商号とは?会社の名称の決め方と7つのルール

公開日:2019年04月07日
最終更新日:2024年06月26日

この記事のポイント

  • 「商号」とは、会社の名前のことで、法務局に登記する。
  • 商号には「!」「♪」など、使えない記号がある。
  • 商号を決める時は「5Iの法則」(ファイブ・アイの法則)を参考にするとよい。

 

会社の名前を「商号」といいます。商号は、個人の姓名に当たるもので、法務局に登記した商号が正式な名称となります。
商号は自由に決めることができます。個人事業時代の名称を使ったり、地域の名前を入れたりして顧客にも伝わりやすくなるような工夫をするのがおすすめです。
また、商号に関しては7つのルールがあり、そのルールに従っていない商号は登記を受け付けてもらえないこともありますので、注意しましょう。
 

商号の豆知識

商号とは、法人や会社が法律上登記する際に使う名前です。たとば、株式会社の場合、「株式会社○○」という名称が商号となります。商号は法人設立の際に行う会社登記の際に法務局に登記される仕組みになっています。また、商号については、一定のルールが定められています。
平成14年の商業登記規則等の改正により、商号の登記にはローマ字やその他の符号を使用できるようになり、大文字や小文字のローマ字を商号に使用して登記することが可能になりました。ただし、感嘆詞「!」「?」「♪」「@」、ローマ数字「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」などの使用は認められていません。
また、会社法第6条第2項に基づき、商号には会社の種類に従い「株式会社」、「合名会社」などの文字を使用することが義務付けられています。したがって、「株式会社」を「K.K.」、「Company Incorporated」「Co., Inc.」「Co., Ltd.」などと登記することはできません。
なお、会社設立時には、商号だけでなく事業年度や資本金についても決めなければなりませんが、これらは設立後の資金繰りや税額に影響を与えることがあります。したがって、設立時の検討事項や書類作成や提出、税務署への届出などの手続きについては、税理士に相談することをおすすめします。

商号とは

商号とは、会社の名称のことをいいます。
私たちに名前があるように、会社の名称も、法務局に登記した商号が正式な名称になります。会社の名称は自由に決めることができますが、いくつかのルールがありますので、そのルールに従って商号を考える必要があります。
また、登記ができても後々トラブルに発展することもありますので注意しましょう。

(1)必ず「株式会社」を入れる

株式会社であることを表示するために、商号の前か後に「株式会社」の文字を入れなければなりません。株式会社の代わりに「K.K」と表記したり「Co.Ltd.」と表記したりすることはできません。また、合同会社に「株式会社」と使うこともできません。

(2)同一住所で同一商号はNG

同一の住所で同一の商号を使うと、会社の区別ができなくなるので、登記をすることはできません。法務局では商号調査簿を閲覧して、同じ住所に同じ社名を持つ会社が存在しないかを確認します。

同じ住所でない限りは、同じ都道府県であっても同一商号を使用することはできます(※但し、後述するように登記できても「不正競争防止法」で使用できない場合もあります)。

なお、バーチャルオフィスやシェアオフィスなどで起業する場合は、その住所を本店として登記することができない場合もあります。また、登記ができてもシェアオフィスを本店にしていると創業融資を受けられないこともありますし、会社の銀行口座を開設できないということもあります。登記をする前に税理士や日本政策金融公庫、銀行に相談すると良いでしょう。

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(3)公序良俗に反する商号はNG

「盗品」「詐欺」「泥棒」など、道徳に反する言葉や猥褻な言葉は、商号に使用することはできません。たとえば、「株式会社盗品販売店」や「盗聴請負株式会社」などは登記することはできません。

(4)一定の業種については使用文字の制限も

銀行や信託銀行、保険会社などは、その業種を商号の中に使用しなければなりません。
そして、それらの業種ではない会社が銀行や信託銀行、保険会社と言った文字を商号に使用することはできません。

銀行、信託など:銀行や信託以外の会社は使えません。

(5)使用できない文字がある

商号に使用できる文字は決まっていて、「?」「!」「@」「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなどのローマ字」などは、商号に使用することはできません。
たとえば、「!!!株式会社」や「ABC♪株式会社」は、登記することはできません。また、「株式会社○○営業部」のように会社の一部門を表す言葉もNGです。

商号に使える文字:
ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字
「・」「.」「&」「,」「‘」「-」の6種類の記号
商号に使えない文字:
感嘆詞「!」「?」「♪」「@」「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなどのローマ字」など

営業部、販売促進部:
会社の一部門をあらわす言葉は使えません。

(6)登記ができても商号が使用できない場合も

「不正競争防止法」では、他人の著名な商号と同一もしくは類似の商号を利用することを禁止しています。
著名とまでは言えなくても、少なくとも一定の地域では認識されている商号と同じだったり、似ている商号を使用したりすることも禁止しています。
既にある商号をいくらでも用いることができるとすれば、まねをされた会社が信用を傷つけられたリ社会的な混乱を招くリスクがあるからです。
したがって、商号を決める時には、他人から「まねをした」という指摘を受けないように、同じ商号や似ている商号を避ける必要があります。

(7)他社の商標は避ける

すでに商標登録がされている他社の商品やサービスと同じ名称や似ている名称を用いて営業を行うと、他社の商標権を侵害したことになり、損害賠償を請求されたり商号差し止めの請求を受けたりすることがあります。

