資金調達の15の方法|借入・受給・出資・その他

公開日:2018年11月02日
最終更新日:2021年07月20日

目次

  1. 資金調達の方法【借入編】
    • (1) 都市銀行
    • (2) 地方銀行
    • (3) 信用金庫・信用組合
    • (4) 日本政策金融公庫
    • (5) ノンバンク
  2. 資金調達の方法【受給編】
    • (6) 補助金
    • (7) 助成金
  3. 資金調達の方法【出資編】
    • (8) ベンチャーキャピタル
    • (9) エンジェル投資家
  4. 資金調達の方法【その他】
    • (10)増資
    • (11)少人数私募債の発行
    • (12)新株予約権の活用
    • (13)クラウドファンディング
    • (14)事業譲渡・業務提携
    • (15)株式上場(IPO)
  5. まとめ
    • 資金調達について相談できる税理士を探す

この記事のポイント

  • 資金調達の方法は、借入や出資を受けるだけではない。
  • 新しい資金調達の方法を活用することで、リスクを軽減させ事業を成長させることができる。
  • 最適な資金調達方法は、個々の状況によって異なる。

 

原材料の仕入れ・加工、製品の搬送、従業員への給料の支払いなど、会社を経営していくうえでは、さまざまな場面で資金が必要になります。
また、事業を展開していくなかで、先行投資が必要になるケースもありますし、商品やサービスの開発が必要となるケースもあり、その際にはある程度まとまった資金が必要になることもあります。

さまざまな場面で資金が必要になった時に手元に資金がなければ、何らかの形で資金を調達しなければなりません。
企業は赤字になっても倒産することはありませんが、必要な時に資金が不足すれば倒産する可能性があるからです。
資金調達をいかに円滑に行えるかという問題は、企業にとって生命線であり、これこそが経営者にとって最も重要な仕事ともいえます。

資金調達というと、銀行からの借入をイメージする人が多いと思いますが、資金調達の方法は、銀行からの借入れ以外にもさまざまな方法があります。

自治体や省庁などが募集をしている助成金や補助金を受ける方法もありますし、ベンチャーキャピタルや投資家に資金提供してもらう方法もあります。
いずれの方法を選択するにせよ、大切なのは自社の事情に合った資金調達の方法を検討して、その方法に沿って準備を進めることです。

そして、資金調達を成功させるためには、資金調達の方法に応じて必要な書類が何か、どのようなアプロ―チをするべきか、しっかり把握して準備を進めることがポイントになります。

ここでは、会社にとって必要な資金を調達するための、さまざまな方法についてご紹介します。

資金調達の方法【借入編】

資金調達の方法としてもっともポピュラーなのが、金融機関から融資を受ける方法です。金融機関といっても色々な種類がありますので、それぞれの金融機関の特徴を知り、もっとも自社の事情に合った金融機関を選択するようにしましょう。

(1) 都市銀行

都市銀行の取引先は、大手企業から中小企業まで多岐にわたり、中小企業への融資については定型化された融資商品が中心で、個別に融資について判断すべきか必要になる時には、格付けによって決めるケースが多くなります。
したがって、決算書で判断できない起業間もない会社や、業績が思わしくない会社に対して積極的に融資をしてくれることは、あまりありません。

(2) 地方銀行

地方銀行とは、千葉銀行、京都銀行など、特定の地域を営業エリアとしている銀行のことで、地方自治体や公立学校などの各種集金の自動引落としを引き受けているケースが多くなります。
地方銀行は、その銀行の営業拠点である地域に対して、一定の貢献を求められているので、地域の活性化の礎となる地域に必要な事業や会社については、積極的に支援を行ってくれることが期待できます。
したがって、地方銀行に融資を申し入れする際には、地域の活性化に貢献できるという点をアピールし、信頼関係を構築するための努力が必要です。

(3) 信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合は、市町村単位の地域の繁栄を図ることを目的とし、会員の相互扶助を基本理念とした小さな金融機関です。
資金調達力が低いので金利は高めになりますが、きめの細かい対応が期待できます。
メガバンクや地方銀行の定型化した取引をするよりも、多少条件が悪くなっても細かいフォローをしてくれる信用金庫・信用組合との取引を大切にする経営者も多いようです。

