法人口座とは?必要な手続きは?口座開設が断られる場合とは?

公開日:2023年10月23日
最終更新日:2023年10月23日

この記事のポイント

  • 法人口座(事業用口座)は、できるだけ早く開設しよう。
  • 新しい会社は、ネット銀行や地域金融機関が現実的。
  • ネット銀行は、スマホやパソコンでいつでも利用できるのでおすすめ。

 

法人登記を完了したら、できるだけ早く銀行口座を開設しましょう。
ただ、都市銀行は、新しい会社の口座開設に対してあまり積極的ではない傾向があります。そこで、まずはネット銀行か積極的に起業支援を行っている地域の金融機関などで口座を開設することを検討しましょう。
 

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法人口座(事業用口座)は早めに開設しよう

事業を開始したら、できるだけ早く銀行口座を開設しましょう。
銀行口座はどこでも、申し込んだらすぐに口座が開けるわけではありません。法人の場合には、個人と違って口座開設が意外と大変で、審査に1~2週間かかり、その結果口座の開設を断られる場合もあります。
もし都市銀行で口座の開設が難しいようであれば、地方銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などの方が開設しやすいかもしれません。

(1)金融機関の種類と特徴

会社を設立したら、会社の運営を実際に起動させるための準備が必要です。
まずは、できる限り早く金融機関を決めて口座の開設をすることです。
金融機関には、いくつかの種類がありますが、取引金融機関の数は少ない方が管理しやすいので、はじめのうちは1つで十分です。
売上の入金も支払の出金も、すべて同じ口座にしてしまえば、預金残高を把握しやすいので、資金繰りの面でも予測を立てやすいというメリットがあります。
取引銀行は、最初は1つの銀行から始めて、会社が成長してきたら増やしていけばよいでしょう。

都市銀行 全国展開している銀行で、大企業や中小企業、個人などと取引を行い、投資や国際業務も行っています。
地方銀行 各都道府県に本店を構え、各地方を中心に展開している銀行で、小口な取引がメイン。地元の中小企業や個人をメインの顧客としています。
信用金庫 会員の出資による協同組合の金融機関。地元の一定区域の中小企業や個人が顧客です。
信用組合 組合員の出資による協同組織の法人で、組合員の相互扶助を目的とする非営利の金融機関。組合員にならないと利用はできず、一定地域の在住者や在勤者でないと組合員にはなれません。
ネット銀行 実店舗を持たない銀行のことで、人件費や店舗費用が少ないことから手数料が安いというメリットがあります。
ネット銀行は、都市銀行などと比較すると提出書類が少なく、口座の開設自体もアプリで完了する銀行もあります。また、ネット銀行を利用すると会計ソフトに自動記帳されるため、経理負担が軽減されるというメリットも。ただし社会保険料の口座振替ができないネット銀行もあるので、その点については確認する必要があります。

(2)銀行口座の種類

銀行口座には、当座預金、普通預金、納税準備預金があります。
設立したばかりの会社は、すぐに当座取引をできるとは限りません。また、事業で手形小切手を振り出さない場合には、当座取引約定書を金融機関と取り交わす必要はありません。

当座預金 業務上の支払いに利用する無利息の預金口座で、小切手や手形の支払口座です。当座預金を開設するためには、審査があります。また、口座を開設したら小切手の発行はすぐにできますが、手形の発行は取引実績による信用を得ないとできません。
普通預金 お金の出し入れを自由に行うことができる口座です。ATMでの入出金、ネットバンキングも利用できます。通常は利息もつき、預金保険の保護の対象となります。
納税準備預金 国税や地方税の納税用の預金口座です。
普通預金より利率がよいことが多く、その利子は非課税です。預け入れはいつでもできますが、引き出しは納税のためだけに限られます。預金保険の保護の対象となります。

(3)口座を開設しやすいのはネット銀行や信用金庫

都市銀行や地方銀行は、株主利益を追求する組織です。そのため新しい会社の口座開設には、あまり積極的ではありません。
もちろん、なかには積極的に起業支援を行っている銀行もありますが、都市銀行は主に大企業を対象に取引を行っていますし、また振り込め詐欺などを警戒していることもあり、新しい会社だと口座開設に時間がかかったり、口座の開設を断られたりすることもあります。

その点、ネット銀行は新しい会社でも口座開設を広く受け入れていることが多く、都市銀行などと比べて提出書類も少ないケースがほとんどです。また、信用組合や信用金庫などは、地域の繁栄を図る相互扶助を目的としているため、地域社会の利益を優先してくれます。

ただし、ネット銀行のなかには社会保険料の口座振替ができなかったり、公共料金や共済掛金などが各行によって違ったりということがあります。
したがって、ネット銀行を選ぶ際には、その点を確認したうえで口座開設を進めるようにしましょう。

(4)口座開設が断られる場合とは?

