クラウドファンディングとは?やり方やメリット・デメリットを解説

公開日:2023年10月24日
最終更新日:2023年10月24日

この記事のポイント

  • クラウドファンディングとは、ネット上で不特定多数の人から資金調達を行う方法。
  • クラウドファンディングは、大きく5つの類型に区分される。
  • 一般的には、仲介事業者を通して資金提供者を募集する。

 

これまで起業時や新規事業の資金調達というと、金融機関からの融資や助成金、補助金などが主でしたが、近年は、クラウドファンディングがスタートアップ企業や中小企業の新しい資金調達の手法として活用されています。
クラウドファンディングは、テストマーケティングにも利用できるメリットがあり、広告宣伝効果も期待できます。
 

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クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネットを利用して不特定多数の人や企業から、資金調達を行うしくみで、2000年代にアメリカでスタートしました。
クラウドファンディングは、はじめは社会的弱者を助けるためのツールとして発展しましたが、やがて起業家たちを支援するツールとしても活用されるようになりました。
資金調達というと、これまでは金融機関から融資を受けたり投資家から出資を受けたりといった方法が一般的でしたが、近年、クラウドファンディングが新たな資金調達の方法として活用されています。

自治体によっては、仲介業者と提携してクラウドファンディングを活用した資金調達の支援制度を設けているケースもあります。

(1)クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには、以下の5つの類型があります。

寄附型 資金提供に対する見返りがない。 金融商品に該当せず、誰でもプラットフォーマーになれる。
購入型 資金提供額に応じて、商品やサービスを受ける。
投資型 投資家は企業の詳しい情報をもとに投資し、非上場企業の未公開株を購入できるメリットがある。資金提供額に応じて、利益の分配等を受ける。 金融商品取引法の規制あり。
融資型 事業者が仲介して個人投資家から小口の資金を集め、プロジェクトに貸し付けることで融資金利による利益の分配を受ける。
ファンド型 ファンドとしてお金を募集し、投資家は、売上の成果や出資額に応じて配当を受ける。

(2)クラウドファンディングのしくみ

クラウドファンディングは、一般的にはプラットフォームの運営業者を通して資金提供者を募集することになります。
プラットフォームの運営業者に申請を行い、審査を受けます。そしてその審査を通過すると、クラウドファンディングのプラットフォームにプロジェクトが掲載されます。
クラウドファンディングの実施者は、事業者が運営しているプラットフォームに「このようなプロジェクトを企画しており、そのための資金として○○円が必要です」という内容のページを立ち上げます。
支援者は、公開されたプロジェクトの中から、自分が支援したいプロジェクトを検索して支援します。
そして集まった資金の何割かは、仲介手数料として運営業者に差し引かれます。

(3)クラウドファンディングのメリット

クラウドファンディングを利用すれば、単独では実現できないような大きなプロジェクトでも、協力者を集めてチャレンジすることができます。未上場のベンチャー企業が、広く株主を募集することもできます。
また、クラウドファンディングを利用すれば、何万人というユーザーに自社の商品やサービスの情報を届けることができるため、プロジェクト自体に宣伝効果があり、新製品や新店舗の事前PRとして活用することができますし、テストマーケティングの場として利用することもできます。

また、支援する側にとっても、寄附型を利用すれば所得控除の対象となって、所得税や住民税が軽減されますし、購入型なら支援金を出す代わりに商品やサービスを受け取ることができます。
また融資型であれば、国債や銀行預金以上の利回りを受けとれる可能性もあります。

クラウドファンディングは、手続きを代行してくれる業者も増加しており、募集も簡単になったことから、今後は起業時に利用するケースもはますます増えると思われます。

(4)クラウドファンディングのデメリット

クラウドファンディングは、プラットフォームでプロジェクトについてプレゼンを行って、資金を集めるしくみです。
したがって、プラットフォームの仲介手数料を払わなければなりません。手数料はプラットフォームごとに異なりますが、最大20%程度の手数料が差し引かれることもあります。

プラットフォームにプロジェクトを公開するためには、プロジェクトページを制作しなければなりません。プロジェクトページでは画像や動画の作成やリターン送付、サービス提供などの作業が発生しますが、これらの作業は想像以上に時間と手間がかかります。
自分でその時間をつくれない場合には外注することになりますが、その場合にはその費用が発生することになります。

また、プロジェクトの広告宣伝効果があるということは、同時に競合に自分のアイデアを知られてしまうリスクもあるということになります。
また、支援者のリターンが大きすぎるとプロジェクトがスタートしたあと、資金繰りが悪化するリスクがあります。
クラウドファンディングを利用する場合には、これらのデメリットやリスクを十分理解したうえで目標値を設定することが大切です。

(5)寄附型のクラファン

寄附型のクラウドファンディングは、一般的な寄付と基本的には同じです。
クラウドファンディングのプラットフォームを通じて、寄附後の活動状況などを受け取ることもできます。寄附ですからリターンはありませんが、オリジナルグッズ程度のものがもらえる場合もあります。

寄附型は、世の中の役に立ちたいと思う人がプロジェクトを立ち上げ、不特定多数の人から寄附を集めるしくみで、善意によって支えられています。
したがって、食糧支援、医療支援、自然保護など社会貢献活動などを行う非営利法人が行う場合に向いているといえます。

また、寄付する側にとっては、プロジェクトの透明性がある程度確保されていることから、資金提供がしやすく、また所得控除の対象となることから、納税額が軽減されるというメリットもあります。

