カフェの開業で必要な手続き・届出・開業資金

公開日:2019年12月27日
最終更新日:2023年10月17日

この記事のポイント

  • カフェを開業する前には、お店のコンセプトや開業資金の調達などさまざまなことを検討する必要がある。
  • 飲食店営業許可申請など、必要な手続きも多い。
  • 飲食店の開業サポートを積極的に行っている税理士等の専門家に相談するのがおすすめ。

 

飲食店を開業する人は多くいますが、なかでもカフェの開業を希望する人は特に多く、大変人気のある業種といえます。

カフェを開業するためには、自分がお店を持つまでの流れや必要な手続きを理解しておくことが必要です。

そこでこの記事では、カフェを開業する前に知っておきたい基礎知識についてご紹介します。

カフェ開業前に検討すべきこと

カフェを開業する際には、事前にさまざまな準備が必要です。お店のコンセプトを決めておく必要がありますし、開業資金を準備する必要もあります。また、出店する立地や場所を検討し、店舗が決まったら契約・内装工事等を行う必要もあります。

(1)カフェのコンセプトを決める

カフェを開業する際には、まずお店のコンセプトを明確にさせることが大切です。
開業する前にはできるだけ多くのお客さんに来てほしいという思いから、なるべくメニューを増やそうとしてしまいがちです。
しかし、メニューを増やすということは、それだけ在庫を多く持たなければならないということです。さらに調理方法も多岐にわたるので経営が煩雑になってしまうこともあります。

そこで、初めてカフェを開業する場合には、「どのようなお客さんに、どのような時に、来てほしいか」「何をどのように、いくらで提供するか」を明確にして、メニュー数を絞ったカフェの開業を検討することをおすすめします。
そうすれば、アピールポイントがシンプルになりお客さんにも伝わりやすくなるからです。

お店のコンセプトを決める際には、以下のように細かい項目ごとに整理して検討していきます。

・主なターゲット客のイメージは?
(学生か、サラリーマンか、OLか、高齢者か、主婦層か、など)
・立地
(人通りはどれくらいか、など)
・提供する商品・商品の価格帯
(メインは何にするか、単価はどれくらいが適当か)
・お客さんの主な利用時間
(人通りが多い時間帯はいつか、土日は人通りが少なくなるか)
・お店の経営理念、目標
(「売上は○○万円/月」「何年以内に2号店を出店する」など)
・個人事業主で開業するか、法人で開業するか
(会社を設立する場合には、登記などが必要)

これらの事項についてよく検討したうえでコンセプトがある程度まとまったら、次に必要な手続きについて理解しておきましょう。

またこの時、フランチャイズに加盟して開店するという選択肢についても検討することをおすすめします。
フランチャイズとは、親企業である本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)がフランチャイズ契約を交わし、その契約内容に基づいて運営していく形態です。

商号や商標の使用許可などの特権や商品、サービスなどの経営上のノウハウを利用する権利を与えられ、その対価としてロイヤリティなどの費用を支払います。
フランチャイズも独立店も、どちらもメリット・デメリットがありますので、自分の目指す店に合う選択をすることが大切です。

フランチャイズで独立するメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

▶ フランチャイズとは|意味・メリット・デメリットをわかりやすく

(2)カフェの開業資金を調達する

カフェを開業するためには、まず開業資金を用意する必要があります。
理想は自己資金で賄えることですが、自己資金だけでは、どうしても足りないというケースも多いでしょう。その不足分をどうにかして捻出したいと思う時に利用するのが、さまざまな融資制度です。

ただし、銀行などの金融機関は、はじめてカフェを開業する人に資金を融資してくれることはまずありません。そこで、日本政策金融公庫や都道府県の制度融資を検討することになります。

日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、政府が全額出資している金融機関です。
銀行などと違い、日本経済の発展を目的としているので、初めてカフェを開業する人でも、融資を受けることができるのです。
ただし、日本政策金融公庫から融資を受ける際にも、自己資金が重要なポイントとなります。融資の種類にもよりますが、たとえば「新創業融資制度」では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があることが要件となっています。

