カフェの経営|儲けを出すためのお金の管理

公開日:2019年11月13日
最終更新日:2022年03月24日

この記事のポイント

  • カフェは、新規の開業率が高いが、同時に廃業率も高い。
  • カフェ廃業の理由でも多いのが、「運転資金の不足」というケース。
  • カフェを経営するうえでは、「飲食店の儲けの基本」をしっかり理解することが大切。

 

カフェは身近な存在であり、未経験者が参入しやすい業種です。
しかし未経験者のカフェ経営は、経験者と比べるとどうしてもリスクが高くなります。
実際、毎年多くのカフェが新規オープンしますが、反面毎年多くのカフェが廃業しているのも事実です。
つまりカフェの経営は、それだけ競争が激しいともいえるのです。

そこでこの記事では、カフェを経営して儲けを出すために、最低限知っておきたい「儲けのしくみ」の基礎知識についてご紹介します。

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カフェの経営

カフェは、新規の開業率が高く同時に廃業率が高い業種のひとつです。そして、廃業率が高い原因のひとつに、未経験者による新規開業が多いことが挙げられます。
廃業の理由は人それぞれですが、なかでも多いのが「運転資金の不足」というケースです。
ではなぜ運転資金が不足したのか、という原因を細かく見ていくと、「思ったように売上が伸びなかった」という理由以上に「経費が、かかりすぎてしまった」ことが原因であるケースが多いのです。

そこで、カフェを経営するうえではまず、どの経費をどれくらいに抑えれば黒字になるのか、といった「飲食店の儲けの基本」をしっかり理解することが大切であるということになります。

(1)売上より利益を重視する

カフェの儲けの基本は「売上」です。
売上は、「客単価×客数」で大まかな数値を計算することができます。

カフェを経営するうえでは、「とにかく売上を上げよう」と思ってしまいがちですが、実は本当に大切なのは「売上」ではなく「利益」です。
カフェの儲けは、「売上」とイコールではなく、サラリーマンのように手取りがそのまま自由に使えるお金となるわけではないからです。

したがって、カフェの儲けは、売上からさまざまな経費を差し引いた「利益」であることを重視しましょう。

たとえば、年間売上が6,000万円で利益が200万円のカフェAと、年間売上が2,000万円で利益が700万円のカフェBを比較した場合で考えてみます。

売上だけ見てみると、カフェAは売上が6,000万円でカフェBの3倍の売上を上げています。しかし、利益はカフェBの方が3倍以上多いのです。つまり、カフェBの方が儲かっているということができます。

(2)利益のしくみを知る

「利益」を重視するべきといっても、利益には実はいろいろな種類があります。
少し難しい話になりますが、財務諸表のひとつの損益計算書で利益のしくみをご紹介していきます。
損益計算書とは、収益と費用の状態を表すもので、経営判断のための情報として用いる財務諸表のひとつで、身近な例で例えると家計簿やお小遣い帳のようなものです。商品を仕入れて販売し、販売代金から会社の家賃や従業員の給与を支払い、残りを貯蓄や設備の購入に回すことになります。
損益計算書は、このような内容が明らかにされる書類です。

損益計算書では、利益は大きく「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引き前当期純利益」「当期純利益」の5つに分かれますが、もっとシンプルな図にすると以下のようになります。

ここではまず、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」の3つの利益に着目していきます。

売上総利益
売上総利益は、俗にいう「粗利」と言われる利益で、損益計算書で最初に現れる利益であり、商売の大元となる利益です。売上原価とは、カフェの場合には原材料などにかかった費用です。原材料を安く仕入れて高く売れば、売上総利益は増えます。一方、見切り処分などで商品を安く売ってばかりいると、売上総利益は減ってしまいます。

売上高-売上原価=売上総利益(粗利)

営業利益
営業利益は、「本業で稼ぎ出した利益」です。売上総利益(粗利)から経費を差し引いた残りの利益です。
原材料を仕入れて調理したものをお客さんに販売するというカフェの本業の結果として得た利益なので、この営業利益を見れば本業でどれだけ稼いでいるかが分かります。