(4) 日本政策金融公庫

個人事業主や起業間もない会社では、銀行からの融資はあまり期待できませんが、そんな時に利用できるのが日本政策金融公庫です。

日本政策金融公庫は、国が株式の100%を保有している特殊な株式会社で、「民間の金融機関で対応が困難な分野への資金貸付」を主な業務としています。

日本政策金融公庫は中小零細企業や個人事業主を対象としていて、民間の金融機関では融資しづらい起業間もない会社などについても対応してくれる融資制度が設けられています。

適用金利も低くかつ固定金利であったり、業績が悪い時期には金利を低くしてくれたりといった、柔軟な対応も期待できます。

(5) ノンバンク

ノンバンクは審査が緩いため、決算内容が悪くても融資を受けることができます。また、手続きも簡便で融資の申し込みなどの準備に、手間がかかることもありません。

しかしノンバンクは、金利が非常に高く返済が困難になる可能性があります。
また、ノンバンクからの借り入れが決算書に記載されていると、他の金融機関から警戒されて通常の借り入れが困難になる可能性があります。

したがって、ノンバンクは他の資金調達の方法をすべて尽くした後の最後の手段と考え、原則として利用するべきではないでしょう。

資金調達の方法【受給編】

助成金・補助金と融資の最大の違いは、助成金や補助金は原則として「返済不要」であるという点です。
自治体や省庁は、新しいアイデアや技術を持つ企業が増えること、そしてそれによって雇用が生まれて、経済活性化につながることを望んでいます。

そして、そのために、企業の新しいアイデアや技術を支援したり、雇用を生んだりするための助成金や補助金が多数用意されています。

助成金や補助金は、申請すれば必ずもらえるというわけではなく、また原則として「後払い」であるという点については注意が必要ですが、「返済不要」の助成金や補助金を活用することで、事業に伴うリスクを抑制できるという大きなメリットがあります。

(6) 補助金

補助金とは、経済産業省や自治体が実施している、返済不要の交付金です。

助成金との最も大きな違いは、助成金がある一定の条件を満たしていれば、ほぼ必ずもらえる資金であるのに対して、補助金は、厳しい審査を経て採択が決定されるという点です。
助成金も審査は行われますが、助成金の審査が形式的な要件を満たしているか否かの審査であるのに対して、補助金の審査は、その内容が制度の趣旨に合致しているか厳しく審査され、申請内容が制度の趣旨に合致していないと判断されれば採択されないこともあり、倍率も数倍から数十倍以上になることもあります。

また、補助金を申請する際には、大半の場合、事業計画書の作成が必要になります。
採択されるポイントは、それぞれの補助金ごとに審査基準が異なりますので、各補助金の公募要領を確認し、その制度の目的や申請条件に沿って作成する必要があります。

「なぜ事業を始めるに至ったか」「事業を通じて実現したいことは何か」「自社の痛みを活かして解決できる社会的な課題や問題点は何か」などについて、効果的にアピールする必要があります。

業界の人にしか分からないような専門用語を使っていたり、根拠を示さず技術能力ばかりアピールしたりといった事業計画書は、採択されない可能性が高くなります。
どのような事業計画書が採択されやすいかについては、補助金申請に詳しい税理士や会計士に指導を受けるとよいでしょう。

なお、補助金制度の多くは「経営革新等支援機関」のサポートを受けることが要件となっていることもあります。
経営革新等支援機関とは、一定の専門知識や実務経験を持つ者に対して国が認定する公的な支援機関の資格で、弁護士や税理士、会計士などが補助金の交付を受けることができるようさまざまなサポートを行っています。

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(7) 助成金

助成金とは、厚生労働省、経済産業省、自治体などが実施している返済不要の交付金です。
厚生労働省が実施している助成金は、雇用の安定と労働環境の改善を目的としていて、約50種類前後の助成金が用意されています。
助成額は数十万から数百万円程度ですが、受給条件に該当していれば、申請すれば高い確率で受給をすることができます。