(6)購入型のクラファン

購入型のクラウドファンディングは、資金提供者からプロジェクトに出資を受けることで事業資金を調達して、開発が完了した後に製品等を出資額に応じて分配するしくみのクラウドファンディングです。

買い手にとっては、商品購入、売り手にとっては商品販売を、プラットフォームを通じて行うもので、日本酒や時計、衣料品などが取引されているほか、「こんなお店を出したい」というコンセプトを打ち出した飲食店の開業資金の調達にも利用されています。そのコンセプトに共感した人たちは、食事券などを予約欧入します。
つまり、購入型はクラウドファンディングのプラットフォームを使った予約購入ともいえます。

なお、購入型では、オール・オア・ナッシング(All or Nothing)方式を採用する仲介業者が増えています。これは、設定していた調達期間までに募集金額が集まらない場合には、それまで応募があっても資金調達者は集まった資金がもらえないというものです。

この方式は、①事業者が共感を呼ぶような事業を推進するきっかけとなる、②目標額が調達できないとその事業を遂行できないのは、本来の趣旨に合わない、③目標金額を調達できないということは、事業計画に検討すべき課題が残っていると思わせる、などの理由が考えられます。

(7)投資型のクラファン

投資型のクラウドファンディングは、資金提供額に応じて利益の分配を受け取るもので、金融商品取引法による規制があります。株式を募集すれば、どの会社でもクラウドファンディングができるというものではなく、プラットフォームを利用しなければなりません。
認可を受けているプラットフォームに申請をして、審査を受ける必要があります。

仲介業者である金融商品取引業者のサイトでは、投資者が十分な情報を得ないまま投資の意思決定を行うことが内容、投資決定に影響を与える情報を閲覧できる状態が求められています。

株式の募集案内が掲載され、投資先を選ぶことができるようになっていて、投資家が株を買いたいと申し込むと取り引きが成立します。
、教育、健康、食品、クリーニングなど多種多様ですが、多くは社会問題の解決を目指したり新しい社会の実現を目指したりしている会社です。このような会社が、人々の共感を読んで、クラウドファンディングで資金を集めています。

(8)融資型のクラファン

融資型のクラウドファンディングは、広くお金を集めて、それをプロジェクトに貸し付けるタイプのクラウドファンディングです。融資型も、金融商品取引法の規制対象です。
事業者が投資家から集めた資金を、貸付を受けたい会社に貸し付けて、返済を受けた元本と利息を投資家に分配します。

融資型は、投資家にとっては比較的リスクの高いものですから、通常は金融機関からの借入よりも金利が高くなります。したがって融資を受ける側は、高い金利負担を上回る事業のリターンが求められます。

(9)ファンド型のクラファン

ファンド型のクラウドファンディングは、プロジェクトに対してファンド(基金)としてお金を募集するしくみのクラウドファンディングです。
融資型との違いは、融資型がお金を借り入れて出資者に利払いするのに対して、ファンド型は出資者が配当を受けるという点です。また、ファンド型は、ファンドを運営している会社と資金を募集するプラットフォームは別の事業者です。

ファンド型を良く活用しているのが、映画製作です。
映画のテロップで「○○製作委員会」という名前が表示されているのを見たことがある人も多いと思いますが、この「○○製作委員会」の実態はファンドであり、出資者からお金を集めて製作を行っています。
映画がヒットして興行収入が大きくなると、その中から配当がもらえます。

(10)All or Nothing方式とAll in方式

All or Nothing方式とは、募集期間が終了するまでに目標金額を達成した場合のみ、支援金を受けとれるしくみです。目標金額を達成できなければ、支援者が振り込んだ金額は支援者に返金されることになります。クラウドファンディングの種類によっては、目標金額を達成できなくても手数料が発生する場合があるので、契約内容をよく確認することが大切です。

All in方式とは、目標金額を達成できなくても集まった支援金を受けとれるしくみです。ただし、目標金額を達成できなくても公開したプロジェクトはかならず実施しなければならず、支援者に対するリターンを履行する義務もあります。

購入型や寄附型の場合には、All or Nothing方式でもAll in方式でも、セカンドゴールを決めて、さらに多くの支援金を集めることができますが、投資型では、株式やみなし有価証券の募集を行うことになるため、上限金額を達成した時点で、その募集は締め切られます。

(11)自治体連携のクラファンもある

東京都では、日本政策金融公庫と連携して、購入や寄付を通じたクラウドファンディングによるプロジェクト支援を行っています。
創業希望者や中小企業者等の購入・寄附型クラウドファンディング、ベンチャー企業の株式投資型クラウドファンディングで、事業計画書作成支援なども行われています。
融資とクラウドファンディングを利用すれば、起業資金や事業資金を集めやすくなり、今後はクラウドファンディングが新たな資金調達の手段として利用されるケースも増えてくるものと予想されます。

参照:東京都産業労働局「クラウドファンディング」

まとめ

クラウドファンディングを活用することで、従来の手段では資金調達が難しかった事業でも実現できる可能性が高まったといえます。
融資型は比較的リスクの高いものであり、日本政策金融公庫の融資や自治体の制度融資の方が条件はよいことが多いので慎重に検討すべきですが、購入型や株式投資型のクラウドファンディングは、チャレンジもしやすく事業者として、市場に製品やサービスを送り出す前に消費者のリアルな反応を知ることができ、テストマーケティングにも応用できます。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

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