資本金が少なかったり、事業目的や事業内容が不適切・不明瞭であったり、バーチャルオフィスだったりする場合には、口座の開設が断られることもあります。

資本金は1円でも会社を設立することができますが、事業が回る程度の最低資本金がないと、口座開設を断られることがあるのです。
また、「一体、何の仕事をしているのか分からない」など事業内容が不明瞭である場合にも、口座開設を断られる場合があります。

バーチャルオフィスの場合でも断られることがありますので、その場合には、自宅を本店登記して自宅の近所の金融機関で口座開設をすることを検討しましょう。

(5)法人用クレカで経理処理を効率化しよう

ネット銀行を利用すると、会計ソフトに会計処理が連動して取り込まれるため、経理負担が大幅に軽減されるというメリットがあります。
さらに、法人用クレジットカードを作成すれば、クレジットカードの利用明細も会計ソフトに取り込まれるので、手間がさらに削減され、かつ正確に経理処理がされます。
事業に必要なものを購入しても、いちいち伝票を起こして現金精算する必要もなく、資金繰りを管理しやすいというメリットもあります。

(6)法人口座のつくり方

銀行口座の開設に必要な手続きや書類は、金融機関によって異なりますので、事前に確認をしておく必要があります。
ここでは、一般的な必要書類や手続きについてご紹介します。

口座開設のタイミングは、登記完了後
法人名義の口座の開設は、法人の登記手続きが完了してからです。
なぜなら、口座開設には「登記事項証明書」が必要となり、この「登記事項証明書」は登記が完了していないと発行することができないからです。

口座開設前に印鑑をつくっておく
銀行口座を開設するためには、登記事項証明書・印鑑証明書の届出、印鑑などが必要となりますので、印鑑は早めにつくっておきます。
最近はネットで法人口座を開設できるケースも増えており、登記事項証明書・印鑑証明書の提出が原則不要となる場合もありますが、銀行によっては、印鑑証明書をPDFで用意しなければならない場合もあります。
したがって、印鑑は早めに用意しておくことをおすすめします。

参考:みずほ銀行「法人口座開設ネット受付(来店不要・ウェブ面談)/登記事項証明書・印鑑証明書の提出が原則不要」

参考:りそな銀行「法人口座開設で必要な書類/法人の印鑑証明書はPDFでの提出」

~法人設立の際の印鑑届出が、必須ではなくなった~

以前は、登記申請をする際に、代表印を登記申請書に捺印しなければならず、代表印は管轄登記所に届出をしておく必要がありました。
しかし、令和3年の商業登記規則等改正によって、印鑑届出は必須ではなくなり、以下の3つの方法のいずれかを選択できるようになりました。

①従来通り、印鑑届出を行う
②商業登記電子証明書を取得する
③代表者個人の公的認証サービスによる電子証明書を使用する

②は、印鑑届出の代わりに、管轄登記所であらかじめ商業登記電子証明書を取得して、登記申請のときに商業登記電子証明書を添付する方法です。オンライン申請による場合に限られます。

③は、代表者個人のマイナンバーを使い公的個人認証サービスによる電子証明書を使用する方法で、②同様に書面申請は不可で、オンライン申請による場合に限られます。

口座開設に必要な書類は結構多い
口座開設で必要となる書類は、金融機関によって多少違いがありますので、各金融機関に問い合わせる必要がありますが、一般的には、以下の書類が必要となります。

・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・認証を受けた定款
・法務局に届け出た代表社印
・印鑑証明書(法務局で発行)
・窓口で手続きする人の身分証明書
・実質的支配者の確認書類
・事業内容確認書類

口座開設依頼書には何を書くか
金融機関では、通常口座開設依頼書を記入します。
口座開設依頼書には、事業内容や株主などについて記載をし、その記載内容について、窓口で書類の確認を行います。
25%超の株式を持っている株主がいる場合には、その人の氏名や住所、生年月日などが聞かれることもあります。
「どういった事業内容なのか」「入金の見込みはどの程度なのか」などのヒアリングを受ける場合もありますので、誠実さをアピールし正確かつ明確に答えるようにしましょう。

まとめ

法人口座の開設は、法人の登記手続きが完了したら早めに手続きを行うようにします。口座開設では、審査に時間がかかることもあり、口座がないまま事業を始めざるを得ない状況にならないよう、注意が必要です。
新しい会社の場合には、都市銀行や地方銀行は開設しにくい場合がありますので、まずは都市銀行以外の金融機関で取引を始め、その後事業が成長してから都市銀行などで口座を開設することを検討するのもおすすめです。
「freee会社設立」では、法人登記完了前にGMOあおぞらネット銀行の法人口座開設の申込みができるので、口座がないまま事業を始めるといったリスクを回避することができます。
是非ご活用ください。

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・個人で立て替えた開業費について
「法人の開業費について質問があります。 法人登記後から法人口座開設までの期間、自分の個人口座で立て替えていた経費は開業費として計上して問題ありませんでしょうか?
・法人を設立した場合の入金口座について
「現在フリーランスとして活動しており、業務委託の収入を個人口座に振り込んでもらっています。
・会社設立前の入金について
「9月1日に合同会社を設立しました。法人口座を開設したのが9月15日になります。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

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