中小企業の売上・仕入の計上時期

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2018年11月07日

目次

  1. 中小企業の売上計上時期
    • 発生主義
    • 現金主義
    • 実現主義
    • 売上の計上時期の種類
    • 売上除外は「脱税行為」
  2. 中小企業の仕入計上時期
    • 仕入計上の時期は実情に合わせる
    • 売れ残りは棚卸資産へ
    • 税務調査でチェックされる点
  3. 期末の在庫処理
    • 仕入は売上に対応させる
    • 棚卸資産として資産計上
    • 棚卸資産は次の期に仕入に戻す
  4. まとめ

売上や仕入を計上するタイミングについては、何となくは知っていても正確に理解している人は、案外少ないのではないでしょうか。
しかし、会社の経理を税理士に依頼せず、自社で行おうとする時は、計上時期に関するルールを十分に理解し、適切に処理をする必要があります。
「これぐらい、時期をずらしても、問題ないだろう」といった、軽い気持ちで計上時期を不正に操作すると、脱税など重大な不正につながってしまうこともあります。
会計では、売上計上の時期が定められていますが、比較的恣意的に操作しやすいこともあり、税務調査でも、チェックされやすい項目のひとつです。

ここでは、中小企業の売上・仕入の計上時期のルールと、期末の在庫処理をする際に知っておきたいポイントについてご紹介します。自社で経理をしている会社の経営者や経理担当者はぜひ参考にしてください。

中小企業の売上計上時期

売上は会社の利益の源泉となる重要な取引ですが、会計では、売上計上の時期が定められています。
何をもって売上があったと認識するかについては、発生主義・現金主義・実現主義の3つの考え方があります。

発生主義

「発生主義」は、金銭のやり取りの有無に関係なく取引が発生した時点で費用と収益を計上する考え方です。
売上や、費用の支出額について、確定した時点の日付で帳簿をつけるので、金銭のやり取りがまだ行われていなくても取引が確定した時点で計上することになります。
毎月ではなく数カ月に一度の精算するようなリース料やレンタル料、水道料金などについても、毎月の会計に均等に配分して計上することができ、正確な損益計算をすることが可能になります。
企業で採用されている会計方法のほとんどは、この発生主義会計によって記帳する複式簿記が採用されています。また、個人事業主の場合も、青色申告特別控除を受ける場合は発生主義による複式簿記で記帳することになります。

現金主義

「現金主義」は、代金の入金があった時点で売上があったと認識する考え方です。売上のほとんどが現金で取引されている場合は、簡単に集計できるメリットがあります。
ただし商品やサービス代金を前払いした場合、実際に対価が提供されるのはまだ先であるなど、入金が遅れる取引がある場合でも、当該期間の費用として計上しなければならないので、商品の引き渡しと売上の計上がずれてしまう面があります。

実現主義

「実現主義」は、入金の有無にかかわらず商品を引き渡した時点で売上があったと認識する考え方です。商品の動きと売上の計上が一致することで、損益をタイムリーにとらえることができます。
法人の経理では、収益の計上については原則として実現主義に基づいて売上を計上します。

売上の計上時期の種類

売上を計上する時期は、基本的には商品やサービスの引き渡しがあった時とされています。
ただし、いつの時点で「引き渡した」とするべきかについては、それぞれの商品やサービスの性質や契約内容によって異なります。

出荷基準では、商品を店舗や倉庫から出荷した時点で売上を計上します。一方、納品基準では、商品が買い手に届いた時点で売上を計上します。納品基準は引渡基準と呼ばれることもあります。

商品を引き渡した時点だけでなく、売上計上のタイミングにはさまざまな基準があります。
例えば、機械の販売などでは、商品が買い手に届いて買い手が検収した時点で売上を計上する「検収基準」が採用されることがありますし、建設業などでは工事の進み具合に応じて売上を計上する「工事進行基準」が採用されることもあります。サービス業では、サービスの提供が完了した時点で売上を計上する「役務完了基準」が一般的です。

売上の計上基準は業態や会社の実情に応じて選ぶことができますが、一度選んだ基準は毎期継続して適用しなければなりません。
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売上除外は「脱税行為」

事業が軌道に乗って利益が出るようになると、法人税がかかるようになります。法人税は原則として次の期になってから一括で納付するため、資金繰りに影響を与えることもあります。
ところが、この売上については、自社で発行する納品書や請求書などが証ひょうとなるので、「当期に入れるべき売上を翌期に繰り延べる」「売上を除外する」「、翌期の返品や値引き、割戻しを当期に繰り上げる」などの税負担を免れるために利益を少なくしようという恣意的に操作することが、容易に行えるともいえます。

