公開日:2023年09月06日
最終更新日:2023年10月17日
会社の設立登記とは、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)に、会社の商号、目的、本店の所在地、資本金の額、取締役の氏名などの登記事項について、登記申請することをいいます。
この記事では、設立登記の手続きや必要書類、登記しなければならない事項などについてご紹介します。
設立登記とは、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局に、登記すべき事項について登記申請をすることをいいます。
登記すべき事項については、法律で定められています。
会社は、設立登記をしてはじめて会社として成立します。
会社を設立すると会社に「法人格」が与えられ、人と同じように権利を有し義務を負う組織となります。
つまり、法人格を与えられた会社は、契約の当事者になったり税金を納める義務を負ったりするようになります。
設立登記の際の登記事項は、株式会社と合同会社で異なります。
設立登記の際の登記事項は、会社の目的や商号など、定款の絶対的記載事項となっているものがあります。
登記事項 | 株式会社 | 合同会社 |
商号 | ○ | ○ |
本店と支店の所在場所 | ○ | ○ |
事業目的 | ○ | ○ |
発行可能株式総数 | ○ | - |
発行済株式の総数 | ○ | - |
資本金の額 | ○ | ○ |
株式の譲渡制限に関する規定 | ○ | - |
役員の氏名 | 取締役 | 業務執行役員 |
代表者の氏名および住所 | 代表取締役 | 代表社員 |
公告方法(定款に定めがあるときはその定め) | ○ | ○ |
取締役会設置会社であったり、会計参与設置会社であったりする場合には、その旨ならびに氏名等についても、登記が必要です。
なお、会社法以前は、同一の市区町村に同一の商号や類似した商号が登記されている場合には、同一目的での登記はできませんでした。会社法では、同一の商号は、同一の住所の場合にのみ登記ができないことになりました。
設立登記申請は、本店所在地を管轄する登記所で申請します。
株式会社の場合は、設立登記を行う前に定款の作成と認証(合同会社は認証なし)、出資金の払込みなどを済ませておく必要があります。
株式会社の設立手続きの流れ
①発起人の決定 |
登記申請は、原則として①当事者申請主義と②書面主義の2つの基本ルールにしたがって行います。
①当事者申請主義とは、登記の申請は、会社の代表取締役等(当事者)が申請しなければならないというルールで、②書面主義とは、登記は書面によって行わなければならないというルールです(例外として、オンライン申請も利用できる場合もあります)。
登記申請から登記完了までに要する期間は法務局によって異なりますが、3~7日程度のケースが多いようです。
登記申請に必要な書類は、登記申請書とその添付書類です。
・株式会社設立登記申請書 ・定款 ・発起人の決定書 ・設立時取締役、設立時監査役選任及び本店所在場所決議書 ・設立時代表取締役を選任したことを証する書面 ・設立時取締役、設立時代表取締役及び設立時監査役の就任承諾書 ・印鑑証明書 ・払込みを証する書面(通帳のコピーも用意) ・資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書 ・登記すべき事項を入力した別添CD-R ・本人確認書類(取締役および監査役の全員分) |
登記申請書は、定款や他の添付書類の記載をもとに作成します。なお、登記では出資金の0.7%(最低15万円)の登録免許税がかかります。
登記申請は、オンラインで行うこともできます。
オンライン登記申請手続きは、「登記・供託オンライン申請システム」を利用するための環境設定を行い、以下の流れで進めます。
①まず、申請用総合ソフトをインストールします。 ②ソフトをインストールしたら、申請者情報の登録を行い、電子署名に必要な証明書を取得します。 ③登記・供託オンライン申請システムにログインし、申請書を作成して電子署名を付与します。 ④申請データを送信します。 ⑤登録免許税を納付します。 |
2020年1月からは、電子署名なしでデータ送信を行い、印刷した申請書を添付書類と一緒に法務局に提出する方法も可能となりました。
登記申請に慣れていない人は、窓口で申請する方がおすすめですが、窓口まで行けない事情がある場合には、郵送による登記申請も可能です。郵送で申請する場合には、念のため書類やレターパック等で送付するようにしましょう。
封筒には、「登記申請書在中」と明記します。また、申請書には問い合わせに応じることができるように、連絡先の電話番号を必ず記載するようにしましょう。
株式会社の設立登記は、本店の所在地を管轄する法務局で、「一定の日」から2週間以内に登記申請をすると決められています。
「一定の日」とは、発起設立と募集設立で異なります。
設立方法 | 内容 | 期限 |
発起設立 | 一般的な方法で、出資者が会社の株式を全部引き受けて全員が発起人となる設立方法 | 設立時取締役による出資金の払込みや設立手続きが、法令や定款に違反していないことの調査完了日もしくは発起人が定めた日 |
募集設立 | 一般の人たちから広く資金を集めて株式を引き受けてもらう設立方法 | 創立総会を開催することになったその終了日 |
登記が遅れると、罰則がありますので、早めに手続きを行ないます。
なお、登記申請したら登記完了というわけではなく、審査が行われます。申請に何らかの不備があったら訂正を行わなければなりません。これを「補正」といいます。
補正は、法務局に出向いてその場で確認をします。補正では修正できないような重大なミスがある場合には、取り下げをすることになります。補正をしないで長期間放置しておくと、却下されてしまい、再度申請をしなければならなくなります。
その分、事業開始が遅れてしまうので、早めに対応するようにします。
登記が完了したら、法務局で登記事項証明書を取得します。
許認可の取得や銀行口座の開設には、登記事項証明書が必要となりますので、あらかじめ確認しておきます。
また、会社の設立登記が完了したら、税務署や労働基準監督署、年金事務所等に届出を行います。
各届出には、期限が決まっているものや添付書類が必要なものなどがありますので、不明点等は、あらかじめ問い合わせて確認することをおすすめします。
税務署への届出 | ・法人設立届出書 ・法人青色申告の承認申請書 など |
労働基準監督署 | ・労働保険保険関係成立所 ・労働保険概算保険料申告書 ・就業規則届 など |
公共職業安定所 | ・雇用保険適用事業所設置届 ・労働保険関係成立届 |
年金事務所 | ・健康保険・厚生年金保険新規適用届 ・被保険者資格取得届 |
銀行 | 印鑑届 |
会社は、定款を作成し、取締役等を選び、登記をして設立します。
発起設立の場合には、定款の認証を受けたあと、発起人が株式発行価額の払込みを行います。期日までに発起人が払込みをしないと、株主になる権利を失います。
そして、発起人は取締役等を選任します。
ここまでの手続きが完了したら、本店の所在地を管轄する登記所で設立登記を行います。
会社設立の手続きや必要となる書類は、自身で行うことも可能ですが、記載もれがあったりすれば、何度も法務局に出向かなければならず非効率的ですから、スムーズに事業をスタートするためにも不備がないように準備することが大切です。
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