自治体が実施している助成金は、地域内の産業振興を目的としていて、それぞれ独自の内容の助成金が用意されています。

海外展開するための技術を支援する助成金や、対象となっている商品やサービスの販路開拓を支援するための助成金、創業予定者または創業から間もない中小企業者等に対し、創業期に必要な人件費、事務所等賃借料、広告費等の経費の一部を交付する助成金など、さまざまな内容の助成金があります。

資金調達の方法【出資編】

最近は、出資者を募ったり、投資家やベンチャーキャピタル(VC)などから資金提供を受けたりするケースも増えています。
投資家やベンチャーキャピタル(VC)に投資してもらうためには、将来的に株式上場を狙えるほど優れた技術やサービスを持っていることが前提となりますので、審査まで進まないケースもあります。
また、出資を受け入れるということは株式の議決権を渡すことになりますので、出資比率には十分注意する必要があります。

(8) ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(VC)とは、ベンチャー企業に出資して、その出資先が株式公開することによってキャピタルゲインを得ることを目的としている会社です。
創業初期にベンチャーキャピタルから出資を受け、短期で株式公開を実現した企業は多く、「メルカリ」などもベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けて、急成長した企業のひとつです。

(9) エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、気に入った企業を育てていこうという意識をもった個人投資家や企業をいいます。

ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けるのと同様、返済の必要はありませんが、出資した企業がそれなりに育ったところで株を売ったり事業売却したりなど、何らかのエグジット(出口)を求めています。

したがって、あくまで「成功する確率が高い」と見込んだ企業だからこそ出資するので、エンジェル投資家を納得させられるだけの事業計画が必要ですし、交渉術も重要です。
どんな基準で出資する企業を選ぶかは、エンジェル投資家によって異なりますが、まずは会社謄本、決算書2期分、直近2カ月以内の試算表などの必要書類を提出し、何度か面談をする必要があります。

なおエンジェル投資家のなかには、ベンチャー企業経営のノウハウや人脈を持っている人も多く、企業を成長させるためのサポートを受けることも期待できます。

資金調達の方法【その他】

企業が活用できる資金調達の方法は、ここまでご紹介したような、借入や受給、出資だけではありません
ここでは、新しい資金調達の方法や、その概要、ポイントについてご紹介します。

(10)増資

増資とは、企業に資本金としてお金を入れてもらうことです。
現在の株主にその保有している株式数に応じて資本金を入れてもらう方法や、現在の株主の株式数に関係なく、資本金を入れてもらう方法などがあります。

しかし、株式対価においては持株比率に応じて株主の権利が異なります。したがって、後々経営権の問題が生じることもありますので、慎重に実施する必要があります。
増資によって生じた経営権の問題は、後からもとに戻そうとしても非常に困難です。事前に税理士や弁護士に相談してから、実施するようにしましょう。

(11)少人数私募債の発行

私募債(しぼさい)とは、社債の一種で、特定少数の機関投資家などに引き受けを依頼する社債のことで、社債とは、企業が社債券という有価証券を発行することで、多額の資金を調達する資金調達の方法です。

私募債は特定少数(通常50名未満)の縁故者に社債の引き受けをしてもらう制度で、条件を満たせば非常にシンプルな手段で資金を調達することができます。以前はかなり厳格な財務条件があり、私募債を発行できる会社イコール優良企業というイメージが持たれていました。現在は条件が緩和され、私募債が発行しやすくなったという背景があり、私募債を発行する企業が増えてきました。
私募債は、資金を出すのが知人などの縁故者であることが多いので、資金を出した相手との関係性に微妙な影響を及ぼすことが多く、失敗するケースもあります。

(12)新株予約権の活用

新株予約権は、会社が前もって特定の個人や法人にあらかじめ決めた価額で新株を引き受ける権利を与えることをいいます。
株価が有利な時に権利行使をすることができるので、株主以外の潜在的な株主の増加が見込めることができます。
しかし、権利を与える時期と行使する時期にタイムラグが生じることから、行使するまで資金調達をできないという点に注意が必要です。

(13)クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットの仕組みを通して自分の活動や夢を発信し、その想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を調達する仕組みで、最近注目を集めている資金調達方法です。
クラウドファンディングは、他の資金調達法と大きく異なり利用申し込みに特別な条件ないことから、自己資金や事業経験の有無などに関わらず誰でも利用することができます。
目標額を達成できないこともありますが、共感した人が多ければ、目標額以上の資金を調達することも可能です。
また、クラウドファンディングにおいては事業内容や想いを紹介する必要があることから、事業を宣伝できるという二次効果も期待できます。