参照:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

制度融資
制度融資とは、都道府県や市区町村などの自治体と、信用保証協会、金融機関による三者で成り立っている融資制度です。新規でカフェを開業する人などが、金融機関から融資を受けやすくするために、信用保証協会が借り手の信用を保障して、金融機関から融資を受けやすくしてくれます。

なお、これらの融資を利用する際には、事業計画書などの書類を作成する必要があります。
事業計画名、事業の概要、ユーザー、市場規模、ユーザーニーズ、現状の課題などについて、しっかり記載するようにしましょう。どのように作成すれば融資を受けやすくなるかについては、資金調達に精通している税理士に相談するとよいでしょう。

(3)カフェ開業の届出を行う(保健所、税務署)

カフェを開業するためには、さまざまな資格や認可を取得し、届出を行う必要があります。必要な資格や認可は、個々のケースによって異なりますので、早めにカフェの開業をサポートしてくれる税理士や行政書士等に相談してください。

食品衛生責任者
食品を扱う営業を行う場合には、営業許可を受ける施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を置かなければならないとされています。
下記に該当する場合以外は、自治体の食品衛生協会が開催している講習を受講する必要があります。

①栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者。

②保健所長(特別区にあっては、特別区の区長)が実施する食品衛生責任者になるための講習会または知事の指定した講習会の受講修了者。

参照:一般社団法人東京都食品衛生協会

防火管理者
消防法に定める国家資格です。
防火管理者はすべての飲食店で必要となるわけではありませんが、300平米未満の場合は「乙種防火管理者もしくは甲種防火管理者」が必要になり、延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」が必要となります。

参照:一般社団法人日本防火・防災協会

飲食店営業許可申請
食品を取扱う営業を始めるには営業許可が必要になります。
営業許可を受けるには、施設が許可の基準に合致しているか、保健所の検査を受ける必要があります。
手続きは各自治体で受け付けていますので、まずは窓口に問い合わせてみましょう。

参照:みなと保健所生活衛生課

開業(廃業)等届出書・事業開始等申告書
個人事業として事業をスタートする時には、税務署に「開業(廃業)等届出書」を提出する必要があります。

また、事業開始等申告書を都道府県と市町村に提出する必要もあります。

なお、カフェの形態によっては、上記以外にも菓子製造業許可申請等が必要になることもあります。飲食店の開業について詳しい税理士に相談し、必要な手続きのサポートを受けることもできます。

(4)カフェの立地を検討する

出店するエリアが、オフィス街なのか学生街なのか、住宅街なのかなど、立地条件によって商品単価の相場やお客さんの予算は大きく異なります。
開業するカフェのコンセプトに合わない立地に出店してしまうと、イメージするお客さんのニーズに合致しないため、メニューや価格設定すべてにおいて苦戦を強いられることとなりますので、エリアの市場調査は必ず行うようにしましょう。

理想は人通りが多く、分かりやすい立地の出店です。
駅前は人通りが多いというメリットがありますが、賃料が高く設定されていることが多いというデメリットもあります。したがって、家賃の点から駅から多少離れている物件とせざるを得ないケースも多いと思いますが、見つけやすい立地にあるカフェは一定の集客を見込めますので、その点も十分検討しましょう。

出店するエリアを決めたら、物件探しです。
物件を選ぶ際には、建物の何階に出店するかが重要なポイントとなります。
1階は、建物の道路に面している部分(間口)が広いと、視界に入りやすくなりますし、2階以上や地下の物件は、看板を設置できるのか、設置する場合にはどこに設置するかが重要となります。
看板は、設置した側にとっては「ここなら十分見えるだろう」と思っていても、実は通行人からするとそれほど気づかないということがよくあります。また、たとえ気づいてもらっても「何のお店なのか分からない」「何と書いてあるのか分からない」といった看板は、集客に貢献しないので注意が必要です。