たとえば、「ロレックス産業株式会社」として会社設立登記をする場合、会社名としては使用可能ですが、商品名やホームページのタイトルにその名称を使うことはできませんので、会社名とは別にブランド名称を考えなければなりません。商標権の侵害となれば、証憑の使用差し止めや損害賠償の請求対象になってしまうこともあります。
したがって、商号を決める時には、他社の登録商標を確認する必要があります。
商号と違って商標は全国的な権利であることに注意が必要です。
 

会社設立の豆知識

同じ住所でさえなければ、同一の商号(社名)をつけることはできます。しかし会社法では、「不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれがある商号は使用してはならない」と決められています。同業種の事業を行っている会社が近所にあるような場合では、同じような商号をつけても法務局では受理されますが、「不正の目的をもって誤認を生じさせる商号」として問題とされる場合もありますので注意が必要です。

商号を決める時に参考にしたいポイント

商号は、会社の顔ともいうべきものですので、どのような商号にするか悩む人も多いでしょう。ここでは、商号を決める際のパターンをいくつかご紹介しますので、商号を考える際の参考にして下さい。

(1)個人事業主時代の名称を使う

これまで個人事業主で事業を行っていて、その後法人成りする場合には、個人事業主時代の名前をそのまま引き継ぐのもひとつの手です。

○田屋→株式会社○田
○川商店→○川株式会社

個人事業主時代に「○田屋」といった屋号を使用していて、取引先や顧客に浸透している場合には、法人成りした時にも「○田株式会社」とそのまま引き継いだ方が、混乱が少なくて済みます。
逆に、個人事業主時代の屋号の知名度が低かったり、それほど思い入れがあるわけではない場合には、まったく別の商号にする方がよいでしょう。

(2)地域密着型ビジネスは地名を入れるとよい

地域密着型のビジネスを展開していくなら、その地名を商号に入れたほうが、その想いが顧客にも伝わりやすくなりますし、インターネットでその地名で検索した人に、検索されやすくなるというメリットもあります。
「ヨドバシカメラ」「ノリタケ」などは、もともとは地名にちなんだ社名です。

株式会社銀座通り商店
株式会社島根書房

(3)事業内容を商号に入れる

商号に事業内容を入れると、事業の内容が商号からそのまま伝わるので、何の会社か商号を見ただけで伝わるというメリットがあります。
初対面でも「○○のビジネスをしているのですね」と相手がすぐに理解してくれるので、スムーズに商談が進みやすくなるでしょう。

株式会社○川コンサルティング
株式会社○田自動車販売

(4)ポリシー、好きな言葉を使って想いを伝える

「dream」や「Improvement」「evolution」など、自分のポリシーや好きな言葉を商号にすると、自分自身思い入れが強くなり、洗練された印象を与えることができます。
珍しい商号であれば1度で覚えてもらうこともでき、どうしてこの商号に決めたのか説明する時にあわせて経営理念を伝えることができれば、取引相手にインパクトを与えることも期待出来ます。

株式会社ワームスマイル(warm smile:ほほえみ)
株式会社チアフルウォーカー(cheerful worker:喜んで働く人)

(5)「5Iの法則」を意識してみる

商号を決める時には、「5Iの法則」(ファイブ・アイの法則)を参考にするのもよいでしょう。
5Iの法則とは、①「Impact(インパクト)」②「Interest(興味)」③「Information(情報)」④「Impression(促進)」⑤「Idea(アイデア)」の頭文字を取ったものです。

①ひと目で覚えられるようなインパクトがあり
②聞いた人が興味を持ってくれて
③どのような会社であるかの情報がこめられており
④もっと会社のことを知りたいと思わせられ
⑤優れたアイデアがあることを伝えられる

この5つを兼ね備えた商号であれば、言うことなしということになります。

自分だけのオンリーワンの名前にこだわりたいという人は、この「5Iの法則」を意識してください。好きな書籍、好きな言葉など、候補名をいくつも書き出しながら、名刺をわたして挨拶するところを想像するとイメージしやすいでしょう。

商号・商標は事前に調べておく

これまでご紹介したとおり、他社の登録している商標や、他人の著名な商号と同一もしくは類似の商号を利用すると思わぬトラブルに発展することがあります。
したがって、商号を決める際には、他社の利益を侵害しない商号を検討する必要があります。

(1)法人番号公表サイトで検索する

インターネットで「登録情報提供サービス」を利用して、キーワード検索すると、商号のキーワード検索を行うことができます。本店所在地が隣接している地域についても調べることができますが、具体的な登録情報を見たい時には費用がかかります。

また、国税庁の法人番号公表サイトは、商号を入力して検索することができます。登録も不要なので、おすすめです。

参照:国税庁「法人番号公表サイト」

(2)法務局で商号調査する

これから作る会社と同じ住所・同じ商号があるか、法務局で「登記事項証明書」を取ってみるのもおすすめの方法です。もし取得することができなければ、その商号は存在しないということになります。

(3)商号を守るための「商標登録」

自分の商号を商標登録しておけば、他の人がその商標登録と同一または類似の商標を使うことができなくなります。
商標を登録するためには、特許庁に商標登録を出願して審査を受けなければなりませんが、トラブルを未然に回避するためには有効な方法です。

まとめ

以上、商号の意味や決め方、決める際に守らなければならない7つのルールについてご紹介しました。
会社を設立する際には、商号を決めることの他にもさまざまな手続きが必要です。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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