(14)事業譲渡・業務提携

事業承継の方法として注目されているM&Aですが、優良な事業を売却して資金化したり、業務提携を行ったりして資金調達する方法に活用することもできます。
M&Aには主に株式の譲渡、事業譲渡、業務提携、合併がありますが、たとえば事業譲渡においては会社の事業分野の資産や負債を譲渡して、資産から負債を差し引いた金額が資金調達することができます。
また、業務提携も広い意味でのM&Aということができます。
業務提携においては資本参加をともなう資本提携を結び、強い関係を結ぶことになります。
中小企業の場合は、株式譲渡が中心となっていますが、会社や株主の状況によっては別の方法が向いていることもあります。
どの方法がベストなのかについては、M&Aに精通している税理士などの専門家にアドバイスを受けることが重要です。

(15)株式上場(IPO)

株式の新規公開、新規上場の事を「IPO」といいます。
IPOは、大口資金を調達する方法としては大変メリットのある方法ですあり、会社が社会的に認められたことを意味します。しかし、厳しい条件をクリアする必要があるので、多額の費用もかかります。
上場申請するためには、証券会社をはじめ監査法人や株式事務代行機関が必要となり、コストとしては5,000万円から数億円程度が必要になります。

まとめ

以上、資金調達の15の方法をご紹介しました。
ここでご紹介した方法以外にも、資金調達方法は多々ありますが、いずれにせよ資金調達を成功させるためには、さまざまな書類が必要となります。

必要書類は資金調達の手法によって異なりますが、相手に事業の中身を理解してもらう必要があるという点で、まずは事業計画書や決算書は用意しておく必要があります。

事業計画書
事業計画書とは、経営理念、業種の紹介、ユーザーや市場規模、ニーズなどについて、項目を細分化して説明した書類のことをいいます。
なかでも経営理念、現状の自社の分析、損益計画などの数値計画、アクションプランなどは、必ず盛り込む必要があります。

・経営理念
経営理念とは、事業をすすめていくなかでの将来の「あるべき姿」のことであり、事業を進めていくうえでの展望のことをいいます。
事業計画書を作成するうえでは、この経営理念を企業活動の憲法・よりどころと位置づけて、数値計画やアクションプランなどを作成していくことになります。

・商品、サービスの概要・現状分析
商品やサービスの概要を「価値を感じるもの」として提示し、業界の状況、自社の強みや弱みを正確に分析するのも、事業計画書のポイントです。
現状分析もしないで計画を立てても説得力を持ちませんし、融資を引き出すことはできません。

・数値計画
事業計画の中心が、この数値計画です。
売上や利益目標はどれくらいか、事業資金はどこから調達しどのように使うかなどは事業計画のうえで明らかにするとともに、融資担当者に自ら説明できないとマイナスの評価となってしまいますので、注意しましょう。

・アクションプラン
アクションプランとは、数値計画を実施するための具体的な行動計画のことをいいます。現状分析をして得た課題点をどのようにして埋めていくかを明示したものであり、取り組む内容は細かく項目化し、実施の確度や取り組み効果の見込みなどを明記する必要があります。

なお、銀行から融資を受ける際には、損益計算書の当期純利益、貸借対照表の「純資産の部」がプラスになっていることが前提条件となります。この2つがプラスになっているということは、利益がきちんと出ているということになるからです。
とくに、当期純利益が大きくプラスになっていると、融資を受ける際に有利になります。

逆に貸付金や仮払金、棚卸資産が増加していると、銀行側の評価はマイナスになってしまいます。いくら節税対策として行った施策が原因でこれらの勘定科目が増加しているとしても、融資の視点から考えれば、絶対に計上してはいけません。
もし、どうしても他の勘定科目で処理できない場合には、銀行に対してその資金の使途についてしっかり説明できるよう、準備しておきましょう。
また、税理士に改善するために何をしたらいいのか、相談しておくことをおすすめします。

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