、請求書は基本的に毎月発行します。
締日と支払日については、取引先との契約で決められている場合もありますが、取引先に確認をして、毎月決められたタイミングで発行します。

受注請負型の場合
Web制作や建設業、ソフトウェアの開発など、契約の際に仕様を決めて受注し、完成してから納品をする受注請負型の取引の場合には、請求書は基本的に納品した時に行います。
業務を終了し、検収書の受領は事務担当者からの業務完了の報告を受けたら、迅速に請求書を作成します。
なお着手金を受け取る取決めがある場合には、契約締結後に請求書を作成することになりますので、契約締結の際に確認しておきましょう。

(5)適格請求書(2023年10月開始)とは

令和5年(2023年)10月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。
適格請求書(インボイス)とは、簡単にいうと「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」で、適格請求書等保存方式導入後は、適格請求書等を作成・保存することが仕入税額控除の要件となります。
適格請求書等に記載すべき項目は、以下のとおりです。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲
渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

▶ 適格請求書等保存方式|注意すべき10個のポイント

適格請求書等を発行できるのは、消費税の課税事業者に限られ、事前に自ら申請をして適格請求書を交付することができる事業者として、登録を受ける必要があります。

▶ 適格請求書発行事業者|登録申請は?メリットは?

申請はすでに開始されていますので、自社が適格請求書発行事業者として申請をして登録を受けるべきか否か、早めに税理士に相談し手続きを進めることをおすすめします。

請求書送付関連の基礎知識

請求書を発行する際には、「御中」「様」の使い方や添え状の書き方など、さまざまなルールがあります。最近はメールで請求書を送付するケースも増えてきましたが、その際にもメールの文面等に注意する必要があります。

(1)「御中」「様」の使い方

取引先名のあとに記載する敬称には「御中」「様」があります。
「御中」は取引先名が個人名ではなく、官庁・会社・団体などの場合に記載する敬称です。
「様」は担当者宛てなど個人名宛ての場合に記載する敬称です。
担当者名の前に会社名を記載するケースがありますが、会社・団体の後に個人名がある場合には「御中」は使用しません。なお、「御中」と「様」は同時には使用できませんので注意しましょう。

①社名+部署名で送付する場合
◯◯株式会社◯◯部署 御中
※部署名の後に「御中」と記載する。

②社名で送付する場合
◯◯株式会社 御中
※◯◯株式会社 様と記載しない。

③社名+個人名で送付する場合
◯◯株式会社 ○○太郎様
※◯◯株式会社御中 ○○太郎様としない。

④社名+部署名+個人名で送付する場合
◯◯株式会社◯◯部署 (個人名)様
※◯◯株式会社◯◯部署御中 ○○太郎様としない。

(2)用紙選びと用紙の折り方

請求書郵送で送付する場合には、請求書は、原則としてA4サイズの用紙を使用して作成します。
なおA4の用紙を郵送する場合には、その折り方にもマナーがあります。
まず文面を内側にして下から3分の1を折り、次に上の3分の1を折ります。
請求書を入れる封筒のサイズですが、A4サイズの請求書を送付する場合には、基本的に長3封筒を使用します。

(3)押印する際の注意点

押印は署名の最後のひと文字に少しだけかかるように押します。
署名とあまりに離れた場所に押印してしまうと、再発行を求められるケースもありますので、注意しましょう。
押印する際には氏名から離れすぎず、文字に重なり過ぎないようにバランスよく押印することが大切になります。

(4)メールで送付する際の注意点

最近は請求書をメールで送付するケースも増えてきました。
ただし、メールで請求書を送付する場合は、事前にメールで送付して良いか、取引先に確認をしてからにしましょう。取引先に確認もせずに、いきなりメールで送付するにはマナー違反です。
なお、メールで送付する際にはExcelやWordで作ったまま送付するのではなく、PDFに変換し、メールの件名は、件名は「2018年○月分請求書送付のご連絡」とすると、取引先にも把握してもらいやすくなります。

件名:2022年10月分請求書送付のご連絡

東京都○○区〇〇1-2-3
株式会社○○
○○部 ○○ 太郎 様

時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、ありがたく御礼を申し上げます。

早速ではございますが、2018年10月月分の請求書を添付ファイルにて送付申し上げますので何卒ご査収下さいますよう、お願い申し上げます。

お手数ではございますが、お手元に届きましたら、内容をご確認の上、
期日までにお支払いいただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

ご請求期間: ○○年○○月○○日~○年○○月○○日
ご請求番号: 000-111-111
お支払い期限:○年○○月○○日

上記についてご不明な点がございましたら、お手数ではございますが
お問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
何卒、宜しくお願い致します。

(5)請求書の保管方法

請求書は、必ず控えを保管しておきます。
請求書の控えを管理することは、売上を管理するためにも大変重要です。
控えがあれば、何らかの理由で金額が変更になったり値引きを依頼されたりした場合も、スムーズに対応することができます。
なお、金額に変更があり再発行をした場合には、先方にすでに送っている請求書は破棄してもらって、再発行する請求書の余白に「金額変更、請求書再発行」などとメモをしておきましょう。これは、もしも税務調査が入った場合に、誤解を招かないようにするためです。

(6)「相殺」とは

相手方に債務がある場合には、事前の取り決めによって相殺して入金してもらう場合があります。
相殺(そうさい)とは、相手に対して同種の債権をもっている場合に差引きして帳消しにすることをいいます。
相殺する場合には、請求書にその旨を記載するか、別途相殺額について通知して相手との認識に相違が生じないように配慮しましょう。

(7)「締め日」とは

締め日とは、期間の取引を合計するために締め切る日です。

「月末締め」は、月末で一度、月初から月末までの金額を合計して、請求書を発行することです。「20日締め」は、前月の21日から当月の20日までの期間の金額を合計して、請求書を発行することです。

締め日を月末以外の日に設定した場合には、会計上は締め日から月末までの収益を請求書とは別に集計して計上する必要があります。
締め日をいつに設定するのかは、契約書等で事前に決まっていますので、取引先ごとに条件を確認しましょう。

(8)「入金サイト・支払サイト」とは

「入金サイト」とは、請求の締め日から入金までの猶予期間のことで、これは支払う側に立てば締め日から支払うまでの期間になるので、「支払サイト」と呼びます。

入金を受ける側からすれば、サイトが短い方が、資金繰りが良くなりますが、支払う側からすればサイトは長ければ長いほど資金繰りが楽になります。

サイトをどのくらいの期間で設定するのかは、会社の資金繰りに大きな影響を与えますので、十分に検討しなければなりません。

決められた期日までに入金がなく、長期間が経過している債権については、会計上「貸倒引当金」として処理をしなければならない場合もあります。入金が遅れている場合には、早めに督促状を送付するなどの対応をしましょう。

▶ 請求書の督促状の書き方

なお、下請法の適用を受ける場合には、発注した物品等の受取日から60日以内の定められた期日までに代金を支払わなければなりませんので、注意してください。

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2023年10月から開始されるインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されます。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。
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まとめ

以上、請求書を作成する際には、さまざまなルールやマナーについてご紹介しました。
請求書を作成する際には、ルールやマナーに注意して適切に作成し、不正な請求書の発行が多な割れないように管理し、再発行の際の手続きや相殺、値引きが行われる場合の承認手続きについても、明確にしておくようにしましょう。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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