売上高-売上原価-経費=営業利益

経常利益
本業以外にも収益や費用がある場合もあります。たとえば、金融機関から融資を受けた時に支払う「支払利息」です。本業と関係ないところで発生する収益や費用を「営業外損益」といいます。
経常利益とは、「毎期繰り返す事業活動による利益」という意味があるため、このような営業外損益も重視する必要があります。この経常利益は営業利益の次に重視される利益です。

営業利益+営業外損益=経常利益

(3)必要な経費の目安を知る

利益のしくみを理解したら、次は経費です。
カフェを経営するうえでは、さまざまな経費がかかります。なかでも原材料費と人件費、店舗の家賃はとくに重視するべきです。
一般的に原材料費率は、売上に対して30%以内を目指します。

次に人件費とは、カフェのスタッフの給料や社会保険料など、人に関する費用です。
売上に対する人件費率は、売上に対して30%以内を目指します。

なお、飲食業界の用語に「FLコスト」という言葉があります。「FL」の「F」は「food」で原材料費のこと、「L」は「labor」で人件費のことです。また、売上高に対するFLコストをFL比率といいます。

カフェを経営するうえでは、このFLコスト(原材料費、人件費)をしっかりと管理して適切な比率にすることが大切で、カフェの場合には、FL比率は55%~60%以内を目安としましょう。

原材料費や人件費の次にかかるコストは、家賃です。家賃は、原材料費や人件費と違って開業後に変更することができない「固定費」です。特に駅近の店舗は家賃の負担が重くなることが多いので、慎重に検討するようにしましょう。
一般的には家賃の目安は売上の10%以内、できれば8%以内には抑えたいところです。

(4)黒字の境目を知る

カフェの利益のしくみと経費の目安を把握できたら、次にお店が黒字になる境目である「損益分岐点売上高」を理解しましょう。
これによって、カフェを維持するのに最低限必要な経費分の売上を確保できているかどうかが分かります。
損益分岐点とは、売上から原材料費と経費を差し引くと0円になる点です。損益分岐点と同じ売上を確保していれば、損益は五分五分ということになります。

つまり、損益分岐点の売上は、カフェを維持するうえで、最低限達成しなければならない数字ということになります。

損益分岐点を知るためには、まず固定費(売上にかかわらずかかる一定の費用。家賃や人件費など)、変動費(売上高に応じて上がっていく費用。原材料費など)を把握する必要があります。
変動費は、売上の大小に応じて変動する費用です。そのため、売上に対する変動費の割合を以下の計算式で計算します(変動費率)。

変動費率=変動費÷売上×100

売上高が上昇すると変動費も上昇します。そして売上高線が交わるポイント(利益がちょうど0円となるポイント)が「損益分岐点売上高」となります。

また、売上から変動費を差し引いた数字を「限界利益」といいます。
限界利益が固定費と同額の場合には、損益がプラスマイナスゼロとなります。

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点の売上(黒字と赤字の境目)

同じ売上でより多くの利益を得るためには、変動費率を下げることが必要です。たとえば、仕入先に交渉して仕入原価を下げて変動費率を下げれば、損益分岐点の売上が下がります。損益分岐点の売上を下げることができれば、利益が出やすくなります。もちろん、固定費を下げることができれば、その方法も有効です。

(5)「儲け」を出すしくみを知る

利益のしくみや経費の江靖、儲けるための最低ラインである損益分岐点を把握したら、次にどのように儲け(利益)を増やせるのかという方法を理解します。
利益を出す方法は①入りを増やす②出を減らす、の2つです。

