公開日:2023年01月18日
最終更新日:2023年10月17日
株式会社の役員には、①取締役、②監査役、③会計参与の3種類があります。新会社法施行以降は、これらの役員の数が緩和されたことで、取締役だけで起業するケースが大幅に増えました。
取締役だけで起業する場合には、取締役が1名であればそのままその人が代表取締役となり、取締役が複数いる場合にはその中の1名が代表取締役となります。
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株式会社の役員には、①取締役、②監査役、③会計参与の3種類があり、このうち取締役とは、会社の方針や通常業務などの経営に関する事項を決定したり、実行したりする役員です。取締役が1名だけの場合には、その人がそのまま代表取締役となります。取締役が複数いる場合には、会社を代表する人が代表取締役となります。
役員 | 内容 |
取締役 | 会社の方針や通常業務など、経営に関する事項を決定したり、その事項を実行したりする責務がある。取締役のうち、会社を代表する人は「代表取締役」となる。 |
監査役 | 取締役会設置会社の経営が適正に行われているか、業務監査および会計監査によって調査する責務がある。不正があればこれを阻止し是正しなければならない。 |
会計参与 | 取締役らと共同して、会社の損益計算書、貸借対照表などを作成する。公認会計士、税理士、税理士法人、監査法人のみがなることができる。 |
会社法では、公開会社については取締役会の設置が義務づけられていますが、非公開株式会社は、株主総会と取締役が1名以上いればよいとされていて、取締役会や監査役を設置するかどうかは会社の任意とされています。
したがって、起業当初から取締役会が設置されているケースは少なく、一人会社などで株主=取締役といった小規模な会社であれば、取締役会を設置するケースは、あまりありません。
非公開会社では、取締役が3名以上の場合に取締役会を設置することができます。最も多いパターンは、①取締役1名のみ、または②代表取締役1名+取締役1名、または③取締役会(取締役3名)+監査役(または会計参与)というパターンです。
取締役会を設置した会社のことを「取締役会設置会社」といいます。
小規模な会社であれば、経営上の事項を所定の様式に従って決議する必要性はあまりないため、取締役会を設置するケースはまれです。さらに取締役や取締役会をきちんと理解しておかないと、会社の運営が危険なものになってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
なぜなら、たとえば取締役が3名で自分が代表取締役となったとき、他の取締役2名が結託をすれば、自分が代表取締役から解任されてしまうこともあるからです。
取締役会を設置する場合には、監査役または会計参与についても併せて選任しなければなりません(監査役または監査等委員会、指名委員会等、会計参与のいずれかの設置が必要)。
監査役や会計参与は、ある程度会社が成長した段階で設置を検討すれば十分ですが、設立当初から経営方針をしっかり話し合って決めていきたいというような事情で取締役会の設置する必要がある場合には、取締役会を設置し、監査役等を選任します。
取締役の権限等は、取締役会設置会社かどうかで異なります。
取締役会非設置会社の場合
取締役会を設置しない会社の取締役は、原則として代表取締役を定めた場合を除いては、各自が会社を代表し各自が会社の業務を遂行します。また、一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有します。
取締役が2名以上いる場合には、原則として取締役の過半数をもって、会社の業務を決定します。
なお、定款で「業務を執行しない取締役(社外取締役)」について定めることもできます。
取締役会設置会社の場合
取締役会を設置する会社の取締役は、代表権も業務を遂行する権限もなく、各取締役は、取締役会を通じて意思決定等を行うことになります。また、取締役会設置会社では、取締役の中から代表取締役を選定します。
代表取締役を選定するのは、株主総会ではなく取締役会です。
取締役会は、取締役全員で構成されるもので、以下の職務を担うことになります。
①業務執行の決定 ②取締役の職務執行の監督 ③代表取締役の選定および解職 |
株式会社の役員の任期は、原則として2年(監査役は4年)ですが、定款で別途定めれば、最長10年まで延ばすことができます(公開会社を除く)。
役員 | 任期(原則) | 定款に定めた場合 |
取締役 | 2年 | 1~10年 |
会計参与 | 2年 | 1~10年 |
監査役 | 4年 | 4~10年 |
任期を何年に設定するべきかですが、以下の2つの基準から判断します。
①役員の退任時期を短いスパンで判断したいなら、短くする
任期終了後に続投させるか否かを、その都度判断したいという場合には、短い任期で設定しておきます。
②役員の重任登記の登記費用を抑えるなら最長10年とする
役員は、就任時と退任時に登記が必要となりますが、任期が満了した後で継続して役員を続ける場合には、登記が必要(重任登記)となり、この時登記費用がかかります。
つまり、任期を延ばせば、この登記費用を抑えることができます。
取締役が報酬や賞与、その他の職務執行の対価として、会社から受け取る財産上の利益(以下「報酬等」)については、定款に定めるか株主総会の決議で定めなければなりません。
定款に定めた場合には、報酬額を変更するたびに定款変更が必要となることから、一般的には株主総会の普通決議で定めます。
株主総会の決議では、取締役全員の報酬等総額または限度額を定めて、各取締役への具体的な支給額は、取締役会(取締役会がない会社の場合は、代表取締役など)が決定するのが通常です。
取締役会では、各取締役への具体的な支給額を代表取締役に一任するケースもあります。
なお、役員の給与が損金と認められるためには厳しい要件があります。後々税務調査等で指摘されないためにも、議事録や決定書を作成し保存しておくようにしましょう。
議事録・決定書の記載例
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取締役等の役員を解任する権限は、株主総会にあり、株主総会の決議により、役員はいつでも解任することができます。
解任の理由は問われず、議決権の過半数を持っている大株主の意向で解任することも可能ですが、解任された役員は、その解任について正当な理由がある場合を除いては、会社に対して損害賠償請求をすることができますので、注意が必要です。正当な理由なく役員を解任した場合には、損害は「解任から任期満了まで」となります。
したがって、たとえば取締役の任期を10年に延ばし、そのうえで正当な理由なく解任した場合には、任期満了時までの損害賠償請求を受けてしまうおそれがあるのです。
ちなみに、単に営業成績が悪いといった理由だけでは正当な理由とはなりませんので、役員を解任する場合には十分な検討が必要です。
いわゆるオーナー会社(株主と取締役が同一人物である)の場合には、その個人と会社との間で取引を行うことがあります。たとえば、不動産の賃借・売買、金銭の賃借などです。
この場合には、個人としての利益と会社としての利益が相反してしまう「利益相反行為」となってしまう可能性がありますから、あらかじめ承認が必要となります。
そして、承認するのは取締役非設置会社の場合には、株主総会、取締役設置会社の場合には、取締役会となります。
資本金と役員は、会社を設立するうえでの最重要項目です。
資本金は、設立後の納税額に影響することがありますし、安易に他人に取締役に就任してしまったり、名義だけ借りて取締役に就任してもらったりすると、大きなトラブルとなるリスクがあります。
会社を設立する場合には、すべてを1人で決めようとせず、会社設立に精通している税理士等の専門家に相談し、慎重に検討して手続きをすることが大切です。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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