公開日:2019年12月03日
最終更新日:2022年04月14日
リベートとは、一定期間の多額の取引を行った取引先に対して売上代金を割り戻すことをいいます。
成約のお礼としての支出は原則として交際費となりますが、一定の要件を満たしている場合には、交際費ではなくリベートとして損金に算入することができます。
しかし、一定の要件を満たしていなかったり社会通念上合理的といえない金額を支払ったりした時には、損金算入を否認されることがありますので、注意が必要です。
リベート(rebate)とは、一定期間の多額の取引を行った取引先に対して売上代金を割り戻すことをいいます。
手数料や世話料といった意味合いをもち、「販売報奨金」「奨励金」「紹介手数料」など、さまざまな名称で呼ばれることもあります。
お客様を紹介してくれたお礼に紹介料を支払う時などは、原則として交際費となりますが、売上で受け取ったお金のなかから、あらかじめ取り決めておいた金額を支給する場合には、リベートとして損金に算入することができます。
たとえば、代理店などが販売目標を達成することなどを条件に、売上で受け取ったお金のなかから、あらかじめ取り決めておいた金額を支給するなどのケースです。
リベートとして損金に算入するためには、以下の要件を満たしている必要があります。
①その金品の交付が、あらかじめ締結されていた契約に基づくものであること
②提供を受ける役務の内容は、あらかじめ締結された契約において具体的に明らかにされていて、かつこれに基づいて実際に役務の提供を受けていること ③その交付した金品の価額が、その提供を受けた役務の内容に照らして相当と認められること |
①については、必ずしも正式な契約書を締結する必要はなく、書面などで通知して周知されていればよいこととされています。
たとえば、「お客様ご紹介キャンペーン」などとしてチラシを提示したり配布したりしている場合も、契約に基づくものであると認められます。
リベートを支払うと、その分だけ売上が減ることになります。したがって、税務上は全額損金(法人税法上、課税される収入から差し引くことができる支出のこと)として取り扱うことができます。
※損金とは、法人税法上、益金から差し引くことができる支出 |
損金として取り扱うことができれば節税効果が期待できますが、損金処理をするためには、まず客観的な基準でリベートの額が算定されていることが条件となりますから、要件を整備しておく必要があります。
社会通念上合理的といえないリベートは、損金と認められませんので注意が必要です。リベートとして認められるためにはどのような準備をしておくべきなのかは、税理士に確認しておきましょう。
リベート取引については、税務上以下のように取り扱うものとされています。
①リベートの算定基準が契約、チラシによる告知その他の方法により明示的に決められており、またその算定基準が購入価額または購入数量に応じて計算されるものである場合は、リベートは購入した日を含む事業年度に計上する。
②ただし、リベートの受け取りに関し、契約等により一定期間は受け取れないとなっている場合には、実際に支払を受けた日を含む事業年度に計上する。 |
リベートの額の算定基準が明確でなかったり、社会通念上合理的とはいえないような金額が計上されていたりすると、税務署から損金に算入することが認めてもらえないことがあります。
またリベートは、実際に支払う場合に、払う相手によって金額を変えてはいけません。支払者の裁量によって金額を変えたりすると、リベートではなく交際費として認定される可能性が高くなります。
リベートとして認められず交際費や寄付金と認定されてしまうと、損金算入額が大幅に制限されてしまいますので、注意しましょう。
交際費とは、取引先や営業先との食事やゴルフ、贈り物などを会社のお金で接待費用として支出する費用のことです。
たとえば、お客様を紹介してもらったお礼として食事代を支払ったり菓子折りを渡したりした時には、「交際費」となり、情報提供料としての金品を支払った場合には「リベート」ということになります。ただし、前述したとおり、支払相手によって金額が変わると、交際費として認定される可能性があります。
交際費は役員や従業員の私的な支出が紛れ込みやすいことから、税務上損金算入できる額が大きく制限されています。
つまり、リベートではなく交際費であると税務署から認定されてしまうと、収入から差し引く支出と認められる額が大幅に減ってしまうことになります。
リベートは「売上割戻し」という勘定科目で処理をします。
リベートについて契約が定められていて、算定方法が取引高に応じて決まっているような場合には、売上の計上時に売上割戻しを計上することができます。1カ月の取引高に応じて割戻しを行う場合には、請求書の締日に計上します。
リベートについて契約書に定めがない場合には、割戻しを取引先に通知した日もしくは実際に支払いを行った日に計上します。
ただし、社内で割戻しの基準が定められている場合には、未払金を計上し当期の損金とすることが認められています。
リベートは、売上割戻しという勘定科目で使い、売上金額を減額する処理を行います。
「掛けで販売した商品100万円について、あらかじめ取り決められた割戻し基準に基づきリベート額を計算し、5万円を売掛金から控除した。」
契約が定められていて、取引高に応じて算定方法が決まっている場合には、売上の計上時に売上割戻しを計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売上割戻し | 50,000 | 売掛金 | 50,000 |
「商品100万円を取引先が掛で購入したため、割戻しとして2万円割り戻した。」
契約書に定めがない場合には、仕入先に割戻しを通知した日か、実際に支払った日に計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 980,000 | 売上高 | 1,000,000 |
売上割戻し | 20,000 |
リベートは「販売報奨金」「奨励金」「紹介手数料」のことで、損金に算入することができますが、一定の要件を満たしていないと交際費として損金に算入できる額が大きく制限されてしまいます。
リベートとして認められるか否かで、税額が大きく変わることもありますので、税理士等に相談し、要件を整備することが大切です。
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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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