①「入り」を増やす
入りを増やすとは、文字通り売上を伸ばすということです。
カフェで売上を伸ばすためには、客単価を上げるか客数を増やすしか方法はありません。
客単価を上げるためには、1品当たりの料金を上げるか、1人当たりのオーダー数を増やす必要があります。1品あたりの料金を上げると、それまで懇意にしてくれたお客さんの足が遠ざかるリスクがあります。そこで、まずは1人当たりのオーダー数を増やす方法を考えます。
お店で「ドリンクとサラダがついたセットの方が、100円お得ですがいかがですか」と勧められた経験はないでしょうか?これは、1人当たりのオーダー数を増やすひとつの方法なのです。
そこで、オーダー数を増やすために追加で何をおすすめすると良いのか、もしくはオーダー数を増やすために新たなメニューを開発した方がよいのかを検討する必要があります。
また、客数を増やす方法としては、広告やSNSを活用してお店に注目してもらう必要があります。ただし、ここで注意しなければならないのが、単に客数を増やしてもカフェの客席数には限りがあるということです。したがって、客数を増やす方法を検討すると同時に、お客さんの回転率を上げて売上を伸ばす工夫も必要になります。
②「出」を減らす
「出を減らす」とは、経費を減らすことです。
原材料費を削ると商品価値が下がり、結果的に売上が下がることになりかねません。また、広告宣伝費や人件費を削ると、売上が下がってしまうこともあります。
そこで、出を減らす場合には、経費にムダがないかをまず確認します。
前述したとおり、飲食業の原価率の目安は30%です。したがって、30%以上だと食材ロスが多いか販売価格に見合わない原材料を使用している可能性があります。

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カフェ経営に欠かせない会計ソフト

これまでご紹介したように、カフェを経営するうえでは利益のしくみを理解し、経費の目安を知り、それらをしっかり管理することが大変重要です。
しかし忙しいカフェの経営のなかで、常にお金の動きを把握し管理することは想像以上に難しいことです。
そこで、ぜひ検討したいのが会計ソフトを導入してお金の管理を効率化し、経営の見える化を実現することです。

(1)入出金を把握できる

会計ソフトを導入することで、お金の管理を格段に効率化することができます。
「クラウド会計ソフト freee会計」をネットバンクやクレジットカードと連携させれば、原材料や家賃、人件費などをほぼ自動で記帳することができます。
また、売上もAirレジなどと連携させれば、売上を自動集計することができますので、売上日報の自動作成、経費の比率などもひと目で把握することができるようになります。
自動仕訳されることで人による入力ミスがなくなり、ミスを確認する作業時間も削減されることになります。

導入事例:

「会計業務にかける時間が限りなくゼロになりました」

(2)レシート・請求書管理の効率化

「freee会計」では、請求書の管理まで効率化することができます。
請求書発行で蓄積された請求データを、取り込みボタンを押すことで、クラウド会計ソフトに「売掛金/売上」の売上仕訳が転記されるという機能があります。請求書は取引先ごとに発行されるので、売掛金も取引先別に入力できるような仕様になっているので、売掛金管理にも便利な機能となっています。

導入事例:

「freeeがあれば経理がいなくても会社が回る」

(3)税理士と連携しやすい

「freee会計」を導入することで、税理士にリアルタイムで「freee会計」の画面を共有することができるので、経理状況の確認を効率的に進めることができるようになります。
どのような対応を取るべきかすぐにアドバイスを求めることができますし、今後どのような問題が発生するのか、それに備えてどのような対策をとればいいのかなど、すぐに質問をすることができます。

導入事例:

「freee会計導入でいつでも経理の状況を共有。税理士との面談内容がより濃いものに」

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まとめ

以上、カフェを経営し儲けを出すために知っておきたい利益のしくみや経費の目安、お金の管理を効率的に行うための会計ソフトの活用方法などについてご紹介しました。
これまでご紹介したように、カフェ経営の失敗談で一番多いのが、「運転資金が足りなくなって、営業を続けられなくなった」というものです。
「カフェの経営」という理想ばかりを追いすぎて、ビジネスに必要な知識をおろそかにしないよう、利益のしくみ、経費の目安などはしっかり理解しておくようにしましょう。
また、税理士の中には飲食店の開業や経営に特化してサービスを提供している税理士も多くいます。カフェの経営を成功させたいなら、このような税理士に相談してアドバイスを受けることも大切です。

カフェの経営について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中からカフェの経営について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、カフェの経営について質問することができます。

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