しかし、このような行為は脱税に該当し、ペナルティーを科されます。

売上除外は帳簿に記録するべきものを記録しないため、簡単に見つからないと思われるかもしれません。しかし、税務署が行う税務調査では、現金預金や商品の流れを丹念に追跡して、売上除外などの不正行為を見つけだします。時には、取引先まで聞き取りを行うこともあるのです。

利益を減らすために会計操作をすると、必ずどこかで取引の矛盾が生じ、税務調査で見つかる結果になってしまいます。税務調査で脱税が見つかると、不足する税額に加えて重加算税などの処分の対象となりますので、くれぐれもこのような行為が行わないようにしましょう。

中小企業の仕入計上時期

仕入は売上に対応する重要な取引です。仕入は、費用に占める割合が大きく、経営するうえで非常に重要な意味を持ちますので、計上時期についても、大まかなルールがあります。
ここでは、仕入の計上時期についての考え方と、税務調査でチェックされる点についてご紹介します。

仕入計上の時期は実情に合わせる

売上については、税法で厳格に計上時期が決められていますが、仕入の場合には、比較的ゆるやかになっています。計上のタイミングに関する基準は売上と同じく、出荷基準、納品基準(引渡基準)、検収基準のいずれかが採用されることが一般的です。
それぞれの商品や性質、契約の内容などによって異なるので、仕入の計上でどの基準を選ぶかは、業態や会社の実情に合わせて判断するとよいでしょう。売上の計上と同様に、一度選んだ基準は毎期継続して適用しなければなりません。

売れ残りは棚卸資産へ

当期に仕入を計上した商品で期末に売れ残ったものは、売上には結びついていません。
ですから、そのまま仕入として決算をすると年間の損益にズレが生じてしまいます。そこで、期末に売れ残った商品は、棚卸資産として次の期に繰越をすることになります(※後述)。

税務調査でチェックされる点

税負担を免れるために利益を少なくする方法としては、売上の操作以外に仕入の操作も行われやすい傾向があります。
税務調査では「架空仕入れ(実際には仕入がないにもかかわらず仕入があったことにすること)を計上していないか」「水増し計上をしていないか」「売上が計上されていないのに、仕入を先行して計上していないか」「次の期に計上するべきものを当期に計上していないか」など厳しくチェックされます。

仕入を不正に操作することも脱税になり、税務調査で見つかればペナルティーが課されます。税務調査では、現金預金や商品の流れを追跡するほか、取引先にまで聞き取りを行ない、調査します。支払い条件を預金振込から現金に変更するといったイレギュラーな取引があった場合には、特に不正が疑われやすくなります。

「税務調査とは|税務調査前の準備と当日の対応」を読む

期末の在庫処理

仕入は売上に対応しているので、期末に残った在庫は、仕入に計上することができません。ここでは、期末の在庫処理についてご紹介します。

仕入は売上に対応させる

商品を仕入れた時点で帳簿に仕入を計上しても、当期に仕入れたものがすべて当期のうちに売れるとは限りません。また、前期に仕入れて売れ残っていたものが、当期で売れることもあります。このように、仕入は売上と時期が完全に一致するわけではなく、年度をまたぐことがあります。

仕入は売上のもとになる取引であることから、売上に対応させなければなりません。そこで、期末の在庫処理では、売れ残りなど売上に結びついていないものを仕入から除外させる処理を行います。

棚卸資産として資産計上

期末に売れ残ったものは当期の売上には結びついていないため、仕入に含めることはできません。故意に仕入に含めたままにしておくと、費用を増やして利益を少なくする不正行為とみなされてしまいます。

期末の売れ残りは、会社の資産として評価して、決算で棚卸資産に振り替えます。具体的には、仕入を減らして棚卸資産を増やす処理を行います。

棚卸資産は次の期に仕入に戻す

期末の決算で棚卸資産に振り替えた売れ残りは、次の期の最初に仕入に戻します。棚卸資産を減らして仕入を増やします。

期末の売れ残りが次の期で売れた場合にこの処理をしなければ、次の期の売上と仕入の対応が合わなくなり、利益が余分に計上されることになってしまいます。脱税行為とまではなりませんが、正しい経理処理とはいえませんので注意しましょう。

もし、期末の売れ残りが次の期でも売れ残ってしまえば、次の期の決算で再度棚卸資産に振り替える処理を行います。ただし、長期にわたって売れ残る商品は、いずれは安売りで処分するか廃棄するなどといったことを検討する必要があるでしょう。
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まとめ

以上、「中小企業の売上・仕入の計上時期」についてご紹介しました。顧問税理士と契約している方は脱税にならないよう注意し、相談してみましょう。

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