看板を設置する際に注意すべきポイントは、「離れていたところからでも気づいてもらえる」「魅力を伝える」「他の看板に埋もれない」「字が読みやすい」「何の看板か分かる」だということを忘れないようにしましょう。

(5)店舗契約・内装工事を行う

店舗を選んだら、不動産賃貸借契約を締結します。
賃貸借契約でチェックしなければならないポイントは、敷金、手数料、共益費などの家賃以外の費用、契約期間、更新時の費用と手続き、解約時の費用と必要な手続きなどです。また、お店を営業できる時間などの制限がないかも確認しましょう。

開業前に知っておきたいカフェの経費

カフェを無事開業させたら、その後は売上を伸ばしていかなければなりません。
カフェを経営するうえで必要な経費は、いろいろな種類がありますが、主なものは人件費、家賃、原材料費です。

(1)材料費・水道光熱費

人件費と家賃以外で重視するべき経費は、原材料費です。単価の高い高級飲食店では、原材料費は高くなりますが、一般的には原材料費率は売上の30%以内を目指します。

その他、水道光熱費や割りばし、ナプキンなどの消耗品、伝票などの事務用品費、広告宣伝費、通信費などの経費もどれくらいかかるかおおよその目安を知っておきましょう。これらの経費は、開業直後は軽視してしっかり計算しないことが多いので「想定以上にかかってしまった」ということが往々にしてあります。したがって、資金計画を作成する時点で多めに見積もっておくとよいでしょう。

(2)スタッフの人件費

スタッフを雇用する時には「何人雇用すればいいのか」「どのくらい人件費を掛けられるか」がポイントとなります。
人件費の目安は、大まかに売上の30%以内にすべきとされています。
またスタッフの人数については、10~15席に1名ほど配置するとよいとされています。たとえば、20坪程度の店舗であれば、アルバイト2~3名を雇い、常時2名を配置すれば十分と考えられます。

ただし、これからお店の規模を大きくして2号店、3号店を出店したいと考える時には、正社員を雇用することも検討しましょう。

なお、カフェは、スタッフの善し悪しでお店の評判が決まります。
特に今は、誰でも気軽にインターネットにクチコミを投稿できます。どんなに店舗の内装やメニューに気を配っても、スタッフの接客レベルが低くそれがネットに投稿されてしまえば、大きなダメージを被ります。
スタッフを雇用する際には、十分な研修を行うようにしましょう。

(3)店舗家賃

家賃の売上額に対する比率は10%以下とされています。
たとえば、家賃と共益費が15万円であれば、売上額はその10倍の150万円が目標となります。家賃と共益費が30万円であれば、売上目標額はその10倍の300万円です。

したがって、「この目標売上額をこの物件で達成できるか」という点から適正な家賃かどうかを判断するようにしましょう。

まとめ

以上、カフェを開業するうえで必要な手続きについてご紹介しました。カフェは開業する数も多いですが、廃業する数もまた多いという厳しい現実があります。変化をもたせ、常連客が飽きないような工夫はもちろん、SNSを利用した宣伝なども必要になります。
飲食店の開業や経営サポートを積極的に行っている税理士もいますので、まずは無料相談を受けてみることをおすすめします。

(1)カフェ経営に欠かせない会計ソフトの活用

これまでご紹介してきたように、カフェを開業するためにはさまざまな手続きが必要ですし、事業を軌道に載せるためには、経費を適切に管理する必要があります。
これらの経費を適切に管理しないと、どんなに売上がアップしても、事業を継続するのは厳しくなります。実際、カフェの廃業理由で最も多いのが「運転資金の不足」であると言われています。

そこで、活用したいのが「クラウド会計ソフト freee会計」です。
「freee会計」であれば、開業手続きも日々の経理作業も、確定申告もすべてがスムーズに進みます。レジのシステムと親和性の高いクラウド会計ソフトで作業の効率化を図ることが可能となります。

以下の記事では、本業に集中するため経理作業を自動化させた飲食店や、一人で飲食店経営を支える「freee会計」活用法などが紹介されています。

▶ 飲食店のfreee会計の